伊豆シャボテンリゾート 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

伊豆シャボテンリゾート 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

伊豆シャボテンリゾートは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、伊豆シャボテン動物公園などのレジャー施設、動物ふれあい施設のアニタッチ、および宿泊施設の運営を主力事業としています。直近の業績は、来園者数の堅調な推移を背景に増収を達成した一方、積極的な事業展開に伴う費用の増加により営業利益は減益となりました。


※本記事は、伊豆シャボテンリゾート株式会社の有価証券報告書(第51期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 伊豆シャボテンリゾートってどんな会社?


レジャー施設や動物ふれあい施設、ホテルなどの運営を主力事業とする企業です。

(1) 会社概要


1976年に音響機器関連を目的として設立後、2004年にサボテンパークアンドリゾートに経営参加しレジャー事業へ着手しました。2006年に伊豆シャボテン公園などを連結子会社化しています。2015年に現在の伊豆シャボテンリゾートへ社名を変更し、2021年には新規事業として「アニタッチ」を開業しました。

従業員数は連結で176名、単体で5名です。大株主の筆頭は山河企画で、第2位は柏温泉リゾート、第3位はトーテムとなっています。これらは主に関係会社などの法人株主と推測されます。

氏名 持株比率
山河企画 7.33%
柏温泉リゾート 6.50%
トーテム 6.47%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は吉村浩太郎氏が務めています。社外取締役は2名です。

氏名 役職 主な経歴
吉村浩太郎 代表取締役社長 2014年サボテンパークアンドリゾート代表取締役に就任し、2016年同社取締役。2025年より現職。
北本幸寛 取締役 2000年ハートライン代表取締役、2007年クオンツ取締役等を経て、2014年同社代表取締役社長。2025年より現職。
金良姫 取締役 2014年同社社外取締役に就任し、2017年同社取締役に就任。2022年からはニッサントラベル取締役も兼任し現職。
坂本貴 取締役 2001年同社に入社し、2003年より経理部長。同社取締役や代表取締役を歴任し、2025年より再び同社取締役として現職。
桑原亮介 取締役 2015年に同社へ入社し、翌2016年より経営企画室長を務める。2025年より同社取締役に就任し現職。


社外取締役は、江口修司(元日興証券)、奥村百合子(トーテム入社)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レジャー事業」「アニタッチ事業」「ホテル事業」および「その他」事業を展開しています。

レジャー事業


伊豆シャボテン動物公園や伊豆ぐらんぱる公園など、伊豆半島に位置する複数のレジャー施設を運営し、国内外からの来園者に多様なエンターテインメントを提供しています。
主な収益源は来園者からの入園料や施設内での飲食・物販収入です。事業の運営は、同社の連結子会社である伊豆シャボテン公園が行っています。

アニタッチ事業


ショッピングモールなどの屋内に展開する動物ふれあい施設「アニタッチ」を全国で運営し、身近に動物と触れ合える癒やしの空間を顧客に提供しています。
来場者からの入場料や施設内での各種サービス利用料が主な収益源となります。本事業の運営も、レジャー事業と同様に伊豆シャボテン公園が担当しています。

ホテル事業


伊豆シャボテンヴィレッジやSKY-HILL HOTEL伊豆高原などの宿泊施設およびグランピング施設を運営し、レジャー施設との相乗効果を活かした宿泊体験を提供しています。
宿泊客からの宿泊料金や施設内での飲食・物販の提供に対する対価が主な収益源です。事業運営は連結子会社の伊豆ドリームビレッジが行っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、エンターテインメント事業や投資事業などのその他事業を展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあります。経常利益と当期利益も概ね高い水準を維持しており、2025年3月期には経常利益が12.5億円を超え、高い利益率を確保しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 24.1億円 33.9億円 46.5億円 54.9億円 55.9億円
経常利益 2.2億円 6.9億円 9.5億円 12.5億円 12.1億円
利益率(%) 9.0% 20.4% 20.5% 22.7% 21.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.2億円 0.2億円 3.2億円 2.6億円 4.2億円

(2) 損益計算書


売上高と売上総利益はともに前年から増加しており、売上総利益率は約80%と非常に高い水準を維持しています。一方、営業利益はわずかに減少しており、営業利益率は20.9%となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 54.9億円 55.9億円
売上総利益 43.8億円 44.6億円
売上総利益率(%) 79.8% 79.7%
営業利益 11.9億円 11.7億円
営業利益率(%) 21.7% 20.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が9.3億円(構成比28%)、減価償却費が4.3億円(同13%)、支払手数料が3.0億円(同9%)を占めています。売上原価は11.3億円(売上高に対する構成比20%)となっています。

(3) セグメント収益


主力のレジャー事業が増収となったほか、ホテル事業も堅調に推移しています。一方、アニタッチ事業は若干の減収となりましたが、利益面では増益を達成しており、全体として安定した収益基盤を構築しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
レジャー事業 35.3億円 36.6億円 8.5億円 8.1億円 22.1%
アニタッチ事業 12.6億円 12.3億円 3.2億円 3.4億円 27.8%
ホテル事業 7.0億円 7.0億円 0.6億円 0.2億円 3.4%
その他 0.0億円 0.0億円 -0.5億円 -0.1億円 -
連結(合計) 54.9億円 55.9億円 11.9億円 11.7億円 20.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスの「健全型」です。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 14.5億円 13.1億円
投資CF -8.0億円 -5.2億円
財務CF -5.3億円 -3.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.9%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も81.2%といずれも市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ご来園者の笑顔のために」をブランドスローガンに掲げています。社員や株主、地域社会、そして顧客といったすべてのステークホルダーとのつながりを大切にし、和衷共済による会社の発展と成長を共に歩む未来を目指しています。

(2) 企業文化


役職員に対し、高い倫理観と社会的責任に基づいて行動する企業風土の確立を指導しています。コンプライアンスを重視し、適宜外部の専門家と情報交換を行うことで法令違反を未然に防止し、ステークホルダーとの強固な信頼関係を築くことを行動の基本としています。

(3) 経営計画・目標


グループ全体でシナジーを高めながら企業価値の向上を図り、営業利益と継続的な当期純利益の計上を重視しています。また、多額の設備投資による減価償却費の影響を考慮し、営業利益に減価償却費を加算したEBITDAを重要な経営指標として取り扱っています。

(4) 成長戦略と重点施策


各公園の充実に加えて、イベントや効果的な宣伝広告を通じた集客力の強化を推進しています。また、ホテル事業の認知度向上や他社との協業による宿泊率の改善を図るとともに、アニタッチ事業では2029年3月期までに店舗数を現在の倍となる12店舗へ拡大することを目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な価値観を持つ従業員が多数在籍することが、会社の持続的な成長につながるとの考えから、社員の男女比を一定に保つなどの多様化策を講じています。人事や賃金制度、研修等の見直しにより優秀な人材の確保と成長を図り、働きやすい環境づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 33.4歳 6.8年 4,725,817円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 30.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規労働者) -
男女賃金差異(非正規労働者) -


※同社および連結子会社は、育児休業取得率および男女賃金差異について公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 天候や災害による影響


屋外のレジャー施設を多く運営しているため、悪天候の長期化や大震災、火災などの自然災害が発生した場合、一時的な入園者数の減少により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 動植物の管理と異常気象


動植物を展示・管理しており、専門家との連携で対応していますが、万が一病気の蔓延や異常気象による枯死などが発生した場合、集客力が低下し業績に悪影響を与えるリスクがあります。

(3) 事故による信頼低下


遊具施設や食品の安全対策には万全を期していますが、万一重大な事故や異物混入などが発生した場合、同社グループの信頼が低下し、損害賠償等による多額の費用負担が生じる可能性があります。

(4) 伊豆半島への誘客と景気動向


施設の多くが伊豆半島に集中しているため、同地域の観光産業の低迷や、未曾有の不景気による消費者のレジャー意欲低下が起きた場合、入園者数の減少につながるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。