エムケー精工 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エムケー精工 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、洗車機などのモビリティ&サービス機器、農産物貯蔵庫などのライフ&サポート機器、住設機器の製造販売を行う企業です。第69期は、主力の洗車機の反動減などにより微減収、経常減益となりましたが、特別損失の減少等により親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。


※本記事は、エムケー精工株式会社 の有価証券報告書(第69期、自 2024年3月21日 至 2025年3月20日、2025年6月12日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エムケー精工ってどんな会社?


モビリティ、ライフ、住設の3領域で、「これが欲しかった!」を実現する製品を開発・製造するメーカーです。

(1) 会社概要


1948年に丸山工業有限会社として創業し、1956年に株式会社へ改組しました。1989年に日本証券業協会へ店頭登録し、2004年にジャスダック市場へ上場しました。その後、2010年に信濃輸送、2017年にメタルスター工業を完全子会社化するなど事業基盤を拡大し、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。

同グループの従業員数は連結で1,260名、単体で874名です。筆頭株主は創業家出身の丸山永樹氏で、第2位は事業育成投資を行う東京中小企業投資育成、第3位は主要取引銀行の八十二銀行(常任代理人:日本マスタートラスト信託銀行)です。

氏名 持株比率
丸山 永樹 8.83%
東京中小企業投資育成 7.94%
株式会社八十二銀行 4.89%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名(有価証券報告書提出日現在)の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長執行役員は丸山将一氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。

氏名 役職 主な経歴
丸山 将一 代表取締役社長執行役員 大和総研を経て2010年同社入社。常務取締役執行役員などを経て2012年3月より現職。
千葉 和樹 取締役常務執行役員ライフ&サポート事業本部長兼商品開発研究所長 日本電気を経て2017年同社入社。商品開発研究所長を経て2025年3月より現職。
早川 和弘 取締役 東芝を経て1991年同社入社。商品開発研究所長、情報機器事業本部長、ライフ&サポート事業本部長などを歴任し2025年3月より現職。
沓掛 吉彦 取締役執行役員モビリティ&サービス事業本部長 1986年同社入社。東京支店長、オート機器事業本部長などを経て2019年3月より現職。
和泉 秀樹 取締役執行役員経理本部長 1987年同社入社。経理部長、執行役員経理本部長を経て2016年6月より現職。
酒向 邦明 取締役 八十二銀行伊那支店長を経て2018年同社入社。管理本部長を経て2025年3月より現職。


社外取締役は、上條由紀子(九州工業大学社会実装本部未来思考実証センター特任教授)、滝沢玲奈(滝沢食品専務取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「モビリティ&サービス事業」「ライフ&サポート事業」「住設機器事業」および「その他の事業」を展開しています。

(1) モビリティ&サービス事業

門型洗車機、高圧洗車洗浄機、灯油配送ローリー、各種オイル交換機、LED表示機(店舗用・工事用)、フロンガス充塡機などを製造・販売しています。ガソリンスタンドや自動車整備工場、建設現場などが主な顧客です。

製品の販売代金やメンテナンス料などを顧客から受け取る収益モデルです。運営は主に同社およびエムケー電子、MK SEIKO (VIETNAM) CO., LTD.が行っています。

(2) ライフ&サポート事業

農産物低温貯蔵庫、米保管庫、精米機、餅つき機、パン焼き機などの家庭用電気機器、電子レンジ置台などの台所収納庫、食品加工機などを製造・販売しています。農家や一般消費者、食品加工業者などが顧客です。

製品の販売代金を顧客から受け取る収益モデルです。運営は主に同社、エムケー電子、ジャパンシステム、システム、MK SEIKO (VIETNAM) CO., LTD.が行っています。

(3) 住設機器事業

木・アルミ複合断熱建具、鋼製防火扉などの建具製造・工事業や、反射板式消音装置などを手掛けています。建設会社や公共施設などが主な顧客となります。

製品の販売代金や工事代金を顧客から受け取る収益モデルです。運営は主にニューストおよびメタルスター工業が行っています。

(4) その他の事業

保険代理業、不動産管理・賃貸業、一般貨物等の運送業務、ホテル業、印刷業、IoT関連機器の企画・開発・販売業などを行っています。

保険手数料、賃貸料、運送料、宿泊料、製品販売代金などを受け取る収益モデルです。運営はエムケー興産、信濃輸送、長野リンデンプラザホテル、エムケー電子、AZxが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は249億円から280億円台へと拡大傾向にあります。利益面では、経常利益が12億円から22億円の範囲で推移しており、第68期に最高益水準に達しました。第69期は微減収減益となったものの、利益率は7%台を維持しており、親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失の減少等により増加しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 256億円 249億円 273億円 285億円 283億円
経常利益 16億円 12億円 18億円 23億円 21億円
利益率(%) 6.3% 4.9% 6.6% 7.9% 7.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.2億円 2.5億円 9.4億円 4.1億円 9.8億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高は283億円と前期比微減となりました。売上総利益率は32.4%から32.5%へと横ばいで推移しています。営業利益率は7.5%から7.1%へ低下しました。販売費及び一般管理費の増加などが影響しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 285億円 283億円
売上総利益 92億円 92億円
売上総利益率(%) 32.4% 32.5%
営業利益 21億円 20億円
営業利益率(%) 7.5% 7.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当等が32億円(構成比44%)、その他経費が23億円(同33%)を占めています。売上原価においては、具体的な内訳データはありませんが、製品製造にかかる原材料費や労務費等が計上されています。

(3) セグメント収益


モビリティ&サービス事業は、洗車機等が前年度の補助金需要の反動で減少した一方、情報機器は好調でした。ライフ&サポート事業は米関連商品や法人向け機器が伸長し微増収増益となりました。住設機器事業は木・アルミ複合断熱建具等が好調で増収増益でした。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
モビリティ&サービス事業 196億円 189億円 31億円 27億円 14.3%
ライフ&サポート事業 62億円 62億円 2.5億円 4.8億円 7.8%
住設機器事業 25億円 29億円 0.9億円 1.4億円 4.7%
その他の事業 2.5億円 2.7億円 0.8億円 1.0億円 35.4%
調整額 -9億円 -8億円 -14億円 -14億円 -
連結(合計) 285億円 283億円 21億円 20億円 7.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得た資金の範囲内で借入金の返済や投資活動を行っており、財務体質を健全に保ちながら事業運営を行っている「健全型」と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 25億円 5.2億円
投資CF -5.5億円 -2.6億円
財務CF -14億円 -2.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.4%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、ビジョンとして「今までにない、いろどり豊かなシーンを広げる。」を掲げています。ミッションは「これが欲しかった!を、アイデアで次々に実現する。」とし、スローガン「その手があった!の一手先。」のもと、モノづくりの実績とネットワークを活かして新たな成長フェーズを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、創業以来の社是である「努力創造」を掲げています。また、グループ理念である「エムケーフィロソフィー」を全社員が共有し、意識行動の変革を通じて、研究開発型の完成品メーカーとして社会に貢献することを目指す風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、全体最適を図る中でのトップラインの売上高増収を伴った収益力向上を重点課題としています。また、財務とのバランスを注視し、経常利益および自己資本の充実を重要な要素と捉えています。

* ROE 8.0%以上を安定的に達成

(4) 成長戦略と重点施策


外部環境の変化を前提とした強固な経営基盤の再構築と事業領域の拡大を進めています。「顧客価値の追求」「健康経営の推進」「“美・食・住”の3領域の拡大」「ブランドの強化」「意識行動の変革」「経営インフラの強化」を課題として掲げ、モノづくりとサービスを通じた価値創造や、SDGs等の社会課題解決に向けた新事業のデザインに取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、創造力と開発力を有したプロフェッショナル人材を最大の経営資源と位置づけています。業務を通じた育成(OJT)を基礎に、階層別・職種別研修などの教育を実施し、「モノづくりとサービスのプロフェッショナル」を育成しています。また、健康経営を推進し、ワークライフバランスを踏まえた柔軟な働き方ができる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.2歳 16.8年 5,795,852円


※平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 67.0%
男女賃金差異(正規) 71.6%
男女賃金差異(非正規) 51.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、研修受講率(191%)、一人当たり教育投資額(25,949円)、年次有給休暇一人当たり平均取得日数(13.2日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢及び景気動向

売上の大部分が国内民需であるため、国内景気の影響を受けやすい特性があります。これに対し、“美・食・住”の事業領域で多角化しリスク分散を図っています。

(2) 原材料価格及び為替レート等の変動

原油価格高騰や円安により、原材料・燃料・運送費などのコストが増加し、収益を圧迫する可能性があります。調達先の見直しや生産合理化、コスト削減、価格転嫁などで対応する方針です。

(3) 競合環境と価格競争

各市場において厳しい競合環境にあり、価格競争による業績への影響が懸念されます。高付加価値製品の開発やメンテナンス体制の強化、コスト競争力の向上により差別化を図ります。

(4) 新商品開発力

開発型企業として新製品開発は不可欠ですが、ユーザーニーズに合致した製品を市場に投入できなかった場合、成長性や収益性が低下する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。