重松製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 重松製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場し、防じん・防毒マスクなど呼吸用保護具の製造販売を主力とする。直近の業績は、主要顧客である製造業からの堅調な受注や化学物質規制強化に伴う需要増が寄与し、売上高は前期比8.6%増、経常利益は同37.1%増と大幅な増収増益を達成し、好調に推移している。


#記事タイトル:重松製作所転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社 重松製作所 の有価証券報告書(第79期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 重松製作所ってどんな会社?


呼吸用保護具のパイオニアとして、防じん・防毒マスク等の製造販売を行う労働安全衛生保護具メーカーです。

(1) 会社概要


1917年に創業し、工場や鉱山用の保護具製作を開始。1942年に株式会社重松製作所へ改組しました。1990年に船引事業所の操業を開始し、生産体制を強化。2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。2022年には東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。

単体の従業員数は390名です。筆頭株主は事業会社(提携先)で、第2位も事業会社、第3位は社長です。

氏名 持株比率
エア・ウォーター防災 10.32%
千代田テクノル 9.93%
重松宣雄 6.28%

(2) 経営陣


同社の役員は男性15名、女性1名の計16名で構成され、女性役員比率は6.3%です。代表取締役社長は重松宣雄氏です。社外取締役比率は12.5%です。

氏名 役職 主な経歴
重松宣雄 取締役社長代表取締役 1979年入社。技術研究所長、生産担当、営業本部長などを歴任し、1998年より現職。
森田隆 取締役副社長代表取締役 三菱銀行出身。2004年入社。経理部長、管理本部長を経て、2011年副社長就任。2020年より現職。
小野研一 専務取締役設計担当 1983年入社。設計畑を歩み、設計部長、開発設計部長などを歴任。2019年より現職。
工藤心平 専務取締役生産担当兼第二生産本部長 1984年入社。船引第三製造部長、生産技術部長などを歴任。2024年より現職。
二戸応典 専務取締役営業本部長兼海外事業本部長 1993年入社。マーケティング部長を経て、2023年より現職。
野口真 専務取締役研究部長 1995年入社。品質保証部長を経て、2025年より現職。
坂野信 常務取締役管理本部長兼総務部長 三菱銀行出身。2013年入社。経理部長、総務部長を経て、2023年より現職。
小西晶彦 常務取締役第一生産本部長 1988年入社。埼玉製造部長、船引第一製造部長などを歴任。2025年より現職。
今村太陸 取締役営業部長 1999年入社。上越営業所長、マーケティング部長を経て、2023年より現職。
谷和生 取締役経理部長 三菱銀行出身。2023年入社。総務部次長を経て、2024年より現職。


社外取締役は、佐山利夫(元中野冷機専務)、飛田成史(群馬大学名誉教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「労働安全衛生保護具の製造販売」および「自給式呼吸器の販売」事業を展開しています。

労働安全衛生保護具の製造販売


働く人々を職業病から守るため、防じんマスク、防毒マスク、送気マスクなどの呼吸用保護具や、防護服などの各種労働安全衛生保護具を提供しています。主な顧客は製造業や官公庁などです。

収益は、これらの製品をユーザーへ販売することで得られる代金です。運営は同社が行っており、独自の研究開発から製造、販売、アフターフォローまでを一貫して手掛けています。

自給式呼吸器の販売


エア・ウォーター防災製の自給式呼吸器について、国内販売総代理店として仕入販売を行っています。また、各種保護具の保守点検整備および修理も事業として展開しています。

収益は、商品の販売代金や保守点検・修理に伴うサービス料です。運営は同社が行っており、全国の営業拠点を活用して顧客対応を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期分の業績を見ると、売上高は120億円から140億円台で推移しており、直近の2025年3月期には141億円と過去最高を記録しています。経常利益も6億円から11億円の間で変動しつつ、直近では11億円と高い水準にあります。当期純利益も安定して黒字を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 127億円 119億円 129億円 130億円 141億円
経常利益 8.6億円 6.5億円 10.3億円 8.0億円 11.0億円
利益率(%) 6.8% 5.5% 8.0% 6.2% 7.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 6.5億円 5.9億円 7.5億円 5.8億円 7.8億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は8.6%増加し、売上総利益率は30.8%から31.4%へと改善しました。営業利益率は6.0%から7.6%へと上昇しており、増収効果に加えて利益率の向上も寄与しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 130億円 141億円
売上総利益 40億円 44億円
売上総利益率(%) 30.8% 31.4%
営業利益 7.8億円 11億円
営業利益率(%) 6.0% 7.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が8.2億円(構成比24%)、研究開発費が3.7億円(同11%)を占めています。また、製造費用明細書によると、当期総製造費用のうち、材料費が32億円(構成比47%)、経費が23億円(同34%)を占めています。

(3) セグメント収益


※ core_data.segments が空のため、このセクションは省略します。

(4) キャッシュ・フローと財務指標

重松製作所は、労働安全衛生保護具の製造販売事業を展開しています。

営業活動では、利益創出に加えて、売上債権や棚卸資産の増加が資金の流出要因となりました。一方、投資活動では、将来の成長に向けた設備投資に多額の資金を使用しました。財務活動では、借入れによる資金調達を行い、借入金の返済や配当金の支払いを行いました。これらの活動の結果、当事業年度末の資金残高は減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 9.7億円 2.3億円
投資CF -8.4億円 -22.1億円
財務CF -1.3億円 18.3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「働く人の安全衛生の向上に寄与し、社会へ貢献する」を基本方針としています。創業以来、呼吸用保護具を中心とした労働安全衛生保護具の普及に努め、働く人々を職業病や危険から守ることに注力しています。今後も、国内外の働く人々の健康と幸福を支え、地球環境保全にも貢献することに誇りと責任を持って取り組むとしています。

(2) 企業文化


「より良く、より安い製品を、より速く」をモットーに掲げています。技術研究所での研究開発から生産、販売まで一貫した体制を持ち、ISO9001やISO14001などの国際規格に準拠した品質・環境マネジメントシステムを運用しています。独自の開発による機械装置や先進技術を導入し、ユーザーに安心して使用してもらえる品質と性能にこだわった製品作りを推進しています。

(3) 経営計画・目標


収益性と資本効率を高めることを重視しており、中期的な経営指標として以下の目標を掲げています。
* 経常的にROE(自己資本利益率)10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


多様なユーザーニーズに対応する製品をタイムリーに供給するため、研究開発を充実させる方針です。また、省資源や省エネルギーなど環境問題に配慮した技術開発にも注力します。生産性および品質の向上とともに原価削減を進め、市場競争力を強化します。さらに、経営全般の合理化・効率化を推進し、安定供給と新製品開発に注力することで社会的責任を果たしていくとしています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の多様性の確保を含む育成および社内環境の整備を重視しています。優秀な人材については性別・国籍等の属性を問わず積極的に採用・登用する方針です。女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し、採用者に占める女性比率の向上を目指しています。また、全ての従業員が働きやすい職場環境を整備するため、時間外労働の削減にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.8歳 16.8年 5,909,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 10.7%
男性労働者の育児休業取得率 36.4%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 74.8%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 79.9%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 57.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用者に占める女性比率(62.5%)、従業員一人あたりの月間時間外労働(14.9時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境について


同社の経営成績は、民間企業の業績動向や官公庁の財政状態の影響を受ける傾向があります。景気低迷や官公庁の財政悪化が生じた場合、業績に悪影響が及ぶ可能性があります。また、エア・ウォーター防災からの仕入高が商品仕入高の過半を占めており、販売状況の変化により比率が変動する可能性があります。

(2) 品質管理について


ISO9001に準拠した品質マネジメントシステムを構築し、各種規格に適合する製品を製造販売していますが、予期せぬ要因により不適合や欠陥などの不具合が発生する可能性があります。製品の回収や修理などの対応が必要となった場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 訴訟対応について


製品の欠陥による製造物責任訴訟に備えて保険に加入していますが、賠償負担を完全に担保するものではありません。製造物責任以外の訴訟についても発生する可能性があり、その結果によっては業績に影響を及ぼすおそれがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。