※本記事は、澤藤電機株式会社 の有価証券報告書(2025年3月期、2024年4月1日 ~ 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
澤藤電機は、トラック・バス用電装品、可搬式発動発電機、車両用・船舶用電気冷蔵庫の開発、製造、販売を主たる業務としています。同社グループは、日野自動車株式会社への電装品納入も行い、子会社3社とともに事業を展開しています。
単体従業員数は719名、連結従業員数は850名です。セグメントは電装品、発電機、冷蔵庫、その他の4つと全社(共通)です。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)エス・テー・エス(その他)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
澤藤電機は、エネルギー変換技術をコアに、カーボンニュートラルや電動化といった社会の変化に対応する事業を展開しています。同社グループは、長期的な視点に立った経営計画のもと、社員が安心して挑戦できる企業基盤の整備と人材育成に注力しています。このような環境で、どのような給与水準や働き方が実現されているのかを見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が40代前半であり、平均勤続年数も比較的長い傾向にあります。これは、従業員が長期にわたってキャリアを築いていることを示しており、安定した人材構成がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,927,118円 |
| 平均勤続年数 | 18.5年 |
| 平均年齢 | 41.9歳 |
| 単体従業員数 | 719人 |
| 連結従業員数 | 850人 |
| 単体のグループ内比率 | 84.6% |
澤藤電機は、従業員の退職給付制度として、確定給付型と確定拠出型の両方を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度であり、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は、同社および連結子会社に適用されています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は40.0億円、年金資産は57.5億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
澤藤電機は、中長期経営計画「チャレンジ2030」において、人的資本とガバナンスの強化を重要な柱としています。多様な社員が健康で自己実現できる環境を整え、コンプライアンスを徹底することで、安心でき誇りに思える会社づくりを進める方針です。
また、人財の育成を推進するため、従業員エンゲージメントを高めることに注力しています。これにより、会社の業績向上と同時に従業員一人ひとりの能力向上を図り、その能力を最大限発揮できる職場環境づくりを含めた総合的な人財育成システムの構築を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 60.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 71.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 72.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 87.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
澤藤電機グループは、電装品、発電機、冷蔵庫の3つの主要事業セグメントを中心に、開発から製造、販売までを一貫して手掛ける事業構造を持っています。日野自動車株式会社をはじめとする顧客に対し、幅広い製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、澤藤電機株式会社と3つの子会社で構成されており、主に日野自動車株式会社の事業に供される製品の一部を製造・納入しています。主力製品はトラック・バス用電装品、可搬式発動発電機、車両用・船舶用電気冷蔵庫です。海外市場にも展開しており、為替の変動や海外経済の状況が経営に影響を与える可能性があります。
電装品
電装品事業は、トラック・バス用のスタータ、オルタネータ、HV・EVモータ、ECUなどの開発、製造、販売を主としています。収益は、国内および海外向けの製品販売から得ています。当連結会計年度の売上高は前期から減少しています。
発電機
発電機事業は、可搬式発動発電機および同製品用の発電体の開発、製造、販売を主に行っています。受託生産している発電機や自社ブランド「ELEMAX」の販売が収益源です。当連結会計年度の売上高は前期から大きく減少しましたが、セグメント損失は縮小しました。
冷蔵庫
冷蔵庫事業は、各種車両用・船舶用電気冷蔵庫の開発、製造、販売を主としています。自社ブランド「ENGEL」のオーストラリア向け現地販売が収益に貢献しています。当連結会計年度の売上高は前期から減少しており、セグメント利益も減少しています。
その他の事業セグメント
その他の事業セグメントには、運送事業などが含まれています。当連結会計年度の売上高は前期から増加しており、セグメント利益も増加しました。
| セグメント | 売上高(2024年3月期) | 売上高(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 電装品 | 157億円 | 149億円 |
| 冷蔵庫 | 47.6億円 | 46.5億円 |
| 発電機 | 61.5億円 | 38.9億円 |
| その他の事業セグメント | 1.6億円 | 1.8億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で変動が見られます。直近の当連結会計年度では、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から減少しました。特に営業利益は、販売減少に加え、原材料価格の高騰や為替の円安、人件費の上昇によるコスト増が影響し、大幅な減少となりました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 267億円 | 288億円 | 293億円 | 267億円 | 236億円 |
| 経常利益 | 3.5億円 | 6.0億円 | 4.7億円 | 7.9億円 | 2.1億円 |
| 経常利益率 | 1.3% | 2.1% | 1.6% | 3.0% | 0.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.8億円 | 4.0億円 | 2.9億円 | 5.2億円 | 2.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 65.78 | 91.73 | 66.24 | 120.04 | 57.43 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しており、従業員1人あたりの営業利益も前期から減少しています。これらの指標の減少は、全体の売上高の減少やコスト増が影響していると考えられます。入社を検討する際には、こうした生産性の動向を把握することが重要です。
| 指標 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 30.4百万円 | 27.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.6百万円 | 0.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの当期における営業活動によるキャッシュフローはマイナスとなっており、本業で十分な資金を創出できていない状況です。投資活動によるキャッシュフローも継続してマイナスであり、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローもマイナス幅が拡大しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期からわずかに減少したものの、プライム市場の製造業平均を上回る水準を維持しています。これは、安定した財務体質を示しています。
一方で、ROE(自己資本利益率)は前期から減少しており、プライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金である現金及び預金は前期から減少しており、今後の資金繰りの動向が注目されます。
| 指標 | 2024年3月期(前期) | 2025年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 137億円 | 128億円 |
| 自己資本比率 | 50.5% | 50.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.8% | 2.0% |
| 現金及び預金 | 15.8億円 | 7.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、当期における営業活動によるキャッシュフローはマイナスとなりました。これは主に、売上債権の減少があったものの、未払金の減少が生じたことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得により継続してマイナスとなっています。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、前期に引き続きマイナス幅が拡大しています。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の増加によりプラスとなっています。これは、営業活動と投資活動で不足した資金を外部からの借入れで補っている状況を示しており、今後の資金調達の動向が雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年3月期(前期) | 2025年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 11.3億円 | △2.7億円 |
| 投資CF | △12.2億円 | △13.3億円 |
| 財務CF | 4.6億円 | 7.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △0.9億円 | △16.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは自動車産業・機械産業界を主要な取引先としており、各地域の景気後退や自動車産業界の需要減少が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に中国・東南アジア地域では、政治情勢や経済状況の変化など予期せぬ事象が生じるリスクがあります。
また、海外事業を展開し製品を輸出しているため、為替変動の影響を受けるリスクがあります。為替予約等によるリスクヘッジを行っているものの、為替変動が業績に影響を与える可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上の前提条件や年金資金の期待収益率に基づいて算出されています。実際の金利水準の変動や年金資金の運用利回りが悪化した場合、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
澤藤電機は、「電気」に関するソリューション企業を目指し、社会貢献と持続的成長を追求する企業です。良い商品を造り、社会的責任を果たすことを経営理念としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
澤藤電機グループは、「澤藤電機は良い商品を造り、企業としての社会的責任を果たし、関係する全ての人に栄を与える」を経営理念としています。培ってきたコア技術を活かし、「電気」に関するソリューション企業を目指すことを経営の基本方針としています。具体的には、あらゆるエネルギーを電気に変換する「つくる」技術、つくった電気を蓄える「ためる」技術、電気を使った快適な生活環境を作り出す「つかう」技術の進化を追求しています。同社グループは、エネルギー変換技術を進化させ、世界で働くモビリティやプロフェッショナルユーザーの困りごとを永続的に解決することが社会に必要とされる企業と考えています。2023年には中長期経営計画~長期構想「チャレンジ2030」を策定し、サステナブルな企業を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
澤藤電機グループは、社員一人ひとりの意識・行動を変え、総力を結集して社会に貢献できる企業であり続けることを目指しています。社員が安心してチャレンジできる企業基盤を整えることを重視しており、風土改革の積極的な推進により、人的資本とガバナンスの強化を図っています。多様な社員が健康で自己実現できる環境を整え、コンプライアンスを徹底することで、安心でき誇りに思える会社づくりを進めています。また、人財の育成を推進し、従業員エンゲージメントを高めることで、従業員一人ひとりの能力向上と最大限の能力発揮ができる職場環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
澤藤電機グループは、カーボンニュートラルを含むESG課題の解決といった企業に求められる社会的責任の高まりに対応しています。経済と社会の環境変化に柔軟に対応しつつ、環境負荷の低減や物流の効率化に繋がる価値を顧客に提供することを重視しています。中長期経営計画~長期構想「チャレンジ2030」の実現に向け、サステナビリティ経営を加速するため、全社員の総力を結集し、社会課題の解決に取り組んでいます。2025年度から2027年度までの3ヶ年を対象期間とした取り組み課題を設定し、「企業基盤」、「環境戦略」、「財務戦略」における施策を通じて、社会課題解決に貢献し続け、サステナブルな企業を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
澤藤電機は監査役会設置会社として、取締役会、監査役、監査役会、会計監査人による企業統治体制を採用しています。また、経営機能と執行機能の強化のため、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
澤藤電機は、自動車関連の大手事業会社が主要な株主として名を連ねる資本構成となっています。筆頭株主は日野自動車であり、デンソーや本田技研工業も上位株主です。これらの主要株主は、同社グループの事業と関連が深く、経営に一定の影響力を持つことがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日野自動車 | 30.29% |
| デンソー | 9.27% |
| 本田技研工業 | 6.03% |
| 澤藤電機従業員持株会 | 3.93% |
| 三井住友銀行 | 2.78% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は井上雅央氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 井上 雅央 | 取締役社長 (代表取締役) | 1982年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。同社で制御システム開発部長、製品企画部長などを歴任。日野自動車常務役員を経て、2021年6月より同社代表取締役社長 兼 執行役員社長。 |
| 久野 陽二 | 取締役 | 1985年日野自動車工業(現日野自動車)入社。同社で経理部経営情報企画グループ長、監査室長などを務める。2015年6月より同社取締役、2022年6月より専務執行役員。 |
| 下山 泰樹 | 取締役 | 1985年日本電装(現デンソー)入社。同社でIC技術2部長、デバイス品質保証部長などを歴任。アスモ取締役を経て、2021年6月より同社取締役 兼 常務執行役員、2022年6月より専務執行役員。 |
| 尾澤 伸夫 | 取締役 | 1986年同社入社。同社で調達部長、サワフジ エレクトリック タイランド代表取締役社長などを務める。2019年6月より同社執行役員、2022年6月より取締役 兼 常務執行役員。 |
| 櫻井 恒久 | 取締役 | 1982年同社入社。同社で品質保証部長代理、品質保証部長などを歴任。2019年6月より同社執行役員、2022年6月より取締役 兼 常務執行役員。 |
社外取締役は、大畑光一氏(日野自動車技術統括部 執行職)、志賀聖一氏(国立大学法人群馬大学名誉教授・公益財団法人群馬大学科学技術振興会理事長)、鈴木宏子氏(共和産業代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役および社外監査役が客観的・中立的な立場から経営全般の監査・監視を担い、企業統治体制の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
澤藤電機の取締役報酬は、月額報酬、賞与、退職慰労金で構成されています。月額報酬は職責に応じた固定報酬であり、賞与は連結営業利益や親会社株主に帰属する当期純利益を指標とする業績連動報酬です。退職慰労金は在任中の功労に報いるための報酬としています。監査役には独立した立場から経営を監督する役割に鑑み、賞与は支給されていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役 | 10名 | 1.8億円 | 17.5百万円 |
| 監査役 | 4名 | 26百万円 | 6.5百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 28百万円 | 4.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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