※本記事は、株式会社オーバル の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
オーバルは、各種流量計、受信器・分析計、流体制御装置などの計測機器等の製造・販売を主な事業内容としています。同社グループは、これら計測機器に関連するメンテナンスを行うサービス部門も展開しています。
単体従業員数は399名、連結従業員数は678名です。同社グループの事業部門はセンサ部門、システム部門、サービス部門の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)オーバルアシスタンス(センサ部門・サービス部門)、山梨オーバル(センサ部門)、京浜計測(サービス部門)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社オーバルは、計測機器等の製造・販売事業を展開する企業グループです。同社グループの給与水準や働き方に関するデータからは、従業員の定着を重視し、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力している様子がうかがえます。
また、脱炭素社会の構築や代替エネルギーサプライチェーンに関連する商品・サービスの開発・提供に積極的に取り組む中で、人材育成と働きやすい職場環境の整備を重要な経営課題と位置づけています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員が長く働き続けられる環境を提供している傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢からは、安定したキャリアを築いている従業員が多いことが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,949,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.6年 |
| 平均年齢 | 43.9歳 |
| 単体従業員数 | 399人 |
| 連結従業員数 | 678人 |
| 単体のグループ内比率 | 58.8% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。同社および一部を除く国内連結子会社の退職給付制度は、従業員の資格と勤務年数を基礎とするポイント制度を導入しています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付制度における退職給付債務は20.7億円、年金資産は49百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、持続的な企業価値向上には人材の確保および育成が不可欠であるとの考えに基づき、中期経営計画「Imagination2028」と連動した人材戦略を推進しています。DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進を通じて、多様な価値観・経験・専門性を有する人材の採用および活躍機会の拡大を図っています。
また、各種教育・研修制度の充実、適材適所の人員配置、働きやすい職場環境の整備を進めています。従業員一人ひとりの能力向上および自律的なキャリア形成を支援することで、組織力の強化とイノベーション創出につなげ、事業環境の変化に柔軟に対応できる人材基盤の構築を目指しています。
従業員の処遇については、各人の役割・責任・成果・能力等を総合的に勘案した人事評価制度に基づき決定されています。外部水準や同社グループの業績等も踏まえながら、適切な給与水準の維持および処遇改善に努める方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。属性(役職、職種等)が同じ男女労働者間での賃金の差異はありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.4% |
| 男性育児休業取得率 | 83.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 91.1% |
人的資本に関する目標
「㈱オーバル行動計画」に基づく2025年4月1日~2030年3月31日までの目標と当連結会計年度の実績です。目標値は以下の通りです:採用した正社員に占める女性割合17%以上、管理職に占める女性割合5%以上、労働者の各月ごとの平均残業時間数9時間、男女ともに育児休業取得率100%。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用した正社員に占める女性割合 | 14.5% |
| 管理職に占める女性割合 | 3.4% |
| 労働者の各月ごとの平均残業時間数 | 10時間 |
| 男女ともに育児休業取得率(男性) | 83.3% |
| 男女ともに育児休業取得率(女性) | 100.0% |
| 男女ともに育児休業平均取得日数(男性) | 50日 |
| 男女ともに育児休業平均取得日数(女性) | 189日 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社オーバルは、計測機器の製造・販売を主軸とし、関連するメンテナンスサービスも提供する企業グループです。確かな計測技術を通じて、社会の豊かな発展に貢献することを目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、各種流量計、受信器・分析計、流体制御装置などの計測機器の製造・販売を主な事業としています。さらに、これらの計測機器や装置に関するメンテナンス業務、流量計の検定業務を行うサービス部門も展開しています。事業は主にセンサ部門、システム部門、サービス部門の3つの部門で構成されています。
センサ部門は工業用計測機器および関連機器の製造・販売を担っており、国内では半導体関連業界や石油関連業界向けが、海外では中国の船舶関連業界や電池関連業界向けが好調に推移しています。システム部門は計装および制御・管理装置の製造・販売を行っていますが、前期に大口受注が集中した反動により、当期は受注高および売上高が減少しました。サービス部門は、主要顧客である化学関連業界や石油関連業界向けが堅調に推移しており、顧客ニーズに合わせたきめ細やかなサービス提供を継続しています。
同社グループの売上高は日本が中心ですが、アジア、欧州、中近東、アメリカ合衆国など海外でも収益を上げています。為替差益も発生していることから、為替変動が業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で売上高が継続的に増加しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、直近の前期に一時的な減少があったものの、全体としては増加傾向を示しています。特に当期は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期を上回る結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 111億円 | 133億円 | 143億円 | 150億円 | 156億円 |
| 経常利益 | 4.7億円 | 12.3億円 | 15.7億円 | 14.4億円 | 17.7億円 |
| 経常利益率 | 4.2% | 9.2% | 11.0% | 9.6% | 11.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.9億円 | 6.5億円 | 11.0億円 | 10.3億円 | 14.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 12.77 | 28.98 | 49.20 | 45.96 | 64.94 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、従業員1人あたり営業利益も同様に増加しています。これらの指標の改善は、同社グループの生産性が向上している傾向を示しています。組織全体の効率化が進んでいることがうかがえ、安定した収益体質を維持していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 21.8百万円 | 23.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.1百万円 | 2.5百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定的に資金を生み出し、財務基盤は盤石な状態を維持しています。将来に向けた投資も継続的に行われています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と安定した手元資金によって強固な状態を示しています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回っており、財務の健全性がうかがえます。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均に迫る水準にあり、効率的な経営が行われていることが示されています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 163億円 | 162億円 |
| 自己資本比率 | 64.8% | 63.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.7% | 8.9% |
| 現金及び預金 | 41.7億円 | 38.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは安定的にプラスを維持しており、本業で着実に資金を生み出していることが示されています。投資活動によるキャッシュフローは支出が増加しており、新商品開発や生産設備への投資を積極的に行っている状況です。フリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態です。この資金状況は、同社グループが安定した事業基盤を持ちながら、将来の成長に向けた投資も継続していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながるものと考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 19.9億円 | 19.9億円 |
| 投資CF | △8.4億円 | △13.5億円 |
| 財務CF | △6.1億円 | △10.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 11.4億円 | 6.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、中国をはじめとするアジア地域、中近東、北米、欧州等、海外への事業展開を積極的に行っています。諸外国間の貿易摩擦や関税政策の変更など、国際的な活動に伴うリスクが業績や財務状況に影響をおよぼす可能性があります。また、多くの市場で競合会社が存在し、厳しい価格競争にさらされています。常に競争優位を維持できる保証はなく、収益と財務状況に影響をおよぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの将来と成長は有能な人財に大きく依存するため、新たな人財の確保と育成が不可欠です。労働人口減少の影響を受けて人財の確保と育成ができなかった場合、将来の成長、業績と財務状況に影響をおよぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
オーバルは、確かな計測技術を基盤に新たな価値を創造し、豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。持続可能な社会の実現に向けた取り組みを重視し、従業員一人ひとりが活躍できる環境づくりにも注力しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
オーバルは、『確かな計測技術で、新たな価値を創造し、豊かな社会の実現に貢献します。』という経営理念を掲げています。同社グループは「流体計測技術」から「計測技術」へと事業領域を拡大し、お客様に付加価値の高いセンサ・ソリューションとサービスを提供することを目指しています。地球温暖化問題への取り組みとして、カーボンニュートラルや水素、アンモニアなどに関連する商品を提供し、再生エネルギーのサプライチェーンに貢献しています。また、SDGsの17の目標達成にも貢献し、「産業界のマザーツール」メーカーとして社会やあらゆる産業を下支えすることを使命としています。中長期経営ビジョンでは「アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーへ」を掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
オーバルは、経営理念達成のために「オーバル行動指針」と社内規程を定めています。これらは法令・規則を土台とし、社会の一員として会社および従業員が遵守すべき基本的な事項です。毎年、業務指針や企業方針、部門運営方針、部署業務目標を定め、業務管理を実施しています。また、「行動指針(コンプライアンス)要領書」を定め、公正な風土作りに努めています。人材育成方針では、性別や年齢、国籍、社会的身分、障がいの有無に関わらず、すべてのステークホルダーの人権を尊重することを基本方針としています。女性活躍や外国籍従業員の採用、経験者採用にも積極的に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
オーバルは、成長や変革の実現には人財の育成が不可欠であると考えています。各種教育・研修制度を充実させ、将来を見据えた次世代を担う人財の育成に取り組んでいます。DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進を通じて、優秀な人財の確保と従業員エンゲージメントの向上を図り、従業員一人ひとりが快適でやりがいをもって生き生きと働ける職場環境を享受できるよう努めています。
また、SDGsへの取り組みとして、計測技術を活かし脱炭素化の未来を支える取り組みを推進しています。具体的には、水素計測用流量計やアンモニア計測用流量計などをラインアップし、水素サプライチェーンにおける流量計測と校正のワンストップショッピング対応を実施しています。同社グループは企業価値向上に向け「マテリアリティ(経営の重要課題)」に基づく取り組みを推進し、持続的な成長を目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
オーバルは監査等委員会設置会社であり、取締役会は監査等委員である社外取締役を含む9名で構成されています。この体制により、取締役間の相互牽制と監査等委員による監査・監督機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
オーバルの株主構成を見ると、明治安田生命保険相互会社が筆頭株主として名を連ねています。その他にも、東京計器や轟産業といった事業会社が上位株主として存在しており、多様な主体によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 明治安田生命保険相互会社 (常任代理人 日本カストディ銀行) | 9.33% |
| 東京計器 | 6.43% |
| 轟産業 | 5.61% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は谷本淳氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 浅沼 良夫 | 取締役兼常務執行役員管理本部(情報システム部除く)・システムエンジニアリング部担当 管理本部長 | 1983年同社入社。執行役員技術部門部長、システムエンジニアリング部門部長などを経て、2023年6月より取締役兼常務執行役員管理部・システムエンジニアリング部担当。2026年4月より現職。 |
| 加藤 芳樹 | 取締役兼常務執行役員営業本部担当 営業本部長 | 1992年同社入社。国際営業部長、執行役員営業本部長などを歴任し、2023年6月より取締役兼常務執行役員営業本部担当、営業本部長より現職。 |
| 新國 誠治 | 取締役兼上席執行役員品質保証部・サービス部・検査部・技術本部・環境化学管理部担当 横浜事業所長 | 1985年同社入社。サービス部門部長、執行役員サービス部門部長などを経て、2023年6月より取締役兼上席執行役員品質保証部・サービス部・横浜事業所担当。2026年4月より現職。 |
| 小熊 仁 | 取締役兼上席執行役員情報システム部・マーケティング部・製造本部担当 横浜事業所副事業所長 オーバル北京事務所長 | 1986年同社入社。製造部門部長、情報システム室長などを歴任し、2023年6月より取締役兼上席執行役員情報システム部・マーケティング部担当。2024年4月より現職。 |
社外取締役は、高橋靖宏氏(元明治安田生命保険相互会社執行役員)、寺尾吉哉氏(国立研究開発法人産業技術総合研究所テクニカルスタッフ)、松本正氏(元チノー取締役専務執行役員)、牛島真紀子氏(牛島会計事務所代表・公認会計士・税理士)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員会が取締役会の意思決定と業務執行を監査する体制を採用しています。監査等委員である取締役が取締役会での議決権を行使することで、監査・監督権限の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
オーバルでは、取締役(監査等委員を除く)の報酬は月例の固定報酬と賞与で構成されています。固定報酬の一部は自社株式の取得を推進するための株式累積投資に拠出されており、賞与は業績見通しの達成度合いなどを考慮して決定されます。業績連動報酬や非金銭報酬は採用されていません。監査等委員である取締役の報酬は、業務執行から独立した立場で監督・助言を行うため、定額の固定報酬制となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.1億円 | 22.4百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 32百万円 | 8.1百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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