カーメイト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カーメイト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カーメイトは東証スタンダード市場に上場し、車内アクセサリーやチャイルドシートなどの車関連事業と、スノーボード関連等のアウトドア・レジャー事業を展開しています。直近の業績は減収となったものの、原価率の改善により営業利益と経常利益は大幅な増益を達成し、当期純利益も黒字転換を果たしています。


※本記事は、カーメイトの有価証券報告書(第61期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. カーメイトってどんな会社?


車用品やスポーツ・レジャー関連製品の企画から製造、販売までを手掛ける総合メーカーです。

(1) 会社概要


1966年に自動車用品の製造・販売を目的に東京都練馬区で設立されました。1987年に香港で現地法人を設立し、1996年には中国・深セン、1999年には米国へ進出するなど海外展開を推進しています。1994年に店頭登録を果たし、現在はカー用品に加えアウトドア関連用品にも事業領域を広げています。

従業員数は連結で640名、単体で343名です。筆頭株主は資産管理等を行うエム・テイ興産で、第2位はUSBK NA JP I&W TS、第3位はみずほ銀行となっています。

氏名 持株比率
有限会社エム・テイ興産 45.94%
USBK NA JP I&W TS 7.19%
みずほ銀行 4.62%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は村田隆昭氏、代表取締役社長は徳田勝氏が務めています。社外取締役は2名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
村田隆昭 代表取締役会長 1966年6月同社設立とともに代表取締役社長に就任。米国や中国の現地法人トップ等を歴任し、2019年6月より現職。
徳田勝 代表取締役社長執行役員経営全般品質保証担当全社技術部門担当 2003年4月同社入社。技術研究所長、副社長執行役員等を経て、2019年6月より現職。
赤羽道明 取締役兼専務執行役員中国事業担当 1994年4月同社入社。関連会社代表取締役や特別顧問を経て、2019年6月より現職。
長崎良夫 取締役兼常務執行役員商品開発全般新規事業開発担当 1985年4月同社入社。開発部門や新規事業開発担当等の執行役員を経て、2017年4月より現職。
井上満 取締役兼常務執行役員国内営業統括部統括部長 1979年3月同社入社。国内営業統括部長等の執行役員を経て、2017年4月より現職。
打江佳典 取締役兼常務執行役員エールベベカンパニー担当FLUXカンパニー担当 1990年3月同社入社。スポーツ関連のマネージャー等を経て、2019年6月より現職。
真子義邦 取締役兼常務執行役員LIFEデザインラボ担当ケミカル類生産・技術担当 1991年9月同社入社。ケミカル開発センター長等の執行役員を経て、2020年6月より現職。


社外取締役は、谷口彬雄(信州大学名誉教授)、本橋智明(元SBIインベストメント部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「車関連事業」および「アウトドア・レジャー・スポーツ関連事業」を展開しています。

(1) 車関連事業


車用品やケミカル類、電子・電気機器等の製造・販売を行っています。具体的には、ドリンクホルダーなどの車内小物、チャイルドシート、ルーフキャリア、芳香剤、ドライブレコーダーなど多岐にわたる製品を展開し、カー用品専門店やホームセンター等を通じて一般消費者に提供しています。

収益源は製品の販売代金です。運営は同社を中心に、中国の快美特汽車精品(深セン)有限公司での製造や、Car Mate USA, Inc.を通じた海外販売など、複数のグループ会社が連携して行っています。

(2) アウトドア・レジャー・スポーツ関連事業


スノーボード関連用品を中心としたスポーツ用品の製造・販売や、自転車関連用品の販売を手掛けています。主力ブランドである「FLUX」のバインディングやブーツなどを展開し、中国市場をはじめとする国内外の顧客に向けて製品を提供しています。

収益源は製品の販売代金です。運営は同社を中心に、一部製品の製造および販売については中国の快美特汽車精品(深セン)有限公司が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は150億円前後で安定的に推移していますが、利益面では原材料価格の高止まりや為替変動の影響等により増減を繰り返しています。しかし当期は、原価率の改善が寄与し、経常利益が大きく回復しました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 159.2億円 166.5億円 159.6億円 155.2億円 145.6億円
経常利益 14.1億円 5.9億円 3.2億円 3.8億円 6.5億円
利益率(%) 8.9% 3.5% 2.0% 2.4% 4.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 9.9億円 3.2億円 1.5億円 -3.1億円 2.9億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少したものの、売上総利益率は37.4%から41.1%へと大幅に改善しました。これにより、売上総利益および営業利益ともに前期を上回る結果となり、収益構造の良化が確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 155.2億円 145.6億円
売上総利益 58.0億円 59.8億円
売上総利益率(%) 37.4% 41.1%
営業利益 3.0億円 6.0億円
営業利益率(%) 1.9% 4.1%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が16.5億円(構成比31%)、給料手当が14.4億円(同27%)、運送保管料が5.6億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


車関連事業はチャイルドシートやドライブレコーダーの減収により全体として売上が減少しました。一方、アウトドア・レジャー・スポーツ関連事業は主力のスノーボード関連製品が好調に推移し増収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
車関連事業 140.2億円 128.5億円
アウトドア・レジャー・スポーツ関連事業 15.0億円 17.1億円
連結(合計) 155.2億円 145.6億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金を投資や財務(借入返済等)に充当しており、安定した資金繰りを行っている健全型の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 14.5億円 8.7億円
投資CF -8.1億円 -10.9億円
財務CF -3.6億円 -3.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


快適なカーライフを通じて豊かで幸せな社会を実現するため、創業以来「CREATE―創造―」を企業理念に据えています。社会に貢献でき、顧客に納得・満足され、環境に配慮した「安全・安心なモノづくり」を目指すことを使命としています。

(2) 企業文化


企業価値の増大を図ることで、株主や取引先など同社に関係するすべての人々の信頼と期待に応えることを行動指針としています。また、ESG企業として地球環境に貢献するため、「社会に省資源とCO2削減で貢献する」という姿勢も重視しています。

(3) 経営計画・目標


株主重視の観点から、高収益体質の実現と株主資本の効率化を追求した経営を重視しており、以下の経営目標を設定しています。

・売上高経常利益率10%以上
・自己資本利益率10%以上
・1株当たり当期純利益金額100円以上

(4) 成長戦略と重点施策


厳しい経営環境下において、新製品・新サービスの市場導入強化や、安全・安心なモノづくり、サステナビリティの強化を進めています。また、海外市場への積極展開による輸出拡大、新規チャネルや新規顧客の開拓、新ビジネスモデルへの取り組みにも継続して注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


モビリティ市場の変革に対応し、価値創造力を高める人材基盤の構築を基本方針としています。商品企画や製品開発を担うクリエイティブ人材の育成を中核に据え、デジタル人材の強化や自律的に挑戦できる評価制度の導入など、多様で柔軟な働き方を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 46.0歳 18.7年 6,510,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.0%
男性育児休業取得率 25.0%
男女賃金差異(全労働者) 59.8%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 72.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 47.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(67.4%)、1月当たり残業時間(8.2時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 売上高の季節的変動

冬季製品(スキーキャリアやタイヤ滑止等)の売上比率が高いため、下期への売上偏重や降雪量の多寡によって業績が影響を受けるリスクがあります。対策として年間を通して販売が見込める新製品の展開を進めています。

(2) 特定取引先への依存

カー用品専門店であるオートバックスセブンやイエローハットなど特定企業への販売依存度が高く、これらの動向が業績に影響する可能性があります。そのため、ECやホームセンターなど新規チャネルへの販売強化に取り組んでいます。

(3) 製品品質及び製品保証

使用者の安全性に関わるチャイルドシート等を製造しているため、製品の不具合やリコール等が発生した場合、ブランドの信用低下や損害賠償・保証費用の発生などにより業績や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。