エムケー精工 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エムケー精工 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エムケー精工は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、「美・食・住」を軸にモビリティ&サービス、ライフ&サポート、住設機器の製造販売などを展開する企業です。直近の業績は売上高298億円、親会社株主に帰属する当期純利益24億円と増収増益を達成しました。独自のアイデアで新たな価値創造と持続的な成長を目指しています。


※本記事は、エムケー精工株式会社の有価証券報告書(第70期、自 2025年3月21日 至 2026年3月20日、2026年6月11日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エムケー精工ってどんな会社?


モビリティ関連機器やライフサポート関連機器などの製造販売を通じ、「美・食・住」の領域で事業を展開するメーカーです。

(1) 会社概要


1948年7月に長野市で丸山工業有限会社として創業し、1956年に丸山工業を設立しました。1984年に現在のエムケー精工へと商号を変更しています。2004年にジャスダック市場へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴い東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。

同社グループの連結従業員数は1,258名、単体では866名体制で事業を運営しています。筆頭株主は事業会社の東京中小企業投資育成で、第2位は個人の丸山はる代氏、第3位は金融機関の八十二長野銀行です。

氏名 持株比率
東京中小企業投資育成 8.40%
丸山はる代 5.93%
八十二長野銀行 4.94%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長執行役員は丸山将一氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
丸山将一 代表取締役社長執行役員 1997年大和総研入社。2010年同社入社。常務取締役執行役員を経て2012年より現職。
千葉和樹 取締役常務執行役員ライフ&サポート事業本部長兼商品開発研究所長 1987年日本電気入社。2017年同社入社。常務執行役員などを経て2025年より現職。
沓掛吉彦 取締役常務執行役員モビリティ&サービス事業本部長 1986年同社入社。東京支店長、執行役員などを経て2025年より現職。
和泉秀樹 取締役執行役員経理本部長 1987年同社入社。経理本部経理部長、執行役員経理本部副本部長などを経て2016年より現職。
小山千明 取締役執行役員管理本部長 1991年八十二銀行入行。2024年同社入社。執行役員管理本部長を経て2025年より現職。


社外取締役は、上條由紀子(九州工業大学特任教授)、滝沢玲奈(滝沢食品専務取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「モビリティ&サービス事業」「ライフ&サポート事業」「住設機器事業」および「その他の事業」を展開しています。

モビリティ&サービス事業


門型洗車機や高圧洗車洗浄機などの洗車機、各種オイル交換機、店舗用や工事用のLED表示機などの製造販売およびメンテナンスサービスを提供しています。サービスステーションやカーディーラーなどを主な顧客としています。

製品の販売代金やメンテナンスのサービス料を収益源としています。事業の運営は主にエムケー精工、エムケー電子およびMK SEIKO (VIETNAM) が行っています。

ライフ&サポート事業


農産物低温貯蔵庫や米保管庫などの農産物貯蔵庫、精米機や餅つき機などの家庭用電気機器、電子レンジ置台などの台所収納庫などを展開しています。また、製菓用・製パン用の食品加工機や撹拌機なども製造販売しています。

各種機器の販売代金を収益源としています。運営はエムケー精工、エムケー電子、ジャパンシステム、システム、MK SEIKO (VIETNAM) の5社が担っています。

住設機器事業


木・アルミ複合断熱建具や鋼製防火扉などの建具製造および建具工事業、反射板式消音装置などの製造販売を行っています。脱炭素社会の実現に向けた木材利用の拡大などを背景に事業を展開しています。

建具や消音装置などの販売代金ならびに工事の対価を収益源としています。運営は主にニューストおよびメタルスター工業が行っています。

その他の事業


同社グループ製品および一般貨物等の運送業、不動産管理および賃貸業、印刷業ならびに保険代理業、IoT関連機器の企画・開発・販売業などの多様な事業を営んでいます。

運送料、不動産賃貸料、保険代理手数料、機器販売代金などをそれぞれ収益源としています。各事業はエムケー興産、信濃輸送、エムケー電子、AZxなどが運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間は増収基調が続いており、直近の期では売上高が298億円に達しました。利益面でも順調な推移を見せており、経常利益率は前々期の7.9%から当期は9.8%へ上昇し、当期利益は24億円まで拡大しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 249億円 273億円 285億円 283億円 298億円
経常利益 12億円 18億円 23億円 21億円 29億円
利益率(%) 4.9% 6.6% 7.9% 7.5% 9.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 12億円 7億円 13億円 24億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益は92億円から103億円へ増加し、売上総利益率も32.5%から34.4%へ改善しました。これに伴い営業利益も拡大し、営業利益率は7.1%から9.1%へと上昇しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 283億円 298億円
売上総利益 92億円 103億円
売上総利益率(%) 32.5% 34.4%
営業利益 20億円 27億円
営業利益率(%) 7.1% 9.1%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が28億円(構成比37%)、発送運賃が7億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のモビリティ&サービス事業が売上・利益ともに全体を牽引しています。ライフ&サポート事業は売上が横ばいで推移する一方で、利益面での大幅な成長を実現しました。住設機器事業も安定して黒字を確保しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
モビリティ&サービス事業 189億円 206億円 27億円 30億円 14.4%
ライフ&サポート事業 62億円 62億円 5億円 10億円 16.0%
住設機器事業 29億円 28億円 1億円 2億円 5.7%
その他の事業 3億円 2億円 1億円 1億円 60.8%
連結(合計) 283億円 298億円 20億円 27億円 9.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 5億円 20億円
投資CF -3億円 -4億円
財務CF -2億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.0%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も68.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


ビジョン「今までにない、いろどり豊かなシーンを広げる。」、ミッション「これが欲しかった!を、アイデアで次々に実現する。」、スローガン「その手があった!の一手先。」を掲げています。持てるネットワークと資源の全体最適を図りながら、新たな成長フェーズへと実績を積み上げることを目指しています。

(2) 企業文化


ステークホルダーから信頼される経営を維持し、企業価値の健全な向上を図り、事業を通じて社会に貢献することを使命としています。「エムケーフィロソフィー」の理念のもと、法令、社会規範、地域社会貢献、企業倫理などに高い意識を持った品格ある企業・企業人を目指す文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


グループとしての全体最適を図る中でのトップラインの売上高増収を伴った収益力向上を重点課題としており、財務とのバランスを注視しています。経常利益および自己資本の充実を重要な要素と捉え、以下の数値目標を掲げています。

* ROE8.0%以上を安定的に達成

(4) 成長戦略と重点施策


地政学的緊張や物価上昇など不確実性が高まる環境下において、外部環境の変化を的確に捉え、より強固な経営基盤の再構築を進めています。付加価値向上を加速させ、企業価値向上と持続的成長を推進するため、顧客価値の追求、SDGsや脱炭素社会の実現を含む「美・食・住」の3領域の拡大などの施策に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「エムケーフィロソフィー」の理念のもと、会社と社会の発展に貢献できる人材を長期的な視点で育成しています。「モノづくりとサービスのプロフェッショナル」を目指し、基礎力や業務推進力を高める研修・教育を実施しています。また、健康経営を推進し、多様な人材が互いの個性を尊重しあえる職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 45.6歳 17.5年 6,000,415円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 69.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 73.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 59.3%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、研修受講率(193%)、一人当たり教育投資額(23,885円)、年次有給休暇一人当たり平均取得日数(14.1日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢および景気動向について

売上のほとんどが民需を主体とした国内であり、国内景気の動向による影響を受けるリスクがあります。「美・食・住」を主要な事業領域と位置付け、関連する業界を多岐にするなどリスク分散を図り、経営の安定化に努めています。

(2) 原材料価格および為替レート等の変動

原油価格の高騰や円安による原材料・運送費などの経費増が収益を圧迫するリスクがあります。調達先の見直しや生産合理化などのコスト削減、および製品価格への一部転嫁などにより影響の低減に取り組んでいます。

(3) 金利動向

金融機関からの借入にて資金調達を行っており、市場金利が上昇した場合の業績への影響の可能性があります。資産の効率的運用と収益力の向上を一段と図り、借入金などの有利子負債の圧縮に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。