アルメディオ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アルメディオ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アルメディオは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、電子部品用副資材や耐火材料等を扱う断熱材事業とナノマテリアル事業を展開しています。直近の業績では、太陽光発電パネル製造向けヒーターモジュールの受注減少等が響き、大幅な減収および営業赤字へ転落しました。今後の事業再建と収益改善が課題です。


記事タイトル:「アルメディオ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」

※本記事は、株式会社アルメディオの有価証券報告書(第46期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アルメディオってどんな会社?


電子部品用副資材・耐火材料の開発製造と、ナノマテリアルの研究開発を手がける技術集積企業です。

(1) 会社概要


1981年にオーディオ用テストテープの製造販売として設立され、1999年に株式を店頭登録、2004年に東証二部へ上場しました。2005年に中国へ子会社を設立して断熱材事業へ進出し、2019年からはナノマテリアルの研究開発を開始しています。2024年にアーカイブ事業を終了し、現在の体制となりました。

従業員数は連結で208名、単体で33名です。大株主については、筆頭株主は創業メンバーであり代表取締役社長を務める髙橋靖氏で、第2位は証券業務等を行う事業会社のSBI証券、第3位は個人の津田鉄也氏となっています。

氏名 持株比率
髙橋 靖 4.58%
SBI証券 3.01%
津田 鉄也 2.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は髙橋靖氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
髙橋 靖 代表取締役社長 1994年同社入社。事業企画課長を経て、阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司董事長などを歴任。2014年より現職。
関 清美 取締役 2002年同社監査役。阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司監事などを歴任。2018年より現職。
吹野 洋平 取締役 2005年同社入社。阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司董事・総経理などを歴任。2015年より現職。
星島 時太郎 取締役 三菱化学執行役員などを経て、2014年同社新規事業開発顧問。2024年より現職。
深川 敏弘 取締役 太陽日酸執行役員などを経て、2019年同社執行役員。2023年より現職。


社外取締役は、河野彰(ネクサスエージェント取締役)、漆山伸一(漆山パートナーズ会計事務所代表)、藤井篤(アルタイル法律事務所社員弁護士)、吉江建一(プロダクト・イノベーション協会代表理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「断熱材事業」および「ナノマテリアル事業」を展開しています。

(1) 断熱材事業


電子部品用副資材、耐火材料および関連製品の開発・製造・販売を展開しています。国内で鉄鋼メーカー向けの炉材や建材副資材を扱うほか、中国市場向けに太陽光発電パネル製造向けヒーターモジュール等の生産能力向上を図っています。

顧客への製品等の販売から収益を得ています。運営は中国の連結子会社である阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司および阿爾美(蘇州)科技有限公司が製造・販売を担うほか、アルメディオも同社製品を中心とした輸入・販売を行っています。

(2) ナノマテリアル事業


ナノマテリアルの研究開発、製造および販売と、資源・材料販売を行っています。カーボンナノファイバー(CNF)の新製品販売や各種用途に適した製品提案を行い、半導体用途や電池用途に向けた評価・採用活動を推進しています。

製品や有償サンプル品の販売、および各種資源・材料の受注販売から収益を獲得しています。事業の運営はアルメディオが主体となって推進しており、脱中国材料の開拓や欧州等の海外展開に向けた取り組みを強化しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、売上高は一時期100億円を突破したものの、直近では大きく減収に転じています。経常利益も大幅な黒字から直近では赤字に沈んでおり、利益率もマイナス化しています。事業環境の変化に対応した収益基盤の再構築が急務となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 33億円 49億円 116億円 58億円 24億円
経常利益 1億円 6億円 34億円 9億円 -8億円
利益率(%) 3.0% 11.5% 29.8% 15.1% -33.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.0億円 -3.0億円 11億円 -0.8億円 -0.3億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な減少に伴い、売上総利益および営業利益が急減しています。特に当期は多額の営業赤字に転落しており、販売価格の下落と原材料費の高騰によって収益性が著しく圧迫されている状況が窺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 58億円 24億円
売上総利益 21億円 5億円
売上総利益率(%) 36.4% 22.4%
営業利益 9億円 -8億円
営業利益率(%) 14.9% -34.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3億円(構成比23%)、研究開発費が2億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力の断熱材事業が前期比で半減以下の大幅な減収となっています。一方で、新規領域であるナノマテリアル事業は小規模ながら売上を伸ばしています。なお、前期まで存在したアーカイブ事業は廃止されています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
断熱材事業 52億円 23億円
アーカイブ事業 6億円 -
ナノマテリアル事業 0.7億円 1億円
連結(合計) 58億円 24億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期は営業利益が赤字に転落したものの営業CFはプラスを維持しており、その資金で投資や借入返済を行っている「健全型」のキャッシュ・フローとなっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 9億円 5億円
投資CF -7億円 -7億円
財務CF -0.8億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-5.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は93.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念に「技術とチャレンジ 当社成長の源泉です」を掲げています。また、「技術集積企業として産業社会を支える高付加価値ビジネスに特化する」ことを企業コンセプトとし、消費者の利便性に貢献するとともに、企業価値および株主共同の利益の確保・向上に努めることを使命としています。

(2) 企業文化


目指すべき社風として「アカウンタビリティー(説明責任)を徹底する」ことを重視しています。計画の根拠、実績の分析、予測の前提についての説明責任を徹底することで、経営の透明性を高め、社内の活性化を図る文化を組織に根付かせています。

(3) 経営計画・目標


「中期経営計画2026」において、各事業の成長により利益の最大化を図ることを目標に定めています。経営指標として1株当たり当期純利益(EPS)と自己資本利益率(ROE)を重視し、継続的に指標を向上させる方針です。

・ROE8%以上
・PBR1倍以上を維持し2倍以上を目指す

(4) 成長戦略と重点施策


断熱材事業およびナノマテリアル事業に加え、第三の事業としてCMC(セラミックマトリックス複合材)のマーケティングを進め、機能性材料メーカーとしての地位確立を図ります。断熱材事業では原材料の内製化等による損益分岐点の引き下げや建材業界への参入を進め、ナノマテリアル事業ではCNFの新規顧客開拓と海外展開を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は事業転換の最中であり、変化への迅速な対応力「アジリティー」を持ち、困難を乗り越える「タフネス」を備え、挑戦し続ける組織づくりを進めています。新規事業の立ち上げを担う専門スキルを持つ人材の獲得と育成を戦略的に行い、役割や貢献に応じた処遇で従業員の主体性を促す制度を運用しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.0歳 8.2年 5,163,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 69.8%
男女賃金差異(正規雇用) 80.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 36.1%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(56.4%)、ノー残業デー実施率(84.7%)、正社員の一月当たりの平均残業時間(2.88時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 在外子会社での事業展開

連結子会社の事業活動が中国で行われているため、予期しない法規制の変更、人材確保の難しさ、社会的・経済的な混乱等の予期せぬ事象の発生が、生産や販売活動に大きな問題を生じさせ、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 新規事業の立ち上げ・展開

安定的な収益確保を目指して新規事業に取り組んでいますが、研究開発や設備投資等の先行費用が発生します。市場環境の変化や顧客動向の変動等により計画通りに推移しなかった場合、投資資金の回収が困難になる可能性があります。

(3) 供給体制と調達価格の変動

一部の重要な原材料や部品を外部企業から調達しているため、災害等で予定通り供給を受けられなかった場合や、想定を上回る大型受注に対応できなかった場合には、生産遅延や販売機会の損失等が生じ、収益を圧迫するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。