サクサ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サクサ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サクサは東京証券取引所スタンダード市場に上場する、情報通信システム機器および部品の開発・製造・販売を主力とする企業です。プロダクト、EMS、デバイス等の事業で中堅・中小企業のDXを支援しています。直近の業績は、売上高は微増を確保したものの、成長投資等の影響により営業利益・経常利益ともに減益の傾向です。


※本記事は、サクサ株式会社の有価証券報告書(第23期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サクサってどんな会社?


情報通信システム機器や部品の開発・製造・販売を通じて、中堅・中小企業のDX推進を支援する企業です。

(1) 会社概要


1938年設立の大興電機製作所と1946年設立の田村電機製作所が、2004年に経営統合して誕生しました。2007年にサクサホールディングスへ社名を変更し、2024年に事業会社と合併して現在のサクサへ商号変更しています。直近では2026年3月にニューテックを完全子会社化し、事業を拡大しています。

従業員数は連結で1,299名、単体で685名です。筆頭株主は事業で提携関係にあり、システム等の顧客でもある事業会社の沖電気工業です。第2位および第3位には外資系金融機関や投資ファンド等の常任代理人であるシティバンク、エヌ・エイ東京支店などが名を連ねています。

氏名 持株比率
沖電気工業 14.02%
GLOBAL MANAGEMENT PARTNERS LIMITED 12.29%
AVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLC 6.88%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長社長執行役員は齋藤政利氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
齋藤政利 代表取締役社長社長執行役員 1986年沖電気工業入社。同社常務執行役員コンポーネント&プラットフォーム事業本部本部長などを経て、2023年サクサ顧問に就任。同年10月に代表取締役社長へ就任し、2026年4月より現職。
猪俣貴志 取締役副社長執行役員 1988年日本電信電話(現NTT)入社。西日本電信電話の常務取締役常務執行役員設備本部長などを歴任。2023年サクサの取締役専務執行役員を経て、2024年に同社取締役へ就任。2026年4月より現職。
長谷川正治 取締役常務執行役員 1991年田村電機製作所入社。サクサの経営企画本部経営管理部総務担当部長などを歴任。2021年同社執行役員管理統括本部長兼総務人事部長を経て、2024年に同社取締役へ就任。2026年6月より現職。


社外取締役は、山内麻理(日興アセットマネジメント社外取締役)、西條光彦(ドコモ・ファイナンス本部長補佐)、濱野京(八十二銀行社外取締役)、平野聡(JVCケンウッド社外取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「サクサブランド事業」「OEM事業」「システム事業」「有機ELデバイス事業」および「その他」事業を展開しています。

サクサブランド事業


中堅・中小企業オフィスにおける情報セキュリティの強化、業務効率の向上、円滑なコミュニケーションの実現および環境負荷低減を目的として、IPネットワーク関連製品やビジネスコミュニケーション関連製品の販売を行っています。

顧客に製品を引き渡すことで代金を受け取る製品販売や、一定期間のメンテナンスを提供する保守サービス等から収益を得ています。運営は主にサクサが行っています。

OEM事業


通信技術や映像技術、セキュリティ技術および組込み開発技術を活用し、取引先の事業戦略に基づく製品やサービスの開発・提供を行っています。警備会社向けの機械警備送信機などの開発を進めています。

顧客との契約に基づき製品を引き渡すことによって収益を得ています。また、保守等のサービスも提供しており、サービスの提供期間にわたり収益を認識しています。運営はサクサやサクサテクノなどが担っています。

システム事業


映像監視やAI画像認識、IoT、クラウドなどの技術を活用し、社会インフラや物流、防犯・防災、重要施設管理等の幅広い分野における課題解決に資するソリューションやシステムの受託開発を行っています。

システムの受託開発において、進捗に応じた収益や作業完了時の検収による収益を得ています。また、製品販売や保守サービスからも収益を計上しています。運営はサクサやシステム・ケイ、ニューテックが行っています。

有機ELデバイス事業


有機ELデバイス、電子機器、車載・産業・民生分野向け部品およびODM/EMS領域における開発から製造受託までのサービスを提供しています。医療機器やセンサー機器など幅広い製品群に対応しています。

顧客に製品を引き渡す製品販売から収益を得ています。開発から設計、部品調達、製造、品質保証までを一貫して受託することで対価を受け取っています。運営は主にソアーが行っています。

その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸などに関連する収益を計上しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は308億円から441億円へと順調に拡大を続けています。一方で経常利益は、2024年3月期や2025年3月期には34億円水準に達しましたが、直近の2026年3月期は成長投資等の先行負担もあり21億円へと減少しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 308億円 373億円 410億円 441億円 441億円
経常利益 4億円 24億円 34億円 34億円 21億円
利益率(%) 1.2% 6.4% 8.3% 7.7% 4.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 2億円 6億円 69億円 13億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益を見ると、売上高は441億円で横ばいを維持していますが、売上総利益は135億円から132億円へと減少しています。これに伴い、営業利益も33億円から21億円へと減少し、営業利益率は7.6%から4.7%へと低下しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 441億円 441億円
売上総利益 135億円 132億円
売上総利益率(%) 30.7% 29.8%
営業利益 33億円 21億円
営業利益率(%) 7.6% 4.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料賃金が28億円(構成比25%)、研究開発費が12億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


売上高の構成を見ると、OEM事業が前期から31億円減少したものの、有機ELデバイス事業がソアーの連結化等の影響により26億円の大幅増収となりました。また、主力の一つであるサクサブランド事業も需要を捉え、堅調に推移しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
サクサブランド事業 141億円 148億円
OEM事業 208億円 177億円
システム事業 66億円 63億円
有機ELデバイス事業 25億円 51億円
その他 1億円 2億円
連結(合計) 441億円 441億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 33億円 24億円
投資CF -28億円 -44億円
財務CF 5億円 22億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は61.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


サクサは、「独創的な技術を核に、新しい価値を創造し、活力とゆとりある社会の発展に貢献します。」を経営理念として掲げています。また、「つなげる技術の、その先へ。」というビジョン(目指す姿)のもと、社員一人ひとりが課題を認識し、心地よい暮らしや持続可能な社会の実現を目指して経営を行っています。

(2) 企業文化


同社は、経営理念を実現するための価値観として4つの行動指針を定めています。具体的には「誠実に正しく、迅速に行動する」「自ら考え行動する」「変革を恐れず挑戦する」「チームサクサとして活動する」という指針を掲げ、多様なステークホルダーとの共創を通じて新たな価値を生み出す文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、新たに策定した中期経営計画「変革から成長へ」において、2026年度を「事業構造変革期」、2027年度から2029年度を「成長軌道回帰期」と位置づけ、事業成長を目指しています。2029年度を最終年度とする具体的な数値目標は以下の通りです。

・営業利益:50億円
・ROE:8.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、「現場価値を実装するニッチトップ企業」を目指し、事業の選択と集中を進めています。プロダクト、EMS、デバイス、システムの重点4事業に経営資源を集約し、コスト適正化などの人事施策、調達コスト削減などのコスト削減施策、そして共創型モノづくり拠点である米沢アドバンスドファクトリー構想の推進を重点施策として掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、コンプライアンス意識を持ち、コミュニケーションを取りながら自ら考え挑戦し続ける人材の育成を目指しています。新入社員からマネジメント層まで育成ステージに合わせた教育を実施し、早期からの自律的な業務遂行と環境変化に対応できる人材を育成する方針です。また、健康経営や多様な働き方の推進にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.2歳 15.2年 7,748,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 70.2%
男女賃金差異(正規労働者) 68.8%
男女賃金差異(非正規労働者) 58.0%


また、同社は「従業員の状況等」などのセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新規採用に占めるキャリア採用者比率(47.9%)、新卒入社における女性採用比率(37.0%)、執行役員におけるキャリア採用者比率(38.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境や価格競争の影響


情報通信ネットワーク関連市場は急速な技術革新と激しい競争にさらされており、競合の参入による価格競争が激化した場合、想定した需要が得られず、商品の評価損計上などにより業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) システム開発におけるプロジェクト管理の遅延


システムやサービスを提供するシステムインテグレーション事業では、当初の見積もりからの乖離や開発段階でのプロジェクト管理に問題が発生した場合、原価増大や納期遅延による損害賠償金の支払いが発生するリスクがあります。

(3) 情報セキュリティと機密情報の漏洩


事業遂行に伴い多くの機密情報や個人情報を保有しており、情報漏洩対策を講じていますが、サイバー攻撃等により予期せず情報が流出した場合、社会的信用の失墜やブランド価値の低下、多額の費用負担が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。