ミナトホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミナトホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する企業グループです。デジタルデバイス、デジタルエンジニアリング、ICTプロダクツ事業を主軸に展開しています。当連結会計年度の業績は、デジタルデバイス等が好調で売上高は前期比で増収となりましたが、利益面では各段階利益において減益となりました。


※本記事は、ミナトホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第69期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミナトホールディングスってどんな会社?


メモリーモジュール等のデジタルデバイスや産業用書込み装置等のエンジニアリング事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1956年に港通信機として設立され、1988年に株式店頭登録、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2015年に現社名へ変更し持株会社体制へ移行しています。2016年以降、サンマックス・テクノロジーズやプリンストン等を相次いで子会社化し事業を拡大、2023年には「中期経営計画2027」を発表しました。

連結従業員数は281名、単体では26名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は代表取締役会長兼グループCEOの若山健彦氏、第3位は個人株主の清板大亮氏です。サンマックス・テクノロジーズの創業者である相澤均氏も大株主に名を連ねています。

氏名 持株比率
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 5.98%
若山 健彦 5.86%
清板 大亮 3.31%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役会長兼グループCEOは若山健彦氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
若 山 健 彦 代表取締役会長兼グループCEO 日本長期信用銀行、メリルリンチ証券を経て、イーバンク銀行(現楽天銀行)創業に参画し代表取締役副社長。2012年同社代表取締役社長就任。2023年より現職。
相 澤  均 代表取締役社長兼COO サンマックス・テクノロジーズを設立し代表取締役社長就任。2016年同社常務執行役員、2018年取締役副社長を経て、2023年より現職。
三 宅 哲 史 常務取締役CFO 日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)入行。2018年同社入社、執行役員経営企画部門長。2023年より現職。
杉 山 敏 美 取締役 資生堂徳山販売入社。日本ジョイントソリューションズ代表取締役社長、女性創業応援やまぐち代表取締役社長などを歴任。2019年より現職。
矢 吹 尚 秀 取締役 パルテック入社、同社代表取締役社長を経て、2012年エクスプローラ代表取締役社長。2023年より現職。
門 井  豊 取締役常勤監査等委員 マミーマート、フィールズ等を経て同社入社。管理部長、取締役管理部門長、常勤監査役などを歴任し、2023年より現職。


社外取締役は、児玉純一(元JNアライアンス合同会社代表執行役社長)、中根敏勝(元中根法律事務所代表)、川和まり(Belvedere Advisors LLC共同創業者)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタルデバイス」「デジタルエンジニアリング」「ICTプロダクツ」および「その他」事業を展開しています。

(1) デジタルデバイス


産業機器用途向けコンピュータ記憶装置であるメモリーモジュールの製造・販売や、モバイルアクセサリの販売を行っています。また、プリンタやスマートフォン等に使用されるeMMCやeMCPの提供も手がけています。

収益は、電機メーカー等の顧客に対する製品販売代金等から得ています。運営は主にサンマックス・テクノロジーズと港御(香港)有限公司が行っています。

(2) デジタルエンジニアリング


ROM書込みサービス、デバイスプログラマ製品やタッチパネル製品、デジタルサイネージ製品の製造販売を行っています。また、ソフトウェア・ハードウェアの設計、ODM/EMS(開発設計受託)、自社製品設計・製造なども展開しています。

収益は、ROM書込みサービスの対価や各種製品の販売代金、受託開発費等から得ています。運営はミナト・アドバンスト・テクノロジーズ、エクスプローラ、港御(上海)信息技術有限公司が担っています。

(3) ICTプロダクツ


テレビ・Web会議等のデジタル会議システム関連機器の販売・保守サービスや、PC・スマートフォン等のデジタルデバイス周辺機器、ゲーミング関連製品の販売を行っています。

収益は、製品の販売代金や保守サービス料等から得ています。運営は主にプリンストンが行っています。

(4) その他


Webサイト構築、システム開発、セールスプロモーション事業に加え、ベンチャー企業や太陽光発電事業への投資、財務・金融コンサルティング事業を行っています。

収益は、システム開発費、Web制作費、コンサルティング料、投資収益等から得ています。運営は日本ジョイントソリューションズ、リバース、ミナト・フィナンシャル・パートナーズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は第66期以降200億円規模で推移しており、当期は前期比で増収となりました。利益面では第68期に大幅な増益を記録しましたが、当期は減益となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 159億円 246億円 226億円 190億円 245億円
経常利益 2億円 8億円 9億円 12億円 6億円
利益率(%) 2.4% 3.2% 4.0% 6.4% 2.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 2億円 1億円 13億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価の増加により売上総利益は減少しました。販管費はほぼ横ばいでしたが、売上総利益の減少が影響し、営業利益率は低下しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 190億円 245億円
売上総利益 48億円 43億円
売上総利益率(%) 25.3% 17.6%
営業利益 12億円 8億円
営業利益率(%) 6.5% 3.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が10億円(構成比28%)、荷造運賃が4億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


デジタルデバイス事業は大型スポット案件等により大幅な増収増益となりました。一方、デジタルエンジニアリング事業はROM書込み数量の減少等により減収となり、営業損失を計上しました。ICTプロダクツ事業は増収増益を確保しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
デジタルデバイス 78億円 137億円 7億円 15億円 10.8%
デジタルエンジニアリング 35億円 28億円 12億円 -1億円 -2.7%
ICTプロダクツ 68億円 75億円 1億円 2億円 2.5%
その他 9億円 5億円 1億円 0.2億円 3.0%
調整額 -5億円 -4億円 -9億円 -8億円 -
連結(合計) 190億円 245億円 12億円 8億円 3.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


* パターン:**積極型**(営業CF+、投資CF-、財務CF+)
* 営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1億円 1億円
投資CF -15億円 -16億円
財務CF 3億円 11億円


ROE(自己資本利益率)は6.4%で市場平均を下回り、財務の安定性を測る自己資本比率も33.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「常に新しい技術に挑戦し、社会に価値ある製品やサービスを展開することで、お客様、株主、従業員の満足を高める企業になる」ことを経営理念としています。また、企業の社会的責任を認識し、経営の効率性と透明性を向上させ、企業価値・株主価値を増大させることを基本方針としています。

(2) 企業文化


デジタルの分野において、新しい市場を開拓することで人や社会に貢献し、持続可能な未来の社会を創造することを目指しています。また、企業価値の向上を目指し、「デジタルコンソーシアム構想」を掲げ、「デジタルコンソーシアムで未来の社会を創造する」というビジョンのもと、他企業との連携やM&Aを推進する文化があります。

(3) 経営計画・目標


2023年1月に策定した「中期経営計画2027」において、以下の数値目標を掲げています。

* 2027年3月期 連結売上高:480億円
* 2027年3月期 連結営業利益:25億円
* ROE:15%以上
* 自己資本比率:30%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「デジタルコンソーシアム構想」を成長戦略の柱とし、技術力のある企業との提携やM&Aを通じてシナジーを創出し、新しい製品・サービスの開発や市場開拓を目指しています。具体的には以下の3つの重点テーマを推進しています。

1. 既存事業領域のさらなる拡大
2. 新規事業領域への投資(M&A/ベンチャー投資)
3. グローバル展開

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材ダイバーシティを重視し、女性活躍推進プロジェクト「MiWs」の運営や女性管理職候補者向けの研修などを実施しています。また、従業員の健康増進を目的とした健康経営を推進しており、健康診断受診率の向上や健康イベントの開催などを通じて、働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 47.7歳 3.2年 5,804,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 52.6%
男女賃金差異(正規雇用) 50.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 0.0%


※提出会社の数値。なお、連結ベースでの男性労働者の育児休業取得率は100.0%です。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(15.6%)、外国人雇用者比率(4.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自然災害・感染症等の異常事態リスク


国内外の複数拠点において、パンデミックや大規模な自然災害等の異常事態が想定を超える規模で発生した場合、事業運営に支障をきたし、経営成績に悪影響を与える可能性があります。

(2) 価格競争と為替リスク


デジタルデバイス等の主要販売先である大手電機メーカーからの厳しい値下げ要請や、競合との価格競争により、収益性が低下する可能性があります。また、外貨建ての営業債権・債務が為替変動の影響を受けるため、急激な変動が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人的資源に関するリスク


事業規模に見合った優秀な人材の確保や育成が適切に行えない場合、または人材の大量流出が生じた場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。