高見沢サイバネティックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高見沢サイバネティックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高見沢サイバネティックスは、東京証券取引所スタンダード市場に上場する電子制御機器メーカーです。自動券売機やホームドアシステム等の交通システム機器、メカトロ機器、特機システム機器の設計から製造、販売、保守までを展開しています。直近の業績は、前年の大型案件の反動等により減収減益となっています。


※本記事は、株式会社高見沢サイバネティックスの有価証券報告書(第57期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 高見沢サイバネティックスってどんな会社?


交通システム機器やメカトロ機器、特機システム機器の設計から製造、保守までを手がける電子制御機器メーカーです。

(1) 会社概要


1969年10月に髙見澤電機製作所の自販機事業部の一部が独立し設立されました。1996年に店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所に上場、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。2015年に高見沢ソリューションズを設立するなど開発体制を強化し、事業を展開しています。

従業員数は連結で566名、単体で412名です。筆頭株主は富士電機で、第2位は富士通、第3位は富士通フロンテックです。上位株主には事業で関係の深い事業会社が名を連ねており、富士電機とは一部製品の相互供給などを実施しています。

氏名 持株比率
富士電機 14.06%
富士通 7.15%
富士通フロンテック 5.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長 社長執行役員は髙見澤和夫氏が務めています。取締役14名のうち、社外取締役は2名です。

氏名 役職 主な経歴
髙見澤和夫 代表取締役社長社長執行役員 1987年同社入社。高見沢サービス代表取締役社長などを経て2000年代表取締役社長に就任。2024年より現職。
竹田一雄 専務取締役専務執行役員 1979年同社入社。社会システム本部長などを経て2012年取締役。2024年より現職。
髙橋利明 取締役常務執行役員管理本部長 1979年同社入社。企画室長などを経て2016年取締役管理本部長兼経営企画室長に就任。2025年より現職。
下里雄二 取締役常務執行役員営業本部長 1984年同社入社。メカトロ事業部長などを経て2018年取締役営業本部長に就任。2024年より現職。
藤曲宏弥 取締役常務執行役員テクニカル本部長 1983年同社入社。メカコン設計センター長などを経て2020年取締役テクニカル本部長に就任。2024年より現職。
上原良房 取締役執行役員TPP本部長 1982年同社入社。テクニカル本部長などを経て2020年取締役TPP本部長に就任。2024年より現職。
土屋浩治 取締役執行役員ものづくり本部長 1986年同社入社。生産センター長などを経て2021年ものづくり本部長に就任。2024年より現職。
荒井元 取締役執行役員品質保証本部長 1983年同社入社。品質保証センター長などを経て2021年品質保証本部長に就任。2024年より現職。


社外取締役は、髙橋康宏(元富士電機執行役員常務兼食品流通事業本部長)、野口真一郎(富士通フロンテックシステムズエグゼグティブディレクター)です。

2. 事業内容


同社グループは、「電子制御機器」の単一セグメントの中で複数の事業分野を展開しています。

(1) 交通システム機器


自動券売機をはじめとした出改札機器やホームドアシステム等の設計、製造を行い、主に鉄道事業者等に販売しています。

収益は、鉄道事業者への製品販売やシステムの提供により得ています。製造および販売は高見沢サイバネティックスが行い、各種機器の設置や調整、保守サービスなどは高見沢サービスに委託しています。

(2) メカトロ機器


各種ユニットの設計、製造を行い、主に装置メーカーに対して販売しています。

収益は、装置メーカーへのユニット販売によって得ています。製造および販売は高見沢サイバネティックスが行っており、一部製品の製造は高見沢メックスに委託しています。また、富士電機とは一部製品の相互供給を行っています。

(3) 特機システム機器


セキュリティシステム、防災計測システム、パーキングシステムの設計、製造、販売を行っています。

収益は製品販売や駐輪場の運営管理等から得ています。高見沢サイバネティックスが製造販売を担い、高見沢メックスや高見沢ソリューションズに一部設計や製造を委託しています。高見沢サービスは保守サービスのほか、駐輪場の運営管理業務等を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高および経常利益は順調な拡大基調にありましたが、直近の2026年3月期においては前年の大型案件の反動などにより減収減益に転じました。利益率も前年の8.5%から4.6%へと低下しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 99億円 107億円 131億円 154億円 129億円
経常利益 2億円 6億円 9億円 13億円 6億円
利益率(%) 2.2% 5.9% 7.2% 8.5% 4.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 4億円 6億円 8億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益と営業利益も減少しています。一方で、生産体制の見直し等による原価率の低減に努めた結果、売上総利益率は前年より改善しています。営業利益率はベースアップの実施や新規事業に向けた投資などにより低下しました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 154億円 129億円
売上総利益 43億円 38億円
売上総利益率(%) 28.2% 29.4%
営業利益 14億円 6億円
営業利益率(%) 8.9% 4.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料が10億円(構成比32%)、試験研究費が5億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は電子制御機器の製造販売およびこれら付随業務の単一セグメントであるため、全社の売上高推移を示しています。ホームドアシステムや防災計測システムは順調に推移しましたが、前年の出改札機器の新規・更新案件等の反動により減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
電子制御機器 154億円 129億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 9億円 6億円
投資CF -5億円 -4億円
財務CF -6億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「世の中に必要不可欠な製品及びサービスを提供する」ことを経営の基本方針として掲げています。技術の発展や利用者の環境変化により絶え間なく変化する顧客ニーズを捉え、社会インフラの分野を中心に、同社独自のコア技術を応用した製品やサービスを提供し続けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「世の中に必要不可欠な会社を創造する」ことを社訓として掲げています。これは「私達はこの世の中に必要不可欠な会社を創造する仲間同志である」という考えに基づくもので、従業員を大切なステークホルダーと認識し、人材の育成や働きがいのある職場環境の構築に注力しています。

(3) 経営計画・目標


企業価値の向上を目指すにあたり、同社は複数の利益指標を重要な経営指標として位置付け、その向上に取り組むとともに、自己資本比率の向上にも努める方針を示しています。

・売上高
・売上利益率
・営業利益率
・経常利益率

(4) 成長戦略と重点施策


「安全」「決済」「メカトロ・EM」をキーワードに事業分野を見直し、既存事業の強化と新規ビジネスの展開に取り組んでいます。特に「安全」分野を成長戦略の要と位置付け、防災計測システムの新製品開発等に注力しています。また、他社からの事業承継により既存製品の販売ルート拡大や新事業の発掘による相乗効果を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、多様化するニーズに対応できる多様な人材が不可欠であると考え、採用活動に特化した「人材開発部」を新設し、新卒やキャリア、障がい者採用などを積極的に推進しています。また、出産や育児、介護などの状況下でも働き続けられる制度の導入など、男女ともに意欲的に働ける社内環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 45.1歳 21.3年 5,893,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 82.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 84.4%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 92.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営成績の連結会計年度における変動


同社グループの主要取引先業界における製品の納入や設置時期は、下半期の特に連結会計年度末に集中する傾向があります。納入時期の遅れ等により売上が翌期にずれ込んだ場合、当該期の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 新製品開発・技術革新における遅延


常に市場ニーズに合った製品を提供すべく研究開発に取り組んでいますが、開発期間の長期化や代替技術・商品の出現などの要因により、最適な時期に製品を供給できない場合、業績や成長見通しに影響が及ぶリスクがあります。

(3) OEMビジネスにおける外部要因


装置メーカー等にユニットを供給するOEMビジネスを展開していますが、顧客の業績や経営方針の転換など、同社グループが介入不可能な外部要因に大きく影響を受けることがあり、在庫過多などにつながる可能性があります。

(4) 高度な専門技術を持つ人材の確保


各種処理装置に関する高度な専門技術に精通した人材の確保と育成が不可欠ですが、計画通りに進まない場合、将来的には業績および成長の見通しに影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。