※本記事は、株式会社村上開明堂 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
村上開明堂グループは、自動車用バックミラーやファインガラスの製造販売を主軸とする企業グループです。日本、アジア、北米の3つの地域でグローバルに事業を展開しています。
村上開明堂の単体従業員数は934名、連結従業員数は3,682名です。事業セグメントは日本、アジア、北米の3つです。
主な国内グループ会社は、エイジー(バックミラー・製造販売)、村上開明堂化成(樹脂製品卸販売)、村上エキスプレス(一般貨物・自動車運送事業)、村上開明堂東日本(バックミラー・ランプ製造販売)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
村上開明堂は、自動車産業を支える事業基盤を持ち、連結で3,682名の従業員を擁する企業です。同社グループは、持続的な成長のために人財を最も大切な経営資源と捉え、人財育成や多様な働き方を支援する環境整備に力を入れています。社員一人ひとりが専門性を高め、能力を最大限に発揮できるような制度と風土づくりを目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長く働き、経験を積んでいる傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、安定した環境でキャリアを築いている社員が多いことがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,987,410円 |
| 平均勤続年数 | 19.0年 |
| 平均年齢 | 43.4歳 |
| 単体従業員数 | 934人 |
| 連結従業員数 | 3,682人 |
| 単体のグループ内比率 | 25.4% |
同社は、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)の両方を採用しています。これらの制度は、同社および一部の連結子会社を対象としています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付制度における退職給付債務は48.9億円、年金資産は56.5億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「人財こそ競争力の源泉」と捉え、既存事業の収益力向上や新たな価値創出、経営基盤の強化を推進するため、連結グループ全体で人財づくりに取り組んでいます。人財確保、人財育成、そして相互尊重に基づく組織風土の醸成と健康経営の推進を通じた組織基盤の強化を重視しています。
給与については、一般職および総合職には職能等級制度、管理職には役割等級制度を適用し、職務遂行能力や役割・責任の大きさに応じて決定されます。賞与は会社業績と個人の実績評価を総合的に勘案し、昇給は能力評価および役割行動評価の結果に基づいて行われます。
同社は「チャレンジする人財を応援する」「社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援する」「多様な人財が活躍する場を提供する」「プロとしての能力開発を支援する」という人財マネジメントポリシーを掲げています。具体的には、教育・研修制度の充実やキャリア形成支援、OJTを通じた能力開発、女性活躍推進や男性の育児参画促進、そして健康経営の推進(「健康経営優良法人2026」認定)に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、同一労働における賃金差ではなく、等級別人員構成の差によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 68.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 74.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正社員) | 76.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(有期社員) | 96.9% |
人的資本に関する指標と目標
これらの指標は提出会社単体の実績であり、連結グループ全体を対象としたものではありません。女性リーダー層は管理職に加え、係長級(総合職)を含みます。エンゲージメントスコアは、年1回実施する従業員意識調査に基づき、5点満点で評価した総合指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性リーダー層の割合 | 7.9% |
| 男性社員の育児休業等取得割合 | 68.2% |
| エンゲージメントスコア | 3.43点 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
村上開明堂グループは、主に自動車用バックミラーの製造販売を手がけ、日本、アジア、北米の3つの地域セグメントで事業を展開しています。同社グループの事業は、各地域の現地法人を通じて、自動車産業のニーズに応える製品を提供することで収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、自動車用バックミラーとファインガラスの製造販売を主軸としています。各地域の現地法人が独立した経営単位として、それぞれの地域に合わせた戦略で事業活動を展開しています。
収益モデルは、主に自動車メーカーへの製品供給によるものです。当連結会計年度の連結売上高に占める海外向け売上高は56.4%であり、海外拠点が同社グループの事業において重要な位置を占めていることが示されています。特定の顧客としてトヨタ自動車株式会社への販売実績があります。
日本
日本セグメントでは、自動車用バックミラーとファインガラスの製造販売を行っています。当連結会計年度の売上高は前期からわずかに増加しました。しかし、将来への投資増加や、インフレーションおよび円安による原価高騰の価格転嫁が限定的であったことから、営業利益は前期に比べて減少しました。
アジア
アジアセグメントでは、タイ、中国、インドネシアを中心に自動車用バックミラーとファインガラスの製造販売を展開しています。当連結会計年度は、タイ国内における自動車用バックミラーの販売数量が増加した結果、売上高は前期から増加しました。売上増加の影響などにより、営業利益も前期に比べて増加しています。
北米
北米セグメントは、米国とメキシコを拠点に自動車用バックミラーの製造販売を行っています。当連結会計年度は、メキシコにおける自動車用バックミラーの販売数量増加と為替換算の影響により、売上高は前期から増加しました。売上高増加の影響などにより、営業利益も前期に比べて増加しました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 511億円 | 513億円 |
| アジア | 306億円 | 331億円 |
| 北米 | 275億円 | 312億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも一貫して増加傾向を示しています。直近の当連結会計年度においても、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はすべて前期から増加となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 736億円 | 906億円 | 1,046億円 | 1,092億円 | 1,157億円 |
| 経常利益 | 57.2億円 | 64.2億円 | 93.2億円 | 99.1億円 | 104億円 |
| 経常利益率 | 7.8% | 7.1% | 8.9% | 9.1% | 9.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 38.6億円 | 53.7億円 | 58.9億円 | 59.4億円 | 60.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 309.16 | 437.69 | 493.73 | 513.64 | 524.89 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
当連結会計年度における従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しており、同社グループ全体の生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加しており、従業員一人あたりの利益創出力も高まっていることが示されています。これらの指標は、組織全体の効率化が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 29.2百万円 | 31.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.4百万円 | 2.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
村上開明堂グループは、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しており、本業で着実に利益を生み出しています。将来に向けた投資も継続しており、事業の成長と安定性の両面を重視した経営状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって特徴づけられます。自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較しても高い水準にあり、強固な財務体質を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、安定した収益性を確保している状況です。手元資金も十分に確保されており、不測の事態や将来の成長投資に備える体制が整っています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 923億円 | 981億円 |
| 自己資本比率 | 77.0% | 77.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.9% | 6.6% |
| 現金及び預金 | 476億円 | 465億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより、前期から増加しています。投資活動によるキャッシュフローは、定期預金の預入や有形固定資産の取得による支出が増加したため、前期よりも減少幅が拡大しました。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払額などにより、前期から減少幅が拡大しています。
これらの結果、フリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で得た資金で投資活動を賄えている状況です。これは、同社グループが本業で安定的に資金を生み出し、将来の成長に向けた投資を継続しながらも、財務的な健全性を保っていることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 98.4億円 | 99.4億円 |
| 投資CF | △45.0億円 | △85.4億円 |
| 財務CF | △30.5億円 | △39.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 53.4億円 | 14.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの売上高の9割以上を自動車業界向け製品が占めており、自動車生産量の変動や価格競争の激化が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、日本、タイ、インドネシア、中国、米国、メキシコ、インドで事業を展開しており、各国の政策動向、政治・経済情勢、為替変動、法規改正、地政学上の不測の事態などが事業活動に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
グローバルな事業展開において、文化や慣習の違いに起因する労務問題や訴訟等の法的リスクが生じる可能性があります。同社グループでは、グループ各拠点における内部統制及びガバナンス体制によりリスクの早期把握と対応力向上を図っています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
村上開明堂は、自動車用安全視認技術を通じて社会に貢献することを目指し、持続的な成長と企業としての社会的責任を果たすことを重視しています。従業員一人ひとりの成長と活躍を支え、変化に対応できる組織づくりを進めている会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「人の役に立つ」を経営理念に掲げています。
自動車用バックミラーやヘッドアップディスプレイ用ミラーなどの安全視認技術の「ものづくり」を通じて、グローバルに安全・安心・快適な社会の実現に貢献することを目指しています。
持続的成長に向けて、新たな事業領域の開拓や事業の多角化にも積極的に取り組む方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「健康・信頼・親和」を社是とし、従業員をはじめとするステークホルダーとの信頼関係を築き、社会とともに発展できる企業であり続けることを重視しています。
「村上開明堂グループ企業行動憲章」では、人権尊重、法令遵守、社会的良識と地球環境への配慮をもって社会の発展に貢献することを企業の社会的責任と定めています。
人財マネジメントポリシーとして「チャレンジする人財を応援する」「社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援する」「多様な人財が活躍する場を提供する」「プロとしての能力開発を支援する」という4つの指針を掲げています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、経営基盤強化として経営理念である「人の役に立つ」の実践を通じて、持続可能な社会への貢献を図っています。
ガバナンス強化の一環としてリスク管理委員会を設置し、グローバルでの重要リスクの把握・評価および統制管理を進めることで、経営のリスク耐性向上を目指しています。
また、DXの推進によりグローバルでの業務プロセス標準化と仕組みづくりを進め、業務効率の向上に取り組んでいます。
働き方改革や人財育成にも注力し、全ての社員がいきいきと働ける企業環境の実現を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
村上開明堂は、時代の変化に機敏に対応し、透明度の高い経営を目指すことをコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方としています。取締役会を企業統治の軸とし、執行役員制度を導入することで、経営監視機能と業務執行機能の分化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
村上開明堂の株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社豊英社であり、同社の代表取締役社長が代表取締役を兼務し、議決権を有している会社です。また、代表取締役社長である村上太郎氏も上位株主として名を連ねています。このように、創業家およびその関連会社が上位株主として同社グループを支えていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 豊英社 | 16.05% |
| 村上太郎 | 12.61% |
| NIPPON ACTIVE VALUE FUND PLC | 6.19% |
| 三菱UFJ銀行 | 5.02% |
| 中島屋ホテルズ | 3.97% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は13名(男性12名・女性1名)で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長は村上太郎氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 村上 太郎 | 代表取締役社長 | 1985年11月 同社入社、2008年6月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 長谷川 猛 | 専務取締役 経理財務本部長 兼同本部経理財務部長 | 1982年4月 同社入社、2024年6月 同社専務取締役より現職。 |
| 糟谷 篤 | 常務取締役 グローバル調達本部長 | 1984年3月 同社入社、2024年6月 同社常務取締役、2025年4月 同社グローバル調達本部長より現職。 |
| 平沢 方秀 | 取締役 | 1983年4月 キヤノン株式会社入社、2020年6月 同社取締役より現職。 |
| 松田 裕昭 | 取締役 グローバル営業本部長 | 1989年3月 同社入社、2023年6月 同社取締役、2025年4月 同社グローバル営業本部長より現職。 |
| 島村 昌宏 | 取締役 コーポレート本部長 兼同本部コーポレートサービス部長 | 1984年3月 同社入社、2024年6月 同社取締役より現職。 |
| 前田 健太 | 取締役 経営統括本部長兼同本部経営企画部長 | 1989年3月 同社入社、2025年6月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、力石晃一氏(NYK Energy Ocean株式会社代表取締役社長執行役員・アドバイザリーボード)、足羽由美子氏(足羽会計事務所所長・アドバイザリーボード)、後藤康雄氏(はごろもフーズ株式会社代表取締役会長・アドバイザリーボード)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会を企業統治の軸としています。社外取締役および社外監査役を選任することで、客観的かつ中立的な経営体制の確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
村上開明堂の役員報酬は、各職責を踏まえて決定されています。基本報酬は、役位、職責、在任年数に応じた月例の固定報酬と、業績や経済動向、業界動向を勘案した賞与、株主との価値共有を目的とした譲渡制限付株式報酬で構成されています。なお、業績連動報酬は採用していません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 9名 | 3.7億円 | 41.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 23百万円 | 23.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 34百万円 | 6.8百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、村上太郎氏(1.66億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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