京写 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

京写 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

京写は、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、プリント配線板およびこれに付随する電子部品等の製造・販売を主力事業としています。自動車や家電製品向けの需要低迷や原材料費の高騰等の影響により、直近の業績は減収減益となっています。今後は新規分野への挑戦により収益力強化を図っています。


※本記事は、株式会社京写の有価証券報告書(第68期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 京写ってどんな会社?


プリント配線板事業と実装関連事業をグローバルに展開する電子部品メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1959年に京都写真型として設立され、1967年よりプリント配線板の開発に着手しました。2004年にジャスダック証券取引所への上場を果たし、2022年の市場区分見直しに伴い東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。2024年にはコーポレートガバナンス体制の強化を目的に監査等委員会設置会社へ移行しました。

現在の従業員数は連結で1,191名、単体で262名体制となっています。筆頭株主は児嶋コーポレーションで、第2位は児嶋雄二氏、第3位は取締役の児嶋淳平氏です。

氏名 持株比率
児嶋コーポレーション 14.00%
児嶋雄二 6.50%
児嶋淳平 3.60%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長社長執行役員は児嶋一登氏が務めています。社外取締役の比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
児嶋一登 代表取締役社長社長執行役員 1996年入社。Kyosha America Corporation取締役社長等を経て、2009年より代表取締役社長。2018年より現職。
児嶋淳平 取締役専務執行役員営業本部長 1999年入社。東日本営業部門ゼネラルマネジャー、執行役員営業本部長等を経て、2022年より現職。
平岡俊也 取締役専務執行役員経営管理本部長 1995年入社。経理財務部門ゼネラルマネジャー、執行役員管理本部長等を経て、2024年より現職。
山口泰司 取締役常務執行役員生産本部長 1993年入社。京写広州董事長等を経て、2025年より現職。
奥田茂 取締役監査等委員 2005年入社。経営企画室長、内部監査室長等を経て、2024年より現職。


社外取締役は、日比利雄(エヌビーシー代表取締役社長)、森清隆(元キョウデン代表取締役社長)、髙岡謙次(髙岡取締役)、松阿彌初美(総合法律事務所なみはや設立)です。

2. 事業内容


同社グループは、各地域の生産・販売体制に基づいた報告セグメントを展開しています。

日本


片面・両面プリント配線板を家電製品や自動車関連、電子機器などの幅広い顧客に向けて製造・販売しています。また、実装や実装搬送治具などの実装関連製品も提供しています。

同事業における収益は、製品の販売対価として顧客から受け取っています。運営は主に京写および三和電子が行っています。

中国


プリント配線板の製造および販売を展開しています。片面プリント配線板を中心に、グローバル市場に向けた製品供給の重要な拠点として機能しています。

同事業における収益は、製品の販売対価として顧客から受け取っています。運営はGuangzhou Kyosha Circuit Technology等の現地子会社が行っています。

インドネシア


プリント配線板の製造および販売を展開し、主に東南アジア地域の需要に対応した製品供給を行っています。

同事業における収益は、製品の販売対価として顧客から受け取っています。運営はPT. Kyosha Indonesiaが行っています。

メキシコ


プリント配線板および実装関連製品の販売や販売支援を展開し、北米および中南米地域における市場開拓を担っています。

同事業における収益は、製品の販売対価として顧客から受け取っています。運営はKyosha de Mexicoが行っています。

ベトナム


プリント配線板の製造および販売を展開し、東南アジア地域における生産競争力の強化を目的として事業活動を行っています。

同事業における収益は、製品の販売対価として顧客から受け取っています。運営はKyosha Vietnamが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は概ね210億円から260億円の範囲で推移してきましたが、直近の期間では自動車や家電製品の生産低迷により売上が減少に転じています。経常利益も原材料や経費の高騰の影響を受け、利益率が低下する傾向が見られます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 213億円 245億円 246億円 262億円 247億円
経常利益 5億円 6億円 9億円 10億円 5億円
利益率(%) 2.4% 2.5% 3.7% 3.8% 2.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 4億円 3億円 4億円 1億円

(2) 損益計算書


売上高の減少とともに売上総利益率および営業利益率も悪化しています。コスト増の吸収や販売価格の適正化が課題となっている状況が読み取れます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 262億円 247億円
売上総利益 47億円 40億円
売上総利益率(%) 17.8% 16.1%
営業利益 13億円 8億円
営業利益率(%) 4.9% 3.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が11億円(構成比35.4%)、荷造運賃が4億円(同12.2%)を占めています。

(3) セグメント収益


日本市場では家電製品向けなどの需要を取り込み増収となりましたが、中国や東南アジア市場では需要減少と稼働調整の影響で売上が減少しました。全体的に海外セグメントの低迷が影響しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
日本 95億円 99億円
中国 133億円 112億円
インドネシア 24億円 25億円
メキシコ 0.8億円 0.6億円
ベトナム 10億円 10億円
連結(合計) 262億円 247億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 17億円 15億円
投資CF -7億円 -6億円
財務CF -8億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.6%であり、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


すべての事業活動において「安全の確保、法令の遵守、環境保全」を最優先とし、顧客のニーズに応え、新技術、新工法の開発と品質向上にたゆまぬ努力を傾注することを基本方針としています。また、選択と集中を進め、自社の強みを活かした分野に経営資源を集中させることを掲げています。

(2) 企業文化


「人間尊重の精神で人材の育成に力を注ぎ明日を担う企業を創る」という理念のもと、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。グローバル市場において顧客満足を第一とし、「地に足のついた経営」を進めることで、持続した成長を目指す企業文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


10年後に目指す姿として「長期ビジョン2036」を策定し、その達成に向けた3年間の中期経営計画2029をスタートさせています。利益重視の経営指標を明確に設定し、既存事業の収益力強化と新規分野への挑戦により事業基盤の確立を目指しています。

* 売上高280億円
* 営業利益20億円
* 営業利益率7%
* ROE10%

(4) 成長戦略と重点施策


「印刷技術と熱対策技術を強みにお客様の製品開発から深く関わり新しい価値を生み出す挑戦企業であり続ける」ことを目指し、金属・厚銅基板分野などの成長事業の拡大を図ります。また、DX・AI活用やロボット化による生産性向上、事業の再構築を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人間尊重の精神」に基づき、階層別・職種別の体系的な教育体制を構築し、従業員の自発的なキャリア形成を支援しています。また、性別や国籍、新卒・中途を問わず能力や成果による管理職登用を行い、多様性の確保と働きがいのある職場づくりに注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.5歳 15.7年 5,084,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.8%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 80.6%
男女賃金差異(正規雇用) 79.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 91.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自動車・家電等の需要変動リスク

主力製品のプリント配線板は、自動車や家電製品等の生産台数に依存しています。需要減少による業績への影響を軽減するため、特定の顧客に依存しないよう1社当たりの販売シェアを10%程度に抑え、販売先を分散しています。

(2) グローバル事業展開に伴うカントリーリスク

国内外に生産拠点を分散させていますが、各国の政治情勢、税制、雇用環境、インフラ問題、為替変動等の海外展開特有のリスクが存在します。グループ間の情報共有と外部専門家との連携により、これらのリスク回避に努めています。

(3) 原材料価格の急激な変動リスク

原油、銅、パルプなどの基礎素材価格の高騰が生じた場合、販売価格への即座な転嫁が難しく、利益を圧迫する可能性があります。共同購入による価格交渉力の強化や調達先の複数化を進め、安定したサプライチェーンの維持を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。