アルメディオ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アルメディオ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、断熱材事業やナノマテリアル事業を展開する企業です。当連結会計年度は、断熱材事業における太陽光パネル関連需要の減少やアーカイブ事業の縮小に伴い、売上高は58億円で前期比49.8%減、経常利益は9億円で同74.5%減と大幅な減収減益となりました。


※本記事は、株式会社アルメディオの有価証券報告書(第45期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アルメディオってどんな会社?


同社は、テストメディア事業で培った技術を基盤に、現在は断熱材やナノマテリアル等の素材産業へ転換を図る技術集積企業です。

(1) 会社概要


1981年に株式会社エーベックス研究所として設立され、1997年に現社名へ変更しました。1999年に株式を店頭登録し、2005年には中国に断熱材事業の子会社を設立して事業の多角化を進めました。その後、2019年にナノマテリアル事業を開始し、素材メーカーとしての体制を強化しています。

現在の連結従業員数は261名、単体では31名体制です。筆頭株主は証券会社のSBI証券で、第2位は同社代表取締役社長の髙橋靖氏、第3位は金融業を営む東京短資となっています。

氏名 持株比率
SBI証券 6.98%
髙橋 靖 4.55%
東京短資 2.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は髙橋靖氏が務めています。なお、社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
髙橋 靖 代表取締役社長 1994年入社。企画部事業企画課長、取締役、阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司董事長などを経て、2017年より現職。
関 清美 取締役 2002年監査役就任。阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司監事などを経て、2018年より取締役兼執行役員(総務・経理・情報開示・IR担当)。
吹野 洋平 取締役 2005年入社。阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司董事・総経理などを経て、2015年より現職。
星島 時太郎 取締役 元三菱化学執行役員。同社顧問、執行役員(ナノマテリアル事業・新規事業担当)などを経て、2024年より取締役(事業企画室担当)。
深川 敏弘 取締役 元太陽日酸技監。同社執行役員(ナノマテリアル技術・炭素関連事業担当)などを経て、2023年より取締役兼執行役員(ナノマテリアル事業担当)。


社外取締役は、河野彰(ネクサスエージェント取締役)、漆山伸一(漆山パートナーズ会計事務所代表)、藤井篤(弁護士法人アルタイル法律事務所所長弁護士)、吉江建一(一般社団法人プロダクト・イノベーション協会代表理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「断熱材事業」「アーカイブ事業」「ナノマテリアル事業」を展開しています。

(1) 断熱材事業


電子部品用副資材、耐火材料、ヒーターモジュールおよび関連製品の開発・製造・販売を行っています。主な顧客は鉄鋼メーカー、築炉業者、電子部品メーカーなどで、電気炉の工事や部品受注も手掛けています。

製品の製造・販売による収益が主で、特に中国市場での展開が進んでいます。運営は主に連結子会社の阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司および阿爾美(蘇州)科技有限公司が行っており、アルメディオ本体も製品の輸入・販売を行っています。

(2) アーカイブ事業


重要な情報を長期保存するための光ドライブや光ディスクの販売を行う「アーカイブ」分野と、産業用およびAV機器用光ドライブを扱う「ストレージソリューション」分野があります。なお、光学ドライブ生産および関連サービスは2024年6月末をもって終了しています。

製品の販売代金が主な収益源です。運営はアルメディオが行っています。

(3) ナノマテリアル事業


カーボンナノファイバー(CNF)等のナノマテリアルの研究開発・製造・販売を行っています。また、資源・材料販売も手掛けており、高分散導電用CNFや高純度SiOなどの製品ラインナップ拡充を進めています。

製品や材料の販売による収益を得ています。運営はアルメディオが行っており、一部の新規商材については連結子会社も関与しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2024年3月期に大きく伸長しましたが、当期は反動減により縮小しました。利益面でも同様の傾向があり、前期は大幅な増益を記録したものの、当期は減益となっています。利益率は低下したものの、黒字を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 27億円 33億円 49億円 116億円 58億円
経常利益 -0.0億円 1.0億円 5.7億円 34億円 8.8億円
利益率(%) -0.1% 3.0% 11.5% 29.8% 15.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -2.2億円 -1.0億円 -3.0億円 11億円 -0.8億円

(2) 損益計算書


前期と比較すると、売上高が約半減し、それに伴い売上総利益および営業利益も大きく減少しました。売上総利益率は低下しましたが、依然として30%台を維持しています。コスト構造の変化や事業環境の変動が影響していることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 116億円 58億円
売上総利益 50億円 21億円
売上総利益率(%) 43.1% 36.4%
営業利益 34億円 9億円
営業利益率(%) 29.1% 14.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3億円(構成比23%)、運送費及び保管費が1億円(同9%)、研究開発費が1億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の断熱材事業は、太陽光パネル製造向け需要の減少などにより大幅な減収減益となりました。アーカイブ事業も事業縮小に伴い減収となっていますが、利益率は高い水準にあります。ナノマテリアル事業は増収となったものの、赤字が継続しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
断熱材事業 106億円 52億円 35億円 10億円 20.1%
アーカイブ事業 8億円 6億円 1億円 3億円 46.1%
ナノマテリアル事業 0.6億円 0.7億円 -1億円 -1億円 -200.2%
連結(合計) 116億円 58億円 34億円 9億円 14.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金で借入金の返済や設備投資を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 22億円 9億円
投資CF -13億円 -7億円
財務CF 14億円 -0.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は84.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「技術とチャレンジ」を経営理念とし、これを成長の源泉と位置づけています。また、企業コンセプトとして「技術集積企業として産業社会を支える高付加価値ビジネスに特化する」ことを掲げ、技術集積力の向上や企業向け事業への重点指向を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「アカウンタビリティー(説明責任)を徹底する」という社風を目指しています。「計画の根拠、実績の分析、予測の前提」について説明責任を徹底することで、経営の透明性を高めるとともに、社内の活性化を図ることを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「中期経営計画2025」を公表し、各事業の成長による利益最大化を図っています。中長期的には以下の数値目標を掲げています。

* 2028年3月期までにROE8%以上
* PBR1倍以上を維持し2倍以上を目指す

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、断熱材事業とナノマテリアル事業を成長の軸としつつ、第三の事業としてCMC(セラミックマトリックス複合材)のマーケティングを進め、機能性材料メーカーとしての地位確立を目指しています。断熱材事業では半導体向け販路拡大や高付加価値製品の開発、ナノマテリアル事業では製品ラインナップの拡充や海外展開を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、多様な人材の採用と活躍機会の創出を重視し、女性や外国人、中途採用者を含む多様性を確保しています。業務成果や特許出願に対する表彰制度、社員持株会制度を通じてモチベーション向上を図るとともに、時間単位の有給休暇やメモリアル休暇など、多様な働き方を支援する環境整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.5歳 8.0年 5,109,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 -%
男女賃金差異(全労働者) 70.5%
男女賃金差異(正規) 80.2%
男女賃金差異(非正規) 26.2%


※育児休業取得対象者がいない場合は「-」と記載されています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(50.9%)、ノー残業デー実施率(80.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 在外子会社に関するリスク


連結子会社の事業活動は主に中国で行われており、同国の法律・規制の変更、人材確保の難しさ、労働争議、政治・経済的混乱などのリスクがあります。これら予期せぬ事象が発生した場合、生産・販売活動に支障をきたし、グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 新規事業に関するリスク


新規事業への取り組みにおいて、研究開発や設備投資等の費用が発生しますが、収益化には時間を要するため、一時的に業績が悪化する可能性があります。また、市場環境の変化等により計画通りに進捗しない場合、投資資金の回収が困難となり、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 海外での事業活動に関するリスク


海外での事業活動においては、予期せぬ法規制の変更、テロ・戦争等の社会的混乱、伝染性疾病の蔓延などにより、営業活動の停止やサプライチェーンの寸断が発生するリスクがあります。また、為替変動も業績に影響を与える可能性があります。

(4) 災害や感染症等に関するリスク


地震、火災等の災害や感染症のパンデミック、サイバー攻撃などにより、生産設備の損害や操業中断、サプライチェーンの混乱が発生した場合、生産・出荷の遅延や修復費用の発生により、グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。