santec Holdings 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

santec Holdings 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

santec Holdingsは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、光通信用部品や、光通信・産業・医療分野向け光測定器の開発・製造・販売を主力事業として展開しています。直近の業績トレンドとして、北米における光モニタ及び光測定器の販売好調により、大幅な増収増益を達成し成長を続けています。


※本記事は、santec Holdings株式会社の有価証券報告書(第47期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. santec Holdingsってどんな会社?


光通信用部品と光測定器の開発・製造・販売を主力とし、グローバルに事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1979年8月に協同商事として設立され、1983年にサンテックに商号を変更して光通信事業へ事業転換を図りました。2001年7月にナスダック・ジャパン(現スタンダード市場)へ上場しています。2023年4月に持株会社体制へ移行し、santec Holdingsに商号を変更しました。直近では2025年4月に米国のmovu inc.などを連結子会社化しています。

現在の従業員数はグループ全体で427名、単体で60名となっています。筆頭株主は光和で、第2位はChronoSource、第3位はGens Globalです。

氏名 持株比率
光和 16.93%
ChronoSource 12.69%
Gens Global 9.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役・社長執行役員 CEOは鄭元鎬氏が務めています。また、取締役7名のうち3名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
鄭元鎬 代表取締役・社長執行役員 CEO 1989年8月同社入社。SANTEC U.S.A. CORPORATION代表取締役、同社常務取締役などを経て、2020年4月代表取締役社長。2025年6月より現職。
鄭昌鎬 取締役・副社長執行役員 CTO 2002年9月同社入社。光システムビジネスユニット長、常務取締役などを経て、2020年4月取締役会副社長。2025年6月より現職。
鄭台鎬 取締役・副社長執行役員 CSO 1991年4月同社入社。専務取締役、代表取締役社長を経て、2020年4月取締役会長。2025年6月より現職。
諫本圭史 取締役・専務執行役員 COO 2001年4月同社入社。光画像センシングビジネスユニット長、常務執行役員などを経て、2022年5月santec OIS代表取締役。2025年6月より現職。


社外取締役は、堀江容子(堀江容子公認会計士事務所所長)、松川知弘(弁護士法人Bridge Roots名古屋代表弁護士)、藤吉弘亘(中部大学理工学部教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「光部品関連事業」および「光測定器関連事業」の報告セグメントと「その他」事業を展開しています。

光部品関連事業


光伝送装置用の光パワーモニタ、光減衰器、光スイッチ、光フィルタ等の光通信用部品や、空間光変調器(SLM)を光通信機器メーカーや光計測・加工分野などの顧客向けに提供しています。

光通信用部品や空間光変調器の販売代金から収益を得ています。開発および製造は主にsantec AOCが担い、販売はsantec Japan、SANTEC U.S.A. CORPORATION、SANTEC EUROPE LTD.などが担当しています。

光測定器関連事業


光通信分野向けに光伝送装置や光部品の評価・検査用測定器を提供しているほか、産業分野・医療分野向けに光干渉断層画像計(OCT)や光学式眼内寸法測定装置などの製品を展開しています。

光通信用光測定器や医療用機器などの販売代金から収益を得ています。開発および製造はsantec LISやsantec OISなどが担い、販売はsantec Japan、movu inc.などが担当しています。

その他


報告セグメントに含まれないシステム・ソリューション事業として、国内においてソフトウェアや通信システムの販売を行っています。

ランサムウェア対策ソフトウェアなどの販売代金から収益を得ています。当事業における販売は、主にsantec Japanが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期連続で増加しており、直近の売上高は315億円と拡大を続けています。経常利益も右肩上がりで推移し、直近では110億円に達しており、利益率も30%台の高水準を維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 89億円 152億円 189億円 240億円 315億円
経常利益 19億円 42億円 63億円 79億円 110億円
利益率(%) 21.7% 27.9% 33.2% 32.8% 34.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 29億円 -2億円 33億円 35億円

(2) 損益計算書


売上高は240億円から315億円へと大幅に増加し、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は50%台後半を安定して維持しており、営業利益率も30%を超える高い収益性を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 240億円 315億円
売上総利益 140億円 182億円
売上総利益率(%) 58.3% 57.7%
営業利益 74億円 103億円
営業利益率(%) 30.9% 32.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与等が16億円、役員賞与引当金繰入額が4億円、賞与引当金繰入額が4億円を占めています。

(3) セグメント収益


主力である光測定器関連事業が順調に売上を伸ばしているほか、光部品関連事業やその他事業も増収となっており、全セグメントにおいて堅調な成長を遂げています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
光部品関連事業 45億円 64億円
光測定器関連事業 180億円 224億円
その他 16億円 28億円
連結(合計) 240億円 315億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業といえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 60億円 81億円
投資CF -19億円 -39億円
財務CF -7億円 -25億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は31.1%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.2%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営ビジョンとして「Creating OPTOPIA(光の理想郷の創造)」を掲げています。また、経営の基本方針として「Photonics Pioneer(光の先駆者)」を定め、独創的な光技術でオプトピアの創造と発展に貢献し、市場を先導して世界へ影響を与えるとともに、顧客や株主、社員などコミュニティー全体に夢と繁栄を届けることを使命としています。

(2) 企業文化


経営理念である「ICCベンチャースピリット(自主性、創造性、目的意識性)」を尊重した企業風土を重視しています。社員一人ひとりの特性や能力を最大限に生かすことのできる職場環境の整備に努め、多様性とチームの結束を重んじながら、世界中のコミュニティーとのつながりを大切にするグローバルな視野を持った事業運営を行っています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、高付加価値製品の創出により利益を確保し、株主価値の拡大をはかることを目指しています。目標とすべき客観的な経営指標として、以下の数値を掲げています。

* 売上高総利益率 50%
* 売上高営業利益率 15%

(4) 成長戦略と重点施策


「コア技術(中核技術)とグループシナジーを通じた新たな顧客価値の創造」を基本課題に掲げています。培ってきた光技術とグループ各社のノウハウを組み合わせ、高付加価値な新製品の開発を推進します。光部品ではAIデータセンタ投資に応える設備投資と新部品開発を進め、光測定器では工場の拡張移転による安定供給体制の構築や、医療分野での次世代製品の開発を強化します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「ICCベンチャースピリット」を体現し、オプトピアの創造と発展に貢献できる人材の育成を基本方針としています。多様性とグローバルな視野を重視し、性別や国籍を問わず様々なキャリアを持つ人材を積極的に採用しています。また、次世代の経営を担う人材を育成するため、資格取得支援や外部講師による講演会など、自律的な学びを促す教育プログラムを実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.4歳 11.2年 7,059,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 73.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 34.4%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性比率(29.4%)、外国籍社員の比率(13.9%)、有給休暇取得率(72.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 光通信業界の投資動向による影響


同社の主要事業は光通信業界向けの製品販売が大きな割合を占めています。光通信業界における設備投資の動向は予測が難しく、急激な投資縮小や通信キャリアによる新規設備への投資状況の変動が発生した場合、製品への需要が減少し、業績や財務状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 業界再編と競合他社との競争


光通信業界をはじめとする光技術業界では、合併や事業統合などの業界再編が進んでおり、競争が激化しています。財務や技術、営業面で同社より多くの資源を持つ既存または新規の競合他社が強力な製品を提供した場合、競争力を維持できず、市場シェアの喪失や収益性の低下につながる可能性があります。

(3) 特定の原材料および部品の外部調達


製品の製造に必要な原材料の供給を外部に依存しており、一部の重要部品は供給元が限定されています。特定供給元への依存回避に努めていますが、供給業者の事業廃止や需要急増に伴う供給不足が生じた場合、原価率の上昇や納期遅延などの問題が発生し、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 技術革新に伴う新製品開発の遅れ


研究開発型企業として、急激な技術進歩や顧客要求の変化、規格の変動に適合した新製品を継続的に開発する必要があります。しかし、資金や資源の投入不足により新製品の市場投入が遅れたり、開発した製品が市場からの支持を得られなかったりした場合、製品が陳腐化し、将来の成長や収益性が低下する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。