※本記事は、グローブライド株式会社の有価証券報告書(第71期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. グローブライドってどんな会社?
同社グループは、釣用品やゴルフ用品をはじめとするスポーツ用品の製造および販売をグローバルに展開しています。
■(1) 会社概要
1958年に大和精工として設立され、釣用品やスポーツ用品の製造販売を開始しました。1970年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、1976年に同市場第一部へ指定替えされています。1972年にゴルフ事業、1980年にテニス事業などに進出し、2009年に現在のグローブライドへと商号を変更しました。
同社グループの従業員数は連結で7,365名、単体で861名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は総合商社の丸紅、第3位は金融機関の三井住友銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.81% |
| 丸紅 | 5.31% |
| 三井住友銀行 | 5.16% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長執行役員は鈴木一成氏が務めています。社外取締役は4名おり、社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木一成 | 代表取締役社長執行役員 | 1984年同社入社。経営企画室長、フィッシング営業本部国内営業部長、スポーツ営業本部ゴルフ営業部長などを経て、2017年より代表取締役社長。2022年より現職。 |
| 大竹有司 | 取締役常務執行役員サステナビリティ・コーポレートコミュニケーション担当 | 1984年同社入社。フィッシング営業本部マーケティング部長、サステナビリティ推進室長などを経て、2023年より現職。 |
| 鈴江浩康 | 取締役常務執行役員フィッシング生産本部長兼品質、法務知財担当 | 1984年同社入社。フィッシング生産本部ロッド製造部長やタイの子会社社長などを経て、2022年より現職。 |
| 谷口央樹 | 取締役常務執行役員管理本部長兼グローバルリスクマネジメント室長 | 1984年同社入社。米州子会社副社長、経理部長、経営企画室長などを経て、2024年より現職。 |
| 小林忍 | 取締役常務執行役員フィッシング営業本部長 | 1989年同社入社。フィッシング営業本部国内営業部長、スポーツ営業本部長などを経て、2023年より現職。 |
| 尾ノ上幸司朗 | 取締役常務執行役員スポーツ営業本部長兼スポーツ営業部長 | 1989年同社入社。総務部長、フィッシング営業本部営業三部長などを経て、2025年より現職。 |
| 黒澤敬幸 | 取締役常勤監査等委員 | 1984年同社入社。経営企画室長、総務部長、デスコ代表取締役社長などを経て、2022年より現職。 |
社外取締役は、高橋智隆(ロボ・ガレージ代表取締役社長)、髙瀬正子(東洋紡社外取締役)、村松高男(元高松国税局長)、松井巖(元福岡高等検察庁検事長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「米州」「欧州」「アジア・オセアニア」などの報告セグメントを展開しています。
■(1) 日本
釣用品、ゴルフ用品、ラケットスポーツ用品などの製造および販売を行っています。主に国内の消費者や小売店に向けて、スピニングリールなどのフィッシング用品やゴルフブランドの製品を提供し、部品の販売や用品の修理などのサービスも手掛けています。
製品の販売収益や修理等のサービス収益が主な収益源です。事業の運営は親会社である同社のほか、用品の製造を行うフォーティーンや那須ダイワ、販売を担うワールドスポーツやウインザー商事、部品販売と修理を行うスポーツライフプラネッツなどが担当しています。
■(2) 米州
北米を中心とする米州地域の顧客に向けて、バスフィッシング用品や海釣り用品をはじめとするスポーツ用品の販売を展開しています。現地の地域特性やニーズに合わせた製品ラインナップを提供し、市場の深耕を図っています。
小売店等を通じた用品の販売収益が主な収益源です。米州地域における事業の運営および販売は、同社の子会社であるダイワ・コーポレーションが主体となって展開しています。
■(3) 欧州
欧州地域の顧客に向けて、釣用品やスポーツ用品の製造および販売を行っています。国ごとの情勢や各地域のニーズに合わせた製品を投入し、スポーツ用品市場におけるシェアの拡大を目指しています。
用品の販売収益が主な収益源です。事業の運営は、製造と販売を行う英国のダイワ・スポーツ・リミテッドのほか、販売を担うダイワ・フランス、ダイワ・ジャーマニー、ダイワ・イタリア、ダイワ・ロシアなどの各子会社が担当しています。
■(4) アジア・オセアニア
アジアおよびオセアニア地域の顧客に向けて、スポーツ用品の製造と販売を展開しています。日本製の高級品から各国の市場特性に合わせた現地専用品まで幅広い製品を提供し、自然とスポーツを愛する人々の需要に応えています。
用品の販売収益が主な収益源です。製造および販売はダイワセイコー(タイランド)やダイワ・ベトナムなどの子会社が行い、販売はダイワ(オーストラリア)、ダイワ・コリア、ダイワ・スポーツ(広州)、シンガポール・ダイワなどの現地子会社が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、売上高は1,200億円台から1,300億円台で推移しており、底堅い需要に支えられています。経常利益も安定的ですが、原材料価格やエネルギー価格の高騰、販売費及び一般管理費の増加等の影響を受け、一時的に利益率が低下する局面も見られます。しかし、原価改善や新製品投入の効果により、直近では利益水準が再び回復傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,207億円 | 1,346億円 | 1,260億円 | 1,240億円 | 1,270億円 |
| 経常利益 | 130億円 | 127億円 | 84億円 | 65億円 | 72億円 |
| 利益率(%) | 10.8% | 9.4% | 6.6% | 5.2% | 5.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 96億円 | 92億円 | 56億円 | 48億円 | 54億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、原価改善の進展により売上総利益および売上総利益率も向上しています。一方で、広告宣伝費や荷造運搬費などの販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益は横ばいで推移し、営業利益率は微減となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,240億円 | 1,270億円 |
| 売上総利益 | 465億円 | 484億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.5% | 38.1% |
| 営業利益 | 65億円 | 65億円 |
| 営業利益率(%) | 5.2% | 5.1% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が118億円(構成比28%)、荷造運搬費が54億円(同13%)を占めています。売上原価は786億円で、売上高に対する構成比は62%となっています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上高を見ると、主力の日本市場は堅調な需要に支えられ増加傾向にあります。また、米州および欧州地域でもニーズに合った製品の投入により売上が拡大しています。アジア・オセアニア地域は東南アジア市場の回復により、全体として増収を達成しました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 662億円 | 666億円 |
| 米州 | 133億円 | 137億円 |
| 欧州 | 163億円 | 170億円 |
| アジア・オセアニア | 282億円 | 297億円 |
| 連結(合計) | 1,240億円 | 1,270億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金で投資と借入金の返済等を賄う「健全型」のパターンを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 20億円 | 80億円 |
| 投資CF | -42億円 | -30億円 |
| 財務CF | 10億円 | -46億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「Feel the earth. -地球を感じ、生きていく。-」をスローガンに掲げています。地球を舞台に、スポーツを通じて人々に人生の豊かな時間を提供する「ライフタイム・スポーツ・カンパニー」をビジョンとし、自然とスポーツを愛する世界中の人々に貢献することを目指して事業を展開しています。
■(2) 企業文化
「Make it Wow!(自ら楽しみ、人生の新たな感動を世界中に届ける)」や「Open Our Minds(自由な発想、多様な価値観で豊かさを生みだす)」などから構成される「5 Key Promises」を行動指針としています。従業員一人ひとりの「好きを源泉に自ら楽しむ風土」と「高い専門性」を重視し、能力や意欲を最大限に引き出す文化が醸成されています。
■(3) 経営計画・目標
新たに策定した「中期経営計画2030」に基づき、2031年3月期を最終年度とする経営目標を設定し、収益構造の革新と企業価値の向上を推進しています。
* 売上高:1,600億円
* 営業利益:160億円
* ROE:12%以上
* 総還元性向:期間を通じて50%を目安とする
■(4) 成長戦略と重点施策
フィッシング事業では世界市場を4つに分けた「4ブロック戦略」により地域特性に合わせた製品とサービスを展開しています。また、「みらいフィールドプロジェクト」を通じた最新設備によるマザー工場の構築や、ゴルフおよびスポーツ事業におけるブランド力の向上とピックルボールへの取り組みを重点施策として加速させています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
価値創出の中核は専門性の高い人材による製品開発力とブランド構築力にあると位置づけ、人材への積極的な投資を行っています。技術人材や製品企画人材の育成、海外拠点を含めた最適な人材配置のほか、次世代経営幹部の育成に向けた選抜型研修を実施し、従業員エンゲージメントの向上とグローバルに活躍できる人材基盤の強化に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.2歳 | 13.9年 | 7,417,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.9% |
| 男性育児休業取得率 | 90.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 67.5% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 67.7% |
また、同社は「人的資本への取り組み」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、一人当たり平均時間外労働時間数(13.5時間)、一人当たり平均有給休暇取得日数(11.8日)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) スポーツ用品市場の市況変動
同社グループの製品は日本を含む全世界で販売されており、各地域の経済状況や自然災害の影響を受けます。主要市場における景気の後退やそれに伴う需要の縮小が発生した場合、製品の販売が落ち込み、同社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) グローバル展開に伴う為替変動
海外での製品の生産や販売を広範に行っているため、事業活動は為替変動の影響を強く受けます。為替予約等のリスクヘッジを実施して影響の軽減に努めていますが、想定を超える急激な為替の変動が発生した場合、業績や財務状況にマイナスの影響を与える可能性があります。
■(3) アジア等の海外生産・販売拠点への集中
同社グループは世界各地域に拠点を置いて事業を展開しており、特に製造会社は中国、タイ、ベトナムなどのアジア地域に集中しています。当該地域における政治や経済の混乱、予期せぬ法規制の変更などが発生した場合、生産や販売に重大な支障が生じ、売上高の減少につながる恐れがあります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。