※本記事は、株式会社京写 の有価証券報告書(第67期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 京写ってどんな会社?
同社グループは、プリント配線板の製造・販売を主力とし、片面配線板では世界最大級の生産能力を有しています。
■(1) 会社概要
1959年に京染捺染用スクリーン型の生産を目的に設立され、1967年にプリント配線板の開発に着手しました。1974年に現在の主力工場である九州工場を完成させ、1994年には中国に生産拠点を設立するなど海外展開を推進しました。2022年の市場区分見直しに伴い、東証スタンダード市場へ移行しています。
連結従業員数は1,223名、単体では264名です。筆頭株主は創業家出身の役員が代表を務める児嶋コーポレーションで、第2位は個人大株主の児嶋雄二氏、第3位はプリント基板関連の取引先であるエヌビーシーとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 児嶋コーポレーション | 14.10% |
| 児嶋 雄二 | 7.10% |
| エヌビーシー | 3.60% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長社長執行役員は児嶋 一登氏です。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 児嶋 一登 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1996年同社入社。海外子会社社長、経営企画部長を経て、2007年代表取締役専務。2009年6月より現職。 |
| 平 岡 俊 也 | 取締役専務執行役員経営管理本部長 | 1995年同社入社。経理財務部門ゼネラルマネジャー、執行役員管理本部長などを経て、2024年6月より現職。 |
| 児 嶋 淳 平 | 取締役専務執行役員営業本部長 | 1999年同社入社。東日本営業部門ゼネラルマネジャー、京写香港社長などを歴任。2022年6月より現職。 |
| 山 口 泰 司 | 取締役常務執行役員生産本部長 | 1993年同社入社。品質保証部門ゼネラルマネジャー、京写広州董事長などを経て、2025年1月より現職。 |
| 奥 田 茂 | 取締役監査等委員 | 2005年同社入社。経営企画部長、内部監査室長、監査役を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、日比 利雄(エヌビーシー代表取締役社長)、森 清隆(元キョウデン代表取締役社長)、髙岡 謙次(髙岡取締役)、松阿彌 初美(法律事務所なみはや代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「中国」「インドネシア」「メキシコ」「ベトナム」の各報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 日本
プリント配線板、金型、回路設計および実装関連製品の製造・販売を行っています。主な顧客は自動車関連、家電製品、事務機、電子機器メーカーなどです。
製品の販売対価を主な収益源としています。運営は主に京写および子会社の三和電子が行っており、三和電子は電子部品の実装や実装関連製品も担当しています。
■(2) 中国
プリント配線板、金型、回路設計の製造・販売を行っています。中国市場における事務機分野や自動車関連分野向けの製品供給を担っています。
製品の販売対価を主な収益源としています。運営は、Kyosha Hong Kong Company Limited傘下のGuangzhou Kyosha Circuit Technology Co.,Ltd.などの現地子会社が行っています。
■(3) インドネシア
プリント配線板、金型、回路設計の製造・販売を行っています。東南アジア地域における自動車関連分野や事務機分野向けの製品供給拠点となっています。
製品の販売対価を主な収益源としています。運営は現地子会社のPT. Kyosha Indonesiaが行っています。
■(4) メキシコ
実装関連製品の製造・販売を行っています。中南米地域における製品供給および販売支援を行っています。
製品の販売対価を主な収益源としています。運営は現地子会社のKyosha de Mexico, S.A. de C.V.が行っています。
■(5) ベトナム
プリント配線板、金型、回路設計の製造・販売を行っています。特に北米向けの自動車関連分野への製品供給が好調に推移しています。
製品の販売対価を主な収益源としています。運営は現地子会社のKyosha Vietnam Co.,Ltd.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は第63期の173億円から第67期の262億円へと拡大傾向にあります。経常利益も第63期の2億円から第67期の10億円へと増加しており、利益率も改善傾向が見られます。当期純利益については、第65期に赤字となりましたが、その後回復し黒字を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 173億円 | 213億円 | 245億円 | 246億円 | 262億円 |
| 経常利益 | 2億円 | 5億円 | 6億円 | 9億円 | 10億円 |
| 利益率(%) | 0.9% | 2.4% | 2.5% | 3.7% | 3.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1億円 | 3億円 | 4億円 | 3億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善しています。営業利益は増益となり、営業利益率も向上しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 246億円 | 262億円 |
| 売上総利益 | 45億円 | 47億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.2% | 17.8% |
| 営業利益 | 11億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 4.4% | 4.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が11億円(構成比33%)、荷造運賃が4億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
日本セグメントは減収減益で営業損失となりましたが、中国セグメントは大幅な増益を達成しました。インドネシアやベトナムも増収増益となり、海外拠点が全体の業績を牽引しています。メキシコは増収ながらも営業損失となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 98億円 | 95億円 | -2億円 | -2億円 | -2.3% |
| 中国 | 123億円 | 133億円 | 7億円 | 12億円 | 8.9% |
| インドネシア | 18億円 | 24億円 | -0.8億円 | 0.1億円 | 0.3% |
| メキシコ | 0.6億円 | 0.8億円 | 0.0億円 | -0.1億円 | -8.4% |
| ベトナム | 7億円 | 10億円 | 3億円 | 3億円 | 29.0% |
| 連結(合計) | 246億円 | 262億円 | 11億円 | 13億円 | 4.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、事業活動で得た資金を設備投資に充てつつ、借入金の返済も行いながら、全体として資金を増加させています。
営業活動では、事業の拡大に伴い、仕入債務や売上債権の変動はあったものの、安定的に資金を生み出しました。投資活動では、将来の事業成長に向けた設備投資や無形資産の取得により、資金が支出されました。財務活動では、借入金の返済が主な支出要因となりましたが、新たな借入も行われました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 24億円 | 17億円 |
| 投資CF | -8億円 | -7億円 |
| 財務CF | -22億円 | -8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「人間尊重の精神で人材の育成に力を注ぎ明日を担う企業を創る」という企業理念のもと、グローバル市場において顧客満足を第一とし、「地に足のついた経営」を進め持続した成長を目指すことを基本としています。
■(2) 企業文化
すべての事業活動において「安全の確保、法令の遵守、環境保全」を最優先することを基本方針としています。また、「一流になる・Build Trust」をスローガンに、信頼関係の構築を最重要視し、変化をチャンスに変えて新たな分野に挑戦する姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2026年3月期を最終年度とする中期経営計画において、以下の経営目標を掲げています。
* 売上高:270億円
* 営業利益:16億円
* 営業利益率:5.9%
* ROE(自己資本利益率):8%
■(4) 成長戦略と重点施策
基本戦略として「企業間連携を最大活用し、独自技術に磨きをかけグローバルニッチトップメーカーになる」を掲げています。具体的には、日本での高付加価値金属基板の立ち上げ、中国での自動化による生産性向上、インドネシアでの自動化投資などを進めています。また、DX・自動化の全社展開やESG活動の推進、資本効率の向上にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人間尊重の精神で人材の育成に力を注ぎ明日を担う企業を創る」という理念のもと、人材を最も重要な経営資源と位置付けています。階層別・職種別研修や自己啓発プログラム等の体系的な教育体制を構築し、性別や国籍等を問わない管理職登用により多様性の確保に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.6歳 | 14.9年 | 4,944,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 78.2% |
| 男女賃金差異(正規) | 75.9% |
| 男女賃金差異(非正規) | 93.5% |
※女性管理職比率については有価証券報告書に記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、係長以上に占める女性労働者の割合(12.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業環境の変動
主力製品であるプリント配線板は、自動車、家電、事務機など幅広い製品に使用されています。これらの最終製品の需要は景気動向の影響を受けやすく、需要が減少した場合には、同社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、特定の顧客に依存せず複数の販売先を確保することでリスク軽減を図っています。
■(2) グローバルな事業活動
国内外に生産拠点を有しており、各国・地域の政治情勢、税制、雇用環境、インフラ、賃金上昇、治安情勢の変化などのリスクがあります。これらが発生した場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。グループ間での情報共有や外部からの情報収集を通じて、予防・回避に努めています。
■(3) 主材料価格の変動
原油、銅、パルプ等の基礎素材価格の上昇は主材料価格に影響しますが、製品販売先からは安定価格を求められるため、価格転嫁が遅れる可能性があります。この場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、販売価格の適正化や共同購入による価格交渉力の強化を進めています。
■(4) 為替レートの変動
グループ間の外貨建取引や原材料の輸入において為替相場の変動の影響を受けます。為替が大きく変動した場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、為替予約などのデリバティブ取引を行い、リスクヘッジに努めています。



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