【平均年収793万円】エスペック 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収793万円】エスペック 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

エスペックは、環境試験器、エナジーデバイス装置、半導体関連装置などの製造・販売を主軸に、グループ各社とともに事業を展開しています。直近の連結会計年度では売上高が過去最高を更新し増収となりましたが、利益は減益となりました。


目次

※本記事は、エスペック株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


エスペックは、環境試験器、エナジーデバイス装置、半導体関連装置などの製造・販売を主軸とする企業グループです。製品のアフターサービスや受託試験、環境保全事業も展開しています。

単体従業員数は845名、連結従業員数は1,898名です。同社グループの事業セグメントは、装置事業、サービス事業、その他事業の3つです。

主な国内グループ会社は、エスペックアシスト(環境試験器等の販売)、エスペックミック、エスペックサーマルテックシステム(環境試験器等の製造・販売)などです。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


エスペックは、企業理念「THE ESPEC MIND」に基づき、事業活動を通じて社会に貢献し、ステークホルダーとの価値交換性の向上を目指しています。グローバルな事業展開と環境試験分野でのトップランナーを目指す中で、人的資本の最大化を重視した人材戦略を推進しています。従業員の成長支援や多様な働き方に対応する環境整備に力を入れ、持続的な企業価値向上を目指す企業文化が特徴です。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社は、平均勤続年数が比較的長く、従業員が長期的にキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も30代後半であり、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。安定した環境で専門性を高めたいと考える方にとって、魅力的な職場環境であると考えられます。

項目 数値
平均年間給与 7,928,000円
平均勤続年数 14.4年
平均年齢 39.7歳
単体従業員数 845人
連結従業員数 1,898人
単体のグループ内比率 44.5%


同社グループは、退職給付制度として、将来の給付額があらかじめ定められている確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型を設けています。これらの制度は、同社グループの国内および海外の従業員に適用されます。退職一時金制度も設けています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。直近の退職給付債務は21.3億円、年金資産は32.9億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社グループは、「人」を会社発展の原動力と捉え、人的資本の最大化を通じて経済的価値と社会的価値の創出を目指しています。個人と会社のビジョン実現を基本方針とし、中期経営計画において人的資本戦略を推進しています。

給与は単なる処遇改善だけでなく、各社の状況に応じて設定されており、2014年から2026年までの間に毎年ベースアップを実施しています。

人材育成においては、意欲と能力ある人材への多彩な成長支援と活躍機会の提供を掲げ、社内環境整備では多様なワークスタイルに対応する先進的な職場環境の整備に努めています。具体的には、長期ビジョンESPEC Vision 2035の実現に向け、「グローバル人材」と「DX人材」をターゲットとして育成と獲得に取り組んでいます。

企業文化の良質化のため、企業理念研修やダイレクトコミュニケーション、1on1ミーティングを推進し、新しい人事評価制度も開始しました。また、キャリア研修、海外研修、リカレント教育、語学学習支援といった個の成長支援制度を充実させています。ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、女性社員やシニア社員の活躍推進、健康経営、人権尊重にも取り組んでいます。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。女性管理職比率は課長職以上(同社社内規定ではマネージャー以上)に占める女性の比率であり、翌年度の4月1日現在のものです。

指標 数値
女性管理職比率 8.2%
男性育児休業取得率 46.7%
男女賃金差異(全労働者) 70.9%
男女賃金差異(正規雇用) 72.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 62.4%

女性の活躍推進


女性新卒採用率および女性管理職比率は、翌年度の4月1日現在のものです。女性管理職は、課長職以上(同社社内規定ではマネージャー以上)に占める女性の比率です。

指標 数値
女性新卒採用率(2025年度実績) 25.0%
女性管理職比率(2025年度実績) 8.1%
年次有給休暇取得率(2025年度実績) 84.0%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


エスペックは、環境試験器や半導体関連装置などを提供する装置事業を主軸に、アフターサービスや受託試験を行うサービス事業、環境保全や植物育成装置を手掛けるその他事業を展開しています。同社グループは、多岐にわたる分野で顧客の製品開発や品質保証を支えるビジネスモデルを構築しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、主に3つの事業セグメントを通じて収益を上げています。AI半導体分野や衛星通信分野における試験需要が堅調に推移する一方で、自動車関連、特にEV・バッテリー向けの試験需要は減少傾向にあります。同社グループの売上高の約半数は海外市場から得られており、グローバルな事業展開を行っています。

装置事業

この事業では、環境試験器、エナジーデバイス装置、半導体関連装置を提供しています。AIサーバー向け恒温恒湿室や大型基板の試験に対応した高度加速寿命試験装置といった新製品を市場に投入しています。収益は、これらの各種試験装置の提供から得ています。国内市場ではEV・バッテリー向け投資の一服感が見られましたが、海外市場では北米や東南アジアでの受注高が大きく伸びています。

サービス事業

アフターサービス・エンジニアリング、受託試験・レンタルを行っています。予防保全サービスや修理サービスは堅調に推移し、収益に貢献しています。収益は、これらのアフターサービスや受託試験サービスから得ています。しかし、受託試験サービスにおいては、EV需要の減速に伴う顧客の投資抑制や開発計画の変更が影響し、収益が減少しました。

その他事業

環境保全事業と植物育成装置事業を中心に展開しています。植物工場の大型案件や緑地の改修工事に関する案件を獲得するなど、事業領域を拡大しています。収益は、環境保全や植物育成装置の提供から得ています。この事業は、前期と比較して受注高、売上高、利益ともに大きく増加しました。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
装置事業 574億円 594億円
サービス事業 81.1億円 79.6億円
その他事業 17.4億円 27.2億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの業績は、過去5期間にわたり売上高が継続的に増加する傾向を示しています。直近の連結会計年度では、売上高は過去最高を更新しました。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比較して減少しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 419億円 529億円 621億円 673億円 700億円
経常利益 23.2億円 46.6億円 69.2億円 77.9億円 74.7億円
経常利益率 5.5% 8.8% 11.1% 11.6% 10.7%
親会社株主に帰属する当期純利益 19.1億円 33.3億円 49.7億円 60.0億円 58.8億円
1株当たり当期純利益(円) 84.89 150.34 227.61 274.97 270.39

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期と比較して増加しています。これは、売上高が伸長する一方で、従業員数の増加が緩やかであったことを示しています。一方、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しており、利益率の変動が影響していると考えられます。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 36.2百万円 36.9百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 4.0百万円 3.7百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


エスペックは、本業で安定した資金を生み出し、それを元手に事業活動を行っています。財務基盤は堅固であり、将来に向けた投資も着実に進められています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


エスペックは、強固な財務基盤を維持しています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回っており、安定した経営状況を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。

手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、不測の事態にも対応できる資金的な余裕がある状態です。これらの財務指標は、同社グループが安定した事業運営を継続できる基盤を持っていることを示しています。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 567億円 614億円
自己資本比率 74.7% 74.0%
ROE(自己資本利益率) 11.0% 10.0%
現金及び預金 128億円 147億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


エスペックのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期から増加しています。これは、税金等調整前当期純利益の計上などによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形及び無形固定資産の取得による支出があったものの、投資有価証券の売却による収入もあり、支出額は前期に比べて減少しています。

財務活動によるキャッシュフローは、自己株式の取得や配当金の支払いにより減少していますが、信託型従業員持株インセンティブ・プラン導入に伴う自己株式の処分による収入もあり、前期に比べて減少幅は縮小しています。結果として、事業活動と投資活動を通じて自由に使えるフリーキャッシュフローは前期から増加しており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している優良な状態です。この資金状況は、同社グループが安定した経営を続けながら、将来に向けた成長投資も可能であることを示しています。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 44.5億円 50.5億円
投資CF △11.5億円 △2.7億円
財務CF △72.5億円 △38.8億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 32.9億円 47.8億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループの業績は、主要顧客である電子部品・電子機器及び自動車関連メーカーの業績や設備投資動向に強く影響を受けます。景気変動により主要顧客の設備投資が低調に推移した場合、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、連結売上高に占める海外売上高比率が50.9%と高い水準であり、事業を展開する国や地域で大規模な自然災害、感染症の流行、戦争、テロ、政情不安等の社会的混乱が発生した場合、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループが企業競争力を維持・強化していくためには、事業運営に必要な有能な人材を確保・育成することが重要です。労働市場の流動化や国内における労働人口の減少が進むなか、人材の獲得競争は激化しています。有能な人材を確保・育成できない場合や、人材流出を防止できない場合には、事業運営への影響や技術・ノウハウの社外流出など、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


エスペックは、企業理念「THE ESPEC MIND」を基盤に、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指すサステナビリティ経営を推進しています。グローバルな視点と革新的な精神を大切にする企業風土が特徴です。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


エスペックは、企業理念「THE ESPEC MIND」の実践と長期ビジョン「ESPEC Vision 2035」の実現を通じて、持続的成長を目指すサステナビリティ経営を推進しています。
同社グループは、環境試験業界における世界的トップランナーであり続けることを目指しています。
創業の精神であるプログレッシブ(先進的であること)を継承しつつ、イノベーティブな発想と活動ができるグループとして、グローバルに最も頼られる存在となることを掲げています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


エスペックは、企業理念「THE ESPEC MIND」において「企業は公器」であることと「ステークホルダーとの価値交換性の向上」を重要な考え方としています。
同社グループは「人」を会社発展の原動力と捉え、人的資本の最大化を通じて経済的価値と社会的価値の創出を目指しています。
「多様な人材の確保・育成」を重要課題とし、企業文化の良質化や組織マネジメント、個の成長支援、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。
企業と従業員が成長の喜びを分かち合い、活気あふれる企業となることを目指すカルチャーが特徴です。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


エスペックグループは、グローバルな事業を通じた社会課題解決や責任ある製品サービスの提供、環境への配慮を重要課題としています。
また、多様な人材の確保・育成、人権の尊重、デジタル技術の活用、グループガバナンスの強化にも取り組んでいます。
2026年度の経営方針では、基盤強化に向けた構造的課題の解決を重点テーマとしています。
人的資本の取り組みとして、ビジョン実現型人事評価制度の運用定着やインターナルコミュニケーションの強化を推進しています。
環境面では、第8次環境中期計画PlusⅡを推進し、ガバナンス面ではサプライチェーンリスクへの適切な対応に注力しています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


エスペックは監査等委員会設置会社であり、取締役会は社外取締役を含む構成となっています。これにより、経営の透明性と監督機能の強化を図っています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


同社の株主構成を見ると、信託銀行が上位に名を連ねています。また、エスペック取引先持株会やエスペック従業員持株会も主要な株主として存在しています。

株主名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.65%
日本カストディ銀行(信託口) 7.96%
エスペック取引先持株会 7.49%
エスペック従業員持株会 3.42%
日本生命保険相互会社 2.54%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は荒田知氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
荒田 知 代表取締役社長 1991年4月同社入社。2015年1月ESPEC (CHINA) LIMITED取締役、2018年4月上席執行役員、2022年4月代表取締役執行役員社長を経て、2026年4月より現職。
末久 和広 常務取締役 1987年4月同社入社。2018年4月上席執行役員、2020年4月エスペックテストシステム株式会社(現・エスペックサーマルテックシステム株式会社)代表取締役社長、2022年4月常務執行役員を経て、2026年4月より現職。
西谷 淳子 取締役 執行役員 サステナビリティ推進本部長 1982年4月同社入社。2017年4月執行役員、2022年4月サステナビリティ推進本部長、2022年6月より現職。
小田 秀征 取締役 執行役員 コーポレート統括本部長 輸出管理本部長 1998年4月同社入社。2015年4月総務人事部長、2025年4月執行役員コーポレート統括本部長輸出管理本部長、2025年6月より現職。
吉野 俊彦 取締役 執行役員 営業本部長 グループ事業戦略本部長 1998年4月同社入社。2025年4月執行役員営業本部長、ESPEC ENGINEERING(THAILAND)CO.,LTD.代表取締役、2025年6月より現職。


社外取締役は、柳谷彰彦氏(元山陽特殊製鋼取締役専務執行役員)、平田一雄氏(元新日本無線代表取締役社長)、田中崇公氏(中之島中央法律事務所パートナー・監査等委員)、吉田恭子氏(吉田公認会計士事務所所長・監査等委員)です。

同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を有しています。社外取締役は、取締役の業務執行の監視・監督や、高い独立性と専門的見地に基づく監査を通じて、経営監督機能の強化に貢献しています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社の役員報酬は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上への意欲を高めることを基本方針としています。取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)の報酬は、固定額の基本報酬と業績連動報酬で構成されています。社外取締役および監査等委員である取締役の報酬は、独立性確保の観点から固定額の金銭報酬のみとなっています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
社外取締役(監査等委員) 2名 15百万円 7.5百万円


※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。