※本記事は、ティアック株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
ティアックは、音響機器と情報機器の開発、製造、販売を主たる事業とする企業グループです。アナログレコードプレーヤーやハイレゾオーディオ機器、マルチトラックレコーダーなどの音響製品に加え、データレコーダーや医用画像記録再生機器、機内エンターテインメント機器などの情報機器も手掛けています。
単体従業員数は225名、連結従業員数は524名です。同社グループの報告セグメントは、音響機器事業と情報機器事業の2つです。
2026年2月17日をもって、連結孫会社であるティアックUK LTD.の清算が終了しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ティアックは、音響機器や情報機器の分野で専門性を追求する企業です。同社グループでは、長期的な視点での人材育成と多様な働き方を支援する環境整備に力を入れています。安定した環境で自身の専門性を高め、長く活躍したいと考える方にとって、働きがいのある職場環境が期待できるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が高く、平均勤続年数も長い傾向が見られます。これは、従業員が長期にわたって安定して働き続けられる環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,942,133円 |
| 平均勤続年数 | 19.8年 |
| 平均年齢 | 48.7歳 |
| 単体従業員数 | 225人 |
| 連結従業員数 | 524人 |
| 単体のグループ内比率 | 42.9% |
同社グループは、確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を国内および海外のグループ会社を対象として導入しています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、理念および事業を通じた文化・産業への貢献に共感し、事業戦略と一体となって価値創造を担う人材の確保・育成を基本方針としています。特に、製品開発力、技術力および創造力の強化を通じて競争優位を確立するため、高度な専門性を有し、継続的にイノベーションを創出できる人材集団の形成を重視しています。
役割および成果に基づく人事制度を導入し、公正な評価を通じて処遇に反映することを従業員の給与その他の給付の額及び内容の決定に関する基本方針としています。持続的成長に向け、評価運用の見直しを進め、能力発揮および成果を軸とした評価の実効性向上と文化の定着に取り組んでいます。
人的資本を経営理念を実現し、同社を持続させていくための最重要な財産と認識し、個々の人材が持つ思考と経営戦略との連動を図り、経営目標達成・業績向上のための人的基盤を強化しています。このため、全社員を対象としたeラーニングシステムを導入するとともに、スタッフ層に対してはキャリア構築支援研修を、マネジメント層に対しては組織力醸成に向けたトレーニングを継続展開しています。
また、年齢、性別、国籍、雇用形態の違いや障がいの有無に関わらず、全従業員が能力を十分に発揮しながら働ける環境づくりに取り組んでいます。フレックスタイムやテレワークといった柔軟な勤務制度の整備、育児・介護・看護等の各種休暇・休職制度の他、利用期限のない積立休暇制度を設け、多様なライフスタイルに応じた働き方を支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は公表義務の対象外のため、記載を省略しています。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。なお、労働者の男女の賃金の差異は、職層・等級別人数構成の差によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 81.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 83.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 74.9% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性社員比率(2025年3月末現在) | 17.7% |
| 女性社員新規採用比率(2026年3月期) | 22.2% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ティアックは、音響機器と情報機器の開発・製造販売を主たる事業として展開しています。同社グループは、特定の領域で競争優位性を確立する「ニッチトップ戦略」を継続し、事業拡大を進めています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、音響機器事業と情報機器事業を主軸に、開発から製造販売までを一貫して手掛けています。各事業部が国内外のマーケット戦略を立案し、事業活動を展開する体制です。海外市場での販売拡大を重要な課題と位置づけ、グローバルなニーズを踏まえた製品戦略を展開しています。
音響機器事業
ハイエンドオーディオ機器の「ESOTERICブランド」、プレミアムオーディオ機器の「TEACブランド」、そして音楽制作・業務用オーディオ機器の「TASCAMブランド」の製造販売を行っています。収益は、これらの高音質・高付加価値な製品の提供から得ています。当連結会計年度では、音楽制作・業務用オーディオ機器が事業全体の売上を牽引し、セグメント営業利益も増加しました。
情報機器事業
機内エンターテインメント機器、医用画像記録再生機器、計測機器の製造販売を手掛けています。また、ソリューションビジネスも展開しています。収益は、高度な記録と再生技術をベースとした製品開発と、医用向けサーバーやPCの出荷、ネットワーク・インフラの保守サービスといったソリューション提供から得ています。当連結会計年度では、医用画像記録再生機器とソリューションビジネスが好調に推移しました。
その他の事業セグメント
生産子会社によるEMS(電子機器受託製造)事業や、海外販売子会社による光ディスクドライブ販売事業が含まれています。当連結会計年度では、販売高が前期と比較して大きく増加しました。
同社グループの連結売上収益の10%以上を占める重要な単一顧客はありません。
| セグメント | セグメント利益(2025年3月期) | セグメント利益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 音響機器事業 | 12.2億円 | 14.8億円 |
| 情報機器事業 | 2.1億円 | △3百万円 |
| その他の事業セグメント | 21百万円 | 21百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は、過去5年間で概ね横ばいから微増の傾向にあります。税引前利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は、変動が見られましたが、当連結会計年度においては大幅な増加となりました。これは、音楽制作・業務用オーディオ機器や医用画像記録再生機器、ソリューションビジネスの好調に加え、連結孫会社の解散および清算に伴う利益の計上、金融費用の圧縮などが影響しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 160億円 | 157億円 | 157億円 | 157億円 | 159億円 |
| 税引前利益 | 4.8億円 | 3.4億円 | 5百万円 | 59百万円 | 6.1億円 |
| 税引前利益率 | 3.0% | 2.2% | 0.0% | 0.4% | 3.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 3.9億円 | 3.0億円 | △53百万円 | 81百万円 | 5.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 13.60 | 10.60 | △1.85 | 2.82 | 20.07 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益(連結)は、前期と比較して増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から大きく増加しており、組織全体の生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループが効率的な事業運営を進めていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 28.6百万円 | 30.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.6百万円 | 1.3百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ティアックグループは、本業で安定的に資金を生み出し、事業活動と投資活動を通じて自由に使える資金も確保している状況です。財務基盤は着実に強化されており、安定した経営状態を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)からその健全性を確認できます。手元資金の状況も、不況時の耐性や事業継続の安定性を示す重要な指標となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 35.6億円 | 40.7億円 |
| 自己資本比率 | 32.9% | 38.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.3% | 15.2% |
| 現金及び現金同等物 | 15.5億円 | 21.7億円 |
同社グループの自己資本は前期から増加し、当期末には40.7億円となっています。自己資本比率は当期に38.4%となり、前期の32.9%から改善しました。これはプライム市場の製造業平均(46.8%)を下回るものの、非製造業平均(24.2%)を上回る水準です。
ROE(自己資本利益率)は当期に15.2%と大幅に向上し、プライム市場平均(9.4%)を上回る水準を示しています。現金及び現金同等物は前期の15.5億円から当期には21.7億円に増加しており、手元資金の厚みが増している状況です。これらの指標は、同社グループの財務基盤が強化され、安定性が高まっていることを示しています。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、財務的な健全性を維持している状況です。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは16.1億円のプラスとなり、前期の11.8億円から増加しました。これは主に、減価償却費及び償却費、金融収益及び金融費用、営業債権及びその他の債権の減少、棚卸資産の減少がプラス要因となったためです。投資活動によるキャッシュ・フローは△1.5億円のマイナスとなり、前期の△1.2億円からマイナス幅が拡大しました。これは有形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは△8.8億円のマイナスとなり、前期の△7.1億円からマイナス幅が拡大しました。これは長期借入金の返済による支出やリース負債の返済による支出が主な要因です。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローは当期に14.6億円のプラスとなり、前期の10.6億円から増加しました。本業で得た資金が投資を上回っており、事業の安定性と成長に向けた余力を示しています。この資金の流れは、同社グループが安定した経営基盤を持ち、将来の成長に向けた投資も継続できる状態にあることを示唆しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 11.8億円 | 16.1億円 |
| 投資CF | △1.2億円 | △1.5億円 |
| 財務CF | △7.1億円 | △8.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 10.6億円 | 14.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、海外における生産・販売活動の比重が高いことから、為替相場の変動が経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、事業を行う様々な製品市場と地域市場において他社との激しい競争に晒されており、価格の下落等が経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ティアックは、創業以来「記録と再生」を事業の核とし、創意と誠実を尊ぶ企業文化を育んできました。企業理念「Recording Tomorrow」のもと、人・社会・未来に貢献する企業を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、創業以来一貫して創意と誠実を尊ぶ企業文化のもと、「記録と再生」をコアに事業を展開しています。企業理念を表現したタグライン「Recording Tomorrow」を掲げ、レコーディング・ソリューション・カンパニーとして活動しています。
お客様の要請に応え、法令・規制を遵守しながら、魅力ある高品質な製品とサービスを提供し続けることを目指しています。また、ステークホルダーの皆様にご満足いただける新しい価値を提供し、人・社会・未来に貢献する企業となることを目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、創業以来「創意と誠実」を尊ぶ企業文化を大切にしています。人々の健康と安全、自然の営みを尊重し、記録・再生技術への探究心を原点とした事業活動を通じて、持続可能な社会の実現を使命としています。
全てのステークホルダーに「品質」を約束するブランドとなることで企業価値の持続的成長を目指しており、その原動力は人材であるとの認識のもと、育成・採用に取り組んでいます。年齢、性別、国籍、雇用形態、障がいの有無に関わらず、全従業員が能力を十分に発揮できる環境づくりを推進しています。子育て・介護・キャリア開発・社会貢献活動と仕事の両立を支援する柔軟な勤務制度や各種休暇制度も整備されています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、インターネットや通信技術の発展に伴う記録再生機器へのニーズ減少を課題と認識しています。この変化を競合他社との差別化を図る好機と捉え、ネットワーク対応機器やソリューションの提案・提供を急ぎ、高付加価値化による収益力向上と事業成長を目指しています。
また、持続可能な社会の実現を使命とし、サステナビリティを推進しています。環境面ではCO2排出量把握や廃棄物削減に、人的資本面では育成プログラム推進による人材基盤強化や女性活躍促進に向けた女性採用比率向上に取り組んでいます。人材の能力発揮と成果を重視した評価制度の設計や、DXおよびAIの活用による業務生産性向上と付加価値創出力の強化も重点テーマとしています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ティアックは監査等委員会設置会社であり、経営の監督機能強化と意思決定の迅速化を図る体制を構築しています。取締役会は社外取締役を含む多様な構成で、任意の指名・報酬委員会も設置されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ティアックの株主構成を見ると、筆頭株主は個人であり、上位には複数の個人株主が名を連ねています。また、同社の社員持株会も大株主の一つとして位置しており、幅広い層に支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山下 良久 | 3.25% |
| 松尾 博 | 2.91% |
| 力丸 米雄 | 2.47% |
なお、所有株式数は千株未満を、発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は小数点第3位を四捨五入して表示されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長CEOは英裕治氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 英 裕 治 | 代表取締役 社長 CEO | 1985年4月同社入社。タスカム部長、執行役員を経て、2006年6月同社代表取締役社長に就任。2013年6月より現職。 |
| 倉 原 良 弘 | 取締役 CFO | 2006年7月同社入社。財務部長、財務企画部長、執行役員を経て、2024年6月より同社取締役CFOに現職。 |
社外取締役は、金子靖代氏(ピーシーデポコーポレーション取締役副社長執行役員・指名・報酬委員)、原琢己氏(安井・原法律事務所所長・監査等委員長・指名・報酬委員長)、坂口洋二氏(坂口洋二公認会計士・税理士事務所所長・監査等委員・指名・報酬委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役に取締役会での議決権を付与することで監査・監督機能の強化を図っています。また、任意の指名・報酬委員会を設置し、その過半数を社外取締役が占める体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ティアックの役員報酬は、基本報酬を100%とする固定報酬制を採用しています。これは、取締役の役割や責任に応じて月ごとに固定額が支払われる仕組みです。同社は現在、経営再建途上にあるため、業績連動報酬や株式報酬は適用していません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 47百万円 | 23.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 9百万円 | 9.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 14百万円 | 4.7百万円 |
なお、取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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