※本記事は、松尾電機株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
松尾電機は、コンデンサやマイクロヒューズなどの回路保護素子を中心とした電子部品の製造販売事業を展開しています。同社は幅広い電子部品を提供し、多様な産業分野に貢献しています。
同社の単体従業員数は227名です。事業セグメントはタンタルコンデンサ事業、回路保護素子事業、その他の3つです。
同社は、一部製品の生産終了に伴う事業構造改革費用を計上しました。これは、事業ポートフォリオの見直しを進める動きを示しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
松尾電機は、技術を軸とした事業活動を展開しており、従業員の定着を重視する傾向が見られます。働き方改革にも積極的に取り組んでおり、ワーク・ライフ・バランスの向上を目指す姿勢がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、長期的なキャリア形成が可能な環境であると考えられます。人材の定着を重視し、安定した組織運営がなされている傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,215,000円 |
| 平均勤続年数 | 27.5年 |
| 平均年齢 | 50.1歳 |
| 単体従業員数 | 227人 |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の制度を採用しています。退職給付債務は5.9億円となっています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
松尾電機は「技術立社」を基本理念とし、特長ある新製品の開発や海外売上比率の向上を事業戦略としています。中長期的な企業価値向上のため、人財・組織力向上を最大テーマと位置づけ、「必要人材の獲得」「会社風土の改革」「働き方改革」の3つを推進しています。
具体的には、事業戦略に応じた専門性の高い人材やグローバル対応力のある人材を、性別・国籍・年齢を問わず獲得しています。また、双方向コミュニケーションによる風通しの良い組織運営を目指し、管理職やリーダー職層への女性社員登用を推進しています。職場の環境改善に加え、有給休暇取得率の向上や所定外労働時間の削減を通じて、ワーク・ライフ・バランスの向上を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
男性労働者の育児休業取得率および男女の賃金の差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。以下のデータは提出会社単体の数値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.9% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男女の平均勤続年数の差異(男性) | 28.4年 |
| 男女の平均勤続年数の差異(女性) | 25.5年 |
| 外国籍社員比率 | 3.5% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 60.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
松尾電機は、電子部品の製造販売を手がけています。コンデンサやマイクロヒューズなどの回路保護素子を中心に、幅広い産業分野に製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
松尾電機は、コンデンサやマイクロヒューズなどの回路保護素子といった電子部品の製造販売を主な事業としています。同社の事業は、タンタルコンデンサ事業、回路保護素子事業、その他の3つのセグメントに区分されています。各セグメントは、それぞれ異なる製品群と顧客層を持ち、多様なニーズに応えることで収益を上げています。
タンタルコンデンサ事業
タンタル電解コンデンサの製造販売を行っています。カーエレクトロニクス向けや医療用機器向けの需要が増加しており、導電性高分子タンタルコンデンサの売上高も伸びています。収益は、これらのコンデンサ製品の販売から得ています。
回路保護素子事業
マイクロヒューズやサージアブソーバの製造販売を行っています。カーエレクトロニクス向けやリチウムイオン電池向けの需要が増加しています。収益は、これらの回路保護素子製品の販売から得ています。
その他
フィルムコンデンサの製造販売を行っています。収益は、フィルムコンデンサ製品の販売から得ています。
同社の販売実績を見ると、特定の相手先への販売が一定の割合を占めています。株式会社デンソー(グループ会社含む)への販売が最も大きく、次いで釜屋電機株式会社への販売も行われています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| タンタルコンデンサ事業 | 29.8億円 | 31.7億円 |
| 回路保護素子事業 | 14.2億円 | 17.8億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の当事業年度の業績は、売上高が増加し、営業利益および経常利益も増加しました。一方で、当期純利益は減少しています。これは、事業構造改革費用などの特別損失を計上したことによるものです。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務状況は、事業を継続していく上での安定性を示す重要な指標です。自己資本の厚みや手元資金の状況、そしてキャッシュフローの動きから、同社の現在の財務基盤を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均に近い水準にあり、ROEは平均を上回っています。手元資金も増加傾向にあり、安定した事業運営を支える基盤が整っていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2,759百万円 | 3,131百万円 |
| 自己資本比率 | 41.9% | 45.3% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 12.6% |
| 現金及び現金同等物 | 437百万円 | 807百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業で得た資金が投資活動を上回る優良な状態を示しています。営業活動によるキャッシュ・フローは収入となり、投資活動による支出を賄い、余剰資金を生み出しています。
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の回収早期化に伴う減少及び事業構造改革費用の計上等により782百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出の減少等により218百万円の支出となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出の減少等により194百万円の支出となりました。これらの結果、フリーキャッシュ・フローはプラスとなっており、本業で安定的に資金を生み出し、投資を賄いながらも手元資金を増やしている状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △0.9億円 | 7.8億円 |
| 投資CF | △3.0億円 | △2.2億円 |
| 財務CF | △2.5億円 | △1.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.8億円 | 5.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、売上高の4割以上をカーエレクトロニクス向けが占めており、その中でもデンソーグループへの売上高が約37%を占めています。そのため、同社の経営戦略によって同社の経営成績に大きな影響が及ぶ可能性があります。また、電子機器の小型化・高周波化が進む中で、新製品や新技術の開発が計画通りに進まない場合や、技術革新の速さにより製品の陳腐化が進行する可能性もリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
新製品及び新技術の企業化において、人的要因や資金的要因から製品開発計画が意図したように進展しない可能性が指摘されています。これは、技術革新が早い業界において、人材の確保や育成が事業の成長に影響を及ぼす可能性を示しています。
④ 雇用安定性・リストラ
当事業年度において、事業構造改革費用157百万円が計上されています。この費用は事業再編・拠点統廃合・人員削減等に伴うものであり、転職先を検討する際に留意すべき情報です。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
松尾電機は、お客様からの信頼を原点に、技術を追求する「技術立社」として社会に貢献することを目指しています。持続可能な社会の実現に向けた取り組みも重視し、企業価値の向上を図っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、「企業の存在を許容するのは、お客様である」ことを原点に、「技術立社」であり続けることを経営の基本理念としています。世界中のお客様の信頼を得られる価値ある技術商品の開発・製造・販売を事業活動の軸としています。世界のエレクトロニクス業界の小型・高性能・高信頼性の市場ニーズに適応した質の高い物作りに取り組み、社会の信頼と期待に応えることを経営の基本方針としています。長期的な目標として、10年後に売上高100億円達成を目指し、中期経営計画はその基盤固めと位置づけています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、経営の基本理念である「技術立社」に基づき、お客様の信頼を得る価値ある技術商品の提供を重視しています。中期経営計画では、ESGへの取り組みを維持・促進することを基本方針の一つとしています。具体的には、環境管理態勢の強化、人的資源の有効活用と健康経営の継続による働き方改革の推進、コンプライアンス・人権・労働・サステナビリティへの取り組みの維持・充実を図っています。サプライヤーへのサステナビリティ展開や積極的な情報発信も行っています。サステナビリティ推進体制を強化し、代表取締役社長が経営判断の最終責任を担っています。人権基本方針および人権行動方針を策定し、社内教育を通じて周知徹底を図っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、中期経営計画の目標達成に向けて、社内組織の活性化を重要な課題としています。既存の人材活用に加え、国際化に対応できる新規人材の採用を通じて、組織全体の強化を目指しています。また、ESGに対する取り組みの維持と促進も重点テーマです。環境管理目標の達成、働き方改革の推進、コンプライアンス管理、安全衛生管理、人権管理、サステナビリティへの取り組みの質的向上を図っています。特にコンプライアンス管理においては、社内のハラスメント研修を継続的に実施し、健全な職場環境の維持に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
松尾電機は、取締役会と監査役会を設置する体制を採用しています。取締役会は業務執行の意思決定と監督を行い、監査役会は客観的な立場から業務全般の監査を実施しています。また、業務執行の強化と迅速化のため、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
松尾電機は、事業会社である釜屋電機が筆頭株主として同社を支えています。また、同社の取引先企業で構成される松尾電機投資会や、従業員持株会も上位株主として名を連ねています。複数の関連する株主グループが上位に位置していることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 釜屋電機 | 27.33% |
| SBI証券 | 6.47% |
| 松尾電機投資会 | 4.47% |
なお、松尾電機投資会は同社の取引先企業で構成されている持株会です。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長執行役員は陳怡光氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 陳 怡光 | 代表取締役社長 執行役員 | 2002年DUPONT TAIWAN LIMITED入社、2020年釜屋電機代表取締役社長、2021年双信電機取締役。2024年6月同社代表取締役社長執行役員就任。2025年3月双信電機代表取締役社長就任より現職。 |
| 網谷 嘉寛 | 取締役 | 1982年同社入社。2012年6月同社取締役執行役員総務部門長兼経理部門長、2019年3月同社常務取締役執行役員総務経理部門長。2026年3月同社取締役就任より現職。 |
| 岸下 学 | 取締役 | 1985年同社入社。2013年3月同社執行役員福知山生産部門長、2019年6月同社取締役執行役員生産部門長。2026年3月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、陳培真氏(INPAQ TECHNOLOGY CO.,LTD.CEO&General Manager)、杉山雅彦氏(日通工エレクトロニクス代表取締役会長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会、会計監査人を設置しています。社外取締役は経営全般への提言を通じて経営の監督を、社外監査役は客観的な立場から監査機能を発揮しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
松尾電機では、役員報酬は固定報酬と業績連動報酬を組み合わせた体系を採用しています。業務執行取締役には基本報酬と業績連動報酬が支給され、社外取締役には業務執行から独立した監督機能を重視し基本報酬のみが支給されます。ストックオプション制度は採用しておらず、役員退職慰労金制度は廃止されています。業績連動報酬の指標には営業利益が用いられています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 64百万円 | 21.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 10.8百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 19百万円 | 3.1百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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