※本記事は、株式会社 安 永 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
安永は、エンジン部品、機械装置、環境機器の製造販売を主軸とする事業を展開しています。同社グループは、安永および9社の子会社で構成されています。
単体従業員数は560名、連結従業員数は1,706名です。セグメントはエンジン部品、機械装置、環境機器、その他の4つです。
主な国内グループ会社は、安永エアポンプ(環境機器)、安永運輸(その他)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
安永は、長年にわたり培ってきた技術力と事業基盤を持つ企業です。同社グループでは、持続的な成長を支える人材基盤の強化に注力しており、社員一人ひとりの成長と組織の活性化を目指す方針が示されています。多様な人材が活躍できる職場環境づくりにも積極的に取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
安永では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、社員が長期にわたって安定して働き続けられる環境が整っていることを示唆しています。経験豊富な人材が多数在籍し、培われた知識や技術が継承されていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,255,434円 |
| 平均勤続年数 | 19年8ヶ月 |
| 平均年齢 | 43歳4ヶ月 |
| 単体従業員数 | 560人 |
| 連結従業員数 | 1,706人 |
| 単体のグループ内比率 | 32.8% |
安永は、従業員の退職給付制度として、確定給付型と確定拠出型の両方を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は、同社および一部の連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も存在し、確定給付企業年金制度では給与と勤務期間に基づいた一時金または年金が支給されます。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は31.7億円、年金資産は42.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
安永は、第8次中期経営計画のスローガン「グローバルニッチNo.1の柱を太くする」を実現するため、個人の成長と組織の成長を両立する人的資本経営を推進しています。次世代経営人材や高度専門人材の育成を通じて、持続的な成長を支える人材基盤の強化に取り組む方針です。また、挑戦を後押しする企業風土の醸成、多様な人材が活躍できる職場環境づくり、グローバル事業の拡大に対応した人材育成を進めることで、社員のエンゲージメント向上と組織活性化を図っています。
給与等の決定方針については明文化されていませんが、各社員の職務内容、役割及び責任の大きさに応じて適切な報酬水準を設定しています。業績や行動を公正に評価し、その成果に報いる人事・報酬制度を運用しているとのことです。給与及び福利厚生の水準は、経済環境や労働市場の動向を踏まえ定期的に見直しを行い、市場競争力のある処遇の維持・向上に努めています。
さらに、人材の多様性の確保と育成を中長期的な企業価値向上に繋がるものと考え、女性、外国人、中途採用者を積極的に採用し、多様性の確保に努めています。社内環境整備としては、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2026」の認定を受けており、社員の健康づくりを強化しています。また、厚生労働省より「プラチナくるみんプラス」の認定も受けており、仕事と家庭の両立支援にも積極的に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率は、算定方法の特性上、100%を超える場合があります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 122.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 73.9% |
多様性・登用
提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者に占める女性労働者の割合 | 7.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
安永グループは、エンジン部品、機械装置、環境機器の3つの報告セグメントを中心に事業を展開しています。これらの事業を通じて、製造販売と関連サービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、自動車やスマートフォン関連の部品から、生産設備、生活インフラに関わる機器まで、幅広い製品の製造販売を手掛けています。各事業セグメントにおいて、製品の販売を主な収益源としています。海外での販売も増加傾向にあり、収益に貢献しています。
エンジン部品
自動車のエンジン部品や、スマートフォン向けベイパーチャンバー用ウィックシートなどの製造販売を行っています。収益は、これらの製品の販売から得ています。国内新規ラインの本格稼働や北米市場の需要継続、海外子会社での販売増加、新製品の本格量産開始により、前期から売上高、営業利益ともに増加しました。
機械装置
工作機械(エンジン部品用生産設備)、ワイヤソー、検査測定装置などの製造販売を行っています。収益は、これらの機械装置の販売から得ています。工作機械の販売が大幅に増加し、改造・メンテナンスサービスの強化も寄与したことで、前期から売上高が増加し、利益面でも黒字を確保しました。
環境機器
各種エアーポンプやディスポーザシステムの製造販売を行っています。収益は、これらの製品の販売から得ています。エアーポンプは国内向け及び北米向けの販売が回復し、海外向け販売が好調に推移しました。ディスポーザは新築マンション向けの販売が増加したことにより、前期から増収増益となりました。
その他の事業セグメント
運輸事業及びサービス事業を含んでいます。
同社グループの主要な顧客として、Toyota Motor Asiaとトヨタ自動車(株)が挙げられ、これらは主にエンジン部品セグメントに関連しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| エンジン部品 | 229億円 | 257億円 |
| 環境機器 | 46.0億円 | 51.7億円 |
| 機械装置 | 37.1億円 | 27.9億円 |
| その他の事業セグメント | 2.9億円 | 2.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去5期の業績を見ると、売上高は変動しつつも直近の当連結会計年度で増加傾向にあります。利益面では、第76期に経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上しましたが、その後は回復基調に転じています。直近の当連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の全てで大幅な増加を達成しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 290億円 | 333億円 | 319億円 | 315億円 | 340億円 |
| 経常利益 | △4.3億円 | 13.5億円 | 5.7億円 | 9.4億円 | 21.7億円 |
| 経常利益率 | △1.5% | 4.0% | 1.8% | 3.0% | 6.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △11.0億円 | 12.9億円 | 6.1億円 | 7.4億円 | 18.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △92.32 | 108.16 | 54.23 | 72.04 | 181.65 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、同社グループの生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から大きく増加しており、収益性の改善がうかがえます。これらの指標の改善は、同社グループの事業効率化や収益体質の強化を示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 18.5百万円 | 19.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.4百万円 | 1.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
財務の安定性は、企業の持続的な成長と従業員の雇用環境に直結する重要な要素です。
同社グループのキャッシュフローは、将来に向けた積極的な投資フェーズにあることを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)の推移から確認できます。自己資本比率は企業の安定性を示す指標であり、ROEは自己資本をどれだけ効率的に活用して利益を生み出したかを示します。手元資金の残高は、不況時や予期せぬ事態への耐性を見る上で重要な情報となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 114億円 | 147億円 |
| 自己資本比率 | 30.7% | 34.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.7% | 14.4% |
| 現金及び預金 | 70.7億円 | 68.0億円 |
同社グループの自己資本比率は当期に34.8%となり、前期の30.7%から増加しています。
ROE(自己資本利益率)は当期に14.4%となり、前期の6.7%から大きく向上しました。
現金及び預金は当期末で68.0億円となっており、前期末の70.7億円から減少しています。
これらの数値は、同社グループが財務体質の維持・向上に努めていることを示しています。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、事業活動、投資活動、財務活動の3つの側面から資金の流れを示しています。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは32.1億円の増加となり、前連結会計年度の21.8億円の増加から増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益18.4億円、減価償却費17.9億円等の増加要因によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは△46.9億円の減少となり、前連結会計年度の△37.6億円の減少から減少幅が拡大しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出46.3億円等の減少要因によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは13.8億円の増加となり、前連結会計年度の22.6億円の増加から減少しました。これは主に、長期借入れによる収入32.5億円、短期借入金の純増減額16億円等の増加要因、長期借入金の返済による支出29.4億円等の減少要因によるものです。
当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは△14.8億円となっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。これは、同社グループが将来の成長に向けた積極的な投資を行っていることを示しており、今後の事業拡大や収益性向上への期待が持てる一方で、現時点では手元資金を投資に充てている状況であると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 21.8億円 | 32.1億円 |
| 投資CF | △37.6億円 | △46.9億円 |
| 財務CF | 22.6億円 | 13.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △15.8億円 | △14.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの経営成績は、各製品を生産・販売している国・地域の経済状況の変動や取引先が属する産業の景気変動の影響を受ける可能性があります。特に世界的なインフレ圧力や金利水準の高止まりが続いた場合、顧客の設備投資意欲の減退やコスト負担の増加により、受注及び収益性に影響を及ぼす可能性があります。また、自動車の動力源が内燃機関を有さないものに変更された場合、自動車業界の生産や設備投資等の動向に関わらず影響を受ける可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループが今後も継続的に成長していくためには、人材の育成・確保は最重要課題の一つであると考えています。グローバルな事業活動を一層進める中で、グローバルに活躍できる人材の育成・確保が急務であると認識されています。また、従業員の高齢化に伴う生産性の低下や健康リスクへの対応、さらには技術やノウハウを継承する若手人材の育成も重要であると考えています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
安永グループは、独創的な技術で社会文化の豊かさに貢献することを使命としています。グローバルな競争環境の中で、全てのステークホルダーにとって企業価値を創造し続ける企業を目指している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
安永グループは、時の課題を敏感に受け止め、独創的な技術により価値ある製品を提供し、社会文化の豊かさに貢献することを使命としています。グローバルな競争環境の中で、社会・株主・顧客・従業員など全てのステークホルダーにとって企業価値を創造し続ける企業を目指しています。
中長期的な経営戦略として、同社グループは第8次中期経営計画を策定しています。この計画では、「グローバルニッチ No.1」製品数のさらなる拡大と新事業による新たな収益源の育成を柱としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「技術で世の中を驚かせてやろう!」「何か新しいことに挑戦しよう!」という価値観を全社に広げ、挑戦的な企業風土のさらなる浸透を目指しています。個人の成長と組織の成長を両立する人的資本経営を推進しています。
職場環境の改善や健康経営の推進を図り、「働きがい」と「働きやすさ」を感じられる職場環境づくりに努めています。人材の多様性を重視しており、女性、外国人、中途採用者を積極的に採用し、多様性の確保に努めています。
「健康経営優良法人2026」や「プラチナくるみんプラス」の認定も受けており、社員一人ひとりの健康増進や仕事と家庭の両立支援にも積極的に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは企業理念のもと、『安永にしかできないこと グローバルニッチNo.1』を目指し、イノベーションを通じて企業価値の向上とサステナブルな成長を遂げていくことを重点課題としています。経営基盤の強化として、挑戦的な企業風土のさらなる浸透、新システム構築などによる業務効率化での生産性向上、個人の成長と組織の成長を両立する人的資本経営を掲げています。
また、職場環境の改善、健康経営の推進を図り、「働きがい」、「働きやすさ」を感じられる職場環境づくりを目指しています。地域社会への貢献を通じて、愛される会社に向けたブランディングも重点施策の一つです。
さらに、安永ならではの価値の提供による新事業の創造にも取り組んでおり、微細形状加工技術を「微匠」と命名し、その用途拡大による新事業の創造を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
安永は監査等委員会設置会社として、経営の透明性とガバナンス強化を図っています。少数の優秀なリーダーによる迅速な意思決定と、社外取締役が過半数を占める監査等委員会による経営監視機能の強化を特徴としています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
安永の筆頭株主は㈲YASNAGであり、発行済株式の11.17%を保有しています。代表取締役社長である安永暁俊氏も上位株主の一人として名を連ねており、創業家や関連会社が上位に複数名を占める資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ㈲YASNAG | 11.17% |
| SBI証券 | 4.55% |
| 安永暁俊 | 3.49% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は安永暁俊氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 安永暁俊 | 取締役社長 代表取締役 | 1998年同社入社後、安永アメリカ㈱へ出向。ノースウェスタン大学ケロッグ校卒業後、同社管理本部長、取締役事業本部部品生産管理部長などを歴任し、2011年4月より同社代表取締役社長。 |
| 堀江泰三 | 常務取締役 事業本部長 | 1992年同社入社。安永インドネシア㈱社長を経て、同社部品事業部副事業部長兼管理部門長、取締役部品事業部長兼管理部門長などを歴任。2025年12月より同社常務取締役事業本部長。 |
| 一柳 功 | 取締役 技術本部、 環境機器事業担当 | 1994年同社入社。安永エアポンプ㈱代表取締役社長、安永クリーンテック㈱代表取締役社長などを務める。2025年2月より同社取締役技術本部、環境機器事業担当。 |
社外取締役は、小路貴志氏(公認会計士・小路公認会計士事務所代表・監査等委員)、山本卓氏(元豊田自動織機取締役・経営役員・監査等委員)、小坂純文氏(元愛三工業取締役専務執行役員・元テイケイ気化器社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役の過半数が社外取締役で構成されています。これにより、業務の適法性や妥当性の監査・監督を強化し、透明性の高い経営体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
安永の役員報酬は、取締役(監査等委員を除く)に対しては固定報酬としての基本報酬と退職慰労金で構成されています。業績連動報酬や株式報酬、非金銭報酬等は支給されていません。監査等委員である取締役には、その職務の独立性を考慮し、固定報酬としての基本報酬のみが支給されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.4億円 | 34.2百万円 |
| 社外取締役(監査等委員) | 4名 | 37百万円 | 9.2百万円 |
合計8名の役員に対して、総額1.74億円の報酬が支給されています。
連結報酬等の総額が1億円以上である役員は存在しないため、個人別の開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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