※本記事は、菊水ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
菊水ホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は19名、グループ連結従業員数は345名です。
同社グループは、電気計測器等の製造、販売を主な事業内容としています。連結子会社7社を中心に、eモビリティ、次世代エネルギー、パワー半導体、データセンターの4市場を重点領域とし、国内外で評価及び測定ソリューションビジネスを展開しています。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)菊水電子工業、(連結子会社)菊水エムズ(電気計測器等の製造)、(連結子会社)フジテックなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
菊水ホールディングスは、持株会社としてグループ全体の経営力強化と持続的な成長を重視しています。人材を重要な経営資源と位置づけ、多様な人材の活用と働きやすい環境整備を通じて、企業価値の向上を目指す方針です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
菊水ホールディングスでは、平均勤続年数が長く、従業員の定着性が高い傾向が見られます。平均年齢も比較的高く、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,672,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.2年 |
| 平均年齢 | 44.8歳 |
| 単体従業員数 | 19人 |
| 連結従業員数 | 345人 |
| 単体のグループ内比率 | 5.5% |
なお、直近の主要子会社のデータは以下の通りです。
| 会社名 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 菊水電子工業 | 40.8歳 | 13.0年 | 8,138,000円 |
同社グループは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の退職給付制度を採用しています。この制度は、同社および国内連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も設けていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
直近の退職給付債務は11.0億円、年金資産は12.5億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
菊水ホールディングスグループは、人材を持続的な企業価値向上のための重要な経営資源と位置付けています。グローバルビジネスやソリューションビジネスの拡大といった事業戦略に合わせた人材戦略を推進し、人材の確保・育成、公正な評価制度の運用、働きやすい職場環境の整備に力を入れています。
従業員の給与は、職務内容、役割、経験、能力に加え、会社業績や外部環境を総合的に考慮して決定されます。給与体系は基本給と各種手当で構成され、賞与は業績や個人の評価結果を勘案して別途支給される仕組みです。
人材育成においては、多様な視点や考え方を取り入れることを重視し、性別・国籍・中途採用者を問わず、多様な人材の活用を推進しています。全てのステークホルダーの人権を尊重し、多様な人材が能力を最大限発揮できる機会を提供しています。
社内環境整備では、全ての従業員の健康と安全に配慮した適切な労働環境を提供し、個性を尊重した公平な雇用環境の維持に努めています。育児や介護といった環境変化に対応した働き方を模索し、継続的な雇用を実現するための環境整備も進められています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性の育児休業取得対象者がいないため、男性育児休業取得率は公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 57.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 88.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 39.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 菊水電子工業
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 82.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 41.8% |
▼ 菊水エムズ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 41.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 82.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 44.6% |
グループ全体(連結)
対象は同社および主要な連結子会社です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員総数 | 305名 |
| 女性従業員比率 | 16.7% |
| 管理職比率 | 21.3% |
| 管理職に占める中途採用者比率 | 53.8% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
菊水ホールディングスは、電気計測器等の製造と販売を主な事業内容とする持株会社グループです。子会社7社とともに、専門性の高い技術と製品を通じて顧客のニーズに応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、電気計測器等の製造、販売を主軸としています。連結子会社である菊水電子工業は研究開発、販売、修理を、菊水エムズは製造を、フジテックは物流業務や製造作業を担っています。海外では、菊水貿易(上海)有限公司、KIKUSUI AMERICA,INC.、Kikusui Electronics Europe GmbH、KIKUSUI ELECTRONICS INDIA PRIVATE LIMITEDがそれぞれの地域で販売や修理サービスを提供しています。
同社グループは「パワーエレクトロニクス分野の評価及び測定ソリューション」をテーマに掲げ、eモビリティ、次世代エネルギー、パワー半導体、データセンターの4市場を重点市場としています。これらの市場における設備投資需要を取り込むことで売上を拡大しています。
主力製品は「電子計測器群」と「電源機器群」に大別されます。電子計測器群では、EV用バッテリの耐電圧・絶縁抵抗試験用機器や航空用電子機器の測定器が好調に推移しています。電源機器群では、直流電源が宇宙産業や車載関連市場、エネルギー関連市場などで、交流電源が車載関連市場やデータセンター関連市場などで評価試験や製造設備用として活用されています。
海外市場での売上も大きく、米国では宇宙産業市場やデータセンター関連市場向けの直流電源、エネルギー関連市場向けの交流電源が好調です。アジア地域では、中国の電池関連市場向け安全関連試験器や、韓国、東南アジア、インドにおける車載関連市場やデータセンター関連市場向けの製品が動きを見せています。特定の顧客として、日本電計への販売実績が一定の割合を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加傾向で推移しています。特に当連結会計年度は、売上高が前期から増加し、それに伴い営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益もそれぞれ増加となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 101億円 | 121億円 | 125億円 | 134億円 | 147億円 |
| 経常利益 | 10.9億円 | 15.3億円 | 19.2億円 | 21.2億円 | 22.7億円 |
| 経常利益率 | 10.8% | 12.7% | 15.4% | 15.8% | 15.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.1億円 | 10.7億円 | 13.0億円 | 14.4億円 | 16.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 85.13 | 128.36 | 155.38 | 173.41 | 193.38 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高と営業利益は、当連結会計年度において前期から増加しています。これは、連結従業員数が増加する中で、売上高と営業利益がそれを上回る伸びを示したことによるものです。この傾向は、同社グループの生産性が向上し、収益体質が強化されていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 40.2百万円 | 42.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.0百万円 | 6.2百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
菊水ホールディングスは、本業で安定した資金を生み出し、投資活動後も余剰資金を確保している状況です。これにより、将来に向けた事業展開と財務の健全性を両立させていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは、高い自己資本比率と潤沢な現金及び預金を維持しており、強固な財務基盤を築いています。収益性を示すROEもプライム市場平均を上回る水準で推移しており、安定した経営状況を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 141億円 | 157億円 |
| 自己資本比率 | 80.6% | 82.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.5% | 10.8% |
| 現金及び預金 | 47.2億円 | 59.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や棚卸資産の減少により、22.8億円の収入となりました。これは本業で安定的に資金を創出していることを示しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形固定資産の取得、定期預金の純増加により、△9.1億円の支出となりました。これは将来の成長に向けた投資を積極的に行っている状況です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、△4.5億円の支出となりました。営業活動で得た資金が投資活動の支出を上回り、フリーキャッシュ・フローは13.7億円のプラスとなっています。この資金状況は、事業の成長と安定した雇用を支える基盤となっていると考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 21.5億円 | 22.8億円 |
| 投資CF | △2.1億円 | △9.1億円 |
| 財務CF | △3.9億円 | △4.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 19.3億円 | 13.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、電気計測器等の需要が顧客の設備投資動向や購買政策の影響を受けるリスクを認識しています。主要市場における景気後退や需要の縮小は、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、海外売上高の拡大や海外生産委託の拡充に注力しているため、為替が大幅に変動した場合に業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、将来の成長と成功が有能なエンジニアやキーマンに依存する部分が大きいと認識しています。高い技術力を持ったエンジニアの確保やキーマンの育成ができない場合、業績と財務状況及び将来の成長に影響が及ぶ可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
菊水ホールディングスは、お客様に喜ばれる商品の提供を通じて社会の発展に貢献することを目指し、技術開発力とマーケティング力の向上に努めている会社です。社会環境の変化に対応できる体制を構築し、安定した永続的な発展を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
菊水ホールディングスグループは、「お客様に喜ばれる商品の提供を通じて社会の発展に貢献する」ことを経営の基本方針としています。技術開発力とマーケティング力の向上に努め、社会環境の変化に対応できる体制を構築し、安定した永続的な発展を目指しています。
また、「私たち菊水は自由で豊かな発想と行動力で“創発”し社会と共に進化します」という経営ビジョンを掲げています。このビジョンに基づき、「パワーエレクトロニクス分野の評価及び測定ソリューション」をテーマとした経営計画を進めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
菊水ホールディングスグループは、多様な人材の活用を推進し、性別、国籍、中途採用者を問わず、多様な視点や考え方を取り入れることを重視しています。社会的に弱い立場にある人を含む全てのステークホルダーの人権を尊重し、多様な人材が能力を最大限発揮できる機会を提供しています。
また、全ての従業員の健康と安全に配慮した適切な労働環境を提供し、個性を尊重した公平で適切な雇用環境の維持に努めています。ステークホルダーとの友好関係を保ちながら、持続可能な社会の実現に向けた活動を推進する企業風土を大切にしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
菊水ホールディングスグループは、複雑化する経営環境の中で、効率的で健全な企業経営を目指しています。IR活動の推進により企業価値向上に取り組み、積極的な情報開示で透明性の高い経営にも注力しています。
また、お客様満足に向けた品質の確保に加え、循環型社会の構築への貢献を目指しています。設計から廃棄までの全てのステージで環境影響を考慮した事業活動を展開し、全てのステークホルダーに安心・安全を提供しています。
人的資本においては、女性の雇用に一層力を入れ、育児や介護等の環境変化に対応した働き方を模索し、継続的な雇用を実現する環境整備に努めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
菊水ホールディングスは、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能強化とコーポレート・ガバナンスの充実を図っています。経営環境の変化に迅速に対応し、株主重視の経営体制を構築することを基本的な考え方としています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
菊水ホールディングスの筆頭株主は菊水取引先持株会であり、同社グループの取引先との関係性が資本面でも示されています。また、上位株主には株式会社ケーティーエムや金融機関、個人株主が名を連ねています。従業員持株会も上位に位置しており、従業員による株式保有も特徴の一つです。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 菊水取引先持株会 | 11.68% |
| ケーティーエム | 10.92% |
| みずほ銀行 | 4.32% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長内部監査室長は小林一夫氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小林 剛 | 専務取締役経営企画室長 | 1982年4月 ケル株式会社入社、2001年6月 同社常勤監査役、2003年6月 同社取締役人事総務部門担当、2022年10月 同社専務取締役経営企画室長より現職。 |
| 齋藤 士郎 | 常務取締役管理本部長 | 1982年3月 同社入社、2000年4月 同社執行役員経理部門担当、2006年6月 同社取締役経理部門・情報管理部門・人事総務部門・法務室・広報室担当、2021年4月 同社常務取締役管理本部長より現職。 |
社外取締役は、阿瀬薫氏(阿瀬薫税理士事務所開設)、内山進一氏(元森永製菓取締役上席執行役員・監査等委員)、新谷逸男氏(新谷逸男税理士事務所開設・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社へ移行しており、取締役会の監督機能強化とガバナンスの充実を図っています。社外取締役は、内部監査室や会計監査人と連携し、内部統制に関する助言や提言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
菊水ホールディングスの役員報酬は、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)に対して固定報酬、賞与、株式報酬で構成されています。社外取締役(監査等委員を除く)は固定報酬のみが支払われます。業績連動報酬は賞与として連結営業利益等を勘案して決定され、非金銭報酬は譲渡制限付株式報酬として支給されます。監査等委員である取締役の報酬は固定報酬です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.7億円 | 56.8百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.4百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 11百万円 | 3.6百万円 |
業績連動報酬は当事業年度に係る役員賞与引当金繰入額、非金銭報酬は譲渡制限付株式報酬制度に基づく当事業年度における費用計上額です。
連結報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示はありません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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