※本記事は、名古屋電機工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、情報装置システムの製造・販売を主たる業務としています。ITS(高度道路交通システム)関連の情報収集・処理・提供システムが大半を占め、自然災害監視システムや散光式警光灯の販売も手掛けています。
単体従業員数は385名、連結従業員数は409名です。セグメントは社会インフラ事業の1つです。
主な国内グループ会社は、インフォメックス松本などです。
当連結会計年度より、名古屋電機工業グループは事業戦略を明確にするため、セグメント名称を「情報装置事業」から「社会インフラ事業」へ変更しました。これは名称変更のみで、セグメント情報への影響はありません。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
名古屋電機工業は、社会インフラを支える総合設備企業として、安定した事業基盤を持つ企業です。同社グループでは、多様な人材が活躍できる環境づくりや、働きがいを向上させるための取り組みに注力しています。安全で健康的に働ける職場環境の整備や、イノベーションを促す企業文化の醸成にも力を入れていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
名古屋電機工業では、平均年齢が40代前半であり、平均勤続年数が15年を超えていることから、従業員が長期的にキャリアを築いている傾向が見られます。これは、安定した環境で腰を据えて働きたいと考える方にとって、魅力的な要素となるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,568,569円 |
| 平均勤続年数 | 16.7年 |
| 平均年齢 | 42.1歳 |
| 単体従業員数 | 385人 |
| 連結従業員数 | 409人 |
| 単体のグループ内比率 | 94.1% |
同社グループは、従業員の退職給付制度として、確定給付企業年金制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)および確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。これらの制度は同社グループの従業員に適用されます。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は21.9億円、年金資産は38.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
名古屋電機工業は、「情報板メーカーから道路交通安全を守る総合設備企業へ」の変革を目指し、多様な専門性を持つ人材を価値創造の源泉と位置付けています。顧客価値の最大化と人材力・組織力向上を連動させ、成長領域への専門人材確保・育成、生産性向上、多様な人材が活躍できる職場環境整備、イノベーションを生み出す組織風土の醸成に取り組んでいます。
従業員への処遇は、役割、成果、専門性、生産性などを踏まえ、事業環境とのバランスを考慮した適切な水準となるよう見直しを行っています。多様な人材が活躍できる風土と仕組みづくりに注力しており、女性の計画的な育成・登用推進や、半日・時間単位有給休暇、在宅勤務、フレックスタイム制度などの子育て両立支援策を導入しています。
また、社員の心身の健康を重視し、労働安全衛生に配慮した企業活動に取り組んでいます。有給休暇の取得促進や時間外勤務の抑制、人間ドック受診支援、二次健診促進など、健康経営を推進する施策も展開しています。イノベーションを生み出す土壌づくりとして、豊富な社内外教育・研修機会の提供や、人事評価制度の見直し、オフィス環境の整備も進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 1.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 63.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 63.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 64.0% |
女性活躍と多様な働き方の包摂
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 休業後1年以内離職率 | 5.0% |
社員の体と心の健康への配慮
人間ドック受診率および二次健診受診率については、2024年度時点で目標を達成したことから、2030年度の目標値を60.0%に見直しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得日数(率) | 78.0% |
| リモートワーク利用率 | 40.1% |
| 人間ドック受診率 | 48.6% |
| 二次健診率 | 62.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
名古屋電機工業グループは、社会インフラ事業を主軸としています。高度道路交通システム(ITS)の開発分野において、情報収集から情報処理、情報提供までを行うシステム製品を主力としています。
また、自然災害監視システムや散光式警光灯の販売も手掛けています。同社グループの主要な顧客は、国土交通省や各高速道路会社、地方公共団体といった道路管理者であり、官公庁への依存度が高い事業構造となっています。収益は、一時点で移転される財と、一定期間にわたり移転される財の両方から得ています。
同社グループの事業は国内市場が中心であり、海外の外部顧客への売上高は連結売上高の90%を超えていません。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
名古屋電機工業グループは、社会インフラ事業を単一セグメントとしています。主要な製品は、高度道路交通システムに関連する情報装置システムであり、道路交通の安全を守るためのシステム開発に注力しています。
収益は、主に官公庁向けのシステム製品の製造・販売から得ています。老朽化したインフラの大規模修繕や、防災・減災といった社会課題の解決に貢献する形で事業を展開しています。
直近の連結会計年度では、新システムの提案による新規受注の獲得を継続し、売上は前年同期並みに推移しました。しかし、利益面では工期延期による原価見積もりの上昇や物価高騰による資材コストの上昇が影響しました。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で概ね横ばいの傾向を示しています。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の連結会計年度で減少となりました。
これは、工期延期の影響による原価見積もりの上昇や、物価高騰による資材コストの上昇が利益を圧迫したためです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 174億円 | 180億円 | 176億円 | 173億円 | 173億円 |
| 経常利益 | 26.9億円 | 24.4億円 | 23.5億円 | 27.8億円 | 17.9億円 |
| 経常利益率 | 15.4% | 13.5% | 13.4% | 16.1% | 10.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 19.9億円 | 16.0億円 | 16.8億円 | 22.1億円 | 15.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 170.68 | 136.70 | 143.54 | 188.18 | 129.24 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しています。これは、従業員一人ひとりの売上貢献度が向上している傾向を示しています。
一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しています。これらの指標は、組織全体の効率性や収益創出力の傾向を示すものとなります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 40.6百万円 | 42.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.5百万円 | 4.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
名古屋電機工業は、本業で安定的に資金を創出し、投資活動を行いながらも手元に資金を残す財務状況を示しています。
これは、事業活動を通じて得た資金を効率的に運用し、財務基盤を安定させていることを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準で推移しています。
これは、強固な財務体質を維持しており、外部環境の変化に対する耐性が高いことを示しています。
ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、手元資金である現金及び預金は増加傾向にあり、潤沢な資金を確保している状況です。
このような安定した財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素であると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 224億円 | 240億円 |
| 自己資本比率 | 81.3% | 82.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.2% | 6.5% |
| 現金及び預金 | 44.4億円 | 75.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期のキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが大幅に増加し、38.7億円の収入となりました。
これは主に、売上債権の増減額や税金等調整前当期純利益の増加が要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得や投資有価証券の取得による支出があったものの、有形固定資産の売却による収入もあり、2.7億円の支出にとどまっています。
その結果、フリーキャッシュフローは36.0億円のプラスとなり、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。
財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いにより5.0億円の支出となっています。
これらの資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も継続していることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与する財務状況であると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.3億円 | 38.7億円 |
| 投資CF | △5.6億円 | △2.7億円 |
| 財務CF | △4.1億円 | △5.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.3億円 | 36.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、社会インフラ事業におけるエンドユーザーが道路管理者を中心とする官公庁であり、公共事業への依存度が高い状況です。
そのため、政府の道路整備計画や財政政策等の外部環境の変化が業績に影響を与える可能性があります。
また、社会インフラ事業のパイオニアとして独自技術を保有していますが、類似製品の競合激化や入札制度の変更により、受注競争が激化するリスクも存在しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業展開・拡大のために、一定水準の技術力を持った人材の確保と育成が課題であると認識しています。
優秀な人材を確保できない場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
名古屋電機工業は、社会インフラの安全と快適を追求し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。常に新しい価値を創造し、変化する社会のニーズに応える企業風土を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、安全・快適で豊かな社会の実現のために、常にNEW WAYを探求し、新たな価値を提供していくことを経営方針としています。社員の雇用とその家族の生活の安定と向上、新たな需要の創出、社会への還元のために、正々堂々と事業を行い、適正な利益を追求しています。
情報板メーカーから道路交通安全を守る総合設備企業へと変容し、新たなモビリティ形態に対応しながら、環境価値を高めるインフラ整備を促進しています。国内外の市場に挑戦し、ニーズを先取りした新システムで社会に貢献できる企業を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念に基づき、事業活動を通じて安全・快適で豊かな社会の実現につながる価値の提供と企業価値の向上に努めています。交通事故や交通渋滞の抑止・低減、自然災害リスクの最小化、屋外労働環境の改善と労働力不足の解消を支援するなど、社会課題の解決に高い親和性を持つ製品やサービスを提供しています。
ステークホルダーからの期待や社会の要請に応えるため、グループ一体となって取り組むことを重視しています。特に気候変動への対応は優先度の高い課題と認識しており、サステナビリティ委員会を設置し、リスク・機会の特定とマネジメントを進めています。多様な人材が活躍できる風土と仕組みづくりも推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、道路建設など新規投資の減少と維持更新需要へのシフト、甚大化する自然災害への防災対策、労働力不足、脱炭素社会への対応といった社会課題の解決を急務と捉えています。自動運転等の新たなモビリティの進展という大きな転換期への対応も課題です。
これらの課題に対し、情報板メーカーから道路交通安全を守る総合設備企業への変容を進めています。「省力化・安全化ソリューション」としてインフラ大規模修繕のニーズを取り込んだ新システム開発に取り組んでいます。
「防災・減災ソリューション」としてIoTセンサーを活用した情報提供システムの開発、「DX・GXソリューション」としてデータ活用や環境負荷低減による持続可能なインフラ整備を推進しています。また、自動運転社会に対応した「新たなモビリティの対応」として、他社との連携やオープンイノベーションを活性化し、社会課題の解決を目的とした新たな価値創造を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
名古屋電機工業は、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能強化と経営の公正性・透明性向上を図るガバナンス体制を構築しています。社外取締役を含む取締役会が、経営方針や重要事項の意思決定を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
名古屋電機工業の株主構成を見ると、筆頭株主は有限会社名電興産であり、個人株主である服部哲二氏も上位に名を連ねています。また、名古屋電機工業社員持株会も主要な株主の一つとなっています。これらの株主が同社の資本構成を支えている状況です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社名電興産 | 8.87% |
| 服部哲二 | 6.65% |
| 名古屋電機工業社員持株会 | 6.11% |
| 三菱UFJ銀行 | 3.88% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.66% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役執行役員社長は服部高明氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 服部 高明 | 代表取締役 執行役員社長 | 2000年4月同社入社。執行役員、取締役を経て、2014年6月代表取締役専務。2017年4月代表取締役社長に就任し、2025年6月より代表取締役執行役員社長より現職。 |
| 本多 正俊 | 取締役 常務執行役員 経営戦略本部長 | 1993年5月同社入社。情報装置事業本部札幌営業所長、東京支店長、営業本部長を歴任。2015年6月取締役、2026年4月より取締役常務執行役員経営戦略本部長より現職。 |
| 川浦 久幸 | 取締役 常務執行役員 社会インフラ事業本部長 兼社会インフラ事業本部 技術本部長 | 1986年4月同社入社。設計部長、企画推進本部長、ITS情報装置事業本部インフォメックス営業本部長を歴任。2019年6月取締役、2026年4月より取締役常務執行役員社会インフラ事業本部長兼社会インフラ事業本部技術本部長より現職。 |
| 河本 芳一 | 取締役 執行役員 社会インフラ事業本部 生産業務革新担当 サステナビリティ推進担当 | 1986年4月同社入社。設計部長、技術本部長、生産本部長を歴任。2022年6月取締役、2025年6月より取締役執行役員社会インフラ事業本部生産業務革新担当、サステナビリティ推進担当より現職。 |
| 鬼頭 達史 | 取締役 執行役員 経営管理本部長 | 1986年4月同社入社。事業企画推進室長、営業本部副本部長兼中部支社長、人事部長を歴任。2022年6月取締役、2025年6月より取締役執行役員経営管理本部長より現職。 |
| 三山 明秀 | 取締役 執行役員 社会インフラ事業本部 営業本部長 | 1996年4月同社入社。仙台支店長、営業開発部長、株式会社インフォメックス松本代表取締役社長を歴任。2025年6月より取締役執行役員社会インフラ事業本部営業本部長より現職。 |
社外取締役は、竹林一氏(元オムロンソフトウェア代表取締役社長・麗澤大学特任教授)、佐藤友子氏(佐藤会計事務所所長・監査等委員)、髙木道久氏(栄パーク総合法律事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とすることで、取締役会の監督機能強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
名古屋電機工業の役員報酬は、基本報酬、業績連動報酬(年次インセンティブ)、および非金銭報酬(中長期インセンティブ)で構成されています。各報酬の構成比率は概ね6:3:1とする方針であり、業績連動報酬には連結営業利益率が、非金銭報酬には当社の株式が用いられています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.8億円 | 30.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 2名 | 12百万円 | 6.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 18百万円 | 6.2百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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