ヨロズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヨロズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヨロズは東京証券取引所プライム市場に上場し、自動車用のサスペンションや車体部品、金型等の製造販売を主力事業として展開する企業です。当期の連結業績は、生産台数の減少や為替等の影響によりわずかに減収となったものの、合理化活動や品質改善の推進によって営業利益および純利益は大幅な増益を達成しています。


※本記事は、株式会社ヨロズの有価証券報告書(第81期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヨロズってどんな会社?


国内外の自動車メーカー向けに、サスペンション等の機構部品や金型の製造販売を展開する専門メーカーです。

(1) 会社概要


1948年に自動車整備を目的に萬自動車工業として設立され、1949年に日産重工業(現日産自動車)と取引を開始しました。1990年にヨロズへ社名変更し、1994年に上場を果たしました。米国やタイなどへの海外拠点設立を通じてグローバル展開を積極的に推進し、現在は東証プライム市場に上場しています。

連結従業員数は5,405名、単体では445名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位は志藤ホールディングス、第3位は事業会社のJFEスチールです。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.63%
志藤ホールディングス 4.29%
JFEスチール 4.09%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役会長会長執行役員(CEO)は志藤昭彦氏、代表取締役社長社長執行役員(COO)は平中勉氏が務めています。取締役9名のうち4名が社外取締役であり、取締役会の3分の1以上を独立社外取締役が占めています。

氏名 役職 主な経歴
志藤昭彦 代表取締役会長会長執行役員(CEO) 成田鉄工を経て1968年入社。生産管理部長等を経て2001年代表取締役社長最高経営責任者に就任。2008年より現職。
平中勉 代表取締役社長社長執行役員(COO) 日産自動車での調達部門等を経て2012年入社。副社長等を経て2021年より代表取締役社長社長執行役員最高執行責任者となり現職。
志藤健 取締役副会長執行役員 2003年入社。国内子会社社長等を経て2016年代表取締役社長に就任。2021年より取締役副会長執行役員長期戦略担当となり現職。
春田力 取締役副社長執行役員 1990年入社。米国子会社社長や人事部長等を歴任。2025年より取締役副社長執行役員社長補佐となり現職。
平野紀夫 取締役(監査等委員) 1984年入社。メキシコ子会社社長、経営企画室長等を歴任。2022年より最高財務責任者を務め、2025年より現職。


社外取締役は、大下政司(元経済産業省)、森谷弘史(元カルソニックカンセイ社長)、辻千晶(弁護士)、小川千恵子(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」、「米州」、「アジア」および「その他」事業を展開しています。

日本


自動車用の機構部品、車体部品、機関部品のほか、金型や設備の製造および販売を行っており、国内の自動車メーカー等を中心とした顧客に製品を提供しています。

収益は、自動車部品や金型・設備の販売代金から得ています。運営は主にヨロズが担うほか、ヨロズ栃木やヨロズ大分などの国内子会社に製造工程の一部または全部を外注し、同社を通じて販売を行っています。

米州


米国、メキシコ、ブラジルにおいて、現地の自動車メーカー等に向けて自動車部品および金型・設備などの製造および販売を行っています。

収益源は、現地得意先への部品や金型等の販売による代金です。運営は米国持株会社であるヨロズアメリカのもと、ヨロズオートモーティブテネシーやヨロズメヒカーナなどの海外子会社が担当しています。

アジア


タイ、中国、インド、インドネシアの各地域において、現地の得意先である自動車メーカー向けに自動車部品および金型等の製造および販売を行っています。

部品や金型等の販売による代金が主な収益源となります。事業の運営は、ヨロズタイランドや广州萬宝井汽車部件など、アジア各地に展開する海外子会社や合弁会社が担当しています。

その他


各事業に関連する物流、研究およびサービス等の事業活動を展開しており、具体的には国内各生産拠点への人材派遣のほか、保険代理業等を行っています。

人材派遣に伴う料金や保険の仲介手数料などを収益としています。人材派遣および保険代理業等のサービス運営は、連結子会社であるヨロズサービスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、売上高は第79期まで増加傾向にありましたが、その後はやや減少に転じています。経常利益は第80期に赤字となったものの、第81期にはグループ全体での合理化活動や品質改善の推進等により38億円の黒字へと大きく回復しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,273億円 1,606億円 1,815億円 1,784億円 1,763億円
経常利益 23億円 30億円 45億円 -21億円 38億円
利益率(%) 1.8% 1.9% 2.5% -1.2% 2.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 18億円 24億円 20億円 -117億円 13億円

(2) 損益計算書


当期の売上高は前期比でわずかに減少したものの、売上原価の低減などにより売上総利益が増加し、売上総利益率は9.4%から11.4%へと向上しました。この結果、営業利益は前期の3億円から40億円へと大幅な増益を達成しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,784億円 1,763億円
売上総利益 168億円 201億円
売上総利益率(%) 9.4% 11.4%
営業利益 3億円 40億円
営業利益率(%) 0.2% 2.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が53億円(構成比33%)、荷造・運搬費が26億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


売上高においては米州が最も大きな規模を占めていますが、為替の影響や金型売上の減少等により伸び悩みました。一方、日本とアジアはそれぞれ合理化活動などの成果が表れ、営業利益の大幅な改善に寄与しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
日本 527億円 545億円 23億円 28億円 5.2%
米州 868億円 873億円 -26億円 2億円 0.2%
アジア 389億円 346億円 1億円 9億円 2.6%
連結(合計) 1,784億円 1,763億円 3億円 40億円 2.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 47億円 80億円
投資CF -118億円 -18億円
財務CF 68億円 -31億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.2%であり、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


高い倫理観と遵法精神により、公正で透明な企業活動を推進することを経営の基本としています。良き企業市民として社会的責任を果たし、すべてのステークホルダーからの信頼を得て、企業価値を高めることを目指しています。

(2) 企業文化


中期経営計画においても示されている通り、「全社一丸となり、我武者羅に“やりきる”」という姿勢を重視しています。全社で目標を共有し、迅速な意思決定と確実な実行により成果へとつなげる行動様式が求められています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画『YSP2026』(2024~2026年度)を推進しており、事業基盤の強化による収益力と成長、経営基盤の強化によるESG経営の推進を掲げています。財務面では、安定的な株主還元を目指しています。

* 連結配当性向:35%以上

(4) 成長戦略と重点施策


電動化時代を支える存在となるため、環境対応を武器にしたものづくりを推進しています。具体的には、2040年までのカーボンニュートラル化へのチャレンジや、EVの燃費・航続距離向上に直結する部品の軽量化技術の開発・拡販に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の確保と育成を経営の最重要課題と位置づけ、「健康経営の推進」と「DE&Iの実践」を柱としたエンゲージメント向上に取り組んでいます。高い倫理観のもと自ら課題を認識し、問題解決と学びを実践し続ける「ヨロズパーソン」の育成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.3歳 12.5年 6,387,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 78.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 78.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 222.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、2024年度女性管理職比率(12.5%)、2030年度ダイバーシティ管理職比率目標(30.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 為替・原材料価格の変動


同社グループの売上高に占める海外比率が高い水準にあるため、為替の変動が業績に大きな影響を及ぼします。また、主力製品の原材料である自動車用鋼板は国際市況の影響を大きく受け、価格の高止まりが収益を圧迫するリスクがあります。

(2) 特定顧客への高い依存度


同社は自動車部品の製造・販売を主力事業としており、取引の継続性は比較的安定しています。しかし、業績は主要な得意先である自動車メーカーの販売動向や生産計画に直接的な影響を受ける可能性があります。

(3) 国際情勢の変動


海外での事業展開を積極的に進めているため、進出国における法規制や税制の変更、経済情勢の急変、あるいは紛争やサプライチェーンの混乱による社会的混乱が発生した場合、事業の遂行に重大な支障をきたすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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