※本記事は、株式会社サンコー の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
サンコーは、精密部品製造及びユニット加工事業を展開しています。同社グループは、自動車関連製品、住宅設備関連製品、事務機関連製品、デジタル家電関連製品に関するプレス製品、メカトロ製品、プラスチック製品の製造販売を手掛けています。
単体従業員数は289名、連結従業員数は484名です。同社グループの事業セグメントは精密部品製造及びユニット加工事業の単一です。
国内においてはサンコーが生産・販売を一手に担い、海外1社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
サンコーは、精密部品製造およびユニット加工事業を主軸とする企業です。このセクションでは、同社で働く上での給与水準や働き方の特徴について、具体的なデータをもとに解説します。安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、同社の現状を理解する一助となるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、人材が定着しやすい環境であることがうかがえます。これは、長期的なキャリア形成を視野に入れる転職者にとって、安心材料の一つとなるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,620,601円 |
| 平均勤続年数 | 21.2年 |
| 平均年齢 | 44.5歳 |
| 単体従業員数 | 289人 |
| 連結従業員数 | 484人 |
| 単体のグループ内比率 | 59.7% |
同社および連結子会社は、退職一時金制度と確定給付年金制度を採用しており、同社は確定拠出年金制度も併用しています。退職給付債務は6.2億円となっています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、国内の少子化に対応するため、外国人材の活用や女性社員の上位職へのステップアップなど、多様な人材の雇用と活用に注力しています。プロジェクトリーダー制度を推進し、組織横断的な取り組みを通じて社員に多様な経験を提供することで、組織全体の強化と個々の社員の能力向上を図る方針です。
また、「極・省・短」を行動指針とし、製造現場の単純作業や事務処理のロボット導入による自動化を進め、オペレーションに携わる人員の半減を目指しています。AIやロボティクスを中心としたDX推進のための人材強化にも取り組み、これにより社員の賃金上昇、ライフワークバランスの向上、モノづくりの喜びの共有、そして同社で働く魅力の向上を目指しています。給与やその他の給付額は、各人の実績、能力、職務内容、人事評価結果等を総合的に勘案して決定されます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 71.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 72.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 70.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
サンコーグループは、精密部品製造およびユニット加工を主軸とする事業を展開しています。多岐にわたる産業分野の製品製造を担い、その技術力と生産体制で収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
サンコーグループは、主に自動車関連製品、住宅設備関連製品、事務機関連製品、デジタル家電関連製品に関するプレス製品、メカトロ製品、プラスチック製品の製造販売を行っています。これらの製品の製造販売が同社グループの主要な収益源となっています。
製品別に見ると、自動車関連製品が売上高の大部分を占めており、当連結会計年度では売上が増加しました。デジタル家電関連製品も売上を伸ばす傾向にあります。一方で、住宅設備関連製品と事務機関連製品は売上が減少しています。
主要な顧客としては、住友電装株式会社と株式会社デンソーが挙げられます。地域別では、日本国内での売上が最も大きく、アジア地域(タイ王国など)でも売上を上げています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
サンコーグループの過去5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、変動はありつつも全体としては増加傾向を示しています。特に当連結会計年度においては、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれもが前年同期比で増加となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 141億円 | 157億円 | 169億円 | 168億円 | 183億円 |
| 経常利益 | 7.2億円 | 5.7億円 | 9.9億円 | 8.2億円 | 9.1億円 |
| 経常利益率 | 5.1% | 3.6% | 5.8% | 4.8% | 5.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.5億円 | 4.2億円 | 7.0億円 | 5.7億円 | 6.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 60.85 | 47.28 | 79.40 | 64.19 | 68.19 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
サンコーグループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。また、従業員1人あたりの営業利益も前期に比べて増加しており、組織全体の収益を上げる力が強化されている傾向を示しています。これらの指標は、同社グループの効率的な事業運営と収益体質の安定性を示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 33.8百万円 | 37.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.1百万円 | 1.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
サンコーは、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。本業で得た資金を適切に活用し、事業の成長と安定性を両立させている状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
サンコーは、高い自己資本比率を維持しており、強固な財務基盤を持っていることが特徴です。プライム市場の製造業平均と比較しても、その水準は大きく上回っています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準ですが、手元資金も潤沢に確保されており、事業運営の安定性につながっています。このような財務状況は、長期的な視点での雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 156億円 | 163億円 |
| 自己資本比率 | 70.8% | 71.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.7% | 3.8% |
| 現金及び預金 | 48.9億円 | 49.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
サンコーのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは増加し、11.4億円のプラスとなりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費の計上、棚卸資産の減少などによるものです。投資活動によるキャッシュフローは△9.9億円のマイナスとなり、有価証券や有形固定資産、投資有価証券の取得による支出が主な要因となっています。財務活動によるキャッシュフローは△2.1億円のマイナスで、配当金の支払いが主な要因です。
その結果、フリーキャッシュフローは前期のマイナスからプラスに転じ、1.4億円となりました。本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出していることから、事業の安定性と将来に向けた投資余力を確保している状況がうかがえます。これは、長期的な視点での雇用や給与の安定性につながる健全な資金の流れを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.9億円 | 11.4億円 |
| 投資CF | △8.6億円 | △9.9億円 |
| 財務CF | △2.2億円 | △2.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △5.7億円 | 1.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの売上は自動車関連部品に多くを依存しており、グローバルな自動車生産量の減少や特定の取引先の需要減少が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外に生産拠点を有しているため、為替変動やタイを拠点とするカントリーリスクも事業に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、競争力を維持するために優秀な人材の採用・育成を重要視しています。人材の確保や育成ができない場合、または技術の継承が滞る場合、将来の成長に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
サンコーは、社会の要請に応える優秀な製品を廉価で供給し、社員の福利増進を目指す企業です。持続可能な社会への貢献と、技術力強化による事業拡大を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営理念は、「我々会社の目的は社会の要請に応じ優秀な製品を最も廉価で生産し供給する事によってお互の福利を増進するにある」と掲げられています。この理念に基づき、同社グループは金型や生産技術力をさらに磨き上げています。設備強化を進め、高まる顧客要求に応えることで売上拡大を実現することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
サンコーでは、ISO14001に則った環境マネジメントシステムを運用し、代表取締役社長が全ての環境活動を統括しています。地球環境の保全を企業の使命の一つと自覚し、「地球にやさしいものづくり」を通じて循環型社会の構築に貢献するという環境基本理念を掲げています。
人的資本においては、人材ポートフォリオの最適化、ロボティクス・AIの活用による省人化、人材採用・育成体制の強化を人事戦略としています。一人ひとりの生産性向上を通じた少数精鋭化を進め、多能工化や多様な人材の登用により機動的な人員配置が可能な体制を構築しています。また、プロジェクトリーダー制度を活用し、次世代リーダーの育成にも取り組んでいます。働きやすい職場環境の整備として、男性育児休業取得率や女性役職者登用に関する目標も設定されています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、事業上及び財務上の対処すべき課題として、売上の拡大を掲げています。自動車の電装製品、安全走行製品、EV関連製品に加え、スマートメーターやインフラ関連製品の受注活動を強化しています。
収益力強化のため、工場ではロボット導入による自動化、材料歩留改善、工程内不良低減、内製化など、原価低減を継続的に推進しています。グローバル化への対応として、海外連結子会社THAI SANKO CO.,LTD.の生産体制強化と現地社員の戦力化教育を進め、組織力の強化を図っています。また、技術力強化として、生産性の高い金型製作や工程設定により、大型化や絞り加工で競合との差別化を図り、プレス・プラスチック複合加工製品の金型技術を高めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
サンコーは、経営における透明性の向上とコンプライアンス遵守を重視し、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。健全で公正な企業経営を通じて、事業規模拡大と収益力向上を目指す体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
サンコーの筆頭株主は株式会社田村商事であり、51.22%の株式を保有しています。また、個人株主である田村正則氏も上位株主として名を連ねており、創業家およびその関連会社が同社の主要な株主として経営を支えていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 田村商事 | 51.22% |
| 田村 正則 | 5.64% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 4.67% |
| アジア電子工業 | 2.60% |
| 安谷屋 恵正 | 2.02% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は竹村潔氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田村 正則 | 代表取締役 会長 | 1995年5月同社入社、2001年12月同社代表取締役社長就任、2015年6月同社代表取締役会長就任より現職。 |
| 竹村 潔 | 代表取締役 社長 | 1983年7月同社入社、2002年6月同社取締役就任、2011年4月同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 鈴木 和彦 | 取締役 生産本部長 | 1989年3月同社入社、2021年6月同社取締役社長補佐就任、2023年3月同社取締役生産本部長就任より現職。 |
社外取締役は、赤羽啓氏(弁護士・赤羽総合法律事務所開業・監査等委員)と志水達也氏(税理士・志水達也税理士事務所開業・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、業務執行に対する取締役会の監督機能強化と社外取締役の経営参画による透明性・効率性向上を図っています。取締役会は、業務執行を行う取締役3名と監査等委員である取締役3名(うち2名が社外取締役)で構成されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は金銭による報酬のみで構成されており、不確定報酬や非金銭報酬はありません。取締役の報酬は固定報酬と業績連動報酬を組み合わせた体系で、固定報酬と業績連動報酬の比率は約8:2となっています。監査等委員の報酬は独立した立場からの監査という役割から固定報酬のみで決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 71百万円 | 23.7百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 2名 | 9百万円 | 4.3百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 9百万円 | 4.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。