※本記事は、国際計測器株式会社の有価証券報告書(第57期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 国際計測器ってどんな会社?
同社は、独自の振動計測技術を活かし、各種回転機器のバランシングマシンなどを製造販売する専門メーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1969年に設立され、1975年から自社ブランドのバランシングマシンの製造を本格化しました。その後、1987年の米国を皮切りに韓国、中国、ドイツ、タイなどに現地法人を設立し、グローバル展開を推進しています。2004年にジャスダックに上場し、2020年には新たな研究開発拠点として古河テクニカルセンターを開設しました。
現在の従業員数は連結で296名、単体で154名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は関連会社の松本繁興産で、第2位は役員の松本博司氏、第3位は同じく役員の松本進一氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 松本繁興産 | 38.67% |
| 松本博司 | 2.23% |
| 松本進一 | 2.23% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は松本進一氏が務めています。社外取締役は1名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松本繁 | 代表取締役会長 | 1969年6月に同社を設立し取締役に就任。1979年7月代表取締役社長。米国、韓国、中国等の代表を歴任し、2017年6月より現職。 |
| 松本進一 | 代表取締役社長 | 1981年4月寿屋入社。1997年10月同社に入社し、九州営業所長や生産管理部長、取締役などを経て、2021年6月より現職。 |
| 松本博司 | 取締役管理本部長 | 1979年11月同社入社。総務部長、取締役、東伸工業代表取締役、同社代表取締役社長などを経て、2021年6月より現職。 |
| 田代和義 | 取締役技術開発部長 | 1973年4月ジェコー入社。1977年2月同社入社。中国現地法人の技術本部長や同社取締役技術本部長等を経て、2021年6月より現職。 |
| 村内一宏 | 取締役技術本部長 | 1982年4月同社入社。技術開発部次長、第三製造技術部長、第二技術部長などを歴任し、2021年6月より現職。 |
| 鈴木三郎 | 取締役 | 1977年4月同社入社。大阪営業所長、韓国現地法人取締役副社長などを経て、2011年6月より現職。 |
| 小椋一雄 | 取締役 | 1975年4月同社入社。海外部次長、第三製造技術部長、中国現地法人総経理などを経て、2011年6月より現職。 |
| 石倉純一 | 取締役国内営業本部長 | 1978年4月同社入社。地震振動計測事業部長、生産管理部長、名古屋営業所長、営業本部長などを経て、2021年6月より現職。 |
社外取締役は、本田慎一氏(三真代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本(国際)」「日本(東伸)」「米国」「韓国」「中国」などの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。
■(1) 日本(国際)
自動車部品、家電、OA関係のモーターやタイヤなど、高速回転体のバランスを測定・修正するバランシングマシンや電気サーボモータ式試験機などの製造販売を行っています。
顧客に対する製品の販売および保守サービスにより収益を得ています。本事業は同社が主体となって運営を行っています。
■(2) 日本(東伸)
部品や材料の使用状況下での耐久性を試験する材料試験機(引っ張り、圧縮、ねじり、クリープ試験機など)の製造販売およびサービスを提供しています。
製品の販売および関連するアフターサービス等により収益を得ています。運営は子会社の東伸工業が担当しています。
■(3) 米国・韓国・中国
海外の自動車関連メーカーやタイヤメーカー向けに、バランシングマシンや電気サーボモータ式試験機、シャフト歪自動矯正機などの製造販売を行っています。
各地域での製品販売およびサービスにより収益を獲得しています。運営は米国のKOKUSAI INC.、韓国のKOREA KOKUSAI、中国の高技国際計測器(上海)有限公司がそれぞれ行っています。
■(4) その他
ドイツやタイなどの拠点を通じて、バランシングマシンや電気サーボモータ式試験機の販売およびサービスを海外市場で提供しています。
現地市場における製品の販売およびサポートにより収益を得ています。運営はドイツのKOKUSAI Europe GmbH.およびタイのThai Kokusai CO.,LTD.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績を見ると、前半は一時的に落ち込みが見られましたが、直近2期間は大きく回復しています。特に売上高は右肩上がりで成長し、直近では過去最高水準を記録しました。利益面でも力強い改善が続いており、利益率も大幅に向上するなど、成長軌道に乗っていることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 111億円 | 100億円 | 102億円 | 132億円 | 149億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 2億円 | -2億円 | 14億円 | 23億円 |
| 利益率(%) | 6.4% | 1.9% | -1.5% | 10.7% | 15.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 0.2億円 | -4億円 | 8億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の拡大に伴い、売上総利益および営業利益ともに順調に増加しています。特に売上総利益率の改善が顕著であり、効率的な事業運営による高収益化が進んでいることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 132億円 | 149億円 |
| 売上総利益 | 49億円 | 60億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.1% | 40.3% |
| 営業利益 | 12億円 | 21億円 |
| 営業利益率(%) | 9.2% | 13.9% |
販売費及び一般管理費のうち、業務委託費が5.2億円(構成比13%)、賞与が4.9億円(同12%)、給料及び手当が3.3億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である日本(国際)事業が堅調に売上を伸ばしているほか、日本(東伸)および中国事業も前期から大幅な増収を達成しています。全セグメントにおいて事業環境が改善しており、グループ全体の成長に大きく貢献しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本(国際) | 99億円 | 105億円 |
| 日本(東伸) | 2億円 | 10億円 |
| 米国 | 14億円 | 14億円 |
| 韓国 | 12億円 | 13億円 |
| 中国 | 2億円 | 5億円 |
| その他 | 3億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 132億円 | 149億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CF・財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型の優良企業の状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 18億円 |
| 投資CF | -3億円 | -3億円 |
| 財務CF | -10億円 | -13億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.0%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「常に顧客の要請に応えて、その時代に即した新しい価値の創造に努める」を基本理念として掲げています。顧客満足の追求と多様化するニーズに応えるため、技術革新による品質向上に取り組み、社会に貢献することを目標としています。また、グローバル市場において「利益を伴う成長」を達成し、継続的に企業価値を高めていくことを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「常にお客様にご満足して頂ける製品の提供」をモットーとし、顧客の品質向上を通じて社会に貢献する文化を大切にしています。顧客のニーズを的確に把握し、現場担当者の声を反映させた製品開発を実践するなど、市場の変化に迅速に対応できる「技術開発型企業」としての姿勢が社内に深く根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、投資効率の高いバランスのとれた経営を図るため、中期3ヶ年経営計画を策定しています。以下の指標の向上を目標として掲げています。
・売上高
・売上高経常利益率
・自己資本利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、世界的な試験機器専門メーカーとしての認知度向上を目指し、アジア市場でのシェア拡大や電気サーボモータ式試験機の研究開発を推進しています。これらを実現するため、以下の項目を主な経営戦略として掲げています。
・人材・技術への投資による研究開発活動の実施
・海外市場への進出による世界シェアの拡大
・各連結子会社工場における生産体制の確立
・タイヤ複合試験機などの世界的な拡販体制の確立
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、競争力の源泉を「人材」と位置付け、人的資本の強化によって持続的な成長の実現を目指しています。具体的には、研究・開発・製造を担うエンジニアに対する技術研修の積極的な実施に加え、グローバルな事業推進に向けて若手人材への海外勤務の機会提供や、海外現地法人における従業員の管理職への育成・登用を重点施策として推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 47.3歳 | 17.8年 | 6,896,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年間の技術研修時間(1,719時間)、技術研修の受講率(100%)、管理職に占める外国籍比率(56%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) タイヤ関連試験機への依存
同社グループは、自動車やタイヤ業界向けの試験機を主力製品としており、特にタイヤ関連試験機の売上が全体の半数以上を占めています。そのため、顧客企業の設備投資動向や海外への生産移管などの影響を強く受ける傾向があり、市場の需要変動によって業績が影響を受けるリスクがあります。
■(2) アジアを中心とした海外情勢の影響
連結売上高に占める海外比率が約7割と非常に高い水準で推移しており、特に中国や東南アジアなどの新興市場への依存度が高まっています。現地の経済情勢や政策の変更、インフラの未整備、関税の変更などが生じた場合、事業展開やサプライチェーンに支障をきたし、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 為替相場の変動
グローバルに事業を展開している同社は、米ドル建ての売上が全体の大きな割合を占めています。為替予約取引などのヘッジ策を講じて為替変動リスクの低減に努めていますが、予期せぬ急激な為替の変動が発生した場合には、利益水準に影響を与える可能性があります。



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