※本記事は、santec Holdings株式会社 の有価証券報告書(第46期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. santec Holdingsってどんな会社?
1979年の設立以来、光技術のパイオニアとして事業を展開。光部品や光測定器を主力とし、グローバルに製品を提供しています。
■(1) 会社概要
1979年に設立し、1984年に光通信事業へ参入しました。2001年に株式公開を果たし、グローバル展開を加速させています。近年は北米企業の買収などを通じて事業を拡大し、2023年には持株会社体制へ移行して現在の商号となりました。光技術のパイオニアとして独自の地位を築いています。
現在、グループ連結で350名の従業員を擁し、提出会社単体では58名が在籍しています。筆頭株主は光和で、第2位はChronoSource、第3位はGens Globalといずれも法人株主が上位を占めており、安定的な資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 光和 | 16.93% |
| ChronoSource | 12.69% |
| Gens Global | 9.23% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役・社長執行役員 CEOは鄭元鎬氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鄭元鎬 | 代表取締役・社長執行役員 CEO | 1989年入社。米国現地法人社長、海外部長等を経て2020年社長就任。2022年より現職。 |
| 鄭昌鎬 | 取締役・副社長執行役員 CTO | 1998年サンテックフォトニクス研究所入社。各ビジネスユニット長を経て2022年より現職。 |
| 鄭台鎬 | 取締役・副社長執行役員 CSO | 1991年入社。営業本部長、研究開発本部長、社長、会長等を歴任。2022年より現職。 |
| 諫本圭史 | 取締役・専務執行役員 COO | 2001年入社。光画像センシングビジネスユニット長等を経て2025年6月より現職。 |
社外取締役は、堀江容子(公認会計士・税理士事務所所長)、松川知弘(弁護士法人代表弁護士)、藤吉弘亘(中部大学教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「光部品関連事業」、「光測定器関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 光部品関連事業
光伝送装置用の光部品を開発・製造・販売しており、主な製品には光パワーモニタ、光減衰器、光スイッチ、光フィルタ、空間光変調器(SLM)などがあります。通信トラフィックの増加に伴うインフラ需要に対応する製品群です。
収益は主に通信機器メーカー等への製品販売から得ています。開発・製造は主にsantec AOCが担当し、販売はsantec Japanや海外現地法人であるSANTEC U.S.A.、SANTEC EUROPEなどが地域ごとに担当しています。
■(2) 光測定器関連事業
光伝送装置や光部品の評価・検査用測定器、光干渉断層画像計(OCT)、光学式眼内寸法測定装置などを取り扱っています。光通信分野に加え、産業分野や医療分野へも展開し、波長可変光源や高速スキャニングレーザーなどを提供しています。
収益は大学・研究機関や企業への機器販売から得ています。開発・製造はsantec LISやsantec OIS、海外のSantec Canada等が担い、販売はsantec Japan等の各国の販売子会社が行っています。
■(3) その他
報告セグメントに含まれない事業として、ソフトウェアや通信システムの販売を行うシステム・ソリューション事業などを展開しています。
収益はシステムやソリューションの提供対価として顧客から受領しています。運営は主にsantec Japanが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間において売上高は一貫して増加傾向にあり、特に直近2期は大幅な増収となっています。利益面でも拡大が続いており、経常利益率は20%台から30%台へと高水準で推移しています。当期は売上高240億円、経常利益79億円と過去最高水準の業績を達成しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 75億円 | 89億円 | 152億円 | 189億円 | 240億円 |
| 経常利益 | 16億円 | 19億円 | 42億円 | 63億円 | 79億円 |
| 利益率(%) | 21.2% | 21.7% | 27.9% | 33.2% | 32.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 16億円 | 30億円 | 39億円 | 51億円 |
■(2) 損益計算書
前期と比較して売上高は約52億円増加し、売上総利益も大幅に伸長しました。営業利益率は引き続き30%を超える高い水準を維持しています。増収効果に加え、為替の円安推移も業績を押し上げる要因となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 189億円 | 240億円 |
| 売上総利益 | 104億円 | 140億円 |
| 売上総利益率(%) | 55.2% | 58.4% |
| 営業利益 | 56億円 | 74億円 |
| 営業利益率(%) | 29.5% | 30.9% |
販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が22億円(構成比33%)、給与等が13億円(同20%)を占めています。技術開発型企業として研究開発に重点的に投資していることが分かります。
■(3) セグメント収益
光部品関連事業は在庫調整が一巡し需要が回復したことで増収増益となりました。光測定器関連事業は光通信用の販売好調や産業用・医療用の堅調な推移により、大幅な増収増益を達成しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 光部品関連事業 | 38億円 | 45億円 | 8億円 | 10億円 | 22.1% |
| 光測定器関連事業 | 139億円 | 180億円 | 46億円 | 63億円 | 35.0% |
| その他 | 12億円 | 16億円 | 2億円 | 2億円 | 9.8% |
| 調整額 | - | - | 2億円 | 2億円 | - |
| 連結(合計) | 189億円 | 240億円 | 56億円 | 74億円 | 30.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、純資産が大きく増加し、自己資本比率も安定しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上により堅調に推移しました。投資活動では、有形固定資産や有価証券の取得により支出が増加しましたが、投資有価証券の売却収入もありました。財務活動では、長期借入れによる収入があったものの、配当金の支払い等により支出となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 33億円 | 60億円 |
| 投資CF | -2億円 | -19億円 |
| 財務CF | -2億円 | -7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は経営ビジョンに「Creating OPTOPIA(光の理想郷の創造)」を掲げ、独創的な光技術で社会の発展に寄与することを目指しています。「Photonics Pioneer(光の先駆者)」として、市場を先導し世界へ影響を与えること、またステークホルダー全体に夢と繁栄を届けることを基本方針としています。
■(2) 企業文化
経営理念である「ICCベンチャースピリット(自主性、創造性、目的意識性)」を尊重する企業風土があります。柔軟でフラットな組織運営、多様性とチーム結束、開かれたコミュニケーション、そして世界中のコミュニティーとのつながりを大切にするグローバルな視野を行動指針として重視しています。
■(3) 経営計画・目標
高付加価値製品の創出により利益を確保し、株主価値の拡大を図ることを目指しています。目標とすべき経営指標として、以下の数値を掲げています。
* 売上高総利益率:50%
* 売上高営業利益率:15%
* フリーキャッシュ・フローの確保
■(4) 成長戦略と重点施策
2026年3月期までの基本課題として「高付加価値の新製品開発と市場牽引」を掲げています。産学官連携やスタートアップ投資、M&A等を活用し、新技術・製品の開発に取り組みます。
* 光部品関連:小型・多機能化、マルチコアファイバ用デバイス、高出力レーザー対応SLMの研究開発
* 光測定器関連:次世代型波長可変光源、シリコンフォトニクス向け測定器、OCT技術を用いた新市場開拓
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「ICCベンチャースピリット」を尊重し、社員一人一人の特性や能力を最大限生かせる職場環境整備や教育研修強化に取り組んでいます。採用においては多様性およびグローバルな視野を重視し、性別や国籍を問わず様々な経歴を持つ人材を積極的に採用する方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.8歳 | 10.8年 | 7,278,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 23.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期社員) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の記載はありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、連結全社員における女性比率(24.3%)、外国籍の社員の比率(37.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 光通信業界の動向
主要事業である光通信業界向けの製品販売は、同業界の設備投資動向や技術革新の影響を強く受けます。投資の急激な変動や、技術進展に伴う業界再編、顧客の統合などが生じた場合、同社製品への需要変動や棚卸資産の評価減などにより、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合他社との競争
業界再編による競争激化や、豊富な資源を持つ競合他社の存在がリスク要因です。競合が新技術や顧客ニーズの変化により迅速に対応したり、より強力な製品を提供したりすることで、同社が十分な競争力を維持できなくなった場合、業績や財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
■(3) 原材料の外部調達
原材料の供給を社外に依存しており、一部重要部品の供給元は限定されています。需要急増時の供給不足、外部供給元の事業廃止や製品廃版などが生じると、原価率の上昇や納期遅延などの問題が発生し、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



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