国際計測器 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

国際計測器 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場。バランシングマシンや電気サーボモータ式試験機などの計測・試験機器の製造販売を主力とする。2025年3月期の連結業績は、アジア向けのバランシングマシンの売上が伸長し、売上高は前期比29.0%増、経常損益は黒字転換するなど、大幅な増収増益を達成した。


※本記事は、国際計測器株式会社 の有価証券報告書(第56期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 国際計測器ってどんな会社?


回転体のバランスを測定するバランシングマシンや、自動車部品などの耐久性を検査する各種試験機を開発・製造する独立系メーカーです。

(1) 会社概要


1969年に株式会社国際機械振動研究所の代理店として設立され、1975年にバランシングマシンの製造を開始しました。その後、米国、韓国、中国、ドイツ、タイに現地法人を設立してグローバル展開を進め、2004年にJASDAQへ上場しました。2007年には東伸工業を子会社化し、材料試験機分野へも進出しています。

同グループは連結従業員297名、単体従業員153名の体制で運営されています。筆頭株主は役員が代表を務める資産管理会社の松本繁興産で、第2位は個人株主、第3位は同社取締役の松本博司氏です。創業家および役員関連の安定株主比率が高い構成となっています。

氏名 持株比率
松本繁興産 38.49%
松井秀紀 2.24%
松本博司 2.22%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は松本繁氏、代表取締役社長は松本進一氏が務めています。社外取締役比率は8.3%です。

氏名 役職 主な経歴
松本 繁 代表取締役会長 1969年同社設立・取締役就任。社長、海外事業本部長などを経て2017年より現職。
松本 進一 代表取締役社長 1997年同社入社。生産管理部長、管理本部長などを経て2021年より現職。
松本 博司 取締役管理本部長 1979年同社入社。総務部長、東伸工業代表取締役、同社社長などを経て2021年より現職。
田代 和義 取締役技術開発部長 1977年同社入社。第一製造技術部長、技術本部長、東伸工業取締役副社長などを経て現職。
村内 一宏 取締役技術本部長 1982年同社入社。技術開発部次長、第三製造技術部長、第二技術部長などを経て現職。
鈴木 三郎 取締役 1977年同社入社。大阪営業所長、韓国現地法人副社長などを経て2011年より現職。
小椋 一雄 取締役 1975年同社入社。海外部次長などを経て上海現地法人総経理(現任)および同社取締役。
石倉 純一 取締役国内営業本部長 1978年同社入社。生産管理部長、名古屋営業所長、営業本部長などを経て現職。


社外取締役は、本田慎一(元株式会社三真代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本(国際計測器)」「日本(東伸工業)」「米国」「韓国」「中国」および「その他」事業を展開しています。

**(1) 日本(国際計測器)**
バランシングマシン、電気サーボモータ式試験機、シャフト歪自動矯正機などを製造・販売しています。主な顧客は自動車部品メーカーやタイヤメーカーなどです。
製品の販売代金や保守サービス料を収益源としています。運営は主に国際計測器が行っており、グループ全体の製品開発および生産の主力拠点としての役割も担っています。

**(2) 日本(東伸工業)**
金属素材などの耐久性や強度を測定する材料試験機の製造・販売を行っています。主な顧客は製造業の研究開発部門や公的試験機関などです。
製品の販売代金およびメンテナンスサービス料を収益源としています。運営は連結子会社の東伸工業が行っており、国際計測器との技術連携も進めています。

**(3) 米国**
北米市場におけるバランシングマシン、シャフト歪自動矯正機等の製造・販売およびサービスを行っています。現地の自動車・タイヤメーカーが主な顧客です。
製品販売およびアフターサービスによる収益を得ています。運営は連結子会社のKOKUSAI INC.が行っており、現地生産体制も有しています。

**(4) 韓国**
韓国市場におけるバランシングマシン、電気サーボモータ式試験機等の製造・販売を行っています。現地の自動車関連メーカーが主な顧客です。
製品販売およびサービス料を収益源としています。運営は連結子会社のKOREA KOKUSAI CO.,LTD.が行っており、グループの重要な生産拠点の一つです。

**(5) 中国**
中国市場におけるバランシングマシン、シャフト歪自動矯正機等の製造・販売を行っています。現地の自動車産業やタイヤメーカーが主な顧客です。
製品販売およびサービス料を収益源としています。運営は連結子会社の高技国際計測器(上海)有限公司が行っており、複数の販売拠点を通じて営業展開しています。

**(6) その他**
欧州および東南アジア地域での製品販売・サービスを行っています。欧州ではドイツ、東南アジアではタイに拠点を置いています。
製品の販売手数料やサービス料を収益源としています。運営はKOKUSAI Europe GmbH.およびThai Kokusai CO.,LTD.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は100億円から130億円規模で推移しています。利益面では2024年3月期に赤字を計上しましたが、2025年3月期には売上の回復とともに大幅な増益となり、黒字転換を果たしました。自己資本比率は50%台を維持しており、財務基盤は比較的安定しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 115億円 111億円 100億円 102億円 132億円
経常利益 6億円 7億円 2億円 -2億円 14億円
利益率(%) 4.9% 6.4% 1.9% -1.5% 10.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 5億円 0.2億円 -4億円 9億円

(2) 損益計算書


2025年3月期は前期比で大幅な増収となり、売上総利益率も大きく改善しました。売上の増加に伴い営業利益、経常利益ともに黒字転換しています。コストコントロールと売上拡大が利益率の向上に寄与した形です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 102億円 132億円
売上総利益 27億円 49億円
売上総利益率(%) 26.3% 37.1%
営業利益 -6億円 12億円
営業利益率(%) -6.0% 9.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が13億円(構成比35%)、その他が11億円(同29%)を占めています。売上原価においては、材料費や外注加工費などが主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


日本(国際計測器)セグメントが売上・利益ともに大きく伸長し、全体の業績を牽引しました。韓国セグメントも増収増益となりましたが、米国や中国セグメントでは減収または損失計上となりました。特に中国は市場環境の影響を受けています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
日本(国際計測器) 68億円 99億円 -4億円 11億円 11.3%
日本(東伸工業) 3億円 2億円 -0.3億円 -0.0億円 -1.2%
米国 14億円 14億円 -0.3億円 0.1億円 0.6%
韓国 8億円 12億円 0.4億円 4億円 32.0%
中国 7億円 2億円 2億円 -0.1億円 -5.4%
その他 2億円 3億円 1億円 2億円 52.0%
調整額 -19億円 -18億円 -0.1億円 -3億円 -
連結(合計) 102億円 132億円 -2億円 14億円 10.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

国際計測器グループは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に製品販売による収入で構成されています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資等に関連する支出が中心となります。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の返済等による支出が主な要因です。

同社は、短期運転資金需要については自己資金及び金融機関からの借入を基本とし、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としています。また、取引銀行3行と貸出コミットメント契約を締結しており、資金の流動性は十分に確保されています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 13億円 10億円
投資CF -5億円 -3億円
財務CF -10億円 -10億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「常に顧客の要請に応えて、その時代に即した新しい価値の創造に努める」を基本理念として掲げています。振動計測技術を核とした製品づくりを通じて、国内のみならずグローバル市場において利益を伴う成長を達成し、顧客の品質向上を通じて社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「技術開発型企業」として、市場ニーズをいち早く捉える営業体制と、最先端技術の製品開発を可能にする技術スタッフの育成に努める文化を持っています。「常にお客様にご満足して頂ける製品の提供」をモットーに、顧客満足の追求と技術革新による品質向上に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


投資効率の高い経営を図るため、売上高、売上高経常利益率、自己資本利益率の向上を目標とした経営活動を推進しています。中期3ヶ年経営計画(2026年3月期~2028年3月期)を策定し、景気動向やユーザー業界の動向を考慮しながら、バランスのとれた成長を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


中期計画の達成に向けて、人材・技術への投資による研究開発の強化、海外市場への進出による世界シェア拡大、各国の生産体制確立によるコストダウンを掲げています。また、戦略製品であるタイヤユニフォーミティ/バランス複合試験機や、次世代の柱となる電気サーボモータ式試験機の拡販体制を確立し、グローバルブランドとしての認知度向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


競合他社との価格競争や品質向上に対応するため、エンジニアの育成を最重要課題と位置付けています。具体的には、現地スタッフへの技術研修や連結子会社への技術指導を積極的に行い、グローバルでの生産能力とメンテナンス対応力を強化しています。また、海外サービス人員確保のための採用活動も強化しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 48.7歳 18.5年 6,810,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は従業員規模が300人以下のため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める外国籍比率(59%)、年間の技術研修時間(368時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国内外の経済情勢及び社会情勢の影響


日本国内に加え、米国、韓国、中国、東南アジアなどで事業展開しているため、各国の経済・社会情勢の変化が業績に影響する可能性があります。特に、米国新政権下の政策変更や、海外市場における法制変更、政治・経済情勢の変化などがリスク要因として挙げられます。

(2) 事業内容(タイヤ関連試験機への依存)


主力製品であるタイヤ関連試験機の売上高構成比が高く、タイヤ業界や自動車業界の設備投資動向の影響を強く受けます。特定の製品群や業界への依存度が高いため、これらの業界での需要変動が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 海外売上高比率の高さ


海外売上高比率が約7割と高水準にあるため、主要市場である中国をはじめとするアジア地域の経済情勢や市場動向の影響を受けやすくなっています。また、海外生産移管や現地メーカーとの価格競争の激化も懸念材料となります。

(4) 為替相場の変動による影響


海外売上高の比率が高く、特に米ドル建ての売上が大きいため、為替相場の変動が業績に影響を与える可能性があります。為替予約などの対策を講じていますが、急激な変動があった場合、経営成績に影響が及ぶリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。