三共 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

三共 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SANKYOは東京証券取引所プライム市場に上場し、パチンコ機・パチスロ機の製造販売を主力事業とする遊技機メーカーです。直近の業績は、パチンコ機関連事業が好調だったもののパチスロ機の販売台数減少により、前年度比で減収減益となりました。引き続き高い営業利益率を維持し、トップシェア確保を目指しています。


※本記事は、株式会社SANKYOの有価証券報告書(第61期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SANKYOってどんな会社?


SANKYOは、パチンコ・パチスロ機等の遊技機および補給機器の製造販売を行うリーディングカンパニーです。

(1) 会社概要


1966年4月に中央製作所として設立され、同年11月に三共へ商号変更しました。1980年にはパチンコ機「フィーバー」を発売し大ヒットを記録しました。1991年8月に現在のSANKYOへ社名を変更し、1997年に東京証券取引所市場第一部へ上場しました。その後も遊技機メーカー等の買収を進めています。

同社グループの従業員数は連結で895名、単体で760名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、第2位は金融機関のJP MORGAN CHASE BANK 380055、第3位も資産管理業務を行う日本カストディ銀行(信託口)となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 15.32%
JP MORGAN CHASE BANK 380055(常任代理人 みずほ銀行決済営業部) 4.99%
日本カストディ銀行(信託口) 4.92%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長CEO兼COOは小倉敏男氏が務めています。社外取締役は取締役9名中3名(社外監査等委員)です。

氏名 役職 主な経歴
小倉 敏男 代表取締役社長CEO兼COO 1989年同社入社。知的財産本部長などを経て、2025年6月より現職。ゲームカードホールディングス社外取締役も兼務。
毒島 秀行 取締役会長 1977年同社入社。常務、専務、代表取締役社長などを歴任し、2008年代表取締役会長CEOに就任。2022年4月より現職。
髙橋 博史 代表取締役副社長執行役員(経営企画部管掌) 2000年同社入社。経理部長や管理本部長兼経営企画部長を歴任し、2025年6月より現職。
鶴岡 淳子 取締役(秘書室長) 1991年同社入社。社長秘書、総務部秘書課長、会長秘書などを歴任し、2024年6月より現職。
五十嵐 洋子 取締役監査等委員委員長(常勤) 1982年同社入社。管理本部経理部長などを経て、常務執行役員、専務執行役員、監査役を歴任。2024年6月より現職。
石山 俊明 取締役監査等委員 1994年同社監査役に就任。野田典義税理士事務所に入所し、2015年に税理士登録。2024年6月より現職。


社外取締役は、木谷太郎(光和総合法律事務所所属弁護士)、山﨑博行(公認会計士山﨑博行事務所所長)、三浦嚴嗣(クラウドポイント代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「パチンコ機関連事業」、「パチスロ機関連事業」、「補給機器関連事業」および「その他」事業を展開しています。

パチンコ機関連事業


パチンコ機やパチンコ機ゲージ盤、関連部品の製造・販売および関連ロイヤリティー収入を得る事業です。主に全国のパーラー(パチンコホール)を顧客とし、有名アニメやキャラクター等とタイアップした独創的な商品を多数提供して、市場シェアの拡大とファン獲得を目指しています。

主にパーラーへの遊技機販売による売上や、保有する特許権等の対価であるロイヤリティー収入を収益源としています。事業の運営は、同社を中心に、連結子会社の三共エクセル、ビスティ、ジェイビーなどが担い、それぞれ独自のブランド展開や部品供給を行っています。

パチスロ機関連事業


パチスロ機および関連部品の製造・販売、パチスロ機関連ロイヤリティー収入を得る事業を展開しています。パチンコ機と同様に全国のパーラーへ向けて、スマートパチスロ機をはじめとする多様なゲーム性や話題性を持つ新機種を企画・開発し、ヒットタイトルの継続的な創出に取り組んでいます。

パーラーへのパチスロ機の販売代金や、特許等に基づくロイヤリティーを主な収益源としています。運営主体は同社および連結子会社のビスティなどで、両社が連携してアライアンスの強化や安定したタイトルの投入を行い、市場におけるトップグループとしての地位確立を推進しています。

補給機器関連事業


パチンコ・パチスロ補給装置、カードシステム機器、ホール設備周辺機器の販売や内装施工、関連ロイヤリティー収入を得る事業です。遊技機と合わせてパーラーの運営に必要な設備全般をワンストップで提供できる体制を強みとし、顧客のニーズに柔軟に応えるサービスを展開しています。

パーラーへの補給機器販売や設備施工代金を主な収益源としています。同社および連結子会社の三共エクセルなどが運営を担い、遊技機の販売とシナジーを発揮しながら、ホール設備の導入からサポートまで一貫したサービスを提供しています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、不動産の賃貸や一般成形部品の販売などを行っています。グループの経営資源を有効活用し、安定的な収益の確保に努めています。

保有する不動産の賃貸収入や部品販売による代金を収益源としており、同社および三共エクセルなどが運営を担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一昨年度をピークにやや減少傾向にありますが、経常利益率は30%台後半という極めて高い水準を維持しています。主力である遊技機事業において高いシェアと収益性を確保していることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 849億円 1,573億円 1,991億円 1,918億円 1,792億円
経常利益 223億円 593億円 732億円 746億円 640億円
利益率(%) 26.2% 37.7% 36.8% 38.9% 35.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 185億円 469億円 538億円 540億円 468億円

(2) 損益計算書


前期と当期の売上高、売上総利益、営業利益を比較し傾向を分析します。売上高は前年度比で減少しましたが、売上総利益率は約58%と高く、営業利益率も30%を超えており、原価管理と高付加価値商品の提供が利益を下支えしています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,918億円 1,792億円
売上総利益 1,123億円 1,047億円
売上総利益率(%) 58.6% 58.4%
営業利益 736億円 625億円
営業利益率(%) 38.4% 34.9%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が216億円(構成比51%)と最も大きく、次いで販売手数料が66億円(同16%)、給与手当が33億円(同8%)を占めています。遊技機の開発に多額の投資を行っていることが分かります。

(3) セグメント収益


パチンコ機関連事業は主力タイトルの投入により増収増益となりましたが、パチスロ機関連事業は新機種投入数の減少などにより減収減益となりました。補給機器関連事業もパーラーの設備投資抑制の影響を受け減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
パチンコ機関連事業 1,077億円 1,198億円 438億円 494億円 41.2%
パチスロ機関連事業 635億円 434億円 357億円 189億円 43.6%
補給機器関連事業 202億円 155億円 15億円 11億円 7.1%
その他 5億円 4億円 2億円 2億円 44.9%
連結(合計) 1,918億円 1,792億円 736億円 625億円 34.9%


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 580億円 518億円
投資CF -36億円 -171億円
財務CF -198億円 -824億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は86.5%で、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「健全なレジャーの発展と心豊かな社会づくりに貢献するため、パチンコ・パチスロ業界のリーディングカンパニーとしての使命を果たすこと」を基本理念としています。高い収益性が見込める遊技機関連事業に経営資源を集中させ、遊技産業の活性化と持続的な企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は社是である「創意工夫」の精神を重視し、他社が追随できない独創的な商品を提供することでファンやパーラーからの信頼獲得を目指しています。また、従業員が自らの個性を多様性として活かし、仕事に誇りを持って働ける職場環境の整備を進めるなど、多様な人材の活躍を支援する文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、業界における確固たる地位の構築を通じた安定的かつ永続的な成長を目指し、売上高営業利益率の維持・向上を経営指標の目標として掲げています。また、2025年3月期を初年度とする中期経営計画において、投資家が求める資本コストを上回る水準の達成を掲げています。

* 自己資本当期純利益率(ROE):15%~20%水準

(4) 成長戦略と重点施策


パチンコ市場の回復とファン人口の拡大を重要課題と位置付け、商品力の強化や新価格方針「SANKYO エールプライス」によるパーラーの導入負担軽減に取り組んでいます。また、部品の共通化や開発の効率化によるコスト削減を進め、シェア向上と収益性の両立を図ります。さらに、新規ファン獲得に向けた「KUGITAMA」プロジェクトや、コンテンツIPの創出等による新規事業も推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、遊技機の多様化・高度化に対応するため、積極的な人財戦略を経営の最重要課題と捉えています。高度な専門性や論理的思考力を持つ優秀な人材の確保に向け、初任給の大幅引き上げを実施するとともに、若手従業員の早期育成を目的とした段階的な教育研修や早期役職登用を推進し、組織全体のパフォーマンス向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.4歳 18.8年 9,319,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.1%
男性育児休業取得率 37.5%
男女賃金差異(全労働者) 63.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 62.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 140.0%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(12.5%)、女性労働者の平均勤続年数(16.3年)、障がい者雇用率(2.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境の変化と顧客ニーズ


主な顧客であるパーラーの経営環境悪化や需要の縮小、市場構造の変化は業績に直結します。また、遊技機の開発には長期間を要するため、開発着手後の市場ニーズの変化に柔軟に対応できなかった場合や、他社の人気商品と販売時期が重なった場合、販売計画や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 厳格な法的規制と型式試験の適合


遊技機の開発・製造・販売には風営法などの厳格な法的規制があり、規制の重大な変更が業績に影響する可能性があります。また、新機種の販売には保安通信協会(保通協)等による型式試験への適合が必須であり、試験期間の長期化や不適合が発生した場合、新機種投入計画の遅れにつながるリスクがあります。

(3) 知的財産権を巡る係争


近年、著名人やアニメ、人気キャラクターとタイアップした遊技機が主流となっており、関連する肖像権や著作権などの取扱いが増加しています。事前の調査等を徹底しているものの、認識していない新たな権利が成立し、損害賠償請求などの係争に至った場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(4) 電子部品等の調達・価格変動


製品に使用する半導体などの電子部品や石油由来の原材料について、世界的な需給バランスの変動、サプライチェーンの混乱、地政学的要因により供給環境が悪化するリスクがあります。部品の価格高騰や調達難が生じた場合、製造コストの上昇や生産遅延を引き起こし、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。