※本記事は、東京ラヂエーター製造株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東京ラヂエーター製造は、熱交換器、燃料タンク、プレス板金製品の製造販売を主な事業内容としています。同社グループは、トラック市場や産業・建設機械市場向けに製品を提供し、これらに付帯するサービス事業も展開しています。
単体従業員数は492名、連結従業員数は816名です。セグメントは日本、中国、アジアの3つです。
主な国内グループ会社は、トーシンテクノ(自動車部品・販売)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東京ラヂエーター製造は、自動車業界を支える製造業として、安定した事業基盤を持つ企業です。同社グループでは、従業員の成長と働きがいを重視し、多様な人材が活躍できる職場環境の整備に力を入れています。長期的な視点でのキャリア形成を支援する方針がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、従業員が安定してキャリアを築いている傾向が見られます。これは、長期的な視点で人材を育成し、働きやすい環境を提供していることの表れと言えるでしょう。平均年齢も比較的高い水準であり、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,164,315円 |
| 平均勤続年数 | 17.5年 |
| 平均年齢 | 43.4歳 |
| 単体従業員数 | 492人 |
| 連結従業員数 | 816人 |
| 単体のグループ内比率 | 60.3% |
同社グループは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型年金制度と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型年金制度を導入しています。これらの制度は同社に適用され、連結子会社では退職一時金制度が設けられています。
退職一時金制度は存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は17.4億円、年金資産は29.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
東京ラヂエーター製造は、「人間尊重を基本に、新たな価値を創造し、信頼される企業として地球に優しい社会づくりに貢献する」という経営理念のもと、人財を企業価値創造の源泉と位置付けています。中期経営計画「TRS Vision-2030」では、人財戦略を重要課題とし、従業員エンゲージメントの向上を通じて持続的成長と企業価値向上を目指しています。
同社では、年齢や勤続年数に拠らない職務等級制度を採用し、役割の重要性や専門性に基づいて等級を決定しています。基本給は外部労働市場や同業他社の動向を踏まえて設定され、行動特性や能力発揮状況に基づくコンピテンシー評価も反映されます。賞与や業績連動型のVC(変動報酬)により、個人や部門、全社業績が報酬に連動する仕組みです。
人財戦略の重点テーマとして、DXを活用した業務改革による生産性向上、行動指針『TRSWAY』を実践できる人財育成、DXやグローバル、新領域を担う人財の戦略的採用・配置を推進しています。また、性別や障害の有無にかかわらず多様な人財が活躍できる環境整備、ワークライフバランスを重視した働きやすさ・働きがいの向上、教育と対話を通じた組織力強化にも取り組んでいます。
具体的な施策としては、製造現場の技能力向上、360度サーベイ、キャリアプランの充実、女性管理職の登用、キャリア採用、再雇用制度の充実、障がい者雇用を進めています。働き方改革としてメンター制度やテレワーク制度の活用、育児介護の両立支援、有給休暇取得促進、長時間労働の削減、福利厚生の充実を図っています。さらに、エンゲージメントサーベイやハラスメント研修、健康経営の推進としてヘルスリテラシー向上、ストレスチェック、メンタルヘルス教育、EAPプログラムによる相談体制整備など、多岐にわたる取り組みを行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、女性活躍推進推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 2.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 75.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 83.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 76.7% |
多様な人材の活躍
提出会社単体の任意開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 障がい者雇用率 | 2.8% |
働きやすい職場風土
提出会社単体の任意開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 66.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東京ラヂエーター製造は、熱交換器、燃料タンク、プレス板金製品の製造販売を主な事業内容とする同社グループの中核企業です。これらに付帯するサービス事業も展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に自動車部品の生産・販売を手掛けており、熱交換器や車体部品が主力製品となっています。トラック市場や産業・建設機械市場が主要な顧客基盤です。地域ごとに最適な生産拠点を設け、包括的な戦略を立案することで事業活動を展開しています。
収益は、主に自動車部品の生産・販売から得ており、市場の需要動向に影響を受けます。特に、いすゞ自動車株式会社への売上高が大きな割合を占める傾向にあります。
同社グループは「日本」「中国」「アジア」の3つの報告セグメントで構成されています。
日本
国内トラック市場の堅調な需要と当社製品の需要拡大により、売上高は増加し、セグメント利益も大きく増加しています。収益は、主に国内の自動車メーカーや産業・建設機械メーカーへの製品販売から得ています。
中国
国内向けおよび輸出向け需要の減少により売上高は減少しましたが、セグメント利益は増加しています。不動産市況の低迷が市場環境に影響を与えています。収益は、中国国内および輸出向けの製品販売から得ています。
アジア
東南アジア地域(タイ、インドネシア)の経済低迷と商用車を含む自動車販売市場の不調により、売上高は減少し、セグメント利益も減少しています。収益は、インドネシアやタイを中心としたアジア地域の顧客への製品販売から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 264億円 | 290億円 |
| 中国 | 44.4億円 | 34.2億円 |
| アジア | 32.6億円 | 29.2億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期間にわたり継続的に増加傾向にあり、直近の当連結会計年度も増加となりました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も大きく増加しており、収益性が改善している状況です。
営業活動によるキャッシュ・フローは資金を獲得していますが、投資活動による資金の使用が増加しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 270億円 | 318億円 | 334億円 | 341億円 | 354億円 |
| 経常利益 | 96百万円 | 8.5億円 | 15.5億円 | 19.2億円 | 25.4億円 |
| 経常利益率 | 0.4% | 2.7% | 4.6% | 5.6% | 7.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △8.0億円 | △7.2億円 | 16.8億円 | 14.2億円 | 20.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △55.68 | △52.78 | 179.07 | 151.12 | 214.85 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性が向上していることが示されています。また、従業員1人あたり営業利益も増加しており、収益性の改善が生産性向上に寄与していると考えられます。これらの指標は、同社グループが効率的な事業運営を進めている状況を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 39.7百万円 | 43.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.0百万円 | 2.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
東京ラヂエーター製造の財務状況は、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている段階を示しています。これにより、事業の持続的な成長を目指していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を大きく上回っており、強固な財務体質を維持していることが示されています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場の製造業平均を下回っていますが、前期から改善傾向にあります。手元資金も潤沢に確保されており、事業運営における安定性が高い状態です。このような財務状況は、長期的な視点での雇用や給与の安定性につながる基盤となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 240億円 | 261億円 |
| 自己資本比率 | 66.7% | 72.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.8% | 8.9% |
| 現金及び預金 | 84.1億円 | 85.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
東京ラヂエーター製造のキャッシュフローを見ると、本業の営業活動では安定して資金を獲得しています。当期は税金等調整前当期純利益や減価償却費により資金が増加したものの、仕入債務の減少により営業活動によるキャッシュフローは前期から減少しました。投資活動では、主に定期預金の預け入れや有形固定資産の取得により資金を使用しており、将来に向けた積極的な投資を行っていることが示されています。これにより、フリーキャッシュフローはマイナスとなっています。財務活動では、主に配当金の支払いにより資金を使用しており、株主還元も行われています。この資金の流れは、本業で得た資金を成長投資に充てている段階であり、事業の持続的な発展を目指す姿勢がうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 22.5億円 | 17.1億円 |
| 投資CF | △6.0億円 | △20.4億円 |
| 財務CF | △4.1億円 | △7.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 16.5億円 | △3.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業は、熱交換器や車体部品等の製造であり、販売先がトラック、産業・建設機械の特定のメーカー数社に依存している状況です。景気変動による販売数量の減少は、財政状況や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、事業のほとんどがトラック、産業・建設機械業界に依存しており、これらの業界は景気変動の影響を受けやすい傾向があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東京ラヂエーター製造は、熱交換器の専門メーカーとして、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。人間尊重を基本に、新たな価値創造と地球に優しい社会造りへの貢献を経営理念としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
東京ラヂエーター製造グループは、「人間尊重を基本に、新たな価値を創造し、信頼される企業として地球に優しい社会造りに貢献する」ことを経営理念としています。2030年には「モノづくり力で業界トップレベル」を掲げ、トラック・建機向け熱交換器ビジネスで国内シェアNo.1を築くことを目標としています。
既存事業の競争力強化、成長市場を捉えたグローバル展開の推進、乗用車分野およびカーボンニュートラル関連を軸とした新領域への展開を目指しています。多品種・多品番・少量生産に対応したモノづくり力の強化、DXを軸とした人財・組織基盤の強化を通じて、持続的な企業価値向上を目指す方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
東京ラヂエーター製造グループは、行動指針としてTRS WAY「変わる」「応える」「高める」を掲げ、実践しています。従業員一人ひとりの意識転換と能力開発を図り、風通しの良い多様な人材が活躍できる職場風土を築く活動に取り組んでいます。
人財育成では製造現場の技能力向上やキャリアプラン(自己申告制度)の充実、多様な人材の活躍では女性管理職の登用や障がい者雇用を推進しています。働きやすい職場風土の実現に向け、メンター制度の充実やテレワーク制度の活用といった「働き方改革」、エンゲージメント向上、健康経営にも注力しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
東京ラヂエーター製造グループは、持続的成長を実現するため、いくつかの課題に優先的に取り組んでいます。DXを軸とした人財・組織基盤の強化を掲げ、DXによる業務改革で生産性向上を図り、人財育成と戦略的な配置を通じて組織力の強化を推進しています。
また、サステナビリティおよびガバナンスの強化も重点テーマです。カーボンニュートラルへの対応を進めるとともに、コンプライアンスとガバナンス体制の強化を継続し、持続可能な経営基盤の確立を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役制度を採用しており、取締役会と監査役会を設置しています。取締役会は社外取締役を含めて構成され、重要な業務執行の決議と監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は複数の事業会社によって支えられている資本構成となっています。筆頭株主はマレリであり、いすゞ自動車や山崎金属産業といった事業会社も上位株主として名を連ねています。これらの株主は、同社の経営基盤を形成する上で重要な存在です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| マレリ | 12.11% |
| いすゞ自動車 | 7.09% |
| 山崎金属産業 | 5.51% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は木村裕哲氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木村 裕哲 | 代表取締役社長 | 1986年4月 日本ラヂヱーター(現マレリ)入社。2019年4月 マレリ副社長執行役員。2022年4月 同社常務執行役員経営企画室長。2024年4月 同社代表取締役社長、執行役員社長、内部監査室担当より現職。 |
| 三村 健二 | 取締役 | 1986年4月 同社入社。2018年4月 同社執行役員営業本部副本部長。2021年6月 同社取締役、常務執行役員、営業本部長より現職。 |
| 吉光 真幸 | 取締役 | 1991年4月 いすゞエンジニアリング入社。2018年4月 同社開発第一部部長(理事)。2023年4月 同社常務執行役員、NEV戦略開発室担当、開発本部長。2025年6月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、髙村藤寿氏(コマツ顧問)、堀比斗志氏(オルガノ取締役常務執行役員)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は社外取締役が2名含まれる5名で構成されています。社外取締役は独立した立場から、取締役会の意思決定の妥当性・適法性を確保する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、役員報酬の決定において透明性と合理性を重視し、ガバナンス委員会への諮問を経て取締役会で決定しています。取締役の報酬は固定報酬、業績連動報酬、そして譲渡制限付株式報酬で構成されており、社外取締役は独立性の観点から固定報酬のみが支給されます。業績連動報酬は、連結の売上高や利益、個人・部門業績の目標達成率に応じて設定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.1億円 | 27.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 12百万円 | 5.8百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 22百万円 | 4.4百万円 |
なお、取締役(社外取締役を除く)に対する非金銭報酬等は、譲渡制限付株式報酬です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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