※本記事は、ガリレイ株式会社(旧会社名 フクシマガリレイ株式会社) の有価証券報告書(第74期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ガリレイってどんな会社?
業務用冷凍冷蔵庫やショーケースの製造販売を主力とし、食のインフラを支える冷熱技術の総合メーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1951年に大阪で設立され、業務用冷凍冷蔵庫の製造・販売を開始しました。1994年に株式を公開し、2005年には東京証券取引所市場第一部へ上場しました。その後、断熱パネルや食品機械メーカー等を連結子会社化し事業領域を拡大。2019年にフクシマガリレイへ商号変更し、2025年4月には持株会社体制へ移行し、現社名となりました。
2025年3月31日現在の従業員数は連結2,829名、単体2,036名です。筆頭株主は創業家資産管理会社の福島機器販売で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位は代表取締役会長の福島裕氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 福島機器販売 | 21.15% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.34% |
| 福島 裕 | 4.92% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役会長は福島裕氏、代表取締役社長執行役員は福島豪氏です。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 福 島 裕 | 代表取締役会長 | 1975年4月同社入社。営業本部長等を経て1992年4月代表取締役社長に就任。2022年6月代表取締役会長CEO、2025年4月よりフクシマガリレイ取締役会長を兼務。 |
| 福 島 豪 | 代表取締役 社長執行役員 | 2005年1月同社入社。東日本支社長、営業本部長等を経て2022年6月代表取締役社長執行役員COOに就任。2024年5月よりフクシマガリレイ代表取締役社長を兼務。 |
| 福 島 亮 | 取締役 副会長執行役員海外事業担当 | 1981年4月同社入社。本社工場長、営業本部長、ガリレイパネルクリエイト社長等を経て2025年4月より現職。 |
| 片 山 充 | 取締役 常務執行役員 | 1977年1月同社入社。福岡支店長、西日本支社長等を歴任。2022年6月取締役常務執行役員西日本支社長、2025年4月より現職。 |
| 長 尾 健 二 | 取締役 常務執行役員グループ生産統括・品質保証担当 | 1979年4月同社入社。滋賀工場長、製造本部長等を歴任。2022年6月よりグループ品質管理責任者等を兼務し、2025年4月より現職。 |
| 水 谷 浩 三 | 取締役 上級執行役員 | 1984年4月同社入社。営業戦略部長、東日本支社長等を歴任。2022年6月より取締役上級執行役員中部支社長。 |
| 堀 之 内 健 士 | 取締役(常勤監査等委員) | 1981年4月同社入社。大阪営業二部長、北海道支店長等を経て2021年6月より現職。 |
社外取締役は、竹内博史(元コニカカラーイメージング社長)、藤川隆夫(元綜合警備保障常勤監査役)、吉年慶一(元三洋電機執行役員)、梨岡英理子(梨岡会計事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、業務用冷凍冷蔵庫、冷凍冷蔵ショーケース、食品加工機械などの製造販売およびメンテナンスサービスを展開しています。
■フードサービス販売
飲食店、ホテル、学校給食、病院などで使用される業務用冷凍冷蔵庫、製氷機、ブラストチラー(急速冷却機)、食器洗浄機などを提供しています。主な顧客は外食産業や給食事業者が中心です。
収益は、これらの機器の製品販売によって得ています。運営は、主に製造・販売を行うフクシマガリレイや、食器洗浄機などを手掛ける日本洗浄機が担っています。
■冷凍冷蔵ショーケース販売
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどの小売店で使用される冷凍冷蔵ショーケースを提供しています。商品を陳列しながら適温で保管するための設備です。
収益は、ショーケース本体および関連システムの販売から得ています。運営は主にフクシマガリレイが行っており、国内だけでなく海外子会社を通じた販売も行っています。
■大型食品加工機械販売
食品工場やセントラルキッチン向けに、トンネルフリーザーなどの大型冷凍設備や生産ラインシステムを提供しています。食品の大量生産・加工を行うメーカーが主な顧客です。
収益は、これら大型設備の設計・製造・販売から得ています。運営は、タカハシガリレイなどのグループ会社が連携して行っています。
■パネル冷蔵設備販売(大型・小型)
冷蔵倉庫、食品工場、物流センターなどで使用される断熱パネルやプレハブ冷蔵庫を提供しています。大型パネルは物流拠点等、小型パネルは店舗バックヤード等で利用されます。
収益は、断熱パネルの製造・販売および施工から得ています。運営は、ガリレイパネルクリエイトなどが担っています。
■サービス
納入した冷凍冷蔵機器や設備の保守・メンテナンス、修理、フロン排出抑制法に基づく点検業務などを提供しています。
収益は、修理対応や保守契約に基づくサービス料から得ています。運営はフクシマガリレイおよびグループのサービス網が行っています。
■医療・理化学製品販売
医療機関や研究所向けに、薬用保冷庫、血液保冷庫、インキュベータ(培養器)などを提供しています。
収益は、これら理化学機器の販売から得ています。運営は主にフクシマガリレイが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、2021年3月期から2022年3月期にかけて大きく伸長し、その後も高水準を維持しつつ、直近の2025年3月期には経常利益が過去最高水準に達しています。利益率も安定して10%台を推移しており、収益性の高い事業運営が継続しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 825億円 | 961億円 | 1,050億円 | 1,158億円 | 1,306億円 |
| 経常利益 | 87億円 | 113億円 | 123億円 | 162億円 | 172億円 |
| 利益率(%) | 10.5% | 11.7% | 11.7% | 14.0% | 13.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 59億円 | 69億円 | 67億円 | 92億円 | 90億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。売上原価率の上昇が見られますが、売上規模の拡大により営業利益は増益を確保しています。営業利益率は前期よりわずかに低下しましたが、依然として高い水準を維持しており、本業での稼ぐ力は堅調です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,158億円 | 1,306億円 |
| 売上総利益 | 324億円 | 361億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.0% | 27.6% |
| 営業利益 | 153億円 | 166億円 |
| 営業利益率(%) | 13.2% | 12.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当などの人件費(報酬給料及び諸手当)が67億円(構成比34%)、運送費(荷造運賃)が38億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全ての製品・サービス区分において売上高が増加または横ばいで推移しており、特にフードサービスや大型食品加工機械の伸びが顕著です。冷凍冷蔵ショーケースも主力として堅調に拡大しています。全体としてバランスよく各事業が成長しており、特定の分野に依存しすぎない収益構造となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| フードサービス | 254億円 | 306億円 |
| 医療・理化学製品 | 13億円 | 13億円 |
| 冷凍冷蔵ショーケース | 467億円 | 529億円 |
| 大型食品加工機械 | 72億円 | 85億円 |
| 大型パネル冷蔵設備 | 160億円 | 158億円 |
| 小型パネル冷蔵設備 | 71億円 | 78億円 |
| サービス | 121億円 | 137億円 |
| 連結(合計) | 1,158億円 | 1,306億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)を使って、設備投資や成長投資を行い(投資CFマイナス)、借入金の返済や配当支払いを進めている(財務CFマイナス)ため、「健全型」と言えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 126億円 | 104億円 |
| 投資CF | -29億円 | -95億円 |
| 財務CF | -23億円 | -21億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.4%で市場平均を大きく上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、企業理念として『わたしたちは、環境・安全・安心をテーマにお客様と協働し、生活者の「幸せ」に寄与することを基本使命とします』を掲げています。これは、顧客と同じ視点で、食生活品質(おいしさ、安心、健康、環境など)の向上を考え実現することが最も重要であるという考えに基づいています。
■(2) 企業文化
同社は、企業理念に掲げる「幸せ」四則の実践を重視しています。具体的には、①生活者の「幸せ」に寄与、②お客様の「幸せ」に貢献、③社員の物心両面の「幸せ」を追求、④株主や取引先に「幸せ」を提供、の4つです。また、「食といのちの未来を拓く挑戦者」として、社員の人間性や技術力の向上により信頼関係を築くことを目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、利益重視の観点から「連結売上高営業利益率10.0%」を目標に掲げています。売上の拡大を図りつつ、付加価値の高い製品の開発・販売およびコスト競争力の強化を推進しています。直近の連結売上高営業利益率は12.7%となり、目標水準を達成しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、環境対応と海外展開、サービス強化を軸に成長を目指しています。特に「環境先進企業」としてグリーン冷媒への転換や省エネ製品の開発を進め、2029年までにGWP(地球温暖化係数)の低減目標を掲げています。また、AIを活用した予防保全サービス「Zero Call Company(ZCC)」の推進や、海外事業の中期計画「GALILEI Global Vision 2030」に基づき、ベトナムやインドネシア等での展開を強化しています。
* GWP(地球温暖化係数):2029年目標値150(内蔵型)、750(別置型)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、事業拡大のため優秀な人材の確保と育成を重要課題と位置づけています。サービス・工事事業の専門人材育成を目的とした「ガリレイアカデミー」を運営し、今後は協力会社向けにも取り組みを広げ、次世代のコールドチェーンを支える技術者の育成に注力しています。また、職場環境の整備と健康経営の実践により、多様な人材が能力を発揮できる「働き方改革」を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 36.4歳 | 10.4年 | 6,642,668円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.3% |
| 男性育児休業取得率 | 62.1% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 63.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 41.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況
同社の主力製品である冷凍冷蔵庫等の需要は、流通業界や外食産業の経営環境に大きく依存します。景気後退や個人消費の低迷、新たな感染症の拡大などにより、顧客の設備投資意欲が減退した場合、同社の業績に影響を与える可能性があります。また、顧客の財政状態悪化による債権回収リスクも存在します。
■(2) 価格競争
既存の製品群において競合他社との競争が激化しています。同社は技術力やサービス力による高付加価値化で対抗していますが、想定を超える低価格競争が進行した場合、利益率の維持が困難になり、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) コンプライアンスリスク
同社は法令遵守に努めていますが、2025年2月には下請法違反に関する是正勧告を受けました。今後、同様のコンプライアンス違反が発生した場合、社会的信用の低下や課徴金等の行政処分により、業績に影響を与える可能性があります。同社は再発防止策を実施し、体制強化を図っています。
■(4) 有価証券の価値変動リスク
同社は取引先との関係維持などの目的で市場性のある有価証券を保有しており、2025年3月末時点で114億円相当になります。株価変動により評価損益が発生し、財政状態や業績に影響を与える可能性があります。現状では含み益の状態ですが、市況次第で変動するリスクがあります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。