※本記事は、天昇電気工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
天昇電気工業グループは、自動車部品、物流産業資材、機構品部品、金型の製造販売を行う成形関連事業と、建物の賃貸を行う不動産関連事業を展開しています。国内外のグループ会社とともに、幅広い分野で事業を展開しています。
単体従業員数は385名、連結従業員数は468名です。セグメントは日本成形関連事業、中国成形関連事業、不動産関連事業の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)竜舞プラスチックなどです。
2025年1月には、連結子会社であった三甲アメリカコーポレーションが持分法適用会社に移行し、連結範囲から外れたため、当連結会計年度より「アメリカ成形関連事業」を報告セグメントから除外しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
天昇電気工業は、プラスチック成形業を営む企業として、従業員のキャリア形成と働きがいを重視する環境を提供しています。個々の役割に応じた公正な報酬体系と、多様な人材が活躍できる職場づくりに力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的長く、従業員が安定してキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も40代前半であり、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,110,000円 |
| 平均勤続年数 | 11.4年 |
| 平均年齢 | 40.2歳 |
| 単体従業員数 | 385人 |
| 連結従業員数 | 468人 |
| 単体のグループ内比率 | 82.3% |
同社グループは、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。この制度は同社および連結子会社に適用されています。また、一部の連結子会社では、確定給付型の制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)として退職一時金制度を採用しています。退職一時金制度は存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。確定給付制度の年金資産は63百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
天昇電気工業は、性別、年齢、国籍、キャリアの異なる多様な人材が活躍できる環境を整備し、イノベーション創出を目指すことを人材戦略の基本方針としています。従業員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援し、専門性を高めること、そして心身ともに健康で能力を発揮できるウェルビーイングな職場環境の実現を重視しています。
給与・報酬の決定においては、年齢や勤続年数によらず、役割の重要度、難易度、専門性に応じた等級・区分を設け、市場水準を考慮した公正な賃金体系を構築しています。また、目標管理制度を通じて、数値目標の達成度だけでなく、目標の難易度や挑戦プロセスも評価し、賞与や昇降給に反映させることで、リスクを恐れずに高い付加価値を追求する組織文化を醸成しています。
同社は、人材育成と社内環境整備における課題として「全社員における女性比率の向上」と「女性管理職の登用を目標とする幹部人材の育成」を掲げています。女性が活躍できる環境を構築することがダイバーシティ推進と企業価値向上に繋がるとの認識から、意識・風土改革、能力開発の充実、ワーク・ライフ・マネジメントの推進に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。労働者の男女の賃金の額の差異は、女性活躍推進法に基づき算出されています。男性労働者の育児休業取得率は、育児介護休業法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 68.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 69.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 80.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
天昇電気工業は、主にプラスチック成形品の製造販売と不動産賃貸を手がける企業グループです。自動車部品や物流産業資材、機構品部品、金型といった幅広い製品を提供し、建物の賃貸も行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、プラスチック成形関連事業と不動産関連事業を主軸としています。特に成形関連事業では、自動車業界や物流業界向けに多様な製品を提供しており、これらの製造販売が収益の大部分を占める構造です。
日本成形関連事業
日本成形関連事業では、自動車部品、物流産業資材、機構品部品、金型の製造販売を行っています。収益は、これらの製品の販売から得ています。運営は、同社及び竜舞プラスチックが行っています。当連結会計年度の売上高は前期から増加し、セグメント利益も大きく伸長しました。
中国成形関連事業
中国成形関連事業では、物流産業資材、機構品部品、金型の製造販売を行っています。収益は、主に物流産業資材や機構品部品の販売から得ています。運営は、天昇塑料(常州)有限公司が行っています。当連結会計年度の売上高は前期から増加し、セグメント利益は前期の損失から黒字に転換しました。
不動産関連事業
不動産関連事業は、建物の賃貸を主な事業としています。収益は、相模原市所在の土地・建物や二本松市所在の土地の賃貸収入から得ています。運営は、同社が行っています。当連結会計年度の売上高は前期から横ばいとなり、セグメント利益は前期から減少しました。
同社グループの売上高は、株式会社SUBARUが全体の2割以上を占めるなど、特定の顧客への集中が見られます。また、中国での事業展開や為替差益の発生から、為替変動が経営成績に影響を与える可能性があります。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本成形関連事業 | 198億円 | 210億円 |
| 中国成形関連事業 | 5.3億円 | 5.5億円 |
| 不動産関連事業 | 2.8億円 | 2.8億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にありましたが、直近の連結会計年度では減少に転じました。経常利益は増加傾向を示した後、直近の2期間はほぼ横ばいで推移しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、増加傾向にありましたが、直近の連結会計年度では大幅に減少しました。
直近の当期純利益の減少は、特別損失として持分変動損失を計上したことなどが主な要因となっています。営業活動によるキャッシュ・フローは、過去5期間を通じて安定的に収入を確保していましたが、直近の連結会計年度では前期から減少しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 194億円 | 239億円 | 269億円 | 279億円 | 219億円 |
| 経常利益 | 3.5億円 | 7.5億円 | 13.2億円 | 10.8億円 | 10.1億円 |
| 経常利益率 | 1.8% | 3.1% | 4.9% | 3.9% | 4.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.5億円 | 6.1億円 | 9.5億円 | 12.6億円 | 5.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 14.47 | 35.99 | 55.77 | 74.34 | 29.66 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加する傾向を示しています。これらの指標の改善は、同社グループの生産性が向上していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 38.4百万円 | 46.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.3百万円 | 1.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
天昇電気工業グループは、本業で安定した資金を生み出し、投資活動も行いながら、財務基盤を強化している状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から増加し、プライム市場の製造業平均を上回る水準となっています。ROE(自己資本利益率)は前期から減少しており、プライム市場平均を下回る状況です。現金及び預金は前期からわずかに減少したものの、一定の水準を維持しています。これらの財務状況は、同社グループが安定した経営基盤を維持しつつ、今後の事業展開に向けた資金的な余力を有していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 106億円 | 110億円 |
| 自己資本比率 | 48.0% | 52.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.7% | 4.7% |
| 現金及び預金 | 33.0億円 | 32.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
営業活動によるキャッシュ・フローは前期から減少したものの、当期も収入となっています。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が主な要因で、前期よりも支出が減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期は収入でしたが、当期は長期借入金の返済による支出が長期借入による収入を上回り、支出に転じています。
結果として、フリーキャッシュ・フローは前期のマイナスから当期はプラスに転じました。これは本業で生み出した資金で投資を賄い、さらに余剰資金がある状態を示しており、会社の安定性や将来の成長に向けた投資余力がある状況と言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 24.9億円 | 19.0億円 |
| 投資CF | △31.1億円 | △12.3億円 |
| 財務CF | 6.2億円 | △8.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △6.2億円 | 6.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの売上高の約70%は日系自動車メーカーであり、主要納入先の自動車生産台数の減少が業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、原材料仕入れにおいて、原油や樹脂素材価格が上昇するなど不安定な状況が続いており、製品価格への転嫁が困難となるリスクが存在します。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
天昇電気工業は、「ものづくりを通じて豊かな社会を創造しよう」という経営理念のもと、ステークホルダーとの信頼構築と社会貢献を重視する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
天昇電気工業グループは、「ものづくりを通じて豊かな社会を創造しよう」を経営理念としています。ステークホルダーとの信頼構築に努め、品質・価格・納期により顧客満足を提供することを経営方針としています。
また、法令遵守に留まらず、社会貢献・環境保全・安全への配慮を心掛け、業務効率と改善を図り健全経営に努めることを掲げています。今後も自動車部品、機構品部品、物流産業資材等の自社製品の成形分野を中心として企業活動を推進していく方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、持続可能な社会の実現を目指し、地球環境保全に貢献する企業として環境マネジメントに取り組んでいます。全従業員が「6S4K」を実践することを重視しており、6S(整理・整頓・清掃・清潔・躾・作法)と4K(決められたことを・基本通りに・キチンと・継続してやる)を行動指針としています。
社長及び取締役を含む経営メンバーによる各工場への6S4K巡回を定期的に行い、監督・指導を実施しています。また、企業倫理の重要性を認識し、経営の健全性、意思決定と業務執行の透明性・公正性を保持すべく、コーポレートガバナンスの充実及びコンプライアンスの強化に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、国内において自動車部品関連をさらに伸ばしつつ、自社製品の大幅な売上拡大を目指しています。生産性を高めるため、全社横断的な生産革新チームによる省力・省人化、自動化等の取り組みを積極的に推進しています。
中国では、経費削減に努めながら売上回復と収益改善を推進し、日本国内の営業・技術部門との連携強化を図っています。
人材面では、「全社員における女性比率の向上」と「女性管理職の登用を目標とする幹部人材の育成」を課題としています。意識・風土の改革、能力開発の充実、ワーク・ライフ・マネジメントの推進に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
天昇電気工業は、お客様からの信頼と評価を重視し、企業の社会的責任を果たすことを目指しています。その実現のため、コーポレート・ガバナンスの確立を不可欠と認識しており、監査役会制度を採用しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
天昇電気工業の株主構成を見ると、筆頭株主は三甲不動産です。上位には三井物産やタキロンシーアイといった事業会社が名を連ねています。特定の事業会社が上位株主として同社を支えている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三甲不動産 | 33.63% |
| 三井物産 | 13.82% |
| タキロンシーアイ | 5.23% |
| ワコーパレット | 3.05% |
| 三井住友銀行 | 2.77% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は藤本健介氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤本健介 | 代表取締役社長 | 1985年三井石油化学工業(現三井化学)入社。三井化学執行役員、プライムポリマー代表取締役社長を経て、2024年6月より同社代表取締役社長に就任、現職。 |
| 石川忠彦 | 取締役会長 海外本部長 | 1979年三井物産入社。同社機能化学品本部西日本化学品事業部長などを経て、2013年9月より同社代表取締役社長、海外本部長。2024年6月より同社取締役会長に就任、現職。 |
| 杉山実佐夫 | 取締役 営業本部長 | 2016年同社入社。理事営業本部副本部長を経て、2018年6月より同社営業本部長および取締役に就任、現職。 |
| 岸田勇 | 取締役 | 2016年同社入社。執行役員、管理本部長を経て、2020年6月より同社取締役に就任、現職。 |
社外取締役は、後藤薫氏(三甲不動産代表取締役副社長)、小松崎隆一氏(元伊藤忠プラスチックス代表取締役社長)、神田将氏(弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会および監査役会を設置しています。社外役員は経営の健全化維持・強化に貢献しており、東京証券取引所の独立役員基準を参考に2名の独立役員を選任しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
天昇電気工業の役員報酬は、固定報酬を基本としています。取締役の報酬限度額は年額2億円以内、監査役は年額3千万円以内と定められています。取締役個人別の報酬決定方針は、代表取締役社長に一任されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 50百万円 | 10.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 4百万円 | 4.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 12百万円 | 4.0百万円 |
同社の役員報酬の総額は66百万円であり、対象となる役員の合計人数は9名です。なお、取締役の支給金額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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