マミヤ・オーピー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マミヤ・オーピー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するマミヤ・オーピーは、電子機器、スポーツ用品、不動産の3事業を展開しています。主力の電子機器事業では遊技機関連機器や券売機などを提供し、スポーツ事業ではゴルフシャフト等を製造しています。直近の業績は、主力事業の影響により前年同期比で減収減益となっています。


※本記事は、マミヤ・オーピーの有価証券報告書(第84期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マミヤ・オーピーってどんな会社?


電子機器やスポーツ用品の製造販売、不動産事業を展開する企業の全体像を紹介します。

(1) 会社概要


1931年に植野オール金属製作所として創業し、1965年に東京証券取引所市場第二部に上場しました。1993年に現在のマミヤ・オーピーに社名を変更しています。その後、紙幣搬送システム事業や遊技場向けシステム関連事業に進出し、2021年にはシステム開発を担うマミヤITソリューションズを子会社化しました。

同社グループの従業員数は連結で1,504名、単体で134名です。筆頭株主は電子機器事業で取引のあるデータ・アートで、第2位は投資ファンドのAmbition Capital1号投資事業有限責任組合、第3位は遊技場向けシステムの維持管理業務を委託しているJ-NETとなっています。

氏名 持株比率
データ・アート 38.08%
Ambition Capital1号投資事業有限責任組合 11.94%
J-NET 2.21%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は関口正夫氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
関口正夫 取締役社長(代表取締役) 2006年同社監査役。データ・アート代表取締役専務等を経て、2022年より代表取締役社長。グループ複数社の代表取締役社長を兼務。
樋口常洋 常務取締役 2020年エフ・エス監査役。2021年同社管理本部長等を経て、2022年より常務取締役。マミヤエステート等のグループ会社役員を多数兼任。
篠田高徳 常務取締役 1985年同社入社。システム機器営業部長、技術開発本部長等を経て、2023年より常務取締役。電子機器事業本部長等を兼任。
水谷富士也 取締役 1991年同社入社。社長室長、管理統括本部長等を経て、2015年より取締役。2019年よりJ-NET常務取締役を務める。


社外取締役は、寺本吉男(寺本法律会計事務所代表)、河邉有二(元愛知県警察本部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「電子機器事業」「スポーツ事業」「不動産事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

電子機器事業


パチンコホール向けの遊技機関連機器をはじめ、小型自動券売機、紙幣搬送システム、紙幣識別機、自律走行システムなどの開発、製造、販売を行っています。また、遊技システムの設置や保守、ソフトウェアの受託開発および保守業務も手掛けており、アミューズメント業界を中心に多様な顧客ニーズに対応しています。

製品の販売収益やシステムの保守・サポート料、ソフトウェアの受託開発費が主な収益源です。製品の開発および製造は同社が行い、販売は同社およびエフ・エスが担当しています。また、エフ・エスが遊技場向けシステム等のサポートを、マミヤITソリューションズがシステム開発全般を担っています。

スポーツ事業


ゴルフ関連用品を中心に、遮断桿、洋弓用の矢や弓、棒高跳び用ポールの製造および販売を展開しています。国内外の市場に向けて「USTMamiya」ブランドのゴルフシャフトを展開しており、プロゴルファー向けのツアーサポートや、大手クラブメーカーへのOEM供給を通じた製品提供を行っています。

ゴルフシャフト等のスポーツ用品の販売による代金が主な収益源です。製品の開発、製造、販売は国内子会社のUST Mamiya Japanおよび米国法人のUST-Mamiya, Inc.が一体となって運営しており、製品の実際の製造はバングラデシュにあるMamiya-OP(Bangladesh)Ltd.が行っています。

不動産事業


首都圏を中心に、オフィスビルや店舗などの賃貸用不動産を所有・運用し、不動産の売買、賃貸借、仲介、管理等を行っています。また、ヴィレッジ型医療モールやビル型医療モールなど、不動産の周辺領域における新規開発案件への参入も積極的に進めており、収益基盤の多様化とアセットの強化を図っています。

保有する不動産の貸し出しによる継続的な賃料収入や、販売用不動産の売却益、仲介業務に係る手数料などが主な収益源です。不動産事業の運営は、主に子会社であるマミヤエステートおよびネクオスの2社が担当し、適切な管理・運用による安定的な収益確保に努めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、数期にわたり増収増益を記録し成長を続けてきましたが、当期は主力事業の影響等により、一転して減収および減益となりました。利益率も前水準から大きく低下しており、収益力の再構築に向けた取り組みが進められています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 129億円 159億円 274億円 337億円 209億円
経常利益 7億円 22億円 55億円 68億円 24億円
利益率(%) 5.3% 13.5% 20.0% 20.1% 11.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -8億円 14億円 37億円 47億円 18億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益ともに大きく減少しています。原価率の上昇等により売上総利益率が悪化し、さらに販売費及び一般管理費の負担が相対的に重くなったことで、営業利益率は前期の半分以下に落ち込んでいます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 337億円 209億円
売上総利益 105億円 58億円
売上総利益率(%) 31.3% 27.9%
営業利益 64億円 19億円
営業利益率(%) 19.0% 9.0%


販売費及び一般管理費(40億円)のうち、従業員給与手当が16億円(構成比40%)、役員報酬が1億円(同3%)を占めています。売上原価(151億円)の内訳については、製品売上原価が90億円(構成比60%)、商品売上原価が20億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の電子機器事業は、スマート遊技機向けユニット等が堅調だったものの、全体の需要変動により売上・利益ともに大きく減少しました。スポーツ事業は原材料高騰等の影響で赤字に転落し、不動産事業も修繕費等の増加により赤字となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
電子機器事業 268億円 160億円 56億円 20億円 12.4%
スポーツ事業 54億円 47億円 0.8億円 -0.3億円 -0.6%
不動産事業 15億円 2億円 8億円 -0.6億円 -26.6%
連結(合計) 337億円 209億円 64億円 19億円 9.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業のキャッシュ創出はマイナスですが、将来成長に向けた投資を継続し、借入等で資金調達を行っている「勝負型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 67億円 -7億円
投資CF -16億円 -30億円
財務CF 1億円 2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は業績の持続的安定成長を実現し、「挑戦」と「進化」により新しい未来を創造する企業でありたいと願い、「利益ある成長」「徹底したお客様志向」「独自分野に果敢に挑戦する開拓精神」の3つを経営基本方針としています。また、ディテールにこだわったモノづくり・コトづくりにより、顧客の潜在的ニーズに応えることをパーパスに掲げています。

(2) 企業文化


同社はコアバリューとして、全てのグループ事業において「技術と品質」「スピードと革新性」にこだわり抜くことを重視しています。独自性のある製品の提供により全てのステークホルダーに貢献するとともに、失敗を恐れず独自分野に挑戦する経営と、失敗してもそれを許容する風土の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、利益の極大化や資本効率の向上による持続的安定成長を通じた企業価値のさらなる向上を目指し、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標と位置付けています。具体的には、目標を達成し得る利益を安定的かつ継続的に計上できる事業構造の確立を目指しています。

* 連結ROE:8%(中長期的な目標)

(4) 成長戦略と重点施策


限られた市場での競争が激しい成熟産業において、経営資源を最大限に活用し、全ての部門で生産性の極大化を図ります。高品質・高付加価値と低コストの両立を目指し、システムソリューション事業の強化を通じて新規事業領域への展開を進めます。また、DXの進展を捉え、業界動向に左右されない独自の収益基盤確立に向けた施策を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人材」が持続的な企業価値向上の源泉であるとの認識のもと、「挑戦・育成・強固な組織・ウェルビーイング」の4つの視点で人材戦略を進めています。多様な人材の確保と若手層の定着を図りつつ、階層別研修や外部研修を活用して「自ら育つ文化」を醸成しています。また、柔軟な勤務制度の拡充により、自律的に活躍できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.9歳 14.1年 6,665,060円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.9%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 65.2%
男女賃金差異(正規雇用) 74.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 55.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定事業の業績への依存と当該事業環境が悪化するリスク


連結営業利益における電子機器事業への依存率が非常に高く、主力である遊技機関連事業の周辺設備機器の受注が落ち着いた場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。これに対し、自社ブランド製品の販売拡大や新規事業領域の開拓を推進しています。

(2) 特定の取引先に対する過度の依存のリスク


主要顧客である日本ゲームカードへの売上高が連結売上高の約半数を占めており、同社の業績動向や取引方針の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、新規取引先の開拓やビジネスモデルの刷新、他セグメントの収益拡大に取り組んでいます。

(3) 法的規制等によるリスク


製品のエンドユーザーである遊技場は風俗営業等の規制対象であり、製品の使用には許可取得などが義務付けられています。法令等が改正された場合、製品の販売・設置にマイナスの影響が生じるリスクがあり、外部専門家の活用や情報収集の強化で対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。