【平均年収708万円】アイホン 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収708万円】アイホン 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

アイホンは、戸建住宅や医療・福祉施設向けの電気通信機器の製造・販売を主要事業としています。グローバルに事業を展開し、直近期は売上が微減、利益は減少となりました。


目次

※本記事は、アイホン株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


アイホンは、戸建住宅、集合住宅、医療・福祉施設、オフィス・公共施設向けの電気通信機器の製造・販売を主な事業内容としています。同社グループは、これらの機器の据付工事、請負、修理等の関連事業も展開しています。

単体従業員数は1,067名、連結従業員数は2,029名です。同社グループの報告セグメントは、日本、北米、欧州、タイ、ベトナムの5つです。

アイホンは、電気通信機器の製造・販売を自社で行っています。国内ではアイホンコミュニケーションズが製品の生産と基板加工を担い、株式会社ソフトウェア札幌、株式会社テシオテクノロジ、株式会社日本マイクロリンクがソフトウェア開発等を行っています。

同社グループは、経営効率向上のため、2024年2月からGEGA ELECTRONIQUEの解散手続きを開始しています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


アイホンは、安定した経営基盤を持ちながらも、変化の激しい市場環境に対応し、グローバル市場での成長や新規事業への挑戦を重視しています。そのため、人材を企業価値向上の最重要資産と位置づけ、多様な人材の育成と確保に積極的に取り組む姿勢が見られます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も40代前半であることから、長期的なキャリア形成が可能な環境であると考えられます。安定した組織で腰を据えて働きたいと考える方にとって、魅力的な傾向を示しています。

項目 数値
平均年間給与 7,085,000円
平均勤続年数 15.3年
平均年齢 40.9歳
単体従業員数 1,067人
連結従業員数 2,029人
単体のグループ内比率 52.6%


同社グループは、従業員の退職給付に充てるため、積立型の確定給付企業年金制度および確定拠出制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は当社および一部の連結子会社に適用されています。

なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

退職給付債務は53.8億円、年金資産は55.9億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


アイホンは、「コミュニケーションとセキュリティの技術で社会に貢献する」という経営ビジョンの実現に向け、人的資本を企業価値向上の最重要資産と位置づけています。安定した経営基盤を維持しつつ、変化を捉える機動的な組織への進化を目指しており、迅速な意思決定や挑戦意識の醸成、グローバル市場での成長獲得を重要な変革テーマとしています。

目指すべき人材像として、顧客課題を特定し技術を価値に変換する「ソリューション人材」、異文化適応力を備え海外市場の成長を推進する「グローバル人材」、既存領域に捉われず新たな価値を創出する「市場創造人材」の3つを定義し、その育成と獲得に注力しています。2023年度に導入した複線型人事制度のもと、専門性や貢献度に応じた公正な評価・処遇を通じて、高度な専門性を持つ人材が活躍できる環境を整備しています。

また、AIの業務活用推進による生産性向上や、公募型研修の拡充を通じて社員の自律的な学びを支援しています。次世代グローバルリーダー育成や語学教育、女性のキャリア形成支援といったダイバーシティ推進により、柔軟な組織への進化を図っています。給与等の決定においては、職務内容、職責、成果、行動等を総合的に勘案し、公正かつ納得感のある評価・処遇を基本とし、活躍人材に報いる報酬体系を採用しています。

具体的な取り組みとしては、海外市場拡大や開発力強化、新規事業への挑戦のため、ハード・ソフトエンジニアやIT人材など高い専門性を持つキャリア人材の採用を推進しています。また、転職や家庭の事情で退職した元従業員が再就職できる「カムバック制度」を設置し、多様なキャリアを支援しています。女性従業員の活躍をさらに促すため、地域限定総合職の設置や女性キャリアアップ研修の導入も行っています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。属性(勤続年数、役職等)が同じ男女労働者の間での賃金の額の差異はありません。

指標 数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 1.3%
男性労働者の育児休業取得率 83.9%
労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) 69.4%
労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) 75.1%
労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) 50.3%

グループ全体(連結)

指標 数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 8.9%
外国人管理職比率 24.9%
中途採用者管理職比率 50.6%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


アイホンは、電気通信機器の製造・販売を主軸に事業を展開しています。戸建住宅から集合住宅、医療・福祉施設、オフィス、公共施設まで、幅広い分野でシステムを提供し、人々の生活や社会活動を支えています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、電気通信機器の製造・販売を主な事業内容としています。製品の提供だけでなく、関連する据付工事や請負、修理といったサービスも展開しており、多角的な収益モデルを構築しています。収益は、顧客との契約における履行義務を充足した時、または充足するにつれて認識されています。

日本

日本セグメントでは、戸建住宅向け、集合住宅向け、ケア市場向け、業務市場向けの電気通信機器システムを提供しています。新築住宅着工数の減少傾向がある中でも、テレビドアホンや賃貸マンション向け主力商品の販売が好調に推移しました。また、セキュリティニーズの高まりやDX導入支援の追い風を受け、リニューアル需要やソリューション提案が収益に貢献しています。収益は、電気通信機器の物品販売、据付工事が付帯した物品販売、および役務の提供から得ています。運営は、アイホンが行っています。

北米

北米セグメントでは、電気通信機器の販売を行っています。現地通貨ベースでの売上は大幅に減少しましたが、グループ会社からの仕入れ価格見直しにより営業利益は改善しました。収益は、電気通信機器の物品販売および役務の提供から得ています。運営は、アイホンコーポレーションが行っています。

欧州

欧州セグメントでは、電気通信機器の販売を行っています。欧州経済の停滞や中国製品との価格競争の影響を受け、現地通貨ベースの売上は減少しましたが、営業利益は改善しました。収益は、電気通信機器の物品販売および役務の提供から得ています。運営は、アイホンS.A.S.が行っています。

その他の事業セグメント

その他の事業セグメントには、オセアニア、東南アジア、タイ、ベトナムなどの地域における事業活動が含まれます。タイとベトナムでは主に製品の生産を、オセアニアや東南アジアでは販売を行っています。オセアニアでは大型プロジェクトの受注環境が厳しく売上が減少しましたが、東南アジアでは業務市場や住宅市場の販売が好調に推移し、売上が増加しました。収益は、電気通信機器の物品販売および役務の提供から得ています。運営は、アイホンPTY、アイホンPTE.、アイホンコミュニケーションズ(タイランド)、アイホンコミュニケーションズ(ベトナム)、アイホンUKなどの複数の現地法人が行っています。

同社グループは、日本セグメントが売上高の大部分を占めており、国内市場への収益集中が見られます。また、北米や欧州、その他の地域でも事業を展開しており、海外での事業活動も行っています。売上総利益の減少要因として為替の影響が挙げられており、為替変動が業績に影響を与える可能性があります。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
日本 456億円 476億円
北米 118億円 95.0億円
欧州 43.4億円 42.4億円
その他の事業セグメント 16.1億円 16.9億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は一時的に増加したものの、当期は前期からわずかに減少しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、前期から当期にかけて減少傾向を示しています。売上総利益の減少や人件費の増加が、営業利益およびその後の利益水準に影響を与えている状況です。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 520億円 528億円 613億円 633億円 630億円
経常利益 59.3億円 41.7億円 61.3億円 41.6億円 31.7億円
経常利益率 11.4% 7.9% 10.0% 6.6% 5.0%
親会社株主に帰属する当期純利益 42.3億円 29.3億円 46.5億円 36.2億円 24.7億円
1株当たり当期純利益(円) 258.64 179.32 283.98 221.18 150.69

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけてわずかに減少しました。また、従業員1人あたり営業利益も前期から減少しています。これらの指標は、同社グループ全体の効率性や収益創出力の推移を示しており、人件費の増加や売上総利益の減少が影響している可能性があります。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
従業員1人あたり売上高(連結) 31.3百万円 31.0百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 1.9百万円 1.4百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


アイホンは、本業で資金を生み出しつつも、投資活動に資金を振り向けている状況です。将来に向けた事業基盤の強化を進めていることがうかがえます。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


アイホンは、高い自己資本比率と潤沢な手元資金を維持しており、強固な財務基盤を構築していることが示されています。これにより、事業環境の変化や不測の事態にも対応できる安定性があると考えられます。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均と比較して低い水準となっており、資本の効率的な活用が今後の課題となる可能性があります。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 668億円 700億円
自己資本比率 86.7% 87.6%
ROE(自己資本利益率) 5.5% 3.6%
現金及び預金 252億円 236億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは21.7億円のプラスとなりました。これは主に、税金等調整前当期純利益があった一方で、売上債権の増加があったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは△22.8億円のマイナスとなり、有形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。その結果、フリーキャッシュ・フローは△1.1億円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは△23.4億円のマイナスで、配当金の支払額が主な要因です。

これらの資金の流れからは、本業で安定的に資金を生み出しつつも、将来に向けた設備投資などに資金を投じている状況がうかがえます。この傾向は、同社グループが事業の成長と強化を目指していることを示しており、長期的な視点での雇用安定性や事業成長への期待につながる可能性があります。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 57.2億円 21.7億円
投資CF △7.3億円 △22.8億円
財務CF △24.1億円 △23.4億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 49.9億円 △1.1億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、国内の新設住宅着工戸数の減少が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、インターホンを中心とした通信機器の専門メーカーとして、競合他社との競争激化に晒されており、市場環境の悪化や価格競争の激化が経営成績に影響を与える可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

人材・組織に関するリスクの記載はありません。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


アイホンは、インターホンを中心とした通信機器の専門メーカーとして、コミュニケーションとセキュリティの技術を通じて社会に貢献し、新しい安心をかたちにすることを目指しています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


アイホンは1948年の創業以来、インターホンを中心とした通信機器の専門メーカーとして事業を展開しています。同社グループの経営理念は「自分の仕事に責任を持て 他人に迷惑をかけるな」です。この理念のもと、自社ブランドを基本に開発からアフターサービスまで一貫して行い、お客様に満足してもらえる商品づくりを進めています。

経営ビジョンとして「コミュニケーションとセキュリティの技術で社会に貢献する」を掲げ、「新しい安心をかたちに」をパーパスとして、社会に貢献することを目指しています。同社グループの発展のためには、国内既存事業基盤の強化に加え、新規事業分野の創造、海外販売体制の強化、グローバル生産体制の推進、収益構造やコスト構造の改善が重要であると認識しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


アイホンは、経営理念である「自分の仕事に責任を持て 他人に迷惑をかけるな」を基盤としています。同社グループは、この理念に基づき、全てのステークホルダーが安心・安全・快適を実感できる商品やサービスを提供することで、持続可能な社会の実現に貢献するというサステナビリティ基本方針を掲げています。

長期経営戦略では「高い品質」の提供で「高い信頼と満足」を獲得し、「高い収益」に変換できる企業を目指すことをコンセプトとしています。また、同社グループは人材を重要な経営資本と捉えており、従業員にとって働きがいを感じられる企業風土の実現とエンゲージメントの向上を重視しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、社会課題の解決に向けたサービスの販売に積極的に取り組んでいます。また、人的資本経営を一層推進するため、人的資本経営検討委員会を設置し、人材の価値を最大限に引き出す経営のあり方について検討を進めています。

人材育成においては、専門人材のキャリア採用を推進し、カムバック制度を設置しています。女性の活躍推進として地域限定総合職や女性キャリアアップ研修を採り入れ、2032年度までに女性管理職比率20%を目指しています。温室効果ガス排出量については、2050年度までに実質排出量ゼロを目標としています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


アイホンは、株主の皆様の期待に応える企業経営と企業価値の継続的な向上を目指し、コーポレート・ガバナンスの強化を重要な課題と位置付けています。取締役による経営判断の迅速化と内部統制機能・リスク管理機能の充実を図る体制が構築されています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


アイホンは、個人筆頭株主である市川周作氏をはじめ、信託銀行や従業員持株会など、多様な株主によって支えられています。特定の株主が過半数を占める状況ではなく、幅広いステークホルダーの意見が経営に反映されることを重視する資本構成となっています。

株主名 持株比率
市川 周作 11.66%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.55%
アイホン従業員持株会 4.99%


なお、市川周作氏の所有株式数には、本人および親族が株式を保有する資産管理会社のイチカワが保有する株式数1,450千株を含めた実質所有株式数が記載されています。

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長執行役員は鈴木富雄氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
市川 周作 取締役会長 (代表取締役) 1975年4月 同社入社、1987年5月 代表取締役社長、2019年4月 代表取締役会長より現職。
鈴木 富雄 取締役社長執行役員 (代表取締役) 2014年10月 同社入社、2022年6月 取締役執行役員経営企画部長、2023年4月 代表取締役社長執行役員より現職。


社外取締役は、入谷正章氏(弁護士・指名・報酬委員会委員長)、繁治義信氏(元みずほ銀行常務執行役員・指名・報酬委員会構成員)、吉野彩子氏(弁護士・指名・報酬委員会構成員)です。

同社は監査役会設置会社であり、取締役会および経営会議を通じて効率的かつ健全な企業経営を推進しています。社外取締役および社外監査役は、それぞれの専門的見地から取締役会の意思決定の妥当性・適正性を確保するための助言・提言を行っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


アイホンの役員報酬は、金銭報酬と非金銭報酬で構成され、その一部は業績連動報酬となっています。報酬の種類ごとの割合は、業績に連動しない金銭報酬が80%、業績連動する金銭報酬が10%、業績連動する非金銭報酬が10%を基本としています。業績連動報酬は経常利益の達成度合いに応じて決定され、非金銭報酬は中期経営計画の主要目標達成度合いに応じて譲渡制限が解除される譲渡制限付株式報酬制度が導入されています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 2名 1.4億円 68.0百万円
監査役(社外除く) 2名 15百万円 7.5百万円
社外役員 6名 30百万円 5.0百万円


※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。