※本記事は、株式会社ソノコムの有価証券報告書(第64期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ソノコムってどんな会社?
電子業界向けスクリーン印刷用の各種マスク製造販売と資機材の仕入販売を手掛けるメーカーです。
■(1) 会社概要
1962年に漆塗料および印刷用資材の製造販売を目的として設立されました。1990年に現在のソノコムへ社名を変更しています。1994年の株式店頭登録を経て2004年にジャスダック上場を果たしました。近年では2020年に高精度メタルマスクの生産能力を強化し、2023年には本社新社屋を完成させています。
従業員数は単体で113名です。大株主については、筆頭株主が岨野公一氏、第2位が有限会社ケイエスシー、第3位が岨野弘子氏となっており、創業関係者や資産管理会社等の関連法人による株式の保有割合が高い構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 岨野 公一 | 17.03% |
| 有限会社ケイエスシー | 14.80% |
| 岨野 弘子 | 13.65% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は髙木清啓氏が務めており、社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙木 清啓 | 代表取締役社長 | 1980年同社入社。営業技術部長、玉川工場長、開発部長、業務部長などを経て、2017年6月より現職。 |
| 岨野 公一 | 代表取締役会長 | 1983年同社入社。業務管理本部長、技術開発本部長などを経て、1996年代表取締役社長に就任。2017年6月より現職。 |
| 宮寺 利宗 | 取締役業務部長 | 1996年同社入社。業務部長、執行役員業務部長を経て、2022年6月より現職。 |
| 阿部 謙太 | 取締役松戸工場長兼営業部長 | 2000年同社入社。執行役員営業部長を経て、2022年6月より現職。 |
社外取締役は、鈴木清(鈴木公認会計士事務所開設)です。
2. 事業内容
同社グループは、「スクリーン印刷用マスク製造販売」事業を展開しています。
■(1) スクリーンマスク等の製造販売
電子業界を主要顧客とし、電子部品の生産、プリント回路板の表面実装、液晶デバイスの生産などに使用されるスクリーン印刷用のスクリーンマスクやフォトマスクの製造販売を行っています。顧客の要求に応える高精度な製品を、受注生産方式により1版ごとに設計・製造して提供しています。
収益源は、顧客企業から受け取る製品販売代金です。同社が主体となって松戸工場および玉川工場にて製造し、営業・技術・製造部門が一体となって、高品質かつ短納期での製品の安定供給を実現する体制を敷いています。
■(2) スクリーン印刷用資材の仕入販売
自社製造のマスク製品に加えて、印刷機やスキージといったスクリーン印刷に関連する各種資機材の仕入販売事業を展開しています。印刷工程で必要となる周辺機材や消耗品をトータルで顧客に提供し、製造プロセスを支援する役割を担っています。
収益源は、仕入れた資機材を顧客企業へ販売して得られる商品販売代金です。同社が仕入れから販売までを一貫して担当し、自社マスク製品と合わせた総合的な提案営業を行うことで、顧客の多様なニーズに柔軟に対応しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、一時期売上高が伸び悩む局面があったものの、直近2期間は連続して増収を達成し成長軌道に乗っています。特に当期は情報通信関連向けの需要を捉えて過去最高水準の売上となり、利益面でも大幅な増益を記録するなど、高い収益性を維持しながら事業を拡大させています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 23億円 | 22億円 | 21億円 | 24億円 | 27億円 |
| 経常利益 | 3.6億円 | 3.4億円 | 3.8億円 | 3.3億円 | 4.6億円 |
| 利益率(%) | 15.5% | 15.0% | 17.8% | 13.5% | 16.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.9億円 | 1.7億円 | 2.4億円 | 2.1億円 | 3.0億円 |
■(2) 損益計算書
増収に伴い売上総利益が増加しており、利益率も改善傾向にあります。原価高騰などの影響を受けつつも高付加価値製品へのシフトや生産効率の向上が奏功し、本業の儲けを示す営業利益は前期比で大きく伸長しました。堅調なトップラインの伸びが利益の押し上げに直結する収益構造となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 24億円 | 27億円 |
| 売上総利益 | 7.5億円 | 8.7億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.0% | 32.2% |
| 営業利益 | 2.0億円 | 3.3億円 |
| 営業利益率(%) | 8.3% | 12.3% |
販売費及び一般管理費のうち、試験研究費が1.4億円(構成比25%)、給料及び手当が0.9億円(同17%)を占めています。売上原価の当期総製造費用においては、労務費が5.9億円(同39%)、経費が4.6億円(同30%)、材料費が4.6億円(同30%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントのため、全社売上の動向となります。当期は主要顧客である電子部品業界において、AIサーバーやデータセンター、スマートフォンなどの情報通信関連向けの部品需要が堅調に推移しました。これにより、主力のスクリーンマスク製品および印刷用資機材の商品売上がともに増加し、全社で増収を牽引しました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| スクリーン印刷用マスク製造販売事業 | 24億円 | 27億円 |
| 連結(合計) | 24億円 | 27億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業の営業活動で得た資金を活用して、設備投資や有価証券への投資を実施するとともに、株主への配当などの還元を自己資金で適切に賄っている健全な財務状態にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.8億円 | 5.2億円 |
| 投資CF | -3.3億円 | -2.6億円 |
| 財務CF | -0.4億円 | -0.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は92.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「ユーザーのニーズに高品質と短納期で応える技術のソノコム」をモットー(経営方針)として掲げています。高度化する電機・電子産業をはじめとした幅広い業界の需要に応え、製造技術の開発と顧客との強固な信頼関係を築くことを目指しています。株主、お客様、社員を企業経営を支える重要な基盤と位置づけ、今後も「信頼性」と「収益性」の向上を図る姿勢を示しています。
■(2) 企業文化
同社は、経営理念や環境方針、行動規範に基づき、お客様や取引先、株主、従業員、地域社会といった全てのステークホルダーとの対話を尊重する文化を大切にしています。持続可能な社会の構築に向けて積極的に役割を果たすとともに、多様な従業員が活き活きと仕事に取り組める働きがいのある職場づくりや、心身ともに安全・健康に働ける環境整備を推進しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、新会社の設立によるグループ一体の運営を見据え、中長期的な企業価値向上を目指しています。今後は事業領域の拡大による成長を加速させる方針であり、当面の経営目標として以下の数値を掲げています。
* 連結売上高 50億円
* 営業利益 6億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、顧客が要求する高精度な製品をより効率的に生産・販売できるよう、営業・技術・製造が一体となった体制強化を戦略としています。販売面では営業を工場に集約して顧客ニーズへ迅速に対応し、生産面では設備を有効活用して安定供給を図ります。また、他社と差別化できる新製品開発のため、新しい技術へ積極的に挑戦する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業理念や経営計画の実現には「人」の力が不可欠であると考え、持続的な成長と企業価値の向上を支える人材の維持・確保を重要な経営課題と位置づけています。人材育成、キャリア形成支援、公正な評価・報酬制度、柔軟な働き方の実現などの施策を推進し、社員一人ひとりのモチベーションとエンゲージメントの向上を図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.0歳 | 17.6年 | 5,453,219円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 62.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 72.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 81.8% |
※女性管理職比率および男性育児休業取得率は有価証券報告書内に該当数値の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 電子部品業界の需要変動による影響
同社の主力市場である国内経済や、主要顧客である電子部品業界の業況・生産動向により需要が減少した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特定の業界の設備投資や生産活動に依存する収益構造となっています。
■(2) 他工法の採用による代替リスク
電子部品業界は技術革新のスピードが速く、製品の高精度化が著しく進んでいます。そのため、顧客企業が同社製品(マスク等)を使用する現在のプロセスから、他の工法へ製造プロセスを変更してしまう代替リスクが存在します。
■(3) 受注生産品における品質リスク
同社が製造する各種マスク製品はすべて顧客仕様に基づく受注生産であり、1版ごとに製造しています。生産工程での品質チェックを徹底していますが、万が一不良品などの瑕疵が発生した場合は顧客の信頼を失い、業績にマイナスの影響を与える恐れがあります。



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