※本記事は、株式会社永大化工 の有価証券報告書(第70期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 永大化工ってどんな会社?
合成樹脂成形品の製造販売を行うメーカーです。自動車用フロアマットを主力とする自動車用品関連と、多様な産業資材関連の二軸で展開しています。
■(1) 会社概要
1949年に大阪市で「丸和ビニール工業所」として創業し、1956年に設立されました。1975年にカーマットの生産を開始し、事業を拡大しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2019年には監査等委員会設置会社へ移行しました。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。
2025年3月31日現在、連結従業員数は475名、単体では134名です。筆頭株主は個人の和田正行氏であり、第2位株主は永大化工共栄会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 和田 正行 | 18.85% |
| 永大化工共栄会 | 10.11% |
| 遠山 和子 | 3.28% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は浦義則氏です。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 浦 義則 | 代表取締役社長 | 1990年同社入社。管理本部長、常務取締役財務・経理部門統括兼IR担当、専務取締役などを経て、2019年6月代表取締役社長に就任。2025年1月より現職。 |
| 鈴木 広二 | 常務取締役 | 1992年同社入社。奈良事業本部営業部長、取締役自動車用品営業部門統括兼奈良事業本部長などを経て、2019年6月常務取締役に就任。2025年1月より現職。 |
| 佐藤 吉弘 | 取締役監査等委員 | 1977年株式会社大阪銀行入行。2005年同社出向、内部監査室長を経て、2013年監査役に就任。2019年6月より現職。 |
社外取締役は、籔本憲靖(元三笠コカ・コーラボトリング代表取締役専務)、北畠昭二(税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「自動車用品関連」および「産業資材関連」事業を展開しています。
**(1) 自動車用品関連**
自動車用フロアマットの製造販売を主軸事業としています。国内外の大手自動車メーカー向けにOEM純正フロアマットを供給しており、高い品質と信頼性を強みとしています。
収益は、自動車メーカー等への製品販売代金として受け取ります。運営は主に永大化工、永大化工ベトナム会社、永大化工トレーディングベトナム会社が行っています。
**(2) 産業資材関連**
エアコンダクト、家電用部材、住宅用内装材、オフィスチェアーなど、多岐にわたるプラスチック製品の製造販売を行っています。汎用樹脂からエンジニアリングプラスチックまで幅広く対応しています。
収益は、各産業分野の顧客への製品販売代金として受け取ります。運営は主に永大化工、永大化工ベトナム会社、株式会社K&Mが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は80億円から90億円前後で推移しています。利益面では、2023年3月期に赤字を計上しましたが、その後回復し、直近では利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 77億円 | 83億円 | 83億円 | 91億円 | 89億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 2億円 | -2億円 | 2億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | 3.4% | 2.2% | -2.3% | 2.6% | 3.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 2億円 | -2億円 | 0.7億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を見ると、売上高は減少しましたが、売上原価の低減により売上総利益は増加しています。営業利益率も改善しており、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 91億円 | 89億円 |
| 売上総利益 | 18億円 | 19億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.8% | 21.7% |
| 営業利益 | 1億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 1.6% | 3.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.4億円(構成比33%)、荷造及び発送費が1.5億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
自動車用品関連は、車両生産停止や得意先の在庫調整の影響で売上が減少しました。産業資材関連も、輸出向け産業機器の出荷減や公共事業向け部材の調整などで減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 自動車用品関連 | 60億円 | 59億円 |
| 産業資材関連 | 31億円 | 30億円 |
| 連結(合計) | 91億円 | 89億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
永大化工は、自動車用品関連事業の売上減少に対し、産業資材関連事業ではエアコン配管用化粧カバーが好調に推移したものの、全体としては売上高が前期比で減少しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や棚卸資産の減少などにより増加しました。投資活動では、固定資産の取得による支出がありましたが、保険積立金の解約収入などにより支出は減少しました。財務活動では、借入金の返済や調達、配当金の支払いなどが行われました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | 9億円 |
| 投資CF | -2億円 | -2億円 |
| 財務CF | -3億円 | -0.8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「英知と活力を集結して事業の発展を目指し、法令順守のもと我々が誇れる会社を目指す。」という経営方針を掲げています。また、「合成樹脂の可能性を切り拓き、新しい未来を創出しよう」をビジョンとし、企画開発設計から提案までトータルにサポートできる「ものづくり企業」を目指して社会の発展に貢献するとしています。
■(2) 企業文化
中期的な全社実行計画を策定し、販売・生産・技術開発・品質・購買・財務・労務・環境・安全の9部門に重点方針を定め、全従業員参加で課題解決・目標達成に邁進する文化があります。また、法令順守のもと、リスクマネジメントの強化とコンプライアンスの徹底を図り、環境、社会に配慮した企業活動を行うことを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは中期的な全社実行計画を策定し、課題解決と目標達成に取り組んでいます。具体的な数値目標の記載はありませんが、安定的な収益確保やシェア拡大、収益拡大を図ることを課題として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
産業資材部門では、個人消費の影響を受けにくい公共事業関連に注力し、安定的な収益確保を図ります。自動車用品部門では、製品開発力を強化して付加価値の高い製品を提供し、シェアおよび収益の拡大を目指します。また、事業継続計画の観点から生産拠点の分散を進めるとともに、海外生産拠点を起点とした販売拡大を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材を活用し、個人の能力開発支援に力を入れ、一人ひとりの能力を最大限に引き出すべく「人的資本への投資と多様性の推進」に取り組んでいます。新卒・経験者採用に加え、契約社員・派遣社員からの正社員登用も進めています。また、社員と上司による1on1ミーティングを通じて、自律的なキャリア開発を支援する環境を整備しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 43.8歳 | 16.1年 | 5,512,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 11.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 66.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 75.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 58.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全社員に占める女性の割合(27.6%)、採用した社員に占める女性の割合(33.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 自動車用品事業の市場変動リスク
自動車用フロアマットは自動車の販売動向が事業の販売実績に直結するため、国内外の自動車販売台数の減少などが経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同社は製品開発力を強化し、より高い付加価値を提供することでシェア拡大を図る方針です。
■(2) 産業資材事業の需要変動リスク
産業資材製品は住宅用建材や家電製品部材など広範囲に供給されていますが、これらは個人消費動向に左右されやすく、特に住宅や家電製品の需給関係が経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 原材料価格の変動リスク
主要製品である異型押出成形品の主原料は石油化学製品であるため、原油価格の大幅な変動が原材料仕入価格に影響を及ぼす傾向があります。仕入価格の上昇は、同社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
■(4) 特定取引先への依存リスク
株式会社ホンダアクセス等の特定取引先への販売比率が高くなっています。これらの取引先とは長期契約や資本関係がなく、取引の継続性が保証されていないため、取引先の方針変更等が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同社は他取引先への拡販によりリスク低減を図っています。



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