ホーチキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ホーチキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。火災報知設備や消火設備、防犯設備の製造・販売・施工・保守を行う防災・防犯機器メーカー。当連結会計年度は、国内リニューアル事業や海外事業が好調に推移し、価格改定効果も寄与したことで、増収増益(売上高7.9%増、経常利益25.1%増)を達成しています。


#ホーチキ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、ホーチキ株式会社の有価証券報告書(第129期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ホーチキってどんな会社?

日本初の火災報知機メーカー。防災事業を核にグローバル展開し、社会の安全・安心を支える老舗企業です。

(1) 会社概要

1918年4月、日本最初の火災報知機メーカーとして創業しました。1963年7月に東証市場第二部に上場し、1972年5月に同市場第一部に指定替えとなりました。2004年5月には綜合警備保障と業務提携を行っています。2022年4月の市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行しました。

連結従業員数は2,383名、単体従業員数は1,573名です。筆頭株主は業務提携先である警備サービス会社の綜合警備保障で、第2位は業務・資本提携を行っている建材メーカーの三和ホールディングスです。第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
綜合警備保障 17.46%
三和ホールディングス 9.07%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.87%

(2) 経営陣

同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長執行役員は細井元氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
細井 元 取締役社長執行役員(代表取締役) 1989年入社。営業本部長、海外本部長などを歴任。2023年6月より現職。
小林 靖治 取締役専務執行役員経営管理本部長(代表取締役) 三菱UFJ信託銀行執行役員などを経て2014年入社。営業本部副本部長などを歴任し、2024年6月より現職。
米澤 道裕 取締役常務執行役員技術生産本部長 1984年入社。品質統轄室長などを経て、2016年より技術生産本部長を務める。2024年6月より現職。
甲斐 正浩 取締役常務執行役員営業本部長 1986年入社。総合営業第二部長、営業統轄部長などを経て、2024年6月より現職。
吉本 康弘 取締役常務執行役員営業本部副本部長兼全国保守営業支援担当 綜合警備保障執行役員などを経て2021年入社。2024年4月より現職。


社外取締役は、中野秀代(株式会社トリアス代表取締役社長)、松永祐明(トーア再保険取締役社長)、野地彦旬(横浜ゴム名誉顧問)です。

2. 事業内容

同社グループは、「火災報知設備」「保守」「消火設備」「防犯設備」の報告セグメントで事業を展開しています。

火災報知設備

自動火災報知設備、非常警報設備、火災通報装置等の製造、販売および施工を行っています。オフィスビルや商業施設などの防火対象物に設置され、火災の早期発見と通報を担います。
収益は、製品の販売および設置工事の対価として顧客から受領します。運営は主にホーチキや、米国・英国・アジア等の海外現地法人が行っています。

保守

火災報知設備や消火設備などの防災設備全般に係る保守点検、整備工事を行っています。消防法等に基づき設置された設備の機能を維持するための点検やメンテナンスサービスを提供します。
収益は、保守点検契約や整備工事の対価としてビルオーナー等の顧客から受領します。運営は主にホーチキや、関西ホーチキエンジニアリング等の連結子会社が行っています。

消火設備

スプリンクラー設備、放水銃システム、屋内・屋外消火栓設備等の製造、販売および施工を行っています。トンネルやプラントなどの特殊施設から一般建築物まで幅広く対応しています。
収益は、消火設備の機器販売および設置工事の対価として顧客から受領します。運営は主にホーチキが行っています。

防犯設備

入退室管理システム、鍵管理システム、電気錠制御システム等の製造、販売および施工を行っています。セキュリティニーズに対応したシステムを提案しています。
収益は、セキュリティシステムの機器販売および設置工事の対価として顧客から受領します。また、関係会社の綜合警備保障に対してOEM供給を行っています。運営は主にホーチキおよび株式会社ディーディーエルが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は700億円台後半から1,000億円超へと右肩上がりに成長しています。利益面でも、経常利益、当期純利益ともに増加傾向にあり、特に直近の当期純利益は前期比で大きく伸長しました。利益率も改善傾向にあり、収益性が高まっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 766億円 813億円 855億円 935億円 1,009億円
経常利益 53億円 56億円 59億円 78億円 97億円
利益率(%) 6.9% 6.9% 6.9% 8.3% 9.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 38億円 41億円 44億円 57億円 77億円

(2) 損益計算書

増収に伴い売上総利益が増加し、売上総利益率も改善しました。販売費及び一般管理費は増加しましたが、増収効果が上回り、営業利益は大きく伸長しています。営業利益率は向上しており、本業の収益力が強化されていることがわかります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 935億円 1,009億円
売上総利益 322億円 372億円
売上総利益率(%) 34.5% 36.8%
営業利益 74億円 96億円
営業利益率(%) 7.9% 9.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が96億円(構成比35%)、研究開発費が35億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益

主力の火災報知設備は、国内リニューアル需要や海外販売の伸長により増収増益となりました。保守セグメントも点検・整備工事の受注増で堅調です。消火設備は大型案件の寄与で大幅増益、防犯設備はOEM減少で減収ながらも採算改善により増益を達成しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
火災報知設備 573億円 625億円 72億円 90億円 14.4%
保守 200億円 211億円 44億円 50億円 23.9%
消火設備 101億円 112億円 11億円 16億円 14.4%
防犯設備 62億円 61億円 4億円 6億円 10.3%
連結(合計) 935億円 1,009億円 74億円 96億円 9.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、存在意義や使命として「人々に安全を」「社会に価値を」「企業をとりまく人々に幸福を」という経営理念(Mission)を掲げています。また、将来のビジョンとして「人と技術の力で世界中にLife Safetyを創造する」ことを目指しています。

(2) 企業文化

従業員一人ひとりが働きがいを持って成長できるよう、「誠実」「情熱&チャレンジ」「チームワーク」から成る行動指針(Values)を軸としています。個人とチームを尊重し、高い理念と強い信頼関係に基づく「ONE HOCHIKI」の形成を目指しています。

(3) 経営計画・目標

中長期経営計画「GLOBAL VISION 2030」において、事業活動を通じた社会課題の解決を目指しています。2026年3月期の経営目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高:1,009億円
* 営業利益:100億円
* 売上高営業利益率:9.9%
* ROE:11.7%

(4) 成長戦略と重点施策

事業ポートフォリオ最適化による資本収益性向上、人的資本経営の推進、DXによるイノベーション創出を重点方針としています。成長戦略として、海外、リニューアル、保守を注力領域と位置付け、海外でのシステム販売拡張や、建物のライフサイクルに合わせたリニューアル対応強化、保守事業の拡大に取り組みます。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「GLOBAL VISION 2030」実現のため、経営戦略と連動した人材ポートフォリオの構築を進めています。働きがいと個の成長を醸成する人事制度の再構築、キャリア形成と組織競争力向上を支える教育機会の提供、多様なチームワークを機能させる環境整備を重視し、人的資本への積極的な投資を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.3歳 13.0年 7,306,592円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.6%
男性育児休業取得率 61.3%
男女賃金差異(全労働者) 57.0%
男女賃金差異(正規) 57.3%
男女賃金差異(非正規) 61.4%

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場リスク

国内外の設備投資や建設市場の動向に影響を受けます。特に国内市場では少子高齢化に伴う建設市場の成長減速の可能性があり、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、収益性向上や国内ストック事業基盤の強化、海外事業の拡大を図っています。

(2) 地政学的リスク

海外各地で事業を展開しているため、米中貿易摩擦やウクライナ情勢、中東紛争等の地政学的リスクの影響を受ける可能性があります。また、米国工場の生産に関連して関税政策の影響を受ける可能性もあります。海外グループ会社との連携強化や情報共有に努めています。

(3) 部品・原材料等の供給リスク

サプライヤーからの部品・原材料等の価格高騰や供給難、災害等による供給不足が発生した場合、製品製造に支障を来し、業績に影響を及ぼす可能性があります。可能な限り一社集中購買を避け、最適なサプライチェーンの再構築に取り組んでいます。

(4) 法的規制等リスク

消防法等の関係法令や各国の製品認証規格、労働基準法等の改正や変更により、対応が必要となる可能性があります。関係法令の動向を継続的に収集するとともに、ITを活用した施工支援ツールによる効率化などで業務負荷軽減に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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