【平均年収593万円】ケル 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収593万円】ケル 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

ケルは、電子・電気機器向けコネクタやラック、ハーネスの製造・販売を手がけています。海外にも事業を展開しており、直近の業績は増収減益となりました。


目次

※本記事は、ケル株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


ケルは、工業機器や画像機器などの電子・電気機器向けコネクタ、制御基板や周辺機器を収納するラック、およびコネクタとケーブルを接続したハーネスの製造・販売を手がけています。同社グループは、これらの製品を通じて幅広い産業分野に貢献しています。

単体従業員数は272名、連結従業員数は334名です。同社グループの事業セグメントは単一です。

国内においてはケルがコネクタ、ラック、ハーネスの製造・販売を一手に担い、海外7社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


ケルは、コネクタメーカーとしてグローバル市場での事業拡大と付加価値の高い製品開発を推進しています。同社グループは、社員一人ひとりの成長を重視し、多様な人材がウェルビーイングで活躍できる組織づくりを目指しています。このような方針のもと、従業員の定着と働きがいを支える環境整備に力を入れています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


ケルでは、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、安定した環境でキャリアを築いている人材が多い傾向がうかがえます。これは、同社が長期的な視点で人材を育成し、定着を促す取り組みを進めていることの表れと言えるでしょう。

項目 数値
平均年間給与 5,931,566円
平均勤続年数 16.3年
平均年齢 40.5歳
単体従業員数 272人
連結従業員数 334人
単体のグループ内比率 81.4%


ケルグループは、2005年4月1日より確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)及び退職一時金制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。当連結会計年度末の退職給付債務は4.3億円であり、確定拠出年金制度への要拠出額は37百万円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


ケルグループの人材戦略は、「組織の成長は働く一人ひとりが成長することでしか成し得ない」という原則に基づき、企業と従業員が共に成長することを目指しています。グローバルビジネスへの転換を図る中で、人材の確保と育成を重要課題と位置づけ、多様な人材が活躍できる組織づくりやエンゲージメントの強化を中核としています。

給与その他の給付の額及び内容は、仕事に向き合う姿勢や期待役割の遂行から生み出される会社業績への貢献度を基軸として決定されます。1年に3回の人事考課を通じて公平公正な人事制度を実現し、従業員のキャリア意識に向き合った人事施策を進めています。

また、同社グループは「多様な人材がウェルビーイングで活躍できる組織づくり」をマテリアリティに掲げ、ダイバーシティ推進と働きがいのある職場環境の整備を進めています。人材育成においては、階層別研修、コンプライアンス研修、評価者研修、キャリア研修を継続的に実施し、組織力の強化を図っています。さらに、将来の持続的成長と中長期的な企業価値向上に向け、次世代経営人材の育成を目的とした「次世代人材育成プログラム」を導入し、運用を開始しています。健康経営の推進や、多摩センターオフィスの開設による柔軟な働き方の推進、就業環境の改善にも取り組んでいます。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。

指標 数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 5.9%
男性労働者の育児休業取得率 25.0%
労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) 78.1%
労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) 83.1%
労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) 69.9%

多様な人材がウェルビーイングで活躍できる組織づくり

指標 数値
新規採用者数に占める女性の割合 33.3%
離職率 6.8%
管理職に占める女性従業員の割合 5.9%
有給休暇取得率 69.7%
育児休業取得率(全体) 62.5%
育児休業取得率(男性従業員) 25.0%
キャリアアップ研修(女性従業員対象)受講率 98.8%
階層別研修受講率 100.0%
コンプライアンス研修受講率 100.0%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


ケルは、電子・電気機器の接続部品や収納システムを提供する企業です。同社グループは、コネクタやラックなどの製造・販売を主な事業としています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、単一セグメントで事業を展開しており、主にコネクタ、ラック、ハーネスの製造・販売を手掛けています。コネクタ事業では、工業機器や画像機器などの電子・電気機器において、プリント基板間や機器内、機器間の電気的接続・切り離しを行うための製品を提供しています。ラック事業では、制御基板や周辺機器の収納をシステム化した製品を製造・販売しています。また、コネクタとケーブルを接続したハーネスも提供しています。

収益は、これらの製品を工業機器、医療機器、画像機器、車載機器、遊技機器、通信機器、電子応用装置、事務用機械など、幅広い市場に提供することで得ています。当連結会計年度においては、工業機器市場および遊技機器市場向けコネクタの受注が好調に推移し、医療機器市場および画像機器市場向けコネクタの受注も堅調でした。一方で、車載機器市場および通信機器市場向けコネクタの受注は減少しました。ラック事業では、電力および車両関連向けの特注ラックの受注は堅調でしたが、医療機器向け特注ラックの受注は減少する傾向にありました。

同社グループは、日本国内だけでなく、中国、その他アジア(台湾、韓国、タイなど)、欧州、北中米といった海外地域にも製品を販売しており、国際的な事業展開を行っています。特定の顧客への売上集中も見られ、サンワテクノス株式会社への販売実績は同社グループの総販売実績の一定割合を占めています。

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にありますが、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は減少傾向にあります。当連結会計年度の売上高は前期から増加しましたが、営業利益および経常利益は大きく減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益も減少しています。

利益の減少は、原材料価格の高騰による売上原価の上昇や、中国工場の量産開始遅延による生産効率の改善効果の想定下回りが主な要因です。また、将来の事業拡大を見据えた研究開発投資や、国内新拠点開設、中国工場設立に伴う設備投資による減価償却費および販売費及び一般管理費の増加も影響しています。さらに、製品不具合対策費を特別損失として計上したことも、親会社株主に帰属する当期純利益の減少につながりました。

一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは前期から増加しており、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費の計上が寄与しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 128億円 145億円 122億円 119億円 129億円
経常利益 21.4億円 25.4億円 12.7億円 5.9億円 3.8億円
経常利益率 16.7% 17.5% 10.4% 4.9% 3.0%
親会社株主に帰属する当期純利益 14.6億円 17.3億円 8.5億円 4.0億円 2.1億円
1株当たり当期純利益(円) 200.29 237.51 117.30 55.23 28.92

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、事業規模の拡大が見られます。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から減少しています。これは、売上高の増加に対して、原材料価格の高騰や研究開発投資、設備投資に伴う費用増加が利益を圧迫している状況を示しています。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 37.7百万円 38.5百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 1.9百万円 0.9百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


ケルは、本業で安定した資金を生み出し、財務基盤を堅固にしている状況です。手元資金の厚みやキャッシュフローの状況から、同社グループの経営の安定性を確認できます。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率によって堅固な状態を示しています。当期の自己資本比率は80.7%であり、プライム市場の製造業平均と比較しても高い水準です。これにより、外部環境の変化にも耐えうる安定性が期待できます。

一方で、ROE(自己資本利益率)は1.4%となっており、プライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は45.3億円を確保しており、事業運営に必要な流動性を維持しています。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 152億円 153億円
自己資本比率 81.8% 80.7%
ROE(自己資本利益率) 2.6% 1.4%
現金及び預金 48.8億円 45.3億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に14.5億円のプラスとなり、前期から増加しています。これは、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費の計上などによるものです。投資活動によるキャッシュフローは13.8億円のマイナスとなり、前期よりも使用した資金が増加しています。これは主に有形固定資産の取得による支出があったためです。

財務活動によるキャッシュフローは5.9億円のマイナスで、配当金の支払いなどによる資金流出を示していますが、前期からは減少しています。結果として、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは0.7億円のプラスとなっており、本業で得た資金を成長投資に充てつつ、余剰資金を生み出している状況です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来に向けた投資も行っていることを示しており、雇用や給与の安定性、そして会社の成長性につながる要素となります。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 11.6億円 14.5億円
投資CF △10.7億円 △13.8億円
財務CF △6.4億円 △5.9億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 0.8億円 0.7億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、エレクトロニクス業界の市況変動や競争激化による価格競争、受注環境の悪化を事業リスクとして認識しています。また、海外事業の強化・拡大を基本方針としていますが、海外市場での顧客開拓や販売ネットワーク構築が計画通りに進まない場合、成長機会の逸失や業績への影響が生じる可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、将来の成長を有能な技術者をはじめとする人材の確保と育成に左右されるリスクとして認識しています。このリスクに対し、年間を通じた採用活動や人事制度の整備、各種教育・研修の実施を通じて人材育成に取り組んでいます。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


ケルは、高品質な小型コネクタの提供を通じてエレクトロニクス市場に貢献してきた専門メーカーです。最先端の接続技術を追求し、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


ケルグループは「コネクタメーカーとして、世界に貢献できる企業になる。」という経営ビジョンを掲げています。創業以来、高品質の小型コネクタをエレクトロニクス市場に提供することを基本として運営してきました。

コネクタの専門メーカーとして、高密度・高速化する産業用機器に対応し、市場ニーズを先取りした製品を開発・供給し続けることを最優先課題としています。2031年3月期までを見据えた第1次長期経営計画「KEL VISION 2030」を策定し、その実現に向けて取り組んでいます。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


ケルグループは、以下の経営基本方針を掲げ、企業活動の基盤としています。オープンでフェアな企業活動を基本とし、信頼される企業を目指しています。最先端技術の研究と開発に努め、顧客の要望に応える魅力ある商品を提供しています。

個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくることを重視しています。また、効率的な経営を通じて、長期安定的な成長と共存共栄を実現することを目指しています。同社グループは「多様な人材がウェルビーイングで活躍できる組織づくり」をマテリアリティの一つとして掲げ、ダイバーシティの推進と働きがいのある職場環境の整備を進めています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


ケルグループは、持続的成長を実現するための重要な経営課題として、品質管理体制および製造現場の生産性向上に取り組んでいます。社長直轄の専任部門「品質改革推進室」を設置し、品質およびものづくりの生産性向上にスピーディに取り組む方針です。

国内外の生産体制見直しも進めており、国内では製造プロセスの再構築、海外(中国)では現地生産・現地供給の戦略拠点としての強化を図っています。また、的確な開発テーマの選定と開発力強化、開発人員の質・量両面での強化を通じて、高付加価値製品を生み出す開発体制の構築を目指しています。

サステナビリティへの取り組みも重要な経営基盤と位置づけており、気候変動対策や多様な人材がウェルビーイングで活躍できる組織づくり、ガバナンス強化をマテリアリティとして特定しています。健康経営の推進や次世代経営人材の育成を目的とした「次世代人材育成プログラム」の導入も進め、人的資本への投資を強化しています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


ケルは監査等委員会設置会社であり、取締役会は監査等委員である取締役によって監督される体制となっています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


ケルは、事業会社である菊水ホールディングスが筆頭株主として名を連ねています。その他、日本生命保険相互会社や三菱UFJ銀行といった金融機関・機関投資家も上位株主として同社を支える構成となっています。

株主名 持株比率
菊水ホールディングス 7.04%
日本生命保険相互会社 4.01%
三菱UFJ銀行 4.01%
THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LTD - SINGAPORE BRANCH PRIVATE BANKING DIVISION CLIENTS A/C 8221-623793 3.84%
橋本幸雄 3.16%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は春日明氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
春日 明 代表取締役社長 技術本部長 1995年4月同社入社、2014年7月第三技術部長、2019年6月取締役就任、2022年6月代表取締役社長就任より現職。
関根 健太郎 常務取締役 営業本部長 経営企画室部長 1997年4月同社入社、2014年7月第二営業部長、2020年6月取締役就任、2021年6月常務取締役就任より現職。
代永 秀延 取締役 生産改革プロジェクト担当兼 生産改革室部長 1982年4月同社入社、2010年4月製造技術部長、2021年6月取締役就任、2025年6月生産改革プロジェクト担当兼生産改革室部長より現職。
牧田 直規 取締役 コーポレート本部長 1993年4月㈱サンクスアンドアソシエイツ入社、2010年1月同社入社、2021年6月取締役就任、2023年4月コーポレート本部長より現職。


社外取締役は、太田三男氏(新東工業執行役員コーポレート部長・監査等委員)、山本恭仁子氏(監査法人Bloom代表パートナー・監査等委員)です。

同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役2名を含む監査等委員である取締役3名が、独立した立場で取締役の職務執行を監査する体制となっています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社の役員報酬は、取締役(監査等委員を除く)に対しては固定の月額報酬、業績連動の役員賞与、譲渡制限付株式報酬で構成されています。一方、監査等委員である取締役には固定の月額報酬のみが支給される体系となっています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(監査等委員及び社外除く) 4名 91百万円 22.8百万円
監査等委員(社外除く) 1名 6百万円 6.2百万円
社外役員 2名 19百万円 9.4百万円


なお、当事業年度において業績連動報酬としての役員賞与の支給はありません。非金銭報酬等は譲渡制限付株式であります。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。