テクノメディカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テクノメディカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テクノメディカは東証スタンダード市場に上場し、採血管準備装置や検体検査装置などの臨床検査用分析装置の研究開発、製造、販売を主力事業としています。直近の業績トレンドは、主力の採血管準備装置・システムや消耗品等の販売が国内外で順調に推移した結果、売上高および各段階利益ともに増収増益を達成しています。


※本記事は、テクノメディカの有価証券報告書(第39期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テクノメディカってどんな会社?


臨床検査用分析装置および医療機器の研究開発から製造、販売までを手掛ける企業です。

(1) 会社概要


テクノメディカは1987年に設立され、1991年に開発センターを設置して研究開発体制を強化しました。2004年にジャスダックへ上場後、2007年に東京証券取引所市場第二部、2008年に同市場第一部へ上場しました。その後もヘルスケアセンターや物流センターを開設し、継続的に事業基盤の拡充を図っています。

同社の従業員数は単体で239名です。筆頭株主は事業会社のオートニクスで、第2位は創業者の實吉政知氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
オートニクス 14.50%
實吉政知 12.63%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.63%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は實吉政知氏が務めており、社外取締役の比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
實吉政知 代表取締役社長 1995年オートニクス入社。1999年同社入社。総務室長や取締役社長補佐を経て、2014年より現職。
武田真人 取締役営業本部長 1986年三幸商会入社。1997年同社入社。名古屋支店長、西日本営業部長等を経て、2016年より現職。
中野靖 取締役研究開発本部長兼研究開発本部医療ソリューション開発部長 1993年エイアンドティー入社。2004年同社入社。医療ソリューション開発部課長等を経て、2019年より現職。
中原志郎 取締役経営管理本部長兼経営企画室長 1981年三井東圧化学入社。2012年三井化学産資経理部長。2023年同社入社後、2024年より現職。


社外取締役は、平井豊(元東芝産業機器システム戦略商品統括部長)、尾関純(元あずさ監査法人代表社員)、黒河内明子(柏木総合法律事務所代表パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「医療機器および消耗品の製造販売」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 採血管準備装置・システム


採血・採尿検査の受付からラベル貼付、準備作業までを自動で行うシステムを提供しています。待ち時間短縮や医療従事者の業務支援、検体取り違え防止を目的とし、大規模一般病院などを主な顧客としてシステムを導入しています。

医療施設へのシステム導入に伴う装置販売や保守サービスから収益を得ています。自社で研究開発や設計を行い、実際の組み立てや製造工程は外部の協力会社へ委託するファブレス体制で同社が運営しています。

(2) 検体検査装置


血液ガス分析や電解質分析など、患者の傷病を評価するための緊急検査装置を提供しています。デスクトップ型やハンディ型を展開し、検査室や集中治療室、動物病院など多様な医療現場のニーズに対応しています。

医療施設等への装置販売や保守管理から収益を得ています。採血管準備装置と同様に、自社で開発・設計を行い、製造工程は協力会社へ委託する体制で同社が事業を展開しています。

(3) 消耗品等


採血管準備装置や検体検査装置で使用するラベル、標準血清、センサーカード、ハルンカップなどの関連消耗品を提供しています。また、一般ユーザーが手軽に利用できるセルフモニタリング製品も開発・販売しています。

医療機関での継続的な検査や装置の稼働に伴い発生する消耗品の販売から経常的な収益を得ています。消耗品については同社が本社等で受注見込量の調合、調整、包装、製造を行い、出荷前に品質検査を実施しています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、一時的な増減があるものの全体として安定した収益基盤を維持しています。特に当期は採血管準備装置や消耗品などの販売が国内外で好調に推移し、売上高が大きく伸長しました。利益面でも着実に増益を確保しており、堅調な成長傾向が伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 97億円 94億円 103億円 99億円 112億円
経常利益 19億円 17億円 19億円 13億円 17億円
利益率(%) 19.1% 17.8% 18.2% 13.2% 15.3%
当期純利益 13億円 12億円 13億円 10億円 11億円

(2) 損益計算書


当期は国内外での販売伸長に伴う大幅な増収により、売上総利益も順調に拡大しました。営業利益についても前年度から二桁の伸びを示しており、原材料費高騰の環境下にあっても収益性の向上が確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 99億円 112億円
売上総利益 49億円 52億円
売上総利益率(%) 49.8% 46.7%
営業利益 13億円 17億円
営業利益率(%) 13.1% 14.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が13億円(構成比35%)、研究開発費が5億円(同13%)を占めています。売上原価では材料費が53億円(構成比94%)と大部分を占めており、製造に不可欠な部材調達の比重が高いことが分かります。

(3) セグメント収益


主力の採血管準備装置・システムは、国内外で大型案件やコンパクト機種が伸長し、大幅な増収を牽引しました。消耗品等も安定的な需要を背景に堅調に推移しています。一方、検体検査装置は国内の競争環境が厳しく減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
採血管準備装置・システム 36億円 49億円
検体検査装置 6億円 5億円
消耗品等 56億円 58億円
連結(合計) 99億円 112億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済等を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 10億円 11億円
投資CF -0.3億円 -0.4億円
財務CF -5億円 -11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は80.2%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「健康、医療の分野でオリジナリティあふれるオンリーワンの製品・サービスを提供し、社会に貢献します」を経営方針として掲げています。医療機器業界において、人手の確保や業務効率化といった課題を踏まえ、医療従事者を支える産業としての社会的責務を果たすことを目指しています。

(2) 企業文化


信頼性と品質の向上を図り、価値あるサービスを提供することで顧客の期待に応える姿勢を重視しています。また、社員のエンゲージメント(働きがい・生きがい)を高める施策を推進し、心理的安全性を感じながら主体的に行動できる「能動的人材」の育成を目指す文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


同社は「2030長期ビジョン」の達成を目指し、2026年度からの新3ヶ年中期経営計画を策定しています。持続的成長を図るため、以下の数値を重要業績指標として掲げています。

- 3ヶ年累計売上高:321億円
- 3ヶ年累計営業利益:37.7億円

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の収益力強化に加え、採血管準備装置・システムの海外展開の再構築と拡大に注力しています。また、「在宅医療」や「予防医学」をキーワードに、ヘルスケアや医療ソリューション領域での新製品開発を進める方針です。持続的成長に向けて、M&Aや人材の確保・育成にも積極的に取り組んでいきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「働きがい・生きがいの創造」を理念とし、多様な人材が能力を発揮できる環境整備を進めています。在宅勤務やフレックスタイム制など多様な働き方を支援するほか、若手社員から役職者までの階層別研修やキャリアプラン教育を実施し、主体的に行動できる人材の育成と定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.1歳 11.8年 7,014,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.1%
男性育児休業取得率 75.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 47.2%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 83.1%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) -

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 採血管準備装置への事業依存


同社の総売上高の大半を採血管準備装置・システムおよび関連消耗品が占めています。医療財政の緊縮化による市場規模の縮小や、市場動向の見誤りによって新製品の収益性が低下した場合、同社の業績に大きな影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 競合他社との価格競争


同社の主力製品は国内市場で高いシェアを有していますが、競合他社による新製品の投入や低価格化の動きが脅威となります。また、関連消耗品において非純正品が廉価で販売される動きもあり、製品の差別化やブランド維持が不十分な場合、販売価格の維持が困難になる可能性があります。

(3) 製造委託を中心とした生産体制


採血管準備装置などの製造工程の大半を外部の協力会社に委託しています。製造委託先において重大な問題が生じ、製品の安定供給が滞るリスクがあります。また、品質確保に努めているものの、万が一製品に不具合が生じた場合、医療関連機器としての信用を失墜する恐れがあります。

(4) 原材料価格の高騰と調達難


消耗品をはじめとする製品や資材にプラスチック素材を使用しており、中東情勢の不安定化等に伴う原油価格の高騰が調達コストを押し上げるリスクがあります。想定を超えて供給制約や価格上昇が長期化した場合、生産活動や収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。