※本記事は、株式会社ヤマダコーポレーション の有価証券報告書(第100期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ヤマダコーポレーションってどんな会社?
同社は、自動車整備用機器や産業用ポンプ等の流体移送機器を主力とするメーカーです。
■(1) 会社概要
同社のルーツは1905年創業の工場にあり、1939年に東京ヤマダ油機製作所として設立されました。1947年にヤマダ油機製造へ商号変更し、自動車用機器の製造を開始。1962年には東証二部に上場しました。1990年に現社名へ変更し、米国・欧州・中国・タイなどへ海外展開を加速させています。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しました。
同社グループは連結従業員346名、単体222名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は創業家出身で社長を務める山田昌太郎氏、第2位は外国法人のCHARON FINANCE GMBH、第3位は東京都大田区に所在する豊和となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山田 昌太郎 | 8.02% |
| CHARON FINANCE GMBH | 7.26% |
| 豊和 | 7.22% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山田昌太郎氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田 昌太郎 | 取締役社長(代表取締役) | 1985年久保田鉄工入社。1987年同社入社。海外部長、営業本部長、経営管理室担当などを経て、2012年6月より現職。 |
| 山田 幸太郎 | 取締役相模原工場長 | 2000年同社入社。営業本部長、生産部長、技術本部長などを歴任。2016年より子会社ヤマダプロダクツサービス社長を兼務。2025年4月より現職。 |
| 亀山 慎史 | 取締役営業本部長 | 1984年同社入社。米国・欧州・中国・タイ各現地法人のトップを歴任し、海外営業を統括。2012年取締役就任。2024年4月より現職。 |
| 池原 賢二 | 取締役管理本部長 | 1988年埼玉銀行(現りそなグループ)入社。支店長や営業サポート統括部などを経て2019年同社常勤監査役就任。2022年6月より現職。 |
社外取締役は、早稲本和徳(伊東・早稲本法律事務所パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「米国」「オランダ」「中国」「タイ」の報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。
■(1) オートモティブ機器事業
自動車整備工場やガソリンスタンド向けに、ハンドポンプ、バケットポンプ、ルブリケーターなどの潤滑給油機器や、排気ガス排出システム、フロンガス回収機などの環境整備機器を提供しています。
収益は、製品の販売による対価が主な源泉です。運営は主に同社が行い、一部製品の製造を子会社のヤマダメタルテックが担当しています。
■(2) インダストリアル機器事業
各種産業分野において、オイル、グリース、塗料、接着剤、インキ、化学薬品などの流体を圧送するためのエアポンプやダイアフラムポンプ、およびそれらのシステム製品を提供しています。
収益は、産業用機器の販売による対価です。製造・販売は同社が行い、海外市場においてはヤマダアメリカINC.、ヤマダヨーロッパB.V.、ヤマダ上海ポンプ貿易有限公司、ヤマダタイランドCO.,LTD.などの現地法人が販売を担当しています。
■(3) その他
上記部門に属さないサービス部品の供給や修理サービスを提供しています。
収益は、部品販売および修理サービスの対価です。運営は同社のほか、子会社のヤマダプロダクツサービスが部品販売や修理等を担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は100億円台から140億円台へと拡大傾向にあります。利益面でも、売上高の伸長に伴い経常利益は13億円から20億円台へと推移しており、高い利益率を維持しています。第100期は前期比でやや減収減益となりましたが、依然として安定した収益力を示しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 101億円 | 122億円 | 137億円 | 148億円 | 146億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 17億円 | 21億円 | 26億円 | 22億円 |
| 利益率(%) | 12.6% | 13.9% | 15.3% | 17.3% | 15.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 11億円 | 11億円 | 15億円 | 11億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比微減の146億円となりましたが、売上総利益率は40%台を維持しており、高い収益性を確保しています。営業利益は前期の25億円から20億円へと減少しましたが、依然として10%を超える高い営業利益率を維持しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 148億円 | 146億円 |
| 売上総利益 | 66億円 | 63億円 |
| 売上総利益率(%) | 44.6% | 43.2% |
| 営業利益 | 25億円 | 20億円 |
| 営業利益率(%) | 16.7% | 13.4% |
販売費及び一般管理費のうち、役員・従業員給与手当が18億円(構成比41%)と最も大きな割合を占めています。次いでその他経費が12億円(同29%)となっています。人件費を中心とした固定費が販管費の主要部分を構成している構造です。
■(3) セグメント収益
各地域の業績を見ると、米国は売上高が増加し、利益率も高い水準を維持しています。一方、日本は売上が減少し、利益が大きく低下しました。中国とオランダは減収減益傾向にあり、タイは増収となりましたが利益は微減となりました。全体として海外、特に米国の収益貢献が高い構造となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 64億円 | 63億円 | 12億円 | 7億円 | 10.9% |
| 米国 | 58億円 | 58億円 | 9億円 | 10億円 | 16.6% |
| オランダ | 15億円 | 14億円 | 1億円 | 1億円 | 9.5% |
| 中国 | 8億円 | 8億円 | 0.6億円 | 0.5億円 | 6.6% |
| タイ | 3億円 | 4億円 | 0.7億円 | 0.7億円 | 20.3% |
| 連結(合計) | 148億円 | 146億円 | 25億円 | 20億円 | 13.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ヤマダコーポレーションは、海外売上高比率が6割を超えるグローバル企業です。
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が主な収入要因となり、前年同期比で大幅な増加となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形固定資産の取得が主な支出要因となり、前年同期比で支出額が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な支出要因となり、前年同期比で支出額が増加しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 16億円 |
| 投資CF | -5億円 | -8億円 |
| 財務CF | -8億円 | -10億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「堅実で公正な企業活動を通じて、お客様のニーズ、社員の喜び、株主の期待、産業と社会の発展に誠実に取り組む」ことを企業理念として掲げています。創業以来培った品質を磨き上げ、ポンプ事業を成長エンジンとして社会に貢献するグローバルカンパニーを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、グループビジョン「For the Next Century with YAMADA PRIDE」のもと、変化に対応し持続的に成長できる企業文化の醸成を目指しています。「変化」「お客様志向」「共創」の3つの価値観を明確化した「人財ビジョン」を制定し、これに基づいた行動を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
第100期より、3ヵ年ごと3段階の中期経営計画をスタートさせています。持続的な投資の原資となる収益を重視し、営業利益率の適切なマネジメントに努めるほか、経営効率を高め、株主還元を継続することを重要事項としています。
- ROE(株主資本利益率)の維持・向上
■(4) 成長戦略と重点施策
ポンプ事業を成長領域と位置付け、グローバル展開を加速させることでトップブランドを目指します。一方、オートモティブ事業は継続領域として、モビリティの進化に対応した製品・サービスを提供します。これらを支えるため、相模原工場の生産体制進化やDX推進、人財育成に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人財ビジョン」に基づき、変化を楽しみ、お客様価値を創造し、共に成長する人材の育成を目指しています。階層別研修や資格取得奨励、英会話研修などの支援制度を拡充するとともに、人事制度の再構築や次世代リーダーの育成、女性活躍推進、働き方改革の促進に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 43.3歳 | 17.9年 | 7,195,394円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期社員) | - |
※同社は常時雇用する労働者の数が300人を超えないため、男性育児休業取得率および男女賃金差異については公表義務の対象ではなく、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(86.2%)、時間外労働の年間平均時間(10.0H)、英会話研修受講率(累計)(19.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済環境および市場動向の変化
主力製品であるダイアフラムポンプやオートモティブ製品は、国内外の景気や設備投資動向の影響を強く受けます。また、自動車産業のEV化などにより市場構造が大きく変化する可能性があり、これらの環境変化が業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 海外事業展開に伴うリスク
成長戦略として海外事業の拡大を進めていますが、グローバル経済の動向、地政学的リスク、各国ごとの法的規制、商習慣の違いなどが障壁となる可能性があります。予期せぬ事態が発生した場合、事業運営や業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 為替レートの変動
外貨建ての売上、資産、負債を有しており、海外売上比率も高いため、急激な為替変動は業績や財務状態に影響を与えます。円換算時の評価額変動が損益にインパクトを与える可能性があります。



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