※本記事は、株式会社テクノメディカ の有価証券報告書(第38期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. テクノメディカってどんな会社?
採血管準備装置・システムを主力とする医療機器メーカーです。医療現場の自動化と効率化を支援しています。
■(1) 会社概要
1987年に設立され、採血管準備装置の開発・販売を開始しました。2003年に株式を店頭登録し、2008年には東京証券取引所市場第一部へ指定替えを行いました。その後、2022年の市場区分見直しを経て、2023年10月にスタンダード市場へ移行しました。研究開発から販売までを一貫して行う体制を築いています。
2025年3月31日現在、連結子会社はなく、従業員数は単体で244名です。筆頭株主は、創業家に関連すると思われる株式会社オートニクスで、第2位は個人株主の實吉繁幸氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| オートニクス | 13.96% |
| 實吉 繁幸 | 13.22% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.03% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は實吉 政知氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 實吉 政知 | 代表取締役社長 | 1995年オートニクス入社。1999年同社入社。総務室長等を経て2014年より現職。 |
| 武田 真人 | 取締役営業本部長 | 1986年三幸商会入社。1997年同社入社。名古屋支店長等を経て2016年より現職。 |
| 中野 靖 | 取締役研究開発本部長兼研究開発本部医療ソリューション開発部長 | 1993年エイアンドティー入社。2004年同社入社。2019年より現職。 |
| 中原 志郎 | 取締役経営管理本部長兼経営企画室長 | 1981年三井東圧化学入社。三井化学産資取締役等を経て2024年より現職。 |
| 平井 豊 | 取締役(監査等委員) | 1988年東芝両毛電機入社。東芝産業機器システム戦略商品統括部長等を経て2024年より現職。 |
| 尾関 純 | 取締役(監査等委員) | 1979年東京国税局入局。監査法人朝日会計社代表社員等を経て2017年より現職。 |
| 黒河内 明子 | 取締役(監査等委員) | 1983年三井物産入社。柏木総合法律事務所代表パートナー弁護士等を経て2024年より現職。 |
社外取締役は、平井 豊(元東芝産業機器システム戦略商品統括部長)、尾関 純(公認会計士尾関会計事務所代表)、黒河内 明子(柏木総合法律事務所代表パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「採血管準備装置・システム」「検体検査装置」「消耗品等」事業を展開しています。
■(1) 採血管準備装置・システム
採血・採尿検査に関する受付から、採血管の準備、ラベル発行などを自動で行うシステムを提供しています。主な顧客は医療機関であり、採血患者の待ち時間短縮や、臨床検査技師・看護師の業務支援、検体の取り違え防止を目的としています。RFID技術を用いた検体管理システムなども含みます。
収益は、これらの装置および周辺機器の販売代金から得ています。運営は主に同社が行っています。各医療施設のニーズに合わせたトータルシステムの提案が可能であり、国内市場において高いシェアを有しています。
■(2) 検体検査装置
医療施設において血液等の検体を測定し、患者の傷病を評価するための検査装置を提供しています。主な製品には、血液ガス分析装置、電解質分析装置、赤血球沈降速度測定機、尿中酸化ストレスマーカー測定システムなどがあります。デスクトップ型やハンディ型など多様なニーズに対応しています。
収益は、各種検査装置の販売代金から得ています。運営は同社が行っています。新型コロナウイルス禍を経て、特に海外市場において緊急検査用途の血液ガス分析装置の需要が高まっています。
■(3) 消耗品等
採血管準備装置や検体検査装置で使用するラベル、標準血清、センサーカード、ハルンカップなどの消耗品を製造・販売しています。また、これらの装置の保守サービスも含まれます。消耗品は日常的な検査で使用されるため、装置の稼働に伴い継続的な需要が発生します。
収益は、消耗品の販売代金および保守サービス料から得ています。運営は同社が行っています。装置の設置台数増加に伴い、安定的な収益基盤となっています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの5期間において、売上高は90億円台から100億円前後で推移しています。直近の2025年3月期は前期比で減収となりました。経常利益は13億円から19億円の範囲で推移しており、安定した黒字を維持していますが、直近は減益傾向にあります。当期純利益も同様に10億円以上を確保し続けています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 90.4億円 | 97.0億円 | 93.7億円 | 102.8億円 | 99.1億円 |
| 経常利益 | 16.3億円 | 18.5億円 | 16.7億円 | 18.7億円 | 13.0億円 |
| 利益率(%) | 18.0% | 19.1% | 17.8% | 18.2% | 13.2% |
| 当期純利益 | 11.5億円 | 12.8億円 | 11.5億円 | 13.5億円 | 10.0億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の103億円から当期は99億円へと減少しました。これに伴い売上総利益も減少しましたが、売上総利益率は約50%と高い水準を維持しています。一方、営業利益は前期の18億円から13億円へと減少しました。営業利益率は低下したものの、依然として13%台という高い収益性を確保しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 102.8億円 | 99.1億円 |
| 売上総利益 | 51.5億円 | 49.3億円 |
| 売上総利益率(%) | 50.1% | 49.8% |
| 営業利益 | 18.4億円 | 13.0億円 |
| 営業利益率(%) | 17.9% | 13.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が13億円(構成比34%)、研究開発費が7億円(同19%)を占めています。売上原価においては、材料費が51億円を占め、当期総製造費用の約94%と高い割合になっています。
■(3) セグメント収益
主力製品である採血管準備装置・システムは、国内の大型案件の時期ずれ等により減収となりました。一方、検体検査装置は海外での販売が伸長し増収となりました。消耗品等は国内外ともに安定した需要があり、増収を維持しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 採血管準備装置・システム | 43.0億円 | 36.4億円 |
| 検体検査装置 | 6.0億円 | 6.2億円 |
| 消耗品等 | 53.9億円 | 56.5億円 |
| 連結(合計) | 102.8億円 | 99.1億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
テクノメディカの当事業年度における資金状況は、期末残高が前事業年度末比で増加しました。営業活動による資金は、税引前利益の増加や売上債権の減少があったものの、法人税等の支払いや棚卸資産の増加により、前期比で減少しました。投資活動による支出は、主に有形固定資産の取得によるもので、前期比で減少しました。財務活動による支出は、配当金の支払いがあったものの、前期比で大幅に減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11.4億円 | 9.8億円 |
| 投資CF | -1.0億円 | -0.3億円 |
| 財務CF | -42.1億円 | -4.7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「健康、医療の分野でオリジナリティあふれるオンリーワンの製品・サービスを提供し、社会に貢献します」という経営方針を掲げています。国内市場では信頼性と品質の向上、技術革新による売上増を目指し、海外市場では技術力を活かした製品の拡販を図るとしています。
■(2) 企業文化
同社は「働きがい・生きがいの創造」を人事制度の理念とし、社員一人一人が能力を発揮できる環境整備を重視しています。また、サステナビリティへの取り組みとして、リスク管理規程に基づくガバナンス体制を構築し、経営の健全性と透明性の確保に努めています。法令遵守や社会規範の徹底も基本方針としています。
■(3) 経営計画・目標
同社は「2023中期経営計画」を策定し、持続的な成長に向けた事業基盤の強化と研究開発投資を推進しています。最終年度となる2026年3月期に向けて、3ヶ年累計での数値目標を掲げています。
* 3ヶ年累計売上高:308億円
* 3ヶ年累計営業利益:45億円
* 売上高営業利益率:14.6%(3ヶ年累計)
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、採血管準備装置・システムの販路拡大と高付加価値化、検体検査装置の海外展開、および消耗品等の安定供給を重点施策としています。特に、医療現場の人手不足に対応する検体の非接触認識や自動搬送、クラウド活用による患者誘導システムの開発に注力し、利便性向上を目指しています。また、新製品開発による新たな事業創造も掲げています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「働きがい・生きがいの創造」を理念に掲げ、多様な人材の多様な働き方を支援しています。具体的には、在宅勤務、フレックスタイム制、時短勤務の導入や就業規則の見直しを実施しています。また、若手社員の基礎能力教育やマネジメント教育、キャリアプラン教育など、各種研修を通じて社員の持続的成長を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.1歳 | 11.2年 | 6,882,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.3% |
| 男性育児休業取得率 | 57.1% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 44.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 78.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | -% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、男女社員の平均勤続年数の差異(4.3年)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 医療保険財政の影響
日本の国民医療費は増加傾向にあり、医療保険財政の悪化が課題となっています。診療報酬や薬価の改定がマイナスとなるケースもあり、医療機関の経営環境は厳しさを増しています。こうした外部環境の変化が、同社の製品やサービスの需要に影響を与える可能性があります。
■(2) 採血管準備装置事業への依存
同社の売上の約70%は採血管準備装置・システム事業および関連消耗品が占めています。このため、同事業の市場規模縮小や、次世代機の開発・販売が計画通りに進まない場合、業績に大きな影響が及ぶ可能性があります。また、主要ターゲットである大規模病院への導入が一巡し、新規設置台数が伸び悩むリスクもあります。
■(3) 競合との競争激化
採血管準備装置の国内シェアは高いものの、競合他社の新製品や価格戦略により影響を受ける可能性があります。同社製品は高価格帯であるため、機能やデザインでの差別化が重要です。また、消耗品市場においても非純正品の廉価販売などの動きがあり、純正品の使用徹底や付加価値の提供が求められています。



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