※本記事は、森尾電機株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
森尾電機は、電気機器製造販売事業と不動産関連事業を展開しています。電気機器製造販売事業では、鉄道、自動車、船舶向けの各種電気機器を製造販売しており、不動産関連事業では賃貸マンションの運営を行っています。
単体従業員数は197名、連結従業員数は218名です。セグメントは電気機器製造販売事業、不動産関連事業の2つです。
森尾電機グループは、森尾電機と連結子会社1社で構成されています。国内においては森尾電機が電気機器製造販売事業と不動産関連事業を担い、海外の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
森尾電機は、交通インフラを支える電気機器メーカーとして、社員の成長と働きがいを重視する企業文化を持っています。人材を最も重要な資本と捉え、積極的な人材投資を通じて社員一人ひとりの挑戦を支援する方針です。ワーク・ライフ・バランスの充実や育児支援制度の導入など、働きやすい環境づくりにも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的長く勤める従業員が多く、中堅層が中心の年齢構成となっています。安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、参考となる傾向が示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,553,000円 |
| 平均勤続年数 | 18.9年 |
| 平均年齢 | 41.6歳 |
| 単体従業員数 | 197人 |
| 連結従業員数 | 218人 |
| 単体のグループ内比率 | 90.4% |
同社および連結子会社は従業員に関する退職金制度について、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)を採用しています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
森尾電機は「人材」を最も重要な資本と捉え、社員一人ひとりの新たな挑戦を支援するため積極的な人材投資を進めています。経営戦略と人材戦略を連動させ、人材戦略を成長基盤として位置付けています。人材戦略は「人材確保」「人材育成」「人材配置」および多様な人材活躍を支える「持続可能なエンゲージメント」から構成されています。
従業員給与等の決定方針については、透明性の高い評価・処遇を徹底するよう、マネジメント層に対する部下の評価実施に関する教育を強化しています。1on1ミーティングを通じたコミュニケーションを密に行うことにより、仕事のやりがいと達成感、自身の成長を感じながら、モチベーションを高く持ち働くことができる職場環境の整備を進めています。給与格差や賃金項目において性別に関係なく、同等の等級レベルであれば、人事制度上、男女で賃金格差が生じることはありません。
若手人材育成のための施策として、入社前教育から入社後5年目までの通信教育制度の実施や、管理役職候補者に対するマネジメント力向上のための階層別教育、キャリア形成支援、自己啓発のためのOff-JTの充実を図っています。また、ワーク・ライフ・バランスを実現させるための産育休復職支援制度などの構築に取り組んでいます。女性活躍推進の深化においては、管理役職者候補の女性比率を高めるだけでなく、様々な職務における積極的な登用や、早期復職などの支援を通じて、より幅広いポストでの女性管理役職者の育成を行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
健康・安全
これらの指標は提出会社単体の実績であり、同社グループ全体を対象としたものではありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断受診率 | 97.56% |
| ストレスチェック受検率 | 90.68% |
人材育成・エンゲージメント
これらの指標は提出会社単体の実績であり、同社グループ全体を対象としたものではありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 入社5年目までの社員の通信教育受講率 | 100.0% |
| 有給休暇取得率 | 82.0% |
| 労働者一月当たりの平均残業時間 | 17.7時間 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
森尾電機グループは、電気機器製造販売事業と不動産関連事業の二つの柱で事業を展開しています。多様な産業向けに製品やサービスを提供し、安定した収益基盤を築いています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に電気機器の製造販売と不動産賃貸事業を通じて収益を上げています。特に電気機器製造販売事業は、鉄道、自動車、船舶といった社会インフラを支える分野で幅広い製品を提供しています。不動産関連事業では、賃貸マンションの運営により安定的な収益を確保しています。
電気機器製造販売事業
この事業では、鉄道関連、自動車関連、船舶等関連の三つの営業事業部門を展開しています。鉄道関連事業では、鉄道事業者や鉄道車両メーカー向けに配電箱、行先表示器、旅客情報表示装置、車両用モニタリングシステムなどを製造販売しています。自動車関連事業では、高速道路会社各社や国土交通省向けに自走式標識車や各種車載標識装置などを提供しています。船舶等関連事業では、LED照明灯や各種防爆器具、艦艇用照明配電器具などを製造販売しています。
不動産関連事業
不動産関連事業は、東京都葛飾区に4棟、千葉県松戸市に1棟の賃貸マンションを所有し、不動産賃貸事業を運営しています。各賃貸マンションは堅調な売上を維持しており、安定した収益源となっています。
同社グループの売上高は、日本国内が中心ですが、一部海外の顧客への販売も行っています。特定の顧客への売上集中も見られ、三菱電機株式会社やKawasaki Rail Car Lincoln, Inc.が主要な取引先となっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 電気機器製造販売事業 | 90.6億円 | 84.9億円 |
| 不動産関連事業 | 1.5億円 | 1.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
森尾電機グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は変動が見られるものの、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は堅調に推移しています。特に当連結会計年度においては、売上高は前期から減少した一方で、利益は増加する傾向を示しました。これは主力の鉄道関連事業の業績が堅調に推移したことが主な要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 85.1億円 | 79.0億円 | 74.5億円 | 92.1億円 | 86.4億円 |
| 経常利益 | 4.6億円 | 2.8億円 | 3.4億円 | 7.4億円 | 8.7億円 |
| 経常利益率 | 5.4% | 3.6% | 4.6% | 8.1% | 10.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.7億円 | 1.5億円 | 2.1億円 | 5.7億円 | 6.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 196.60 | 108.28 | 154.03 | 417.11 | 487.06 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
森尾電機グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しましたが、従業員1人あたりの営業利益は増加しました。これは、売上高が減少する中でも、事業運営の効率化や収益性の高い事業への注力により、利益創出能力が向上していることを示唆しています。組織全体の生産性向上への取り組みが、利益面で成果を上げている状況がうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 40.2百万円 | 39.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.2百万円 | 3.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROEの数値から、安定した状態にあることが示されています。
自己資本比率は当期で63.5%となっており、これはプライム市場の製造業平均と比較して高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)も当期で11.6%であり、プライム市場平均を上回る水準です。
手元資金である現金及び預金は9.0億円を確保しており、事業運営に必要な資金を保持している状況です。
これらの財務指標は、同社グループの事業活動を支える基盤が整っていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 51.6億円 | 60.6億円 |
| 自己資本比率 | 57.9% | 63.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.5% | 11.6% |
| 現金及び預金 | 9.3億円 | 9.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが当期に46百万円のプラスとなりました。これは税金等調整前当期純利益や売上債権の減少が主な収入要因となり、前期のマイナスから改善しています。一方で、投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が増加し、2.3億円のマイナスとなりました。これは将来に向けた事業基盤の強化や成長投資を積極的に行っている状況を示しています。
その結果、フリーキャッシュフローは1.8億円のマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の増加により1.5億円のプラスを確保しています。全体として、同社グループは本業で資金を創出しつつ、成長のための投資を継続しており、資金調達も活用しながら事業活動を推進している状況です。この資金の流れは、今後の事業拡大や雇用維持に向けた基盤を構築していることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △92百万円 | 46百万円 |
| 投資CF | △96百万円 | △2.3億円 |
| 財務CF | 1.4億円 | 1.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.9億円 | △1.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主力とする鉄道車両産業への依存度が高いことをリスクとして認識しています。
鉄道車両産業は成熟化しており、国内外の代替需要や新線建設等の需要変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、鉄道車両の受注・納期が時期的に集中することもあり、生産・出荷への対応が経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
森尾電機は、創業以来、電気機器を通じて交通インフラの発展に貢献することを使命としています。同社グループは、社是に掲げる「三者共栄」の精神を大切にし、社会、顧客、従業員の繁栄を目指す企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
森尾電機は、創業以来「電気機器を通じて交通インフラの発展に寄与する」ことを使命としています。同社グループは、電気機器製造販売事業を主力とし、社是として「電機事業を通じて社会の繁栄に貢献する」「積極果敢な商品開発と市場創造に努力する」「三者共栄(社会、顧客、従業員)の精神で繁栄に努力する」を掲げています。
中長期的には、多品種少量生産の環境下で顧客第一主義を貫き、新技術開発に挑戦することで、顧客に愛され信頼される企業になることを目指しています。特に成長する海外市場での評価確立のため、ISO9001やISO14001に適合した体制づくりを推進する方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
森尾電機は、社是に掲げる「三者共栄(社会、顧客、従業員)」の精神を企業風土の根幹としています。同社グループは、環境変化の激しい時代においても社是に立ち返り、足元を固め着実な成長を目指す姿勢です。
顧客第一主義を貫き、新技術開発に挑戦し、高度な品質の製品を確実に提供し続けることを重視しています。また、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを通じてSDGsの実現に貢献し、暮らしと社会を支える交通インフラの持続的発展を目指す価値観を持っています。活発なコミュニケーションがとれる企業文化を醸成し、一体となってビジョン実現に取り組む組織づくりを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
森尾電機は、中長期的な経営目標達成のため、複数の課題に全社的に取り組んでいます。持続的成長を牽引する多様な人材の育成・確保を通じて、社会的責任を果たし、地域経済及び地域社会の発展と企業価値向上を目指しています。
既存事業の強化として、少量多品種生産の効率化と品質向上を図り、製品の付加価値向上に取り組んでいます。また、最先端技術や環境負荷の少ない製品開発による新製品の開発・改良を推進し、サステナビリティへの取り組みとしてESG活動を通じてSDGsの実現に貢献する方針です。組織力強化のため、人材育成の充実と活発なコミュニケーションがとれる企業文化の醸成、デジタル技術の活用、次世代への技術と技能の伝承にも注力しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
森尾電機は監査役会設置会社であり、取締役による的確な意思決定と迅速な業務執行、そして適正な監督・監視が可能な経営体制を構築しています。取締役会では、社外取締役および社外監査役を中心に多角的なチェックが行われ、コーポレート・ガバナンスの充実が図られています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
森尾電機は、特定の事業会社や同社関連の団体など、多様な株主によって支えられています。筆頭株主は株式会社トーヨーコーポレーションであり、有限会社森尾商会、川崎車両株式会社がそれに続きます。同社関連の森尾電機さつき会や森尾電機自社株投資会も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| トーヨーコーポレーション | 10.13% |
| 有限会社森尾商会 | 9.13% |
| 川崎車両 | 6.77% |
| 森尾電機さつき会 | 6.48% |
| 日本車輌製造 | 5.73% |
なお、トーヨーコーポレーションは2025年10月30日付の臨時報告書にて、当事業年度中に主要株主になったことが開示されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は菊地裕之氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 菊 地 裕 之 | 代表取締役社長 | 1987年4月同社入社、2014年6月同社取締役人事総務部長、2018年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 北 澤 公 夫 | 常務取締役竜ヶ崎工場工場長 | 1977年4月同社入社、2014年6月同社常務取締役竜ヶ崎工場長、2021年10月同社常務取締役竜ヶ崎工場工場長より現職。 |
| 大 橋 貢 | 常務取締役営業兼資材担当 | 1986年4月同社入社、2018年6月同社常務取締役営業部門統括兼東部営業部長、2023年4月同社常務取締役営業兼資材担当より現職。 |
| 平 野 了 士 | 取締役海外支援室室長 | 1977年4月川崎重工業入社、2014年7月川重車両テクノ代表取締役社長、2017年6月同社取締役海外支援室室長より現職。 |
社外取締役は、鎌田伸一郎氏(元セントラル警備保障代表取締役執行役員社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会が業務執行の意思決定を行うとともに、監査役会が取締役の職務執行を監査する体制をとっています。社外取締役および社外監査役が、独立した立場から経営の監督・監査を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして機能するよう、株主利益と連動した報酬体系を基本方針としています。具体的には、固定報酬としての基本報酬と賞与等で構成されています。社外取締役に対する報酬は、その職務の性格から業績を考慮せず、基本報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.1億円 | 22.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 4百万円 | 1.0百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期末現在の対象となる役員の人員数は取締役5名、監査役1名、社外役員3名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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