※本記事は、株式会社ワッツ の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、100円ショップの運営およびその付随業務を単一セグメントとして展開しています。日用消耗品を中心とした「100円ショップ」を『Watts』などのブランド名で直営チェーン展開し、他の小売販売会社への卸販売も行っています。
単体従業員数は82名、連結従業員数は418名です。セグメントは100円ショップの運営及びその付随業務の1つです。
主な国内グループ会社は、ワッツ東日本販売、ワッツ西日本販売、ニッパン、リアルなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ワッツグループは、100円ショップの運営を主軸とする事業を展開しています。このセクションでは、同社グループで働く上での給与水準や従業員の在籍傾向、そして人材育成や多様性に関する取り組みについてご紹介します。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ワッツの従業員は、平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も高めであることから、安定して長く働く人材が多い傾向にあることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,958,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.6年 |
| 平均年齢 | 45.8歳 |
| 単体従業員数 | 82人 |
| 連結従業員数 | 418人 |
| 単体のグループ内比率 | 19.6% |
ワッツ及び連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型の制度として退職一時金制度を採用しています(確定給付型=給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)。この制度は国内グループ会社および海外子会社を含む全従業員に適用されます。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ワッツグループは、「会社にとって従業員は会社を運営していく主体であり、会社を成長・発展させていく原動力である」という認識のもと、優秀な人材の確保と育成に努めています。性別や国籍を問わず、誰もが活躍できる社内環境整備を進め、本人の能力や適性に基づいた処遇を基本方針としています。
ダイバーシティ&インクルージョンにおいては、性別に関わらず管理職として活躍でき、長く勤めることができる職場環境の構築を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。提出会社及びその他の連結子会社は、女性活躍推進法及び育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱ワッツ東日本販売
パート・有期労働者の賃金は、主に時給制のパート分(短期労働者)のため、正規雇用労働者より相対的に賃金が低くなっています。さらに、パート・有期労働者については、女性比率が高く、全労働者に占める割合も高いことから、全労働者の男女の賃金の差異が大きくなっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 11.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 43.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 75.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 92.9% |
▼ ㈱ワッツ西日本販売
パート・有期労働者の賃金は、主に時給制のパート分(短期労働者)のため、正規雇用労働者より相対的に賃金が低くなっています。さらに、パート・有期労働者については、女性比率が高く、全労働者に占める割合も高いことから、全労働者の男女の賃金の差異が大きくなっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 50.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 109.6% |
指標及び目標
| 指標 | 目標 | 国内グループ実績(当連結会計年度) |
|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 15.0% | 8.7% |
| 有給休暇取得率(全労働者) | 70.0% | 79.6% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ワッツグループは、100円ショップの運営とその付随業務を主軸に事業を展開しています。日用消耗品を中心とした幅広い商品を顧客に提供し、収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ワッツグループは、100円ショップの運営及びその付随業務を単一セグメントとしています。主力事業は『Watts』『Watts with』『meets.』『silk』といったブランドで直営の100円ショップをチェーン展開することです。文具、掃除、台所、衛生用品などの日用消耗品を中心に商品を展開しています。
また、他の小売販売会社への卸販売も行っており、これも同社グループの収益源の一つとなっています。国内では、心地よい生活を提案する雑貨店「Buona Vita」、生鮮スーパーとのコラボ店舗「バリュー100」、日用品全般を取り扱うディスカウントショップ「リアル」、時間をテーマにしたおうち雑貨店「Tokino:ne」といった多様な業態も運営しています。
海外においては、均一ショップ「Watts」「KOMONOYA」をタイとペルーで展開していますが、収益の大部分は国内事業から得られています。特定の大口顧客への売上集中は見られず、多角的な販売チャネルを通じて収益を確保するモデルとなっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期の業績を見ると、売上高は継続して増加傾向にあります。経常利益は変動がありましたが、直近2期は増加に転じています。
親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の期で減少となりましたが、これは前期に特別利益を計上した影響によるものです。本業の収益力を示す営業利益は増加しており、売上総利益率の改善が寄与しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 507億円 | 583億円 | 593億円 | 613億円 | 616億円 |
| 経常利益 | 15.9億円 | 11.5億円 | 6.5億円 | 12.3億円 | 14.3億円 |
| 経常利益率 | 3.1% | 2.0% | 1.1% | 2.0% | 2.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 9.7億円 | 7.8億円 | 2.5億円 | 9.0億円 | 8.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 72.09 | 57.83 | 18.46 | 68.45 | 66.00 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益も同様に増加しており、生産性の向上がうかがえます。これらの指標の改善は、効率的な店舗運営や商品戦略が寄与していると考えられ、組織全体の稼ぐ力の強化を示しています。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 140.5百万円 | 147.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.9百万円 | 3.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、自己資本比率の改善が見られる一方で、キャッシュフローにおいては資金流出が目立つ状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から改善し、プライム市場の非製造業平均を大きく上回る水準となっています。これは、財務の安定性を示す指標の一つです。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は前期から減少しています。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 125億円 | 130億円 |
| 自己資本比率 | 41.3% | 47.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.4% | 6.8% |
| 現金及び預金 | 93.8億円 | 61.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは資金の使用となりました。これは主に仕入債務の減少額や棚卸資産の増加額によるものです。投資活動によるキャッシュフローも資金の使用となっており、有形固定資産の取得による支出や無形固定資産の取得による支出が主な内訳です。
財務活動によるキャッシュフローも資金の使用に転じており、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な支出となっています。結果として、フリーキャッシュフローは資金の使用を示しています。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 40.4億円 | △17.7億円 |
| 投資CF | △5.4億円 | △10.8億円 |
| 財務CF | 2.3億円 | △3.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 35.1億円 | △28.5億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、100円ショップ業界における他業界からの新規参入や既存量販店内の均一販売コーナーの増加により、競争が激化する傾向にあることをリスクとして認識しています。また、輸入商品を多く扱っているため、為替レートの変動が業績に間接的に影響を与える可能性があります。原材料価格や原油価格の上昇により、仕入コストの見通しが不安定になる可能性も示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、指導力のあるスーパーバイザーを確保できない場合、店舗運営のレベルや顧客へのサービスの質が低下する可能性をリスクとして挙げています。また、パート・アルバイト従業員を確保できない場合は、求人関連費用の増加や賃金の上昇により収益性が悪化する可能性もあります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ワッツグループは、「おかげさまの心」を経営の根幹に据え、お客様や取引先、従業員といった全てのステークホルダーへの感謝を大切にしています。地域社会への貢献と、皆様と共に成長していくことを目指す企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「おかげさまの心」を大切にし、お世話になっている皆様に役立ち、地域社会に貢献することを使命としています。そして、皆様とともに成長していくことを目指しています。
100円という売価にこだわりながらも、他の価格帯の商品においても、お買い得感のある商品を提供し続けています。多様化する顧客ニーズに応えるため、ビジネスモデルのさらなる改善を進め、お客様に価格以上の価値を感じていただけるショップを目指しています。
また、新たな成長の原動力として、心地よい生活を提案する雑貨店「Buona Vita」や、時間をテーマにしたおうち雑貨店「Tokino:ne」、ディスカウントショップ「リアル」といった事業にも積極的に取り組んでいます。これにより、100円ショップ事業を補完する新しい収益源の多角化を図り、海外事業においてもグループ内売上シェアの拡大と利益獲得に向けて、既存事業の拡充と新規市場の開拓を進めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ワッツグループは、「おかげさまの心」を経営の根幹に据え、株主、お客様、取引先、従業員への感謝を大切にする企業風土があります。会社にとって従業員は、会社を運営していく主体であり、成長・発展させていく原動力であるという認識を持っています。
そのため、優秀な人材の確保と育成に努めています。性別や国籍等を問わず、誰もが活躍できる社内環境整備を進めており、本人の能力や適性に基づいた処遇を基本方針としています。
性別に関わらず管理職として活躍でき、長く勤めることができる職場環境の構築を目指しています。全社的な事業リスクやサステナビリティ、環境リスク等について検討し、取り組みを推進するリスクマネジメント委員会を設置し、経営の透明性と健全性を重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ワッツグループは、持続的成長と中長期的な企業価値の増大を目指し、いくつかの重点課題に取り組んでいます。その一つが「次世代人材の確保・育成」です。
深刻な人手不足に対応するため、積極的な新卒採用・中途採用に加え、パート・アルバイト従業員の正社員への登用を進めています。グループ規模の拡大や業務内容の多角化、海外展開、未経験業務への挑戦など、環境変化に対応できる人材を育成するため、人事制度の構築を目指しています。
また、「SDGs/ESG経営の推進」も重要なテーマです。環境面に配慮したレジ袋の導入、社内ペーパーレス化、店内照明のLED化、環境・安全・健康を意識した商品開発などを行っています。さらに、「ワッツ防災プロジェクト」を発足し、社内外への防災情報発信やイベント参加、商品開発を通じて、地域住民の声を反映したCSR・社会価値創出を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ワッツは、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能と業務執行の効率化を両立させる体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ワッツの筆頭株主は㈱カシオペアです。平岡史生氏(代表取締役社長執行役員)や平岡滿子氏といった創業家とみられる個人株主が上位に名を連ねています。大阪中小企業投資育成㈱のような機関投資家も主要株主となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ㈱カシオペア | 15.33% |
| 大阪中小企業投資育成㈱ | 4.90% |
| 平岡 滿子 | 4.55% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
ワッツの役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長執行役員は平岡史生氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平岡 史生 | 代表取締役 社長執行役員 | 1998年4月同社入社、2003年3月代表取締役社長、2024年9月代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 森 秀人 | 取締役 常務執行役員 経営企画室長 | 1984年4月㈱三和銀行入行、2013年11月同社入社、取締役経営企画室長、2024年9月取締役常務執行役員経営企画室長より現職。 |
| 山野 博幸 | 取締役 執行役員 事業本部長 | 1995年5月同社入社、2015年11月取締役商品部長、2024年9月取締役執行役員事業本部長より現職。 |
| 角本 昌也 | 取締役 執行役員 管理本部長 | 2008年9月同社入社、2017年11月取締役第一事業本部副本部長兼事業戦略部長、2025年4月取締役執行役員管理本部長より現職。 |
| 平田 正浩 | 取締役 執行役員 海外事業部長 | 2015年11月同社入社、取締役海外事業部長、2024年9月取締役執行役員海外事業部長より現職。 |
社外取締役は、酒谷佳弘氏(ジャパン・マネジメント・コンサルティング代表取締役・監査等委員)、林堂佳子氏(弁護士法人青雲法律事務所社員弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社を採用しており、取締役会の監督機能を強化しています。独立した社外取締役が、客観的かつ専門的な視点から経営の監督・監査を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ワッツの役員報酬は、企業価値向上へのインセンティブとして株主利益と連動する体系を基本としています。業務執行取締役には、役位や職責に応じた固定報酬に加え、親会社株主に帰属する当期純利益の達成度合いに応じた業績連動報酬が支給されます。また、譲渡制限付株式報酬制度も導入されており、外部調査データ等を参考に適切な水準で設定されています。社外取締役には、その職務に鑑み基本報酬のみが支払われます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 7名 | 1.8億円 | 25.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 2百万円 | 2.2百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 17百万円 | 5.5百万円 |
なお、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、譲渡制限付株式報酬18,542千円です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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