※本記事は、東亜ディーケーケー株式会社 の有価証券報告書(第81期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 東亜ディーケーケーってどんな会社?
1944年創業の計測機器メーカー。環境計測や医療関連機器を主力とし、米国ハック社と資本業務提携しています。
■(1) 会社概要
1944年に東亜電波工業として設立され、1961年に東証二部に上場しました。2000年に電気化学計器と合併し現社名へ変更、2005年には米国ハック・カンパニーと資本業務提携を締結しました。2013年に東証一部へ指定替えとなり、現在は東証スタンダード市場に上場しています。
同グループの従業員数は連結596名、単体368名です。筆頭株主は米国の大手水質計測機器メーカーであるハック・カンパニーで、発行済株式の33.67%を保有しており、業務及び資本提携関係にあります。第2位は株式会社UH5、第3位は明治安田生命保険相互会社となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ハック・カンパニー | 33.67% |
| UH5 | 6.72% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 5.31% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性16名、女性0名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は髙島一幸氏が務めています。なお、社外取締役は2名で、取締役全体の約16.7%を占めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙島 一幸 | 代表取締役社長 | 1988年同社入社。国内営業本部HACH営業部長、開発技術本部長、国内営業本部長、専務取締役営業統括などを歴任し、2025年6月より現職。 |
| 中島 信寿 | 常務取締役 営業統括 国内営業本部長 | 元東京電力(現東京電力ホールディングス)西火力事業所横須賀火力発電所副所長。同社営業推進本部長、生産本部長などを経て、2023年6月より現職。 |
| 小坂 徹 | 取締役 管理本部長 | 1985年同社入社。国内営業本部関東・中部営業部長、執行役員国内営業本部副本部長などを経て、2022年6月より現職。 |
| 荒川 智 | 取締役 開発技術本部長 | 1992年電気化学計器入社。同社生産本部生化学事業室長、執行役員などを経て、2024年6月より現職。 |
| 西澤 隆志 | 取締役 開発技術本部副本部長 | 1986年電気化学計器入社。同社開発技術本部水質技術部長、執行役員などを経て、2023年6月より現職。 |
| 山岸 裕司 | 取締役 海外営業本部長 | 1988年電気化学計器入社。同社海外営業本部海外第1営業部長、執行役員などを経て、2025年6月より現職。 |
| 工藤 肇 | 取締役 生産本部長 | 元NECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)。2014年同社入社。開発技術本部設計部長などを経て、2025年6月より現職。 |
| 山守 康夫 | 取締役 | 元米国三菱商事米国プロジェクト調整局センター副センター長、元Anatel社長。同社取締役会長などを経て、2025年6月より現職。 |
| 丸 貞克 | 取締役 | 元ボストン・サイエンティフィックジャパン事業部長、元ラジオメーター社長。2017年6月より現職。 |
| トム・マクファーレン | 取締役 | 元ラジオメーター・メディカルApS社米国シニアGM。ベラルトコーポレーション水質プラットフォームVP/GMなどを経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、吾妻望(弁護士)、五十嵐仁一(元JXリサーチ社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「計測機器事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。
■計測機器事業
環境・プロセス分析機器、科学分析機器、医療関連機器、産業用ガス検知警報器等の製造販売を行っています。水・大気・ガス・医療の分野で、環境計測や生産プロセス管理、医療現場での検査などに使用される分析機器を提供しており、民間企業や官公庁などが主な顧客です。
製品販売のほか、保守・修理サービスや消耗品(電極・標準液など)の販売から収益を得ています。製造の大部分は連結子会社の山形東亜ディーケーケーおよび岩手東亜ディーケーケーに委託しています。また、ハック・カンパニーの国内総代理店として販売活動を行っています。
■不動産賃貸事業
東京都新宿区の本社に隣接する賃貸ビル1棟などを所有し、不動産賃貸事業を行っています。オフィスや店舗等のテナントへの賃貸を行っています。
賃料収入を主な収益源としています。運営は東亜ディーケーケーが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、最新期では181億円に達しています。一方、利益面では2022年3月期をピークに増減があり、直近の2025年3月期は減益となっています。売上高営業利益率は7〜12%程度で推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 160億円 | 164億円 | 165億円 | 174億円 | 181億円 |
| 経常利益 | 19億円 | 20億円 | 17億円 | 18億円 | 15億円 |
| 利益率(%) | 11.9% | 12.0% | 10.5% | 10.6% | 8.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 14億円 | 13億円 | 10億円 | 11億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高は3.5%増加しましたが、売上総利益は減少しました。これは労務費の増加などが影響しています。営業利益は24.3%減少し、営業利益率は10.1%から7.4%へ低下しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 174億円 | 181億円 |
| 売上総利益 | 65億円 | 63億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.2% | 34.9% |
| 営業利益 | 18億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 10.1% | 7.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が23億円(構成比47%)、その他が17億円(同34%)を占めています。売上原価においては、詳細な内訳データはありませんが、労務費などの製造コストが増加傾向にあります。
■(3) セグメント収益
計測機器事業は、半導体関連の設備投資需要などを取り込み増収となりました。不動産賃貸事業は前年並みの売上を維持しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 計測機器事業 | 172億円 | 178億円 |
| 不動産賃貸事業 | 2.4億円 | 2.4億円 |
| 連結(合計) | 174億円 | 181億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローがプラス、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローがプラスであることから、積極型(営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態)に分類されます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.7億円 | 18億円 |
| 投資CF | -17億円 | -6億円 |
| 財務CF | -4億円 | 3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「『誠実・創造・挑戦』をモットーに地球環境保全と豊かで人にやさしい社会環境の実現に貢献します」を経営理念として掲げています。「水・大気・医療・ガス」の4本柱で成長製品を創出し、ステークホルダーに支持される企業を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、経営理念にある「誠実・創造・挑戦」を具現化できる人材を求めており、高い倫理観を持って行動することを重視しています。また、サステナビリティ委員会を設置し、「六方よし(お客さま、お取引先さま、株主さま、従業員、地域社会、地球環境)」の概念に基づき、全てのステークホルダーとの共存共栄を図る姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2030年度以降に売上高250億円以上、営業利益25億円以上、ROE 8%以上の達成を目標としています。これを実現するためのバックキャスティングとして、中期経営計画(2025〜2027年度)を策定し、以下の目標を掲げています。
* 2027年度 売上高:200億円
* 2027年度 営業利益:18億円
* 2027年度 ROE:6.3%
■(4) 成長戦略と重点施策
新中期経営計画において、「電気化学センサ技術を用いて『環境』に貢献する企業」として持続的な成長を目指しています。全社戦略として新たなビジネス創造に取り組み、国内ではソリューション企業への進化、海外ではブランド浸透を図ります。また、社会課題解決への挑戦とサステナビリティの深化も重点戦略としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
高い専門性と倫理観を持ち、創造的かつ自律的に行動する人材を採用・育成する方針です。具体的には、能力・意欲ある人材の積極採用、専門分野別・階層別教育による技術継承、自己啓発支援などを行います。また、多様な価値観を持つ人材が活躍できるよう、人権尊重、良好な労使関係の維持、健康経営の推進にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.8歳 | 14.4年 | 6,114,604円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んだ税込支給額です。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 18.7% |
| 男性育児休業取得率 | 60.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 84.3% |
| 男女賃金差異(正規) | 84.2% |
| 男女賃金差異(非正規) | 74.0% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(45%)、労働災害件数(休業2件、不休1件)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業環境の変動
同社グループは環境・プロセス分析機器の売上割合が大きく、この分野での法規制の動向や製品需給の変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、不動産賃貸事業においてテナントの退去等が発生した場合も影響を受ける可能性があります。
■(2) 原材料調達
生産活動において様々な部材・資材を使用しており、部材メーカーの事情による供給遅延や中断、また部材・輸送価格の上昇が継続することで、生産活動への支障やコスト増につながり、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 為替相場の変動
ハック・カンパニーと国内総代理店契約を締結しており、同製品の輸入に際して米ドル建て決済を行っています。そのため、想定以上の為替相場の変動が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) ハック・カンパニーとの提携リスク
ハック・カンパニーは同社の筆頭株主であり、業務・資本提携を行っています。同社からの取締役受け入れや共同開発などを進めていますが、提携が期待した成果を出せない場合や、同社の利益が他の株主の利益と一致しない可能性などが考えられます。



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