遠藤照明 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

遠藤照明 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の照明器具メーカーです。商業施設やオフィス向けのLED照明器具の製造販売を行う「照明器具関連事業」を主力とし、空間価値を高めるソリューション提供に注力しています。2025年3月期の連結業績は、売上高537億円(前期比3.9%増)、経常利益54億円(同5.5%減)の増収減益でした。


※本記事は、株式会社遠藤照明 の有価証券報告書(第54期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 遠藤照明ってどんな会社?


商業施設向けLED照明器具の国内大手メーカーです。「エシカルソリューション」を掲げ、省エネと快適な光環境の両立を目指しています。

(1) 会社概要


1967年に創業し、1972年に設立されました。1990年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、2013年には東京証券取引所市場第一部へ銘柄指定されました。環境配慮型の製品開発に早期から取り組み、2010年にはLED照明器具の本格販売を開始しています。現在はタイ、中国、インド、英国などに拠点を展開し、グローバルに事業を拡大しています。

連結従業員数は1,631名、単体では499名です。筆頭株主は株式会社アーバンで、発行済株式の33.38%を保有しています。第2位は資産管理業務を行う株式会社日本カストディ銀行(信託口)、第3位は日本生命保険相互会社となっています。

氏名 持株比率
アーバン 33.38%
日本カストディ銀行(信託口) 3.15%
日本生命保険相互会社 2.46%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は遠藤邦彦氏です。取締役4名のうち1名が社外取締役で、構成比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
遠 藤 邦 彦 代表取締役社長 1997年4月富士銀行入行。2001年1月同社入社。経営戦略室長、常務取締役、代表取締役専務取締役を経て、2014年6月より現職。
菱 谷   清 常務取締役開発・品質・生産担当 1980年4月松下冷機入社。2016年5月同社入社。同年6月取締役を経て、2022年6月より現職。
杉 坂 真 志 取締役国内営業担当 1984年4月同社入社。2005年7月イーシームズ(出向)取締役、2008年4月同社代表取締役社長を経て、2022年6月より現職。


社外取締役は、宮下律江(元JALインフォテック執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「照明器具関連事業」、「環境関連事業」および「インテリア家具事業」を展開しています。

(1) 照明器具関連事業

LED照明器具の企画、開発、製造および販売を行っています。商業施設、オフィス、公共施設など幅広い用途に対応した照明器具を提供しており、顧客は施主、設計事務所、建設会社など多岐にわたります。

製品の販売代金が主な収益源です。日本国内での販売に加え、アジアや欧州市場へも展開しています。運営は主に遠藤照明が行っており、製造は海外子会社のENDO Lighting(THAILAND)Public Co.,Ltd.や昆山恩都照明有限公司などが担い、販売は各国の販売子会社が担当しています。

(2) 環境関連事業

省エネ機器の販売や、照明器具および省エネ機器のレンタル事業を行っています。初期投資を抑えて最新の設備を導入したい顧客に対し、レンタルスキームを活用したソリューションを提供しています。

顧客からのレンタル料および機器の販売代金が収益源です。レンタル契約に基づき、長期間にわたる安定的な収益確保を目指しています。運営は連結子会社のイーシームズ株式会社が行っています。

(3) インテリア家具事業

インテリア家具や用品の販売を行っています。デザイン性の高い家具や環境に配慮した素材を使用した製品を取り扱っており、オフィスや商業施設などの空間コーディネートを提案しています。

製品の販売代金が収益源です。照明事業とのシナジーを活かし、照明と家具を組み合わせた空間提案を行っています。運営は遠藤照明が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

過去5期分の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで推移しており、354億円から537億円へと規模を拡大しています。利益面では、原材料価格や為替の影響を受けつつも、営業利益率は概ね高い水準を維持しています。直近では増収基調を継続しつつ、利益も安定的に確保しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 354億円 406億円 457億円 517億円 537億円
経常利益 19億円 42億円 36億円 57億円 54億円
利益率(%) 5.5% 10.5% 7.9% 11.1% 10.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 16億円 15億円 27億円 25億円

(2) 損益計算書

直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、販管費の増加により営業利益はやや減少しています。売上総利益率は約38%台で安定しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 517億円 537億円
売上総利益 199億円 208億円
売上総利益率(%) 38.5% 38.7%
営業利益 52億円 49億円
営業利益率(%) 10.1% 9.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が48億円(構成比30%)、諸手数料が20億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益

照明器具関連事業は増収となりましたが、円安による原価上昇等の影響で減益となりました。環境関連事業は売上高が微減となりましたが、増益を確保しています。インテリア家具事業はオフィス需要の取り込みにより増収となり、黒字転換を果たしました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
照明器具関連事業 403億円 422億円 56億円 53億円 12.5%
環境関連事業 102億円 101億円 9億円 10億円 9.5%
インテリア家具事業 12億円 14億円 -2億円 1億円 5.6%
連結(合計) 517億円 537億円 52億円 49億円 9.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

健全型(本業で稼いだ資金の範囲内で投資を行い、借入返済も進めている状態)です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 102億円 29億円
投資CF -29億円 -43億円
財務CF -41億円 -0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

「企業は公器」を経営理念として掲げ、企業の社会的存在価値を高めることに経営資源を集中しています。「個と組織の調和と永続」および「ありがとう創造企業に」という2つの経営目的を通じ、人と地球に優しい高付加価値空間を創造する「エシカルソリューション カンパニー」を目指しています。

(2) 企業文化

社員一人ひとりが自ら考え、行動し、創意工夫することを重視しています。人体と同様に個人と組織が生き生きと成長・繁栄することを目指し、お客様や周囲から多くの「ありがとう」を頂ける個人と会社であることを目指す風土があります。

(3) 経営計画・目標

長期ビジョンとして「エシカル ソリューションNo.1リーディングカンパニーへ」を掲げています。中期経営計画(2028年3月期)では以下の数値目標を設定し、継続的な成長と高収益体質の確立を目指しています。

* 連結売上高:610億円
* 連結営業利益:70億円
* ROE(連結):10%以上

(4) 成長戦略と重点施策

国内照明事業では、無線制御照明システム「Smart LEDZ」等のソリューション製品の拡充やオフィス等の新規市場への展開を進めます。海外ではアジア・英国へ経営資源を集中し、シェア拡大を図ります。また、環境事業でのレンタルスキーム活用や、DX推進による業務改善、人的資本への投資強化にも取り組みます。

* 連結売上高610億円(2028年3月期)
* 連結営業利益70億円(2028年3月期)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

経営理念「ありがとう創造企業」に共感し、自律的にチャレンジする人材を重視しています。社員一人ひとりがスキルアップを実現できる人材育成基盤の整備を進めるとともに、多様性を尊重し、能力を発揮できる職場づくりを推進しています。また、人的資本への投資を強化し、エンゲージメント向上に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.9歳 13.2年 6,330,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでおり、支給対象期間1年未満の者を除いております。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 67.4%
男女賃金差異(正規雇用) 69.1%
男女賃金差異(非正規) 48.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、社員エンゲージメントサーベイの良好回答割合(60%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢・需要変動等

製品需要は経済情勢や景気動向の影響を受けます。特に主要製品であるLED照明器具は建築需要や企業の設備投資動向に左右されるため、市場環境の変化が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品ライフサイクルと在庫

LED照明器具は技術革新が速く、在庫陳腐化のリスクがあります。LED素子や電源等の在庫管理を行っていますが、想定外の市場環境の変化により売上数量が確保できない場合、棚卸資産処分損が発生する可能性があります。

(3) 原材料の仕入価格の高騰

照明器具の主な材料である鋼材、アルミニウム、樹脂などの原材料価格や原油価格の変動の影響を受けます。これらの仕入価格が急激に高騰した場合、経営成績に悪影響を与える可能性があります。

(4) 為替変動による影響

LED素子や電源等の海外輸入比率が高く、また海外子会社で製造した製品を日本で販売する体制のため、為替変動の影響を受けます。為替予約等で対策を講じていますが、急激な変動があった場合、業績に影響する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。