三共 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

三共 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のSANKYOは、パチンコ・パチスロ機の製造販売を主力事業とする大手メーカーです。2025年3月期は、前期の大型タイトルの反動等により減収となりましたが、スマート遊技機の好調やコスト効率化等により各利益は過去最高水準を更新し、減収増益となりました。


※本記事は、株式会社SANKYO の有価証券報告書(第60期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SANKYOってどんな会社?


パチンコ・パチスロ機の開発・製造・販売を行う大手遊技機メーカー。「創意工夫」を掲げ、数々のヒット機種を輩出しています。

(1) 会社概要


1966年に設立され、1980年に画期的な超特電機「フィーバー」を発売し、業界での地位を確立しました。1991年に現社名へ変更し、1997年には東京証券取引所市場第一部へ指定されました。2008年に本社を東京都渋谷区へ移転し、2012年には株式会社ジェイビーを買収するなど、事業基盤の強化を進めています。

連結従業員数は886人、単体では751人が在籍しています。筆頭株主は信託銀行等の機関投資家が名を連ねており、創業家の毒島秀行氏(現取締役会長)も大株主に含まれます。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 16.17%
日本カストディ銀行(信託口) 6.58%
JP MORGAN CHASE BANK 380055 5.09%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長CEO兼COOは石原明彦氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
毒島 秀行 取締役会長 1977年同社入社。1996年代表取締役社長、2008年代表取締役会長CEOを経て、2022年4月より現職。
石原 明彦 代表取締役社長CEO兼COO 1986年同社入社。管理本部長、経営企画部長などを歴任し、2021年代表取締役社長COO就任。2024年6月より現職。
小倉 敏男 代表取締役専務執行役員(商品本部長) 1989年同社入社。知的財産本部長などを経て、2022年専務執行役員商品本部長。2025年6月より現職。
鶴岡 淳子 取締役(秘書室長) 1991年同社入社。社長秘書、総務部秘書課長などを経て、2024年4月秘書室長。2024年6月より現職。
五十嵐 洋子 取締役監査等委員委員長(常勤) 1982年同社入社。管理本部経理部長、常務執行役員管理本部長などを歴任。2024年6月より現職。
石山 俊明 取締役監査等委員 1994年同社監査役。2015年税理士登録。2024年6月より現職。


社外取締役は、木谷太郎(弁護士)、山﨑博行(公認会計士)、三浦嚴嗣(元リクルート、現クラウドポイント社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「パチンコ機関連事業」、「パチスロ機関連事業」および「補給機器関連事業」等を展開しています。

(1) パチンコ機関連事業


パチンコ機、パチンコ機ゲージ盤の製造販売、関連部品の販売を行っています。「SANKYO」「Bisty」等のブランドで、多種多様な遊技機を市場に投入しています。

収益は主にパチンコパーラーへの製品販売代金およびパチンコ機関連のロイヤリティー収入から得ています。運営は主にSANKYO、三共エクセル、ビスティ、ジェイビー等が行っています。

(2) パチスロ機関連事業


パチスロ機の製造販売および関連部品の販売を行っています。近年普及が進むスマートパチスロ機(スマスロ)を含め、ヒットタイトルの創出に取り組んでいます。

収益は主にパチンコパーラーへの製品販売代金およびパチスロ機関連のロイヤリティー収入から得ています。運営は主にSANKYO、三共エクセル、ビスティ等が担当しています。

(3) 補給機器関連事業


パチンコ・パチスロ補給装置、カードシステム機器、ホール設備周辺機器の販売や内装施工を行っています。遊技機の提供とあわせたワンストップサービスを提供しています。

収益は主にパチンコパーラーからの設備機器販売代金や工事代金、関連ロイヤリティー収入等から得ています。運営は主にSANKYO、三共エクセルが行っています。

(4) その他


不動産賃貸事業や一般成形部品の販売などを行っています。運営は主にSANKYO、三共エクセル等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2024年3月期まで売上高は大幅な拡大傾向にありましたが、2025年3月期は微減となりました。一方、経常利益などの利益面では高い利益率を維持しており、当期純利益は連続して増加傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 581億円 849億円 1,573億円 1,991億円 1,918億円
経常利益 75億円 223億円 593億円 732億円 746億円
利益率(%) 12.9% 26.2% 37.7% 36.8% 38.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 70億円 178億円 406億円 459億円 591億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しましたが、売上総利益率は改善し、営業利益率は38.4%と高い水準を維持しています。コストコントロールが進み、高収益体質が継続しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,991億円 1,918億円
売上総利益 1,107億円 1,123億円
売上総利益率(%) 55.6% 58.6%
営業利益 725億円 736億円
営業利益率(%) 36.4% 38.4%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が185億円(構成比48%)、販売手数料が50億円(同13%)を占めています。売上原価においては、原材料費等の製造コストが計上されています。

(3) セグメント収益


パチンコ機関連事業は販売台数の減少により減収となりましたが、パチスロ機関連事業は新規タイトルの好調な販売により大幅な増収となりました。補給機器関連事業は堅調に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
パチンコ機関連事業 1,470億円 1,077億円
パチスロ機関連事業 321億円 635億円
補給機器関連事業 195億円 202億円
その他 4.2億円 4.7億円
連結(合計) 1,991億円 1,918億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 476億円 580億円
投資CF 151億円 -36億円
財務CF -1,099億円 -198億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は84.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「健全なレジャーの発展と心豊かな社会づくりに貢献するため、パチンコ・パチスロ業界のリーディングカンパニーとしての使命を果たすこと」を基本理念としています。高い収益性が見込める遊技機関連事業に経営資源を集中し、産業の活性化と企業価値向上を目指しています。

(2) 企業文化


社是である「創意工夫」の精神のもと、他社が追随できない「独創的な商品」の提供を重視しています。また、全従業員一人一人の意欲の促進と能力開発を重要課題とし、個性を多様性として活かし、仕事に誇りを持って働ける職場環境の整備に努めています。

(3) 経営計画・目標


2025年3月期を初年度とする3カ年の中期経営計画において、売上・利益目標に加え、資本コストを相当程度上回る水準の自己資本当期純利益率(ROE)の達成を掲げています。

* 自己資本当期純利益率(ROE):15%~20%水準

(4) 成長戦略と重点施策


パチンコ機ではトップシェアの堅持、パチスロ機ではトップグループの一角としての存在感向上を目指しています。また、遊技機の二次利用や、漫画・アニメ等のコンテンツIPの創出・展開を軸とした新規事業にも取り組みます。

* 収益力強化:部品の共通化、リサイクル率向上、開発効率化
* パチンコ機:多種多様な商品展開、人気シリーズ機の創出
* パチスロ機:アライアンス強化、安定した投入タイトル数の実現

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的成長のため積極的な人材戦略を最重要と捉え、高度な専門性や論理的思考力等を有する優秀な人材の確保と、既存従業員のモチベーション向上を図っています。「3年で一人前」を目指す若手教育や早期役職登用、女性活躍推進、男性育児休業取得推奨などを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.7歳 19.0年 10,065,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.3%
男性育児休業取得率 7.1%
男女賃金差異(全労働者) 62.3%
男女賃金差異(正規雇用) 61.6%
男女賃金差異(非正規) 70.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(25.0%)、有給休暇取得率(53.0%)、女性労働者の平均勤続年数(16.5年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境の変化


主な顧客であるパーラーの経営環境悪化や市場構造の変化は販売成績に影響します。遊技機の開発には長期間を要するため、市場ニーズの変化への対応遅れや、他社人気商品との競合により、販売計画や経営成績が影響を受ける可能性があります。

(2) 法的規制について


遊技機の開発・製造・販売は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」等の規制を受けます。これらの法規制や基準に重大な変更が加えられた場合、同社グループの販売や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 新機種の開発について


遊技機の製造・販売には指定試験機関による型式試験への適合が必要です。技術構造の進化等への対応が必要な中、試験期間の長期化や不適合が発生した場合、新機種投入の遅れ等により経営成績が影響を受ける可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。