※本記事は、CKD株式会社 の有価証券報告書(第105期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. CKDってどんな会社?
自動化技術と流体制御技術を核に、薬品包装機などの自動機械や半導体製造装置向け機器等を展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1943年4月、日本航空電機として設立されました。1961年に現在の愛知県小牧市へ工場を移転し、1979年11月には東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしました。2012年7月に現在のCKDへ社名を変更し、ブランドの浸透を図っています。2017年には日機電装を買収し、事業領域を拡大しました。
現在の従業員数は連結4,641名、単体2,392名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同様に資産管理を行う日本カストディ銀行(信託口)です。第3位には従業員持株会であるCKD持株会が名を連ねており、安定した株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行 (信託口) | 13.93% |
| 日本カストディ銀行 (信託口) | 6.32% |
| CKD持株会 | 4.09% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は奥岡 克仁氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 奥岡 克仁 | 代表取締役社長 コーポレート役員 最高経営責任者 (CEO) | 1991年同社入社。コンポーネント本部長、経営企画部長を経て、2021年代表取締役社長に就任。2024年より現職。 |
| 梶本 一典 | 取締役会長 コーポレート役員 取締役会議長 | 1980年同社入社。営業本部長を経て、2008年代表取締役社長、2021年代表取締役会長に就任。2024年より現職。 |
| 天野 祥行 | 取締役執行役員 コーポレート役員 管理担当 | 日本電信電話入社後、NTT PCコミュニケーションズ取締役等を経て、2018年同社入社。情報システム部長、デジタル戦略部長を経て2024年より現職。 |
社外取締役は、Stefan Sacré(元カールツァイス(日本法人)社長)、林 公一(アタックス代表取締役)、嶋田 博子(京都大学公共政策大学院教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「自動機械部門」、「機器部門」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 自動機械部門
自動包装システム、画像処理検査システム、リチウムイオン電池製造システム、三次元はんだ印刷検査機などの自動機械装置を提供しています。主な顧客は、薬品・食品・医療器具メーカーや、電池・電子部品メーカーなどの製造業です。
収益は、顧客への製品販売および保守サービス等の対価として受け取ります。運営は主にCKDが製造・販売を行い、CKDフィールドエンジニアリングが保守サービス等を担当するほか、中国やタイの現地法人が海外での製造・販売を行っています。
■(2) 機器部門
半導体製造装置向けの流体制御機器や、工場自動化に不可欠な空気圧機器、電動アクチュエータなどの駆動機器を提供しています。半導体、自動車、工作機械など幅広い産業分野の顧客に対し、生産設備の自動化や省人化に貢献するコンポーネント製品を供給しています。
収益は、顧客への製品販売対価として受け取ります。運営は主にCKDおよびCKD日機電装が製造・販売を行うほか、中国、タイ、韓国、マレーシア、米国などの海外現地法人が各地域での製造・販売を担っています。
■(3) その他
同社グループのリスク管理や資金繰りを支援する事業として、損害保険代理店業務やファクタリング業務などを展開しています。
これらのサービスの提供による手数料収入等を収益源としています。運営は主に国内子会社のCKDグローバルサービスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は1,300億円台から1,500億円台で推移しています。2023年3月期までは増収傾向でしたが、2024年3月期に一時減収となりました。しかし、当期は再び増収に転じ、利益面でも経常利益、当期純利益ともに前期から大幅に回復し、過去最高水準に迫る利益率を確保しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,067億円 | 1,422億円 | 1,595億円 | 1,344億円 | 1,556億円 |
| 経常利益 | 78億円 | 180億円 | 212億円 | 130億円 | 192億円 |
| 利益率(%) | 7.3% | 12.7% | 13.3% | 9.7% | 12.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 39億円 | 98億円 | 119億円 | 86億円 | 111億円 |
■(2) 損益計算書
前期と比較して売上高が増加したことに伴い、売上総利益、営業利益ともに大きく伸長しました。売上総利益率は改善し、営業利益率は12%台に回復しています。増収効果に加え、コストコントロールが奏功し、収益性が向上していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,344億円 | 1,556億円 |
| 売上総利益 | 380億円 | 452億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.3% | 29.0% |
| 営業利益 | 131億円 | 190億円 |
| 営業利益率(%) | 9.8% | 12.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が41億円(構成比16%)、研究開発費が33億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
自動機械部門は、薬品包装機やリチウムイオン電池製造システムの需要を取り込み、大幅な増収増益となりました。機器部門も、半導体市場の在庫調整進展や電池関連投資の増加を背景に増収増益を達成しています。両セグメントともに好調に推移しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自動機械部門 | 177億円 | 253億円 | 30億円 | 55億円 | 21.7% |
| 機器部門 | 1,168億円 | 1,303億円 | 148億円 | 182億円 | 14.0% |
| 調整額 | -2億円 | -2億円 | -47億円 | -47億円 | - |
| 連結(合計) | 1,344億円 | 1,556億円 | 131億円 | 190億円 | 12.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動で得た資金の一部を借入返済や配当支払いに充てつつ、将来への投資も行う健全型(営業+、投資-、財務-)のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 76億円 | 192億円 |
| 投資CF | -202億円 | -61億円 |
| 財務CF | 131億円 | -62億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「Purpose(存在意義)」として「自動化技術の探求と共創を続け健やかな地球環境と豊かな未来を拓きます。」を掲げています。これは、顧客やビジネスパートナーとともに、技術革新と価値創造を通じて社会課題の解決に貢献し、豊かな未来を実現するという決意を表しています。
■(2) 企業文化
同社は「Values(価値観)」として「C-SHIP」を定めています。これは「CKDグループ社員として持つべき価値観」を表す言葉であり、新たな理念体系のもと、「Brand Slogan」である「Creating Solutions Together」を掲げ、全社員で共有しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は長期経営ビジョン「10年VISION GO CKD!」の最終年度となる2026年3月期に向けて、第5次中期経営計画「Exciting CKD 2025」を推進しています。経営目標として、売上高、営業利益率の向上と、株主資本利益率(ROE)を安定的に維持し、企業価値の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
半導体産業や電池産業といった成長市場への注力、新商品・新事業の拡大、および海外市場の開拓を重点施策としています。特に半導体関連では微細化技術への対応、電池関連ではEV向け需要への対応を強化しています。また、ハードウェアだけでなくソフトウェアやサービスビジネスの強化も進め、収益モデルの進化を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「人材重視の企業風土」を掲げ、「人材」を「人財」として重要な経営資源と位置付けています。エンゲージメントの高い職場づくり、計画的な未来人材の育成、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を重点方策とし、「人材戦略委員会」や「未来人材プロジェクト」を通じて、社員がいきいきと働ける環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.6歳 | 16.9年 | 7,094,573円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.2% |
| 男性育児休業取得率 | 60.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 82.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ワークエンゲージメント(48.6)、次世代リーダー育成(累計59人)、デジタル人材育成(累計868人)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 社会・自然環境の変動リスク
経済情勢の悪化による主要顧客の業界市況低迷や、大雨・洪水などの自然災害による生産工場の稼働停止、サプライチェーンの寸断が業績に影響を与える可能性があります。同社は市場環境の変化への迅速な対応や、生産拠点の分散、BCP(事業継続計画)の策定によりリスク軽減を図っています。
■(2) 地政学リスクおよび貿易摩擦
貿易摩擦による輸出入や半導体関連取引の制約、地政学リスクの高まりに伴う政府規制などが生産活動に影響を及ぼす可能性があります。同社は海外生産品の現地調達促進や複数拠点での生産体制構築を進めるとともに、顧客生産拠点の分散配置による新たな設備投資需要を機会と捉えています。
■(3) 情報セキュリティリスク
サイバー攻撃等による社内システムの機能障害や機密情報の流出、基幹システムの停止による事業活動への悪影響が懸念されます。同社は情報セキュリティ管理方針の整備、従業員教育、最新セキュリティ機器の導入等の対策を講じるとともに、セキュリティ強化による社会的信用の向上を取引機会の拡大につなげる方針です。



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