リバーエレテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リバーエレテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リバーエレテックは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、スマートフォンや車載機器などに不可欠な水晶振動子や水晶発振器等の製造・販売を主力とする企業です。直近の業績では、車載や医療向けが好調で増収を達成したものの、コスト上昇等の影響により営業赤字が継続しており、収益力の強化が課題となっています。


※本記事は、リバーエレテックの有価証券報告書(第81期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リバーエレテックってどんな会社?


リバーエレテックは、電子機器の周波数制御に欠かせない水晶製品の研究開発から製造・販売までを一貫して手がけるメーカーです。

(1) 会社概要


同社は1949年に富士産業合名会社として創業し、1951年に株式会社として設立され抵抗器の製造販売を開始しました。1989年に水晶振動子の生産拠点として青森リバーテクノを設立し、1991年に現在のリバーエレテックに商号を変更しています。2004年にジャスダックに上場し、2022年の市場再編に伴い東証スタンダード市場へ移行しました。

現在の従業員数は連結で217名、単体で71名です。筆頭株主は若光で、第2位には創業者かつ代表取締役会長である若尾富士男氏が名を連ねています。また第3位には、取引金融機関である山梨中央銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
若光 14.86%
若尾 富士男 3.45%
山梨中央銀行 3.26%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は若尾富士男氏、代表取締役社長は萩原義久氏が務めています。取締役6名中、社外取締役は2名(33.3%)です。

氏名 役職 主な経歴
若尾 富士男 代表取締役会長 1971年同社入社。1999年代表取締役副社長営業本部長等を経て、2003年代表取締役社長、2023年より現職。
萩原 義久 代表取締役社長 1982年同社入社。第2商品開発部長や常務取締役製造担当、専務取締役等を経て、2023年より現職。
高田 泰弘 専務取締役営業本部長 1992年同社入社。営業本部長等を経て、2020年常務取締役営業本部長、2023年より現職。
雨宮 正人 取締役商品開発本部長 1984年同社入社。商品開発本部第2商品開発部長、執行役員等を経て、2018年より現職。


社外取締役は、武井義孝(元東京電波執行役員営業本部長)、堀江良太(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「水晶製品」事業を展開しています。

水晶製品事業


同社グループは、スマートフォンやパソコン、車載機器などの最先端デジタル機器に不可欠な水晶製品(水晶振動子や水晶発振器など)の製造および販売を主要事業として展開しています。水晶製品は、安定した電波の周波数維持や電子回路の規則正しい基準信号を作る役割を担う重要な電子部品です。

収益源は、国内外の電子機器メーカー等の顧客に対する水晶製品の販売代金です。同社が研究開発から販売までを主導し、製造は主に連結子会社の青森リバーテクノおよび西安大河晶振科技有限公司が担っています。販売面では、同社に加え、台湾利巴股份有限公司やシンガポールなどの海外子会社が展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は50億円台から70億円台で推移しています。過去の好調期には10億円を超える経常利益を計上していましたが、直近2期はコスト上昇やプロダクトミックスの悪化により営業赤字および経常赤字が続いています。ただし、当期は赤字幅がやや縮小する傾向を見せています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 74.2億円 68.6億円 54.5億円 57.0億円 57.8億円
経常利益 12.5億円 12.0億円 0.6億円 -0.6億円 -0.5億円
利益率(%) 16.8% 17.6% 1.0% -1.1% -0.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 11.1億円 8.9億円 -1.3億円 -0.8億円 -0.1億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増となったものの、売上総利益率は若干低下しています。販売費及び一般管理費の削減に努めているものの、原材料費の高騰等をカバーしきれず、直近2期連続で営業損失を計上する結果となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 57.0億円 57.8億円
売上総利益 12.6億円 12.4億円
売上総利益率(%) 22.1% 21.5%
営業利益 -0.8億円 -0.7億円
営業利益率(%) -1.3% -1.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当等が3.8億円(構成比29%)、研究開発費が2.7億円(同21%)を占めています。売上原価(45.4億円)のうち、外注加工費(37.6億円)や減価償却費(4.8億円)が大部分を占めており、製造固定費等の負担が大きい構造です。

(3) セグメント収益


同社は水晶製品事業の単一セグメントです。スマートフォン向け受注減の影響を受けたものの、車載や医療・ヘルスケア向け、産業機器向けが好調に推移したことで、全体の売上高は前期比で増収を確保しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
水晶製品 57.0億円 57.8億円
連結(合計) 57.0億円 57.8億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業(健全型)の傾向を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 1.9億円 3.2億円
投資CF -8.6億円 -1.3億円
財務CF 7.2億円 -1.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されていませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「源流」「創価」「革新」を経営理念として掲げています。「常に、源流に立って考え、意欲して創造し、価値を創り、新しい時へ、自ら変革し対応しよう」という基本理念に従い、長期経営ビジョンを「革新的技術を用いた最適価値の電子デバイスを世界に発信し、人々のくらしと生活環境の向上に貢献する」と定めています。

(2) 企業文化


同社は、経営理念を実践するためにチャレンジを続け、社会的課題の解決と企業価値の向上を目指す文化を持っています。ステークホルダーとの対話を通じた強固な信頼関係の構築や、公正かつ透明性の高い企業活動を通じた環境などの社会的課題解決に取り組む姿勢が根付いています。

(3) 経営計画・目標


2028年度を最終年度とした「中期経営計画R2028」を策定しています。成長性を測る指標として「連結売上高」および「連結売上高営業利益率」を、企業価値向上を測る指標として「ROIC(投下資本営業利益率)」を重要な経営指標と位置づけています。

(4) 成長戦略と重点施策


「顧客の満足と信頼の獲得」「独創的発想による価値の創造」「構造改革による収益力とキャッシュ創造力の強化」「持続可能な経営基盤の確立・強化」の4つを基本戦略としています。モビリティ、医療・ヘルスケア、IoT無線通信、次世代デジタルインフラ市場を注力分野とし、高周波・低ジッタ水晶発振器の拡販などに努めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


長期経営ビジョンの実現が果たせる有能な人材の確保を重要戦略として位置づけています。「前向きな危機感をもって、すべての活動において変化を恐れず、変化に対応し、スピード感を持って取り組む」といった自律的な人材を求め、多様な人材が能力を最大限発揮できるイノベーション創出に向けた組織づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.4歳 15.5年 5,695,269円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新規事業分野進出・事業拡大に係るリスク

持続的な成長に向けて新規事業や事業拡大を検討していますが、不確定要素が多く、目論見通りに進まない場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 資金調達戦略に係るリスク

事業環境の悪化に伴う信用格付けの低下や金融市場の混乱等により資金調達が制約を受け、必要資金を調達できない、または調達コストが増加する可能性があります。

(3) 販売戦略に係るリスク

主力市場がスマートフォン関連向けであり、売上が大手メーカーに偏重する傾向があります。技術革新や代替製品の台頭、競争激化による価格下落が生じた場合、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 商品品質に関するリスク

調達原材料等の品質不良の発生防止を含め、製品の品質確保に努めていますが、大規模な事故やクレーム、製造物責任賠償につながる製品欠陥が発生した場合、多額のコストや社会的評価の低下を招く恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。