※本記事は、株式会社テセック の有価証券報告書(第57期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. テセックってどんな会社?
半導体検査装置であるハンドラおよびテスタを主力製品とし、開発から製造、販売、アフターサービスまでを一貫して手掛けるメーカーです。
■(1) 会社概要
1969年に設立され、トランジスタハンドラ等の開発を開始しました。2004年にJASDAQへ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。2025年1月には、パワー半導体測定技術に強みを持つ嶺光音電機を子会社化するなど、技術力の強化と事業基盤の拡大を進めています。
同グループは連結従業員214名、単体176名の体制で運営されています。大株主構成については、筆頭株主は個人の田中綏子氏で、第2位も個人の村井昭氏、第3位は機関投資家の日本生命保険相互会社となっています。上位株主には個人名が多く見られ、特定の事業会社による支配色は薄い構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 田中 綏子 | 6.86% |
| 村井 昭 | 3.59% |
| 日本生命保険相互会社 | 3.40% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は田中 賢治氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田中 賢治 | 代表取締役社長 | 1986年入社。ハンドラビジネスユニットGM、営業統括部長等を経て、2016年代表取締役社長に就任。現在は営業・技術(ハンドラ)部門を担当するほか、嶺光音電機の取締役も兼務。 |
| 宮脇 浩幸 | 取締役 | 1987年入社。製造部長を経て、2018年取締役製造部長に就任。現在は製造部門を担当し、嶺光音電機の取締役も兼務。 |
| 渡邊 弘一 | 取締役 | 1996年入社。欧州および米国子会社への出向、テスタビジネスユニットGM等を経て、2021年より取締役技術(テスタ)部門を担当。 |
| 戸田 雄介 | 取締役 | 1995年入社。経理部長を務めた後、2024年より取締役管理・品質保証部門を担当。中国子会社の董事長も兼務。 |
| 尾亦 利夫 | 取締役(監査等委員) | 1985年入社。品質保証部長、生産管理部長、管理部門担当取締役等を経て、2024年より取締役監査等委員を務める。 |
社外取締役は、南 忠良(元イリソ電子工業専務取締役)、舛川 博昭(舛川公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「半導体検査装置事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 半導体検査装置事業
半導体製造の後工程で使用される「ハンドラ(半導体製品を搬送・分類する装置)」および「テスタ(電気的特性を検査する装置)」、それらのパーツ等を開発・製造・販売しています。主な顧客は国内外の半導体メーカーであり、特に車載用パワー半導体やアナログIC向けの検査装置に強みを持っています。
収益は、顧客である半導体メーカーからの装置販売代金および保守・改造キット等のパーツ販売、アフターサービス料から得ています。運営は、開発・製造を同社および子会社の嶺光音電機が担い、海外での販売・サービスを米国、マレーシア、中国の連結子会社が担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2022年3月期から2023年3月期にかけては売上高・利益ともに伸長し、利益率も20%台後半と高い水準を維持していましたが、直近の2025年3月期にかけては減収減益傾向が続いています。特に当期は売上高が60億円を下回り、利益面でも大幅な減少となりましたが、黒字は確保しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 34億円 | 75億円 | 87億円 | 86億円 | 59億円 |
| 経常利益 | -3億円 | 21億円 | 25億円 | 21億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | -8.9% | 27.5% | 28.7% | 24.8% | 11.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -3億円 | 17億円 | 23億円 | 15億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の86億円から59億円へと大幅に減少しました。これに伴い売上総利益も38億円から23億円へと縮小しています。営業利益は前期の17億円から4億円へと大きく減少しており、売上減少が利益を圧迫する構造となっていますが、営業利益率は7.4%と一定の水準を維持しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 86億円 | 59億円 |
| 売上総利益 | 38億円 | 23億円 |
| 売上総利益率(%) | 44.4% | 38.3% |
| 営業利益 | 17億円 | 4億円 |
| 営業利益率(%) | 20.1% | 7.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が5億円(構成比26%)、研究開発費が3億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、製品別の売上状況を見ると、主力のハンドラが前期比約6割減と大きく落ち込みました。テスタは同1割減にとどまり、パーツ等も微減でした。全体として顧客の設備投資抑制の影響を受けましたが、テスタ事業は比較的底堅く推移しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| ハンドラ | 40億円 | 17億円 |
| テスタ | 34億円 | 30億円 |
| パーツ等 | 13億円 | 12億円 |
| 連結(合計) | 86億円 | 59億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業活動で得た資金の範囲内で、投資活動や株主還元、有利子負債の返済を行っている**健全型**のキャッシュ・フロー状態にあります。本業でしっかりと現金を稼ぎ出し、将来への投資と財務体質の改善をバランスよく進めています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9億円 | 18億円 |
| 投資CF | 1億円 | -9億円 |
| 財務CF | -7億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.0%で市場平均を下回っていますが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は91.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「優れた半導体検査装置を世界中に供給することで社会へ貢献する」ことを経営理念として掲げています。また、ソリューションを提供する「創造業のトップランナー」を目指し、豊かな発想と強い意志を持つ社員を大切にする姿勢を明示しています。
■(2) 企業文化
社是として「Enjoy」を掲げ、「仕事も遊びも生活も人生も、物事すべて楽しむ」という価値観を大切にしています。行動規範では、顧客第一、新しいことへの挑戦、職務への誇り、法令遵守、そして信頼・尊敬される人物を目指すことを指針として定めています。
■(3) 経営計画・目標
2025年度から2027年度を対象とする中期経営計画「Enjoy2.1」を策定しています。シクリカルな市場環境下でも中長期的な成長を目指し、最終年度である2027年度の数値目標として以下を掲げています。
* 売上高:90億円
* 営業利益:18.5億円
■(4) 成長戦略と重点施策
「Enjoy2.1」では、生産工程の効率化や営業力強化などの「基盤戦略」と、テスタ・ハンドラ各分野での「事業戦略」を推進します。テスタ分野ではソリューション構築や海外展開、ハンドラ分野では次世代機の市場投入による競争力強化を図ります。また、資本コストや株価を意識した経営として、成長投資と安定配当の両立を進めます。
* DOE(株主資本配当率)4%を目安とした配当政策の再構築
5. 働く環境
同社 人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を資産(人財)と位置づけ、「組織力」と「人財力」の向上を図っています。採用強化や若手社員の早期育成、社外研修機会の提供に加え、グローバル展開に対応する語学教育や現地法人との連携を推進しています。また、女性活躍推進や多様な人材の活用、ワークライフバランスの支援を通じて、柔軟で強靭な組織づくりを目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.8歳 | 17.4年 | 6,571,516円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.5% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社は常時雇用する労働者の数が300人を超えないため公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職候補者比率(12%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 半導体市場の変動
半導体検査装置の需要は、半導体メーカーの設備投資動向やシリコンサイクルの影響を強く受けます。市場は不安定かつ予測困難であり、急激な市場変動が発生した場合、受注の減少などを通じて業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定顧客への依存
世界の大手半導体メーカーを主要顧客としており、特定の顧客との取引規模が大きくなる傾向があります。取引顧客の拡大に努めていますが、主要顧客の投資計画変更や取引関係の変化により受注が大きく変動した場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 海外展開と輸出取引
売上高の海外比率が高く(当期65.7%)、為替変動や地政学的リスクの影響を受けやすい構造です。円高による価格競争力の低下や、各国の政治・経済情勢の悪化、貿易規制の強化などが生じた場合、海外事業の展開や収益性に支障をきたす可能性があります。



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