※本記事は、株式会社カーメイト の有価証券報告書(第60期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. カーメイトってどんな会社?
カー用品業界のリーディングカンパニーとして、ルーフキャリアやチャイルドシート等の車関連製品およびスノーボード用品等を展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1966年に自動車用品の製造販売を目的として設立されました。1976年には茨城県結城市に工場を新設し、生産体制を強化しています。1994年に株式を店頭登録し、2004年にはJASDAQ市場へ上場しました。その後、市場区分の見直しに伴い2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。
同グループは連結従業員659名、単体356名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は資産管理会社の有限会社エム・テイ興産で45.94%を保有しており、第2位は常任代理人である銀行となっています。第3位には主要取引銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社エム・テイ興産 | 45.94% |
| BNYM AS AGT/CLTS NON TREATY JASDEC (常任代理人株式会社三菱UFJ銀行) | 7.93% |
| みずほ銀行 | 4.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は徳田 勝氏が務めています。社外取締役比率は約17%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 村 田 隆 昭 | 代表取締役会長 | 1966年同社設立代表取締役社長。関連会社や米国法人の代表を経て、2003年会長兼社長CEO。2019年より現職。 |
| 徳 田 勝 | 代表取締役社長執行役員経営全般品質保証担当全社技術部門担当 | 2003年神戸大学助手を経て同社入社。技術研究所長、取締役副社長等を歴任。2019年より現職。 |
| 赤 羽 道 明 | 取締役兼専務執行役員中国事業担当 | 1994年同社入社。オールライフメイト代表取締役を経て、2019年より現職。中国現地法人董事長も兼任。 |
| 長 崎 良 夫 | 取締役兼常務執行役員商品開発全般新規事業開発担当 | 1985年同社入社。執行役員開発部長等を経て、2017年より取締役兼常務執行役員。現在は全体企画、サプライチェーンマネジメント担当も兼務。 |
| 井 上 満 | 取締役兼常務執行役員国内営業統括部統括部長 | 1979年同社入社。執行役員国内営業統括副部長等を経て、2017年より現職。物流子会社の代表取締役も兼任。 |
| 打 江 佳 典 | 取締役兼常務執行役員エールベベカンパニー担当FLUXカンパニー担当 | 1990年同社入社。Eスポーツカンパニーゼネラルマネージャー等を経て、2019年より現職。 |
| 真 子 義 邦 | 取締役兼常務執行役員LIFEデザインラボ担当ケミカル類生産・技術担当 | 1991年同社入社。ケミカル開発センター長等を経て、2020年より取締役兼常務執行役員。現在は次世代研究担当も兼務。 |
社外取締役は、谷 口 彬 雄(信州大学名誉教授)、本 橋 智 明(元SBIインベストメント部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「車関連事業」および「アウトドア・レジャー・スポーツ関連事業」を展開しています。
■(1) 車関連事業
車用品、運搬架台(ルーフキャリア)、タイヤ滑止(チェーン)、ケミカル類(芳香剤等)、電子・電気機器(ドライブレコーダー等)の製造・販売を行っています。車内アクセサリーやチャイルドシートなど多岐にわたる製品を、カー用品店やホームセンター、EC等を通じて一般消費者に提供しています。
収益は、主にカー用品専門店やECルートなどの販売先からの製品販売代金です。全体の売上の約9割を占める主力事業であり、運営は同社およびCar Mate USA, Inc.(米国)、快美特汽車精品(深セン)有限公司(中国)などが行っています。物流業務はカーメイト物流が担当しています。
■(2) アウトドア・レジャー・スポーツ関連事業
スノーボード関係を中心としたスポーツ用品等の製造・販売、および自転車関連商品の販売を行っています。主力ブランド「FLUX」のバインディングやブーツなどをスポーツ用品店等へ提供しています。
収益は、スポーツ用品店などの販売先からの製品販売代金です。運営は同社および快美特汽車精品(深セン)有限公司(一部製造・販売)が行っており、物流業務の一部をカーメイト物流が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は150億円台後半から160億円台での推移となっており、大きな成長は見られませんが安定しています。利益面では、2021年3月期から2022年3月期にかけては高い利益率を維持していましたが、原材料高騰等の影響を受け、2023年3月期以降は利益水準が低下しています。当期は最終赤字となりました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 157.2億円 | 159.2億円 | 166.5億円 | 159.6億円 | 155.2億円 |
| 経常利益 | 13.4億円 | 14.1億円 | 5.9億円 | 3.2億円 | 3.8億円 |
| 利益率(%) | 8.5% | 8.9% | 3.5% | 2.0% | 2.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9.2億円 | 9.7億円 | 3.6億円 | 2.1億円 | -3.3億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高は前期比で減少しました。一方で、売上総利益率は改善傾向にあり、営業利益率は前期の1.4%から1.9%へと上昇しています。しかし、特別損失として減損損失を計上した影響で、最終的な当期損益はマイナスとなりました。本業の収益性は改善しつつあるものの、特別要因により赤字となった形です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 159.6億円 | 155.2億円 |
| 売上総利益 | 56.3億円 | 58.0億円 |
| 売上総利益率(%) | 35.3% | 37.4% |
| 営業利益 | 2.2億円 | 3.0億円 |
| 営業利益率(%) | 1.4% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が16億円(構成比29.5%)、研究開発費が13億円(同24.0%)を占めています。売上原価の内訳については詳細な記載がありませんが、製品評価損の減少が原価率改善に寄与しています。
■(3) セグメント収益
車関連事業は減収となりましたが、原価率の改善により利益は増加しました。アウトドア・レジャー・スポーツ関連事業は主力のスノーボード関連製品が振るわず、減収減益となりました。全社費用等の調整額が大きく、連結営業利益を圧迫しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 車関連事業 | 143.8億円 | 140.2億円 | 11.3億円 | 12.9億円 | 9.2% |
| アウトドア・レジャー・スポーツ関連事業 | 15.8億円 | 15.0億円 | 1.4億円 | 0.9億円 | 5.9% |
| 調整額 | - | - | -10.4億円 | -10.8億円 | - |
| 連結(合計) | 159.6億円 | 155.2億円 | 2.2億円 | 3.0億円 | 1.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動で得た資金の範囲内で投資活動と財務活動(借入返済や配当支払)を行っており、財務体質は健全な状態にある「健全型」と言えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.8億円 | 14.5億円 |
| 投資CF | -5.9億円 | -8.1億円 |
| 財務CF | -2.3億円 | -3.6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-2.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は73.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「CREATE―創造―」を企業理念に据え、快適なカーライフを通じて豊かで幸せな社会を実現することを目指しています。社会への貢献、顧客の納得と満足、環境への配慮を重視し、「安全・安心なモノづくり」を追求しています。
■(2) 企業文化
企業価値の増大を図ることで、株主や取引先など関係するすべての人々の信頼と期待に応えることを行動指針としています。また、サステナビリティへの意識も高く、社会に省資源とCO2削減で貢献することを掲げており、環境配慮型経営を推進する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
株主重視の観点から高収益体質の実現と株主資本の効率化を重視しており、以下の経営目標を設定しています。
* 売上高経常利益率10%以上
* 自己資本利益率(ROE)10%以上
* 1株当たり当期純利益金額100円以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、新製品・新サービスの市場導入強化、安全・安心なモノづくり、サステナビリティの強化、海外市場への展開による輸出増加、新規チャネル・顧客開拓、新ビジネスモデルへの取り組みを継続します。具体的には、ECルートやホームセンター等への販売強化、製品パッケージの環境対応などを進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中長期的な観点からの新卒採用と、即戦力となる中途採用を併用して人材を確保しています。働きがいのある社内環境の整備、多様性を尊重した採用・育成・登用に努めており、ワークライフバランスの推進として有給休暇取得や残業時間削減の目標を設定しています。また、資格取得支援制度も設けています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 45.2歳 | 17.8年 | 6,303,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.1% |
| 男性育児休業取得率 | 42.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 59.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 54.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(67.8%)、1月当たり残業時間(7.2時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 売上高の季節的変動について
同社の売上高は、スキーキャリアやタイヤ滑止などの冬季製品の割合が高いため、下期に偏重する傾向があります。また、冬季の降雪量によって業績が左右される可能性があります。このため、通年で販売が見込める新製品やサービスの開発に取り組んでいます。
■(2) 特定取引先への依存度について
主要販売先である株式会社オートバックスセブンと株式会社イエローハットへの依存度が高く、両社への販売割合は合計で約25%を占めています。このリスクを分散するため、ECルートやホームセンター、ドラッグストアなどへの販売強化を進めています。
■(3) 為替リスクについて
原材料等の仕入れの約45%を海外から調達しており、急激な為替相場の変動が経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。これに対し、一部先物予約を行うことで為替変動リスクの軽減を図っています。



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