※本記事は、伊豆シャボテンリゾート株式会社 の有価証券報告書(第50期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 伊豆シャボテンリゾートってどんな会社?
伊豆シャボテン動物公園などのテーマパークや、屋内型動物ふれあい施設「アニタッチ」を運営するレジャー企業です。
■(1) 会社概要
1976年に音響機器販売会社として設立され、2004年にレジャー事業へ参入しました。2015年に現社名へ変更し、2021年には新規事業として「アニタッチみなとみらい」を開業しています。2023年に伊豆ドリームビレッジを連結子会社化するなど、伊豆エリアのレジャー施設運営を中心に事業基盤を拡大しています。
2025年3月31日現在の従業員数は連結170名、単体6名です。筆頭株主は同社取締役が役員を務める山河企画有限会社で、第2位は柏温泉リゾート、第3位はトーテムとなっています。大株主には広島県や東京都の企業が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山河企画有限会社 | 7.35% |
| 柏温泉リゾート | 6.52% |
| トーテム | 6.49% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は吉村浩太郎氏が務めています。社外取締役比率は11.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉村 浩太郎 | 代表取締役社長 | 2014年11月伊豆シャボテン公園代表取締役就任。2016年6月より現職。 |
| 北本 幸寛 | 取締役 | ハートライン代表取締役、クオンツ取締役を経て、2014年11月同社代表取締役社長に就任。現在は取締役を務める。 |
| 金 良 姫 | 取締役 | 2014年11月同社社外取締役就任。2017年6月より現職。ニッサントラベル取締役も務める。 |
| 酒井 貴雄 | 取締役 | 山河企画取締役、エデン代表取締役を務め、2023年6月より現職。 |
| 坂本 貴 | 取締役 | 2001年入社。経理部長、代表取締役などを歴任し、2025年6月より現職。 |
| 桑原 亮介 | 取締役 | 2015年入社。経営企画室室長を務め、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、江口修司(元日興証券入社、宝和商事勤務)です。
2. 事業内容
同社グループは、「レジャー事業」「アニタッチ事業」「ホテル事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) レジャー事業
伊豆シャボテン動物公園、伊豆ぐらんぱる公園、ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン、伊豆海洋公園といった伊豆半島に所在するテーマパーク等の施設を運営しています。観光客や家族連れを主な顧客とし、動物とのふれあいやアトラクション、イルミネーションなどの体験を提供しています。
収益は主に入園料、施設内での飲食・物販の売上から得ています。運営は連結子会社の伊豆シャボテン公園が行っています。
■(2) アニタッチ事業
「アニタッチみなとみらい」をはじめとする、屋内型の動物ふれあい施設「アニタッチ」を全国で展開しています。商業施設内などに出店し、カピバラやワオキツネザルなどの動物と至近距離でふれあえる体験を提供しています。
収益は主に入場料や、動物へのエサやり体験等の有料サービス、物販売上から得ています。運営は伊豆シャボテン公園が行っています。
■(3) ホテル事業
「伊豆シャボテンヴィレッジ」をはじめとする宿泊施設を運営しています。伊豆シャボテン動物公園に隣接したグランピング施設やホテルなどを展開し、レジャー施設と連携した宿泊サービスを提供しています。
収益は主に宿泊客からの宿泊料、飲食代、物販売上から得ています。運営は連結子会社の伊豆ドリームビレッジが行っています。
■(4) その他
報告セグメントに含まれない事業として、その他の収益獲得活動を行っています。2025年3月期の売上高は70千円と僅少です。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大傾向にあり、特に直近の第50期は過去最高の54.9億円を記録しました。利益面でも、経常利益率が20%を超える高い水準を維持しており、収益性の高さがうかがえます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 21.5億円 | 24.1億円 | 33.9億円 | 46.5億円 | 54.9億円 |
| 経常利益 | 1.7億円 | 2.2億円 | 6.9億円 | 9.5億円 | 12.5億円 |
| 利益率(%) | 7.9% | 9.0% | 20.4% | 20.5% | 22.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.9億円 | 1.9億円 | 4.8億円 | 3.2億円 | 9.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上総利益率は約80%と非常に高い水準を維持しており、営業利益率も20%前後で推移しています。効率的な事業運営が行われていることが読み取れます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 46.5億円 | 54.9億円 |
| 売上総利益 | 37.5億円 | 43.8億円 |
| 売上総利益率(%) | 80.6% | 79.8% |
| 営業利益 | 9.0億円 | 11.9億円 |
| 営業利益率(%) | 19.4% | 21.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が9.0億円(構成比28.3%)、減価償却費が4.0億円(同12.7%)、支払手数料が2.7億円(同8.4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全セグメントで増収増益となりました。主力のレジャー事業が堅調に推移したほか、アニタッチ事業は売上高が前期比約2倍、利益が約3倍と急成長しています。ホテル事業も増収増益となり、各事業が好調に推移しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| レジャー事業 | 33.6億円 | 35.3億円 | 7.8億円 | 8.5億円 | 24.0% |
| アニタッチ事業 | 6.4億円 | 12.6億円 | 1.1億円 | 3.2億円 | 25.8% |
| ホテル事業 | 6.5億円 | 7.0億円 | 0.6億円 | 0.6億円 | 9.1% |
| その他 | 0.0億円 | 0.0億円 | -0.5億円 | -0.5億円 | - |
| 調整額 | -0.1億円 | -0.1億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | - |
| 連結(合計) | 46.5億円 | 54.9億円 | 9.0億円 | 11.9億円 | 21.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)を使って投資を行い(投資CFマイナス)、借入金の返済等も進めている(財務CFマイナス)ことから、「健全型」に分類されます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.8億円 | 14.5億円 |
| 投資CF | -5.9億円 | -8.0億円 |
| 財務CF | -4.8億円 | -5.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同グループは、株主、取引先、従業員といった全てのステークホルダーと共に、コンプライアンスと社会的責任に配慮し、企業価値向上に努めることを基本方針としています。また、「ご来園者の笑顔のために」をブランドスローガンとし、長く愛される施設づくりを目指しています。
■(2) 企業文化
社員、役員、取引先、株主、地域、そして顧客など、応援してくれる全ての人々とのつながりを大切にし、共に成長の道を歩むことを願っています。「和衷共済」による会社の発展・成長こそが、同グループの目指す未来であるとしています。
■(3) 経営計画・目標
グループ全体でシナジーを高めながら企業価値の向上を図ることを目指しています。事業の成果となる営業利益を重視するとともに、各公園施設への多額の投資に伴う減価償却費の影響を考慮し、営業利益に減価償却費を加算したEBITDAも重要な経営指標として位置付けています。
■(4) 成長戦略と重点施策
各施設の充実と営業力の強化を図るとともに、イベントによるPR等で知名度向上と入園者数の増加を目指します。レジャー事業では「グランイルミ」への設備投資やイベント・物販の拡充を行い、アニタッチ事業ではSNSを通じた認知度向上と新規出店の検討、ホテル事業では施設の魅力向上による認知度アップと他社協業などを進めます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人事・賃金制度や研修等の見直しにより、優秀な人材の確保と従業員の成長を図り、雇用環境の変化に対処する方針です。また、多様な価値観を持つ従業員が在籍することが持続的成長につながると考え、働きやすい環境づくりを目指しています。特に複雑化・高度化する業務に対応できる組織力の育成を重要課題としています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.5歳 | 10.7年 | 6,438,973円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 26.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※男性育児休業取得率および男女賃金差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 天候要因による集客変動
同グループの運営施設は、天気や気温といった天候要因により入園者数が変動しやすい特性があります。悪天候が長期に及ぶ場合は、一時的な入園者数の減少などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 災害の発生
運営施設にて、大震災、火災、洪水、津波等の災害が発生した場合は、施設や交通機関への被害、レジャーへの消費者マインドの低下が予想されます。これによる一時的な入園者数の減少が、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 施設内事故の発生
遊具施設、商品、食品等において万が一事故(遊具での事故、異物混入等)が発生し、顧客に重大な危害が加わる事態となった場合、信頼低下や損害賠償等の費用負担により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 景気変動の影響
レジャーは余暇や余剰資金を利用したものであり、生活必需品ではないため、景気動向の影響を受けやすい側面があります。今後、想定外の不景気となった場合は、入園者数の減少などにより業績に影響が出る可能性があります。



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