※本記事は、日本アビオニクス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本アビオニクスは、情報システムおよび電子機器の販売を主な事業内容とする企業です。同社グループは、防衛用システム製品や宇宙用電子部品、産業用電子機器といった情報システム分野と、接合機器や赤外線機器といった電子機器分野で事業を展開しています。
単体従業員数は667名、連結従業員数は763名です。セグメントは情報システム、電子機器の2つです。
主な国内グループ会社は、NAJホールディングス、福島アビオニクス(情報システム製品等の製造)などです。
同社グループは、2026年4月1日付でセンシングソリューション事業部を赤外線センシング事業部に改称し、赤外線センシング技術を活用した計測や監視などのアプリケーション開発と提供を加速させています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本アビオニクスは、技術を核に社会課題解決に貢献する事業を展開しており、従業員のパフォーマンス最大化と顧客価値創造を重視しています。同社グループでは、長期的な視点での人材育成と働きやすい環境づくりに注力し、従業員一人ひとりが主体的に活躍できる組織を目指しています。給与水準や働き方の具体的なデータから、同社グループの職場環境を詳しく見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
日本アビオニクスでは、従業員の平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も長めであることから、安定して長く働き続ける従業員が多い傾向が見られます。これは、同社が従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,124,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.3年 |
| 平均年齢 | 47.4歳 |
| 単体従業員数 | 667人 |
| 連結従業員数 | 763人 |
| 単体のグループ内比率 | 87.4% |
日本アビオニクスでは、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は同社および連結子会社に適用されています。退職一時金制度も存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
直近の退職給付債務は35.7億円、年金資産は55.4億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
日本アビオニクスは、顧客価値経営を推進し、継続的な営業利益の増加を目指す上で、従業員のパフォーマンス最大化を不可欠な要素と位置付けています。同社グループでは、人財育成の強化、従業員定着率の向上、そして将来の成長に必要な人財の確保に注力しています。
給与および賞与の決定においては、通年の行動評価制度と半期ごとの目標管理制度(MBO)を導入しています。勤続年数だけでなく、同社の行動指針「5+1C」に基づく行動や、役割と成果責任に基づき発揮された成果を評価し、報酬に反映される仕組みです。
また、従業員一人ひとりの個性を尊重し、能力を最大限に発揮できる環境整備を重視しています。健康経営の推進、オフィス環境の改善、組織風土改革を通じて、従業員のエンゲージメントとパフォーマンスを高め、主体的な顧客価値提案力の向上を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 71.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 69.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 75.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 60.7% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 福島アビオニクス㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 78.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 80.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 71.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本アビオニクスは、情報システムと電子機器の二つの事業セグメントを通じて、幅広い顧客に製品とソリューションを提供しています。同社グループは、これらの事業を通じて社会の安全保障や産業の発展に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に情報システムと電子機器の販売を事業内容としています。顧客との契約に基づく製品やシステムの提供が収益の柱となっており、長期にわたる契約から収益を認識するモデルも存在します。
経済環境としては、製造業の生産や設備投資に回復が見られる一方で、円安や資材費の高騰、資源確保の難しさといった課題に直面しています。このような状況下で、同社グループは技術力やものづくり力の強化、市場動向を捉えた製品投入に注力し、顧客価値の向上と受注・売上の拡大に取り組んでいます。
情報システム事業は同社グループの売上を牽引しており、電子機器事業もそれに次ぐ規模となっています。主要な顧客として日本電気、住商エアロシステム、富士通といった企業への売上集中が見られます。また、売上高の大部分は日本国内から得られており、海外比率は限定的です。
情報システム
防衛用システム製品、宇宙用電子部品、産業用電子機器を提供しています。収益は、高水準の防衛予算を背景とした製品販売から得ています。当連結会計年度においては、売上高が前期から大きく増加しました。
電子機器
接合機器と赤外線機器を提供しています。収益は、データサーバー等の需要増加や、バッテリー廃棄に伴う発火事案を背景とした廃棄物監視など、監視による未然防止への関心の高まりから生じる設備需要の増加を背景とした製品販売から得ています。当連結会計年度においては、売上高が前期から増加し、セグメント利益も改善しました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 情報システム | 160億円 | 239億円 |
| 電子機器 | 40.9億円 | 53.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、当連結会計年度において売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも大幅な増加を示しています。特に売上高は前期から大きく伸長し、それに伴い利益も大きく改善する傾向が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 192億円 | 178億円 | 181億円 | 201億円 | 292億円 |
| 経常利益 | 18.1億円 | 19.2億円 | 21.5億円 | 27.1億円 | 53.6億円 |
| 経常利益率 | 9.4% | 10.8% | 11.9% | 13.5% | 18.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 16.2億円 | 18.2億円 | 21.5億円 | 19.6億円 | 38.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 115.04 | 128.20 | 131.86 | 124.37 | 253.57 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益も前期から大きく増加しており、収益性の改善がうかがえます。これらの指標の向上は、組織全体の効率化や事業活動の拡大が寄与していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 28.7百万円 | 38.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.0百万円 | 7.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
日本アビオニクスグループの財務状況は、事業活動と投資活動を通じて資金を使用し、成長に向けた投資を進めている状況を示しています。手元資金や自己資本の状況から、同社グループの財務基盤の厚みを確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から当期にかけて低下しているものの、当期は44.6%となっています。これはプライム市場の製造業平均と比較して同程度の水準です。ROE(自己資本利益率)は当期25.4%と、前期から大きく上昇し、プライム市場平均を大きく上回る水準を示しています。手元資金である現金及び預金は減少傾向にあり、今後の資金の動きが注目されます。これらの財務状況は、同社グループの事業活動の安定性や将来の成長性を示す指標となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 140億円 | 161億円 |
| 自己資本比率 | 51.9% | 44.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 13.9% | 25.4% |
| 現金及び預金 | 19.3億円 | 10.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、当期に大きな変化が見られます。本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、前期のプラスから当期は△36.2億円の使用となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が増加したものの、売上債権及び契約資産、棚卸資産の増加により資金が減少したことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、前期に引き続き△8.6億円の使用となっています。これは主に有形固定資産取得による支出によるものです。この結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、前期のプラスから当期は△44.9億円の使用となりました。
財務活動によるキャッシュフローは、前期のマイナスから当期は35.8億円の獲得となっています。これは主に短期借入を実施したことによるものです。これらの資金の流れは、同社グループが事業拡大のための投資を積極的に行い、その資金を借入によって調達している状況を示しています。この資金調達を伴う成長投資は、将来の事業拡大とそれに伴う雇用や給与の安定性につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 21.5億円 | △36.2億円 |
| 投資CF | △4.7億円 | △8.6億円 |
| 財務CF | △20.9億円 | 35.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 16.8億円 | △44.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、宇宙・防衛等の官公庁向け情報システム事業と、国内外の一般企業向け電子機器事業を展開しています。官公庁の需要動向や大手防衛メーカーの方針、一般企業の設備投資需要に業績が影響を受ける可能性があります。また、エレクトロニクス業界における競争激化や電子機器製品の価格競争も、同社グループの業績に影響を及ぼすリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、競争力ある製品の開発、製造、販売のために優秀な人材の確保と育成を継続的に行う必要があると認識しています。必要な人材を確保・育成できない場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本アビオニクスは、エレクトロニクス技術とシステム技術を強みとし、安全・安心で豊かな社会の実現を目指す企業です。顧客価値経営を推進し、持続的な成長と企業価値向上を追求する姿勢が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「私たちの強みを磨き、さらに高めて、お客様のために新しい価値を創造し、安全・安心で豊かな社会を実現する」ことを経営の基本理念としています。この理念に基づき、顧客価値経営を推進し、健全な体質で競争力があり、エンゲージメントの高い会社となることを方針としています。中長期的な企業価値向上に努め、顧客・株主・従業員・社会などステークホルダーへの還元をはかることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、グループ企業行動憲章において、環境への配慮、社会との調和、人権の尊重などを規定し、行動規範・行動指針に落とし込んで事業活動を行っています。サステナビリティを経営の最重要課題の一つと認識し、企業活動の全域で一人ひとりがサステナビリティに配慮して行動することを方針としています。また、従業員一人ひとりの個性を尊重し、能力を十分に発揮できる環境を整備することで、主体的かつ自律的で多様性のある人財の形成を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的な成長をはかるため、人財育成、組織活性化、DX(デジタルトランスフォーメーション)等によってアウトプットの最大化を目指しています。企画力、ものづくり力、技術力の三つの力を融合させて顧客価値を向上させ、競争力強化をはかることを重点テーマとしています。さらに、品質管理及びコンプライアンス強化、キャッシュ・フロー経営を推進し、経営基盤の強化と企業価値向上に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日本アビオニクスは、取締役会の監督機能を強化し、より一層のコーポレート・ガバナンス充実を目指して監査等委員会設置会社に移行しています。経営の監督と執行を分離することで、迅速な意思決定と効率的な職務執行を推進する体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、筆頭株主であるNAJホールディングス株式会社に支えられています。同社グループの親会社であるNAJホールディングス株式会社は、日本産業パートナーズ株式会社が管理・運営する投資事業有限責任組合を通じて間接的に株式を保有しており、特定の株主グループが経営に影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| NAJホールディングス | 52.61% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.22% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 1.74% |
なお、アセットマネジメントOneは2025年8月29日現在で693,100株(4.13%)を所有している旨が大量保有報告書に記載されていますが、同社として2026年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含められていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役執行役員社長は竹内正人氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 竹内 正人 | 代表取締役 執行役員社長 | 1986年4月同社入社、2014年4月同社執行役員就任、2019年6月同社代表取締役執行役員社長就任より現職。 |
| 山後 宏幸 | 取締役 執行役員 経営企画本部長 | 1987年4月同社入社、2015年7月同社執行役員 チーフ・フィナンシャル・オフィサー(CFO)就任、2020年6月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、加藤精彦氏(元セイコープレシジョン代表取締役社長)、森誠一氏(日本産業パートナーズマネージングディレクター)、海野忍氏(元エヌ・ティ・ティ・コムウェア代表取締役社長・監査等委員)、青山薫氏(片岡総合法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)です。
同社は2024年6月21日をもって監査等委員会設置会社に移行しています。取締役会は、社外取締役4名を含む取締役7名で構成され、経営の監督と執行を分離することで、迅速な意思決定と効率的な職務執行を推進しています。独立社外取締役は、自身の有する知識や知見に基づき、取締役会における重要な意思決定の妥当性・適正性を確保する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、業務執行取締役に対しては月額報酬と業績評価に連動した賞与、譲渡制限付株式報酬で構成されています。非業務執行取締役の月額報酬は会社の業績とは連動せず、一定の金額が支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 70百万円 | 35.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 4百万円 | 4.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 21百万円 | 4.2百万円 |
なお、連結報酬等の総額が1億円以上である者は存在しません。また、退職慰労金の制度はありません。執行役員兼務取締役には、取締役としての報酬のほかに使用人分給与は支払っておりません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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