※本記事は、マミヤ・オーピー株式会社 の有価証券報告書(第83期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. マミヤ・オーピーってどんな会社?
同社は遊技機関連などの電子機器事業を主力とし、ゴルフシャフト等のスポーツ事業も展開する製造企業です。
■(1) 会社概要
同社は1931年に創業し、1965年に東証二部へ上場しました。1992年にマミヤ光機を吸収合併し、翌1993年に現社名へ変更しています。事業多角化を進める中で、2009年にエフ・エスを買収して遊技場向けシステム関連事業へ進出し、現在の主力事業である電子機器事業の基盤を強化しました。
現在、同社グループは連結従業員数1,612名、単体137名の体制です。筆頭株主は電子機器製品の部品仕入先でもあるデータ・アートで、第2位は持分法適用関連会社として遊技場向けシステムの維持管理業務を委託しているJ-NETです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| データ・アート | 38.08% |
| J-NET | 2.21% |
| 竹林 嘉浩 | 1.16% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は関口 正夫氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 関口 正夫 | 取締役社長(代表取締役) | データ・アート代表取締役専務、ジャパンネットワークシステム(現 J-NET)社長を経て、2022年6月より現職。エフ・エス社長等を兼務。 |
| 樋口 常洋 | 常務取締役管理本部長 | エフ・エス監査役等を経て、2021年6月同社管理本部長に就任。2022年8月より現職。 |
| 篠田 高徳 | 常務取締役技術開発本部長 | 1985年同社入社。営業本部システム機器営業部長、電子事業統括本部長等を経て、2023年6月より現職。 |
| 水谷 富士也 | 取 締 役 | 1991年同社入社。社長室長、管理本部長を経て、2015年6月より現職。J-NET常務取締役を兼務。 |
社外取締役は、寺本 吉男(弁護士)、河邉 有二(元愛知県警察本部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「電子機器事業」「スポーツ事業」および「不動産事業」を展開しています。
■(1) 電子機器事業
遊技機関連機器、小型自動券売機、紙幣搬送システム、紙幣識別機、自律走行システム等の開発・製造・販売を行っています。また、遊技システムの設置・保守やソフトウェア開発も手掛けており、遊技場市場における主要なサプライヤーとしての地位を確立しています。
収益は主に製品の販売代金や保守サービス料から得ています。主な販売先は日本ゲームカード等の法人顧客です。運営は、製品開発・製造をマミヤ・オーピーが担い、販売を同社およびエフ・エス、システム開発をマミヤITソリューションズが行っています。
■(2) スポーツ事業
ゴルフ関連用品(カーボンシャフト等)、遮断桿、洋弓用の矢・弓、棒高跳び用ポールの製造および販売を行っています。特にゴルフシャフトの「USTMamiya」ブランドはグローバルに展開しており、市場での認知度を有しています。
収益は、ゴルフショップやクラブメーカー等への製品販売から得ています。運営は、製品の開発・販売をUST Mamiya Japanおよび米国のUST-Mamiya, Inc.が担い、製造はバングラデシュのMamiya-OP(Bangladesh)Ltd.が行っています。
■(3) 不動産事業
不動産の売買、賃貸借、仲介、管理等を行っています。首都圏を中心に収益用不動産の運用や、医療モール開発などの周辺領域への参入も進めています。
収益は、保有不動産の賃貸料や売買による収益から得ています。運営は主にネクオスおよびエフ・アイ興産が行っており、グループ内での不動産活用の最適化を図っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 96億円 | 129億円 | 159億円 | 274億円 | 337億円 |
| 経常利益 | -8.4億円 | 6.9億円 | 22億円 | 55億円 | 68億円 |
| 利益率(%) | -8.7% | 5.3% | 13.5% | 20.0% | 20.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -15億円 | 6.3億円 | 20億円 | 39億円 | 47億円 |
売上高は5期連続で増加傾向にあり、特に直近2期で急激に拡大しています。利益面でも、2021年3月期の赤字からV字回復を遂げ、直近では経常利益率20%を超える高収益体質へと転換しています。スマート遊技機や新紙幣改刷に伴う特需を取り込み、業績を大きく伸ばしています。
■(2) 損益計算書
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 274億円 | 337億円 |
| 売上総利益 | 86億円 | 105億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.3% | 31.3% |
| 営業利益 | 48億円 | 64億円 |
| 営業利益率(%) | 17.7% | 19.0% |
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに大きく伸長しています。売上総利益率は31.3%で維持されており、コストコントロールが適切に行われていることが窺えます。営業利益率は前期からさらに改善し、収益性の向上が続いています。
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が14億円(構成比34%)、役員報酬が1.4億円(同3%)を占めています。
■(3) セグメント収益
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電子機器事業 | 227億円 | 268億円 | 50億円 | 56億円 | 20.8% |
| スポーツ事業 | 45億円 | 54億円 | -1.7億円 | 0.8億円 | 1.4% |
| 不動産事業 | 1.5億円 | 15億円 | 0.2億円 | 8億円 | 49.2% |
| 調整額 | -0.0億円 | -0.0億円 | -億円 | -億円 | -% |
| 連結(合計) | 274億円 | 337億円 | 48億円 | 64億円 | 19.0% |
主力の電子機器事業が売上の大半を占め、高い利益率で全社の利益を牽引しています。不動産事業は売上規模は小さいものの、当期は販売用不動産の売却等により大幅な増収増益となり、高い利益率を記録しました。スポーツ事業も増収効果により黒字転換を果たしています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
マミヤ・オーピーは、不動産事業において賃貸物件の収益化を推進し、販売用不動産の売却や医療モール開発などで売上を伸長させています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加や売上債権・棚卸資産の減少により大きく増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金や有価証券への投資、固定資産の取得等により使用超過となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の収入が返済額を上回ったことで獲得超過となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 26億円 | 67億円 |
| 投資CF | -18億円 | -16億円 |
| 財務CF | 12億円 | 1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「利益ある成長」「徹底したお客様志向」「独自分野に果敢に挑戦する開拓精神」の3つを経営基本方針として掲げています。また、「技術と品質」「スピードと革新性」にこだわり抜き、独自性のある製品の提供により全てのステークホルダーに貢献することをコアバリューとしています。
■(2) 企業文化
「失敗を恐れず独自分野に挑戦する経営と努力の結果、失敗してもそれを許容する風土」を目指しています。独自の生産・ICT技術を基盤とし、ディテールにこだわったモノづくり・コトづくりにより、顧客の潜在的ニーズに応えることを目的(パーパス)としています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、利益の極大化と資本効率向上を通じて企業価値を向上させるため、「ROE(自己資本利益率)」を経営目標の達成状況を判断するための重要指標と位置付けています。具体的には、中長期的な目標として以下を設定しています。
* 連結ROE 8%の達成・維持
■(4) 成長戦略と重点施策
成熟産業である電子機器事業とスポーツ事業において、高品質・高付加価値製品の開発と新規事業分野への展開を進める方針です。特にシステムソリューション事業を強化し、顧客課題へのソリューション提案を通じて事業領域の拡大を図ります。また、DXへの対応や新規事業領域の開拓により、独自の収益基盤の確立を目指します。
* 電子機器事業:スマート遊技機需要への対応、新紙幣対応紙幣識別機の展開、自律走行システム「I-GINS」の拡販
* スポーツ事業:グローバル市場での「USTMamiya」ブランド確立、高付加価値製品としてのポジション確立
* 不動産事業:安定的な賃料収入確保と新規物件購入、周辺領域への開発案件参入
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、多様な人材が成長できる環境づくりを目指し、複線型人事制度の運用や、契約社員を含む雇用形態の多様化を進めています。特に国内法人では外国人の積極採用を行っており、バングラデシュ人やインド人エンジニア等の採用実績があります。また、リスキリング推進のための教育研修や自己啓発支援、時差出勤や在宅勤務の活用など、柔軟な働き方の整備にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.1歳 | 14.6年 | 6,682,667円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 59.0% |
| 男女賃金差異(正規) | 73.0% |
| 男女賃金差異(非正規) | 38.7% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定事業への依存リスク
同社グループの連結営業利益の約87%を電子機器事業が占めており、特に遊技機関連事業への依存度が高くなっています。紙幣識別機等の入れ替え需要が落ち着いた場合など、当該事業環境の変化が業績に大きな影響を与える可能性があります。
■(2) 特定取引先への依存
電子機器事業における主要顧客である日本ゲームカードへの売上比率は、連結売上高の54.2%に達しています。同社との取引関係は良好ですが、同社の業績動向や取引方針の変化が、マミヤ・オーピーグループの業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 法的規制の影響
主要製品のエンドユーザーである遊技場は風俗営業等の規制対象であり、関連法令の改正等により台間カードユニット等の販売・設置に影響が生じた場合、同社グループの業績にマイナスの影響を与える可能性があります。
■(4) 海外生産拠点等のカントリーリスク
スポーツ事業の生産拠点であるバングラデシュでは政情不安が続いており、抗議活動や暫定政権発足等の社会情勢変動により、製品の製造不能や出荷停止等のリスクがあります。これにより納期遅延等が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。



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