※本記事は、永大化工株式会社の有価証券報告書(第71期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 永大化工ってどんな会社?
自動車向けフロアマットと幅広い産業向けプラスチック部材を製造する、合成樹脂製品の専門メーカーです。
■(1) 会社概要
1949年に丸和ビニール工業所として創業し、1956年に永大化工を設立しました。1975年にカーマットの生産を開始し、事業を拡大させています。2004年にジャスダック市場へ上場し、2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しました。近年はベトナム等に製造や販売の拠点を設立し、グローバルでの体制構築を進めています。
同社グループの従業員数は連結で465名、単体で142名です。筆頭株主は個人の和田正行氏で、第2位は取引先などで構成されていると推測される永大化工共栄会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 和田正行 | 12.60% |
| 永大化工共栄会 | 11.26% |
| 遠山和子 | 3.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼社長執行役員は浦義則氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 浦義則 | 代表取締役社長兼社長執行役員 | 1990年永大化工入社。管理本部長や専務取締役を経て、2019年より代表取締役社長に就任。ベトナム現地法人の会長等も兼任し、2026年より現職。 |
| 鈴木広二 | 専務取締役兼専務執行役員 | 1992年永大化工入社。奈良事業本部の営業部長などを経て、自動車用品営業部門の統括等を歴任。2025年より自動車用品本部長を務め、2026年より現職。 |
| 佐藤吉弘 | 取締役監査等委員 | 1977年大阪銀行(現関西みらい銀行)入行。2005年永大化工に出向し、総務部次長や内部監査室長を歴任。2013年より監査役を務め、2019年より現職。 |
社外取締役は、籔本憲靖(元近畿コカ・コーラボトリング取締役営業部長)、北畠昭二(北畠税理士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「自動車用品関連」および「産業資材関連」の事業を展開しています。
■(1) 自動車用品関連
国内外の大手自動車メーカー向けに、OEMの純正品として自動車用フロアマットの製造および販売を行っています。安全性や機能性を重視した製品のほか、カーボンニュートラル社会に向けたサステナブル対応製品の開発にも取り組んでいます。
自動車メーカーなどへフロアマットを納入・販売することによって収益を獲得しています。事業の運営は、親会社である永大化工をはじめ、製造拠点である永大化工ベトナム会社、および販売拠点である永大化工トレーディングベトナム会社が担っています。
■(2) 産業資材関連
エアコンダクトや冷蔵庫用部材といった家電製品部材のほか、住宅用内装材、工業部品、鋼製家具関連部材など、広範囲な産業分野に向けて異型押出成形加工によるプラスチック製品を製造販売しています。
各産業のメーカーや顧客企業に対する製品の販売によって収益を得るモデルです。事業の運営は主に永大化工が行うほか、永大化工ベトナム会社やK&Mが連携して製造・販売を展開しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、売上高は80億円から90億円台で堅調に推移しています。利益面では一時的に赤字を計上した期もありましたが、近年は回復傾向にあり、直近の期ではコスト低減や販売価格の見直しが寄与し、大幅な増益を達成しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 83億円 | 83億円 | 91億円 | 89億円 | 92億円 |
| 経常利益 | 1.9億円 | -1.9億円 | 2.4億円 | 2.8億円 | 4.9億円 |
| 利益率(%) | 2.2% | -2.3% | 2.6% | 3.2% | 5.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.1億円 | -1.7億円 | 0.7億円 | 1.3億円 | 2.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が順調に伸びるなか、売上総利益率と営業利益率の双方が改善しています。円安や原材料高といった外部環境の逆風に対して、コスト低減や内製化の推進が奏功し、収益性の向上につながっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 89億円 | 92億円 |
| 売上総利益 | 19億円 | 22億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.7% | 23.8% |
| 営業利益 | 2.9億円 | 4.8億円 |
| 営業利益率(%) | 3.3% | 5.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.5億円(構成比32%)、荷造及び発送費が1.6億円(同9%)、貿易諸掛が1.5億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である自動車用品関連事業が売上・利益ともに全体を牽引しています。自動車減産の影響を受けつつも底堅く推移しました。産業資材関連事業も、エアコン配管用カバーや公共事業向け部材の好調により増収増益となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自動車用品関連 | 59億円 | 61億円 | 2.7億円 | 4.3億円 | 7.1% |
| 産業資材関連 | 30億円 | 31億円 | 0.2億円 | 0.5億円 | 1.4% |
| 連結(合計) | 89億円 | 92億円 | 2.9億円 | 4.8億円 | 5.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業で安定して現金を稼ぎ出し、その資金で設備投資と借入金の返済などの財務活動をまかなっている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.9億円 | 9.4億円 |
| 投資CF | -1.5億円 | -1.7億円 |
| 財務CF | -0.8億円 | -3.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は73.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「英知と活力を集結して事業の発展を目指し、法令順守のもと我々が誇れる会社を目指す」という経営方針を掲げています。また、ビジョンとして「合成樹脂の可能性を切り拓き、新しい未来を創出しよう」を策定し、社会の発展への貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
卓越した独自の技術を根底に、その技術を時代に対応させながら新しい分野へと応用していく研究開発活動を重視しています。合成樹脂メーカーとして企画開発設計から提案までトータルにサポートできる「ものづくり企業」としての姿勢が文化として根付いています。
■(3) 経営計画・目標
中期的な全社実行計画を策定し、販売・生産・技術開発・品質・購買・財務・労務・環境・安全の9部門において重点方針を定めています。全従業員参加で課題解決および目標達成に邁進する体制を敷いています。
■(4) 成長戦略と重点施策
産業資材部門では、個人消費の影響を受けにくい公共事業関連への注力を進め、安定的な収益確保を図ります。自動車用品部門では、OEM純正品としての製品開発力を強化し、シェアの拡大および収益拡大を目指します。また、事業継続計画(BCP)の観点から生産拠点の国内外への分散を進め、海外拠点を起点とした販売拡大を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最も重要な財産と捉え、「人的資本への投資と多様性の推進」に積極的に取り組んでいます。多様な人材を活用し、個人の能力開発を支援することで、従業員一人ひとりが健康で活き活きと働くことができる職場環境を整え、企業の持続的な成長につなげる方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.8歳 | 16.0年 | 5,898,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.9% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 69.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 78.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 57.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全社員に占める女性の割合(28.9%)、採用した社員に占める女性の割合(30.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定産業の市場動向に依存するリスク
自動車用品は自動車の販売動向に直結し、産業資材は住宅や家電製品などのエンドユーザーの消費動向に左右されやすいため、各産業の需要減少が業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料の仕入価格変動による収益影響
製品の主原料である石油化学製品は国際的な原油市場と連動しており、原油価格の大幅な変動によって原材料の仕入価格が上昇した場合、利益を圧迫するリスクがあります。
■(3) 為替相場の変動リスク
外貨建取引が含まれているため、為替レートの変動により円換算後の価値が影響を受けます。為替予約等でリスク軽減に努めていますが、完全に回避することは困難です。
■(4) 特定の大手取引先に対する販売依存リスク
ホンダアクセスやスズキなどの特定の大手自動車メーカー関連に対する販売比率が高くなっています。取引先の経営施策や方針の変更が生じた場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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