リード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場および福証本則市場に上場する自動車部品メーカーです。SUBARU向けのバンパーなど外装部品製造を主力事業とし、自社ブランドの駐輪システム等も展開しています。当期は主力の自動車部品事業における受注減少や生産性低下などが響き、減収かつ経常損失の赤字決算となりました。


※本記事は、株式会社リード の有価証券報告書(第92期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リードってどんな会社?


SUBARUの協力工場としてバンパー等の自動車用外装部品を主力とするほか、駐輪システム等の自社製品も展開する製造企業です。

(1) 会社概要


1949年に岩崎鈑金工業として設立され、1959年に富士重工業(現SUBARU)との業務提携により自動車用部品の製作を開始しました。1962年に現社名へ商号変更し、翌1963年には東京証券取引所市場第二部へ上場を果たしています。近年では2021年に日鉄日新ビジネスサービスより駐輪事業を譲り受けるなど、事業領域の拡大を図っています。

同社の従業員数は単体で178名です。筆頭株主は代表取締役社長の岩崎元治氏で、第2位は埼玉県熊谷市に所在する株式会社アイ・ティ・シー、第3位はリード共栄投資会となっています。主要取引先金融機関である株式会社埼玉りそな銀行も大株主に名を連ねています。

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は岩崎元治氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
岩崎 元治 取締役社長(代表取締役) 2008年に入社し、技術部長や補用品部長を歴任。2013年に常務取締役自動車部品事業部事業部長を経て、2014年より現職。
染谷 節美 常務取締役自動車部品事業部事業部長 1982年に入社。取締役営業部長などを経て、2014年に常務取締役に就任。営業部や購買部を担当し、2023年12月より現職。
芝﨑 茂治 取締役自動車部品事業部副事業部長 1979年に入社。生産技術部長や品質保証部長を歴任。2016年に取締役就任後、製造部や技術部を担当し、2024年6月より現職。
田口 英美 取締役総務部長 埼玉銀行(現埼玉りそな銀行)を経て2003年に入社。総務部長、執行役員を務め、2021年6月より現職。
水野 正己 取締役自動車部品事業部副事業部長 SUBARUにて製造品質管理部長やTPM推進室長を歴任。2023年に同社執行役員製造部長として入社し、2024年6月より現職。


社外取締役は、田中清貴(元りそな保証常勤監査役)、西田政隆(元西田経理事務所所長)、齋藤勝則(元齋藤司法書士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「自動車用部品」「自社製品」および「賃貸不動産」事業を展開しています。

(1) 自動車用部品


バンパーやスポイラーなどの自動車用外装部品や、ハンドブレーキレバーシステムの製造を行っています。主要な顧客は株式会社SUBARUであり、同社製品の多くが同社向けに供給されています。

収益は、自動車メーカー等の顧客から受け取る製品の対価です。運営は株式会社リードが行っています。同社売上高の大半を占める主力事業であり、板金・塗装および樹脂成形加工技術を核としています。

(2) 自社製品


電子機器事業としてラックやケース類の製造販売を行うほか、駐輪事業として駐輪ラック等の企画開発から製造、販売・設置、保守、駐輪場経営までを行っています。なお、電子機器事業は2025年6月末での撤退が決定しています。

収益は、地方公共団体や一般企業等への製品販売代金や設置工事費、駐輪場の利用料収入等です。運営は株式会社リードが行っています。駐輪事業では「シンワ型駐輪システム」ブランドを展開しています。

(3) 賃貸不動産


保有する不動産の有効活用として、店舗等の賃貸を行っています。埼玉県熊谷市の事業部跡地などを活用し、貸店舗として運営しています。

収益は、テナントから受け取る賃貸料です。運営は株式会社リードが行っています。なお、本セグメントの収益および費用は営業外収益・費用として計上されています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの業績推移を見ると、売上高は40億円から50億円の範囲で変動しています。利益面では黒字と赤字を繰り返しており、直近の2025年3月期は減収となり、経常損益および当期純損益ともに赤字に転落しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 47億円 40億円 50億円 51億円 42億円
経常利益 -1.4億円 -1.4億円 2.1億円 0.6億円 -0.4億円
利益率(%) -3.0% -3.6% 4.1% 1.2% -0.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.2億円 -1.9億円 1.8億円 0.5億円 -1.0億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しました。売上総利益率は低下し、営業損益は赤字となりました。主力製品の受注減少や生産性の一時的な低下などが影響しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 51億円 42億円
売上総利益 6億円 5億円
売上総利益率(%) 12.8% 12.3%
営業利益 0.1億円 -0.9億円
営業利益率(%) 0.2% -2.2%


当期の販売費及び一般管理費のうち、荷造運送費が2.0億円(構成比33.2%)、給料手当賞与金が1.3億円(同21.7%)を占めています。売上原価においては、材料費が14億円(構成比39.4%)、外注加工費が3.3億円(同9.1%)となっています。

(3) セグメント収益


自動車用部品事業は主要車種のモデルチェンジ前の生産調整により減収となり、先行投資負担もあり損失を計上しました。自社製品事業も、駐輪事業の案件繰り越し等により減収となりましたが、黒字を確保しました。賃貸不動産は安定して利益を上げています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
自動車用部品 45億円 39億円 0.3億円 -0.7億円 -1.8%
自社製品 5億円 3億円 0.0億円 0.0億円 0.3%
賃貸不動産 - - 0.3億円 0.3億円 -
連結(合計) 51億円 42億円 0.6億円 -0.4億円 -0.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のCF状態は「積極型」です。本業で得たキャッシュに加え、借入等による資金調達を行い、将来に向けた設備投資などを積極的に実施している状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 4.4億円 2.7億円
投資CF -2.3億円 -6.7億円
財務CF -1.8億円 2.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-3.8%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「製品を通じて社会に貢献するとともにお客様の満足と信頼が得られる製品づくり」を使命としています。市場・顧客ニーズに応え、品質を重視し、経営効率を向上させて必要な利益を確保することで社会に貢献することを経営理念として掲げています。

(2) 企業文化


「誠意、熱意、創意」を社是とし、「努力一筋、全社一丸、品質一心」をモットーとしています。コーポレート・ガバナンスを強化し、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーとの良好な関係構築を目指すとともに、コンプライアンス遵守や環境問題への取り組みを重視する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


当面の経営指標として、経営の効率化と収益力の強化を図り、以下の目標を掲げています。安定した配当が実施できる強固な経営体質の構築を目指しています。

* 営業利益率:5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


自動車部品部門では、主要取引先との関係強化や新規受注拡大を目指し、樹脂成形・塗装部門への経営資源集中を進めます。また、軽量化技術や新材料の研究開発へ投資します。自社製品部門では、駐輪事業のエリア拡大や新製品開発を強化する一方、電子機器事業からは撤退し、収益性の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的発展の源泉は「人財」であるとの認識のもと、国籍・性別等にとらわれない多様な人材の採用と育成に取り組んでいます。資格取得奨励金制度や各種研修を通じてスキル向上を支援するとともに、コンプライアンス研修によるハラスメントのない組織づくりや、自動化・機械化による労働環境の改善を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.8歳 17.6年 3,751,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、時間外労働時間の(平均)(158.1時間)、有給休暇の取得日数(平均)(10.0日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 依存度の高い販売先及び受注構造の変化


売上高の約8割を株式会社SUBARUおよび関連部品メーカーに依存しています。同社の生産・販売動向や海外シフト、部品コスト構造の変化等が、リードの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

(2) 競合


自動車部品業界はグローバル競争や技術革新、EV化等の環境変化に直面しており、同社製品も激しい競争に晒されています。駐輪製品においても新規参入等による競争があり、競争力の維持向上が達成できない場合、経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

(3) 技術革新への対応


将来の成長には、高い信頼性と先進的な技術開発が不可欠です。専門性の高い人材の確保やデジタル開発等の設備投資が必要となりますが、多額の投資が即座に収益に結びつかない場合、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。