※本記事は、大黒屋ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
大黒屋ホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は13名、グループ連結従業員数は140名です。
同社グループは、連結対象会社6社で構成され、産業用照明器具や電路配管器具の製造・販売を行う電機事業と、質屋業および中古ブランド品の買取・販売を行う質屋、古物売買業を展開しています。
主な国内グループ会社は、Sバンク(資本業務提携)、エスビーオー(投資事業)、大黒屋グローバルホールディング(持株会社)、大黒屋(質屋、古物売買業)、ラックスワイズなどです。
2026年3月27日付で、業績不芳であった英国孫会社のSFLグループの株式譲渡を実施し、同社グループの連結範囲から除外しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
大黒屋ホールディングスは、持株会社としてグループ全体の経営戦略を策定し、事業を推進しています。同社グループは、持続可能な社会への貢献と自らの発展を目指し、人材を重要な資本と位置付けています。従業員のエンゲージメント向上や職場環境の改善に積極的に取り組む方針を示しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は平均勤続年数が長く、平均年齢も高めであることから、従業員が長期にわたって安定して勤務する傾向が見られます。これは、長年の経験を持つベテラン社員が多数在籍していることを示唆しています。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,764,000円 |
| 平均勤続年数 | 23.7年 |
| 平均年齢 | 59.9歳 |
| 単体従業員数 | 13人 |
| 連結従業員数 | 140人 |
| 単体のグループ内比率 | 9.3% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、国内の従業員を対象としています。
確定給付型の制度として、入社3年以上の従業員を対象とした確定給付企業年金制度と、入社3年以上10年未満の従業員を対象とした退職一時金制度を設けています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は1.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、持続可能な社会への貢献と自らの発展を実現するため、人材を優先すべき資本の一つと位置付けています。国籍・性別等にとらわれず、各個人の能力に基づく採用を進め、多様性の確保と真贋鑑定力・査定力が備わった人材の育成を重視しています。
2025年12月の新体制移行を契機に、賃金水準の低さやインセンティブ制度の不存在による中堅社員の途中退社を改善するため、2026年度に人材戦略の基本方針を抜本的に改正する予定です。この改正では、等級・賃金制度と人事評価制度の導入を進める方針です。
その一環として、物価高騰への対応や優秀人材の獲得・流出防止、エンゲージメント向上のため、同社および大黒屋の正社員・契約社員に対し、一律30,000円/月の定例給与引上げ(ベースアップ)を実施します。また、従業員のエンゲージメント向上を企図した評価制度の構築を含む人事制度の抜本的な見直しに取り組んでいます。産業医の選任および安全衛生委員会の設置を進め、職場環境の改善にも努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱大黒屋
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.03% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
大黒屋ホールディングスは、持株会社として同社グループ全体の経営戦略を統括しています。主に電機事業と質屋、古物売買業の2つの事業セグメントを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、産業用照明器具や電路配管器具の製造・販売を行う電機事業と、中古ブランド品の買取・販売を主体とする質屋、古物売買業を主軸としています。収益は、それぞれの事業における製品やサービスの提供から得ています。
電機事業
産業用の照明器具群、制御機器群、電気工事材群の製造・販売を行っています。製品は、各地区の代行店や代理店を通じて販売されるほか、OEM商品や特定ユーザー向け商品としても提供されています。
収益は、産業用照明器具や電路配管器具の販売から得ています。
質屋、古物売買業
質屋営業法に基づく質屋業と、古物営業法に基づく中古ブランド品(バッグ、時計、宝飾品等)の買取と販売を行っています。店舗とECの両面で販売を強化し、AIとデジタル技術を活用した仕入・販売の高度化・効率化を進めています。
収益は、中古ブランド品の販売や質料から得ています。運営は、大黒屋が行っています。
同社グループの事業セグメント別売上高を見ると、質屋、古物売買業が同社グループの売上高の大半を占めており、主力事業となっています。当連結会計年度においては、質屋、古物売買業の売上高は前期から増加しています。また、電機事業の売上高も前期から増加しました。なお、当連結会計年度中に英国のSFLグループの株式譲渡が行われ、同社グループの連結範囲から除外されています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 質屋、古物売買業 | 99.0億円 | 111億円 |
| 電機事業 | 3.3億円 | 3.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は変動しながらも当連結会計年度には増加に転じています。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、継続して損失を計上している状況です。
当連結会計年度の売上高は前期から増加し、営業損失および経常損失は前期から改善しました。しかし、親会社株主に帰属する当期純損失は前期から悪化しています。この悪化は、英国孫会社の外部売却に伴う為替換算調整勘定取崩損を計上したことによるものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 172億円 | 124億円 | 110億円 | 102億円 | 115億円 |
| 経常利益 | △2.8億円 | △35百万円 | △4.5億円 | △10.8億円 | △8.8億円 |
| 経常利益率 | △1.7% | △0.3% | △4.1% | △10.5% | △7.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △4.6億円 | △2.8億円 | △5.4億円 | △9.7億円 | △20.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △3.95 | △2.39 | △4.60 | △6.58 | △5.59 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、同社グループ全体の売上高の増加と、連結従業員数の減少が影響していると考えられます。
また、従業員1人あたりの営業利益は、前期から当期にかけて改善しています。これは、同社グループの営業損失が前期から改善した傾向と一致しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 54.7百万円 | 81.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △4.8百万円 | △4.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
大黒屋ホールディングスグループの財務状況は、資本力強化と資金調達力拡大に向けた取り組みを進めている段階にあります。現在の財務基盤と資金の流れから、同社グループの安定性について見ていきます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
大黒屋ホールディングスグループの財務基盤は、当期において大きな変化が見られます。自己資本比率は前期から大幅に改善し、プライム市場の平均と比較しても高い水準となっています。ROE(自己資本利益率)は依然としてマイナスですが、前期からは改善傾向を示しています。手元資金である現金及び預金も増加しており、今後の事業運営における資金の柔軟性が高まっている状況です。これらの財務状況は、同社グループの事業活動を支える基盤として、雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 9.9億円 | 59.6億円 |
| 自己資本比率 | 6.3% | 53.1% |
| ROE(自己資本利益率) | -494.7% | -71.5% |
| 現金及び預金 | 5.6億円 | 23.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
大黒屋ホールディングスグループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純損失や棚卸資産の増加、為替換算調整勘定取崩損益の影響により、前期に比べて資金の流出が拡大しています。投資活動によるキャッシュフローも、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が影響し、前期よりも資金の流出が増加しました。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、前期に引き続きマイナスとなっています。一方で、財務活動によるキャッシュフローは、株式の発行による収入や新株予約権の行使による株式の発行による収入により、大幅な資金の増加を示しています。これは、資金調達によって事業運営に必要な資金を確保している状況を表しており、今後の事業展開や雇用・給与の安定性を考える上で、資金繰りの動向を注視することが重要となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △11.9億円 | △31.2億円 |
| 投資CF | △21百万円 | △74百万円 |
| 財務CF | 8.2億円 | 49.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △12.1億円 | △31.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在していましたが、借入金の借り換えや増資による資金調達を計画通り実施し、財務内容の強化を図っています。これにより、同社グループの財務基盤は大幅に強化されており、現時点において継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断されています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力事業である質屋、古物売買業においては、景気動向や競合の増加、顧客マインドの変化などにより、安定的な中古品の確保が困難となるリスクがあります。また、企業買収や業務提携等による事業拡大を目指していますが、マクロ経済環境や業界動向の変化が、提携の進展や業績貢献に影響を及ぼす可能性も示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
質屋、古物売買業において、商品の真贋鑑定や適正価格での買取・質預かりができる専門人材の確保が重要とされています。業容拡大に応じて、鑑定能力を持つ担当者を十分に確保できるかが、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
大黒屋ホールディングスは、リユース事業を核に、持続可能な社会への貢献を目指す企業です。変化の速い事業環境に対応し、新たな成長領域の創出にも積極的に取り組んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの基本方針は、「大黒屋事業の再構築」による強固な成長基盤の構築と、「中長期の成長領域の創出」による新たな収益源の獲得にあります。
主な事業である中古ブランド品の買取及び販売事業はリユース事業であり、サステナビリティに対する取り組みそのものと考えています。地球環境の保全が世界的な課題となる中で、サーキュラーエコノミーの実現に向けた重要な要素であるリユース市場で意義深い仕事をしており、社会に貢献していく企業であると認識しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、急速に変化し続ける事業環境に即応するため、外部環境の変化によるリスク及び機会を適宜把握し、取締役会の中で対応策について討議し意思決定を行っています。取締役会を中心とした迅速果断な意思決定で活動を推進する風土があります。
人的資本に関する戦略においては、従業員のエンゲージメント向上を企図した評価制度の構築を含む人事制度の抜本的な見直しに取り組んでいるところです。また、産業医の選任及び安全衛生委員会の設置を進めており、職場環境の改善に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、「大黒屋事業の再構築」の施策として、経営体制の整備・経営管理の高度化を推進しています。具体的には、経営人材の招聘や採算・予実管理の仕組み化に取り組んでいます。
「中長期の成長領域の創出」としては、事業領域の拡張・将来に向けた投資を掲げており、新規領域のM&A推進や法人向け金融分野への進出を進めています。
サステナビリティに関する取り組みでは、人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針における統一した定量的な指標とその目標値を明確化していくことを今後の課題としています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
大黒屋ホールディングスは、取締役会と監査役会を柱とした企業統治体制を採用しています。社外取締役と社外監査役をそれぞれ複数名選任し、経営の透明性と監督機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
大黒屋ホールディングスの株主構成を見ると、合同会社Sバンクが筆頭株主となっています。個人株主も上位に複数名を占めており、特定の株主が経営に大きな影響力を持つ資本構成です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社Sバンク | 65.56% |
| 小川 浩平 | 9.92% |
| 小高 功嗣 | 0.61% |
| 株式会社SBI証券 | 0.26% |
| 楽天証券共有口 | 0.24% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は岩岡迪弘氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岩岡 迪弘 | 取締役社長 (代表取締役) | 2012年4月伊藤忠商事入社、2019年3月キーストーン・パートナース入社、2024年4月同社執行役員、2025年12月同社代表取締役社長より現職。 |
| 堤 智章 | 取締役会長 | 1989年4月三和銀行入行、2009年5月キーストーン・パートナース設立代表取締役、2025年12月同社取締役会長より現職。 |
| 西浦 敦士 | 取締役 | 1989年4月三和銀行入行、2024年7月キーストーン・パートナースリスク管理部部長、2025年12月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、白石正氏(元三菱HCキャピタル取締役会長)、山崎篤士氏(弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による業務執行の監督と監査役会による監査が連携して機能する体制です。独立性を保持する社外取締役2名と社外監査役2名を選任し、経営の透明性向上に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
大黒屋ホールディングスの役員報酬は、基本報酬と株式報酬型ストックオプションで構成されています。基本報酬は役職位や在任期間などに基づいた固定報酬であり、株式報酬型ストックオプションは業績と企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 19百万円 | 9.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 2百万円 | 2.2百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 15百万円 | 2.1百万円 |
同社グループの役員報酬等の総額は35.7百万円で、対象となる役員の総数は10名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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