※本記事は、株式会社AKIBAホールディングス の有価証券報告書(第43期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
AKIBAホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
1. AKIBAホールディングスってどんな会社?
メモリ製品やPC関連機器の製造販売に加え、通信建設やHPC分野へ事業領域を拡大している企業です。
■(1) 会社概要
同社のルーツは1983年に設立された株式会社アドテックにあります。2004年にJASDAQへ上場し、2015年に持株会社体制へ移行して現在の商号となりました。その後、2017年に株式会社HPCテックを買収してHPC事業を開始するなどM&Aにより事業を多角化しています。2022年には市場区分の見直しに伴い、東証スタンダード市場へ移行しました。
同社グループは連結従業員数266名、単体26名の体制で運営されています。筆頭株主は事業会社である株式会社MCJの代表取締役会長を務める髙島勇二氏で、第2位は同社代表取締役社長の堀礼一郎氏、第3位は個人株主です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 髙島 勇二 | 26.13% |
| 堀 礼一郎 | 3.79% |
| 中島 秀樹 | 3.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は堀礼一郎氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 堀 礼一郎 | 代表取締役社長 | バックスグループ等を経てバディネット設立。2016年同社取締役、2023年より現職。 |
| 五十嵐 英 | 取締役CFO管理本部長 | エルメスジャポン、MCJ等を経て2012年同社取締役就任。2013年より現職。 |
| 冨山 理布 | 取締役管理本部副本部長 | 武富士、ギガプライズ等を経て2017年同社入社。2018年より現職。 |
| 白鳥 俊昭 | 取締役経営戦略本部長 | MCJ、東急住宅リース等を経て2024年より現職。クロス・マーケティング監査役兼任。 |
社外取締役は、丸山一郎(東京晴和法律事務所パートナー弁護士)、黒部得善(社会保険労務士法人リーガル・リテラシー代表社員)、後藤田翔(税理士・行政書士後藤田翔綜合事務所代表税理士)、中川英之(公認会計士中川英之事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「メモリ・PC関連デバイス・IoT事業」「通信建設テック事業」「HPC事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) メモリ・PC関連デバイス・IoT事業
産業・工業用および一般向けPC・サーバ用メモリ製品の製造販売、PCパーツの卸売、IoTデバイスの設計開発などを行っています。主な顧客は法人企業やPCユーザーです。
収益は、製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は主に株式会社アドテックが行っています。
■(2) 通信建設テック事業
通信キャリアの基地局工事、コンタクトセンター、BPO事業、通信コンサルティング、再エネ関連工事などを手掛けています。主な顧客は通信キャリアや関連企業です。
収益は、工事請負代金や業務委託料として顧客から受け取ります。運営は株式会社バディネット、株式会社ブランチテクノが行っています。
■(3) HPC事業
科学技術計算(HPC)分野向けの高性能コンピュータの製造・販売を行っています。研究機関や大学、企業の研究開発部門などが主な顧客です。
収益は、コンピュータ製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は株式会社HPCテックが行っています。
■(4) その他
上記セグメントに含まれない事業として、ペット同伴温泉旅館の運営などを行っています。
収益は、宿泊料やサービス利用料として顧客から受け取ります。運営は株式会社ダイヤモンドペッツ&リゾートが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は概ね右肩上がりで推移しており、当期は183億円に達しています。一方、経常利益は2023年3月期をピークに減少傾向にあり、当期は7億円となりました。当期純利益は、特別損失の計上などの影響により1億円となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 147億円 | 162億円 | 150億円 | 158億円 | 183億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 7億円 | 10億円 | 8億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 4.6% | 4.4% | 6.9% | 5.3% | 3.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.2億円 | -0.9億円 | 0.6億円 | 0.9億円 | 0.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の158億円から183億円へと増加しましたが、売上原価や販管費の増加により、営業利益は8億円から7億円へ減少しました。売上総利益率は23.2%から21.2%へ低下しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 158億円 | 183億円 |
| 売上総利益 | 37億円 | 39億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.2% | 21.2% |
| 営業利益 | 8億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 5.3% | 3.9% |
■(3) セグメント収益
当期は「メモリ・PC関連デバイス・IoT事業」がPC買い替え需要や産業用PCの新規開拓により大幅な増収となりました。「通信建設テック事業」は新規連結効果もあり微増収となりましたが、成長投資により減益となりました。「HPC事業」は過去最高の売上を記録しましたが、利益は前期並みとなりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| メモリ・PC関連デバイス・IoT事業 | 57億円 | 75億円 | -0.4億円 | 0.0億円 | 0.1% |
| 通信建設テック事業 | 68億円 | 70億円 | 5億円 | 3億円 | 4.7% |
| HPC事業 | 31億円 | 35億円 | 3億円 | 3億円 | 8.7% |
| その他 | 3億円 | 3億円 | 0.1億円 | 0.1億円 | 3.1% |
| 調整額 | -0.4億円 | -0.5億円 | 0.7億円 | 0.7億円 | - |
| 連結(合計) | 158億円 | 183億円 | 8億円 | 7億円 | 3.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.4億円 | -4億円 |
| 投資CF | -2億円 | -1億円 |
| 財務CF | 10億円 | 17億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.2%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は25.9%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「持続可能な未来社会をITで実現する」ことをミッションに掲げています。IoT化が進む新しいIT社会において、時代の変遷や顧客ニーズに対応し、新しい事業領域への進出やグループ内シナジーの追求を通じて、総合的な企業価値の向上を目指しています。また、顧客への最適なソリューション提供を通じて社会の発展に貢献する方針です。
■(2) 企業文化
グループ内での「シナジーの追求」を重視し、有機的な企業体として機能することを目指しています。事業を通じた社会貢献と法令遵守に加え、企業倫理に則った公正かつ適切な事業運営を重視し、地球環境および人類の持続可能な発展に貢献することを使命としています。多様な人材が能力を発揮できる環境整備やガバナンス強化にも取り組む姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、より高い成長性を確保する観点から「売上高」「営業利益」「経常利益」を重要な経営指標として位置づけています。営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大を目指し、これらの指標の向上に努めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業では成長分野であるIoT、HPC、通信建設テック事業にリソースを集中し、収益力の向上を図ります。同時に、有望な新規事業への進出やM&Aを通じて新たな収益の柱を構築し、持続的な成長を目指します。具体的には、メモリ事業での法人需要獲得、通信建設テックでの再エネ関連工事や全国プラットフォーム化、HPC事業でのAI分野への提案強化などを推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材が多様な働き方で能力を発揮できるよう、勤務環境の整備に注力しています。具体的には、ワークライフバランスの実現に向けたテレワークや時短勤務制度の整備を進めています。また、女性管理職比率の向上に向けた取り組みも推進しており、人材育成と社内環境の整備を通じて組織力の強化を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 37.8歳 | 4.3年 | 5,928,429円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 19.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※女性管理職比率以外の項目については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 為替変動による影響
連結子会社が取り扱う製品・原材料の一部は海外から調達しており、為替相場の変動が資産・負債や仕入価格に影響を与える可能性があります。為替予約等の対策を講じていますが、想定以上の変動があった場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料の市況変動の影響
メモリ製品の主原材料である半導体メモリ等は価格変動が激しく、世界的な需給バランスの影響を受けやすい特性があります。市況価格の変動は製品価格に影響しやすく、半導体不足による調達難などのリスクも内在しており、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 有利子負債依存度と金利変動
主要子会社の資金繰りは、仕入債務の支払サイトに比べて売上債権の回収サイトが長い傾向にあり、運転資金を借入金で調達しています。そのため、金融機関の融資姿勢の変化や金利動向によっては、資金調達コストの増加などが業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。



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