レック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レックは東京証券取引所プライム市場に上場し、日用品の企画・製造・販売を主力事業として展開しています。家庭用日用雑貨や清掃・衛生消耗品などの開発に注力し、消費者ニーズに応える製品を提供しています。直近の業績は、キャラクター関連製品の伸長などにより増収となり、利益面でも大幅な増益を達成して成長を続けています。


※本記事は、レック株式会社の有価証券報告書(第44期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レックってどんな会社?


日用品の企画・製造・販売を展開し、消費者の生活を豊かにする製品を提供する企業です。

(1) 会社概要


1983年3月に静岡県藤枝市で駿河工業として設立され、日用雑貨の生産を開始しました。1996年6月に株式を店頭登録し、2001年3月に東証第二部、2003年3月に東証第一部へ上場しました。同年9月に旧レックを子会社化し、2009年10月に吸収合併して現在のレックに商号変更しています。直近では2024年にドリンク剤事業を譲受するなど、事業領域を拡大しています。

従業員数は連結で956名、単体で703名です。筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位はエスエヌ興産、第3位は創業者の青木光男氏となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.44%
エスエヌ興産 9.76%
青木光男 7.15%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役会長最高経営責任者(CEO)兼社長最高執行責任者(COO)は青木光男氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
青木光男 代表取締役会長最高経営責任者(CEO)兼社長最高執行責任者(COO) 1972年ジェーアイシー入社。1983年同社設立、代表取締役社長に就任。2009年上海駿河日用品有限公司董事長。2024年より現職。
青木勇 取締役副社長執行役員営業本部統括 1981年バニヤンインポート入社。1983年同社設立、取締役に就任。2006年専務取締役営業本部長を経て、2019年より現職。
貝方士利浩 取締役専務執行役員兼管理本部長 2005年田淵電機代表取締役社長。2019年同社入社、専務執行役員新規事業責任者に就任。2021年より現職。
小澤一壽 取締役専務執行役員企画開発統括業務監査責任者 1987年駿河中央研究所入社。1991年同社入社、企画部長。2006年常務取締役企画本部長を経て、2025年より現職。
増田英生 取締役常務執行役員最高財務責任者(CFO)兼管理本部副本部長 1988年スター精密入社。1997年同社入社。2000年経理部長、2008年取締役最高財務責任者兼経理部長を経て、2021年より現職。


社外取締役は、久米裕康(元ライオン取締役兼上席執行役員)、永野紀吉(元東京証券取引所代表取締役会長兼社長)、坂口隆夫(元東京消防庁麻布消防署長)、瀬口宇晴(元ユーダッシュ代表取締役社長)、野末寿一(静岡のぞみ法律特許事務所弁護士)、逸見佳代(大江橋法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日用雑貨衣料品事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 家庭用日用雑貨品


同社は、消費者の生活を便利で豊かにするための家庭用日用雑貨品の企画、製造、販売を行っています。顧客のニーズに寄り添い、コストパフォーマンスに優れた製品を幅広く展開しており、主な販売先として大創産業やセリアなどの小売企業が挙げられます。

収益は、これらの小売業や代理店を通じた製品の販売代金から得ています。製品の企画開発から製造、販売までを同社および国内外のグループ会社が連携して行っており、自社工場や協力工場を活用した効率的な生産体制を構築しています。

(2) 清掃・衛生用消耗品


主力製品の1つとして、清掃・衛生用消耗品の企画、製造、販売を展開しています。徹底した品質管理のもと、日々の掃除や衛生管理に役立つ消耗品を開発しており、消費者からの高い支持を得ています。

収益モデルは家庭用日用雑貨品と同様に、製品の販売によって得られる代金が主な収入源となります。生産は同社やバルサンなどのグループ会社が担い、グループ全体の生産性や品質の向上、物流体制の効率化を図りながら事業を運営しています。

(3) その他(キャラクター関連・ドリンク剤等)


日用品事業を守りつつ、成長分野であるキャラクター関連市場に向けたコレクタブル製品や、バルサンブランド関連製品、コスメ製品などの新製品開発にも注力しています。また、直近ではドリンク剤事業を譲受するなど、取扱品目の多様化を進めています。

収益は、各種キャラクターとコラボレーションした推しグッズ等の販売代金や、新しく加わったドリンク剤などの販売によって構成されています。企画開発部門を最重要部門と位置づけ、同社が中心となって積極的な市場開拓を進めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は右肩上がりで順調に拡大を続けています。経常利益は一時的に落ち込みを見せた時期もありましたが、その後は着実に回復し、増益基調に転じています。利益率も改善傾向にあり、事業規模の拡大と収益性の向上が両立していることがわかります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 514億円 555億円 608億円 663億円 683億円
経常利益 33億円 11億円 17億円 31億円 44億円
利益率(%) 6.4% 2.0% 2.8% 4.6% 6.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 28億円 4億円 9億円 17億円 36億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に加え、売上総利益と営業利益も前期から大きく伸長しています。利益率も全体的に改善しており、製品の改廃によるセールスミックスの改善やコスト削減の取り組みが収益性の向上に寄与していることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 663億円 683億円
売上総利益 174億円 207億円
売上総利益率(%) 26.3% 30.3%
営業利益 28億円 41億円
営業利益率(%) 4.2% 6.0%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が41億円(構成比25.0%)、給与及び手当が36億円(同21.8%)を占めています。また、当期製造費用の内訳としては、材料費が394億円(構成比86.7%)、経費が33億円(同7.3%)となっています。

(3) セグメント収益


製品区分別の売上高を見ると、家庭用日用雑貨品が堅調に推移し、全体の成長を牽引しています。一方で清掃・衛生消耗品は前期と同水準を維持し、キャラクター関連製品などを含むその他区分も微増となりました。既存製品群の拡販と新製品の投入が売上増に寄与しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
家庭用日用雑貨品 262億円 281億円
清掃・衛生消耗品 265億円 264億円
その他 137億円 139億円
連結(合計) 663億円 683億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 42億円 90億円
投資CF -108億円 25億円
財務CF -3億円 -11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「全世界の消費者から最も賞賛される生活用品メーカーとなり、世界の文化の発展に貢献することである」という社是を掲げています。また、「お客様が感動する製品を一生懸命開発する」ことをグループ共通の経営理念とし、常にお客様本位の製品を開発し、提供し続けることを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、新たな価値を創造し続けるために「常に挑戦」を社風としています。従業員一人ひとりが挑戦し続けることで消費者の生活を豊かにし、感動を与える製品を一生懸命開発し続けることで成長発展していくという価値観を大切にしており、多様な人材が能力を最大限に発揮できる組織風土の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


持続的な業容の拡大および企業価値・株主価値の向上を目標とし、株主資本コストを上回るROE(自己資本利益率)、WACC(加重平均資本コスト)を上回るROIC(投下資本利益率)水準を確保し、さらなる利益率の向上を目指して経営に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


企画開発部門を最重要部門と位置づけ、生成AIなどを活用してアイデア創出から開発までの工程を最適化する方針です。また、祖業である日用品事業を守りつつ、キャラクター関連市場などの成長分野に開発資源を重点的に投下します。さらに、顧客ニーズに柔軟に対応できる営業体制の構築や、デジタル技術を活用した生産・物流体制の効率化とコスト削減を進め、持続的な成長を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を企業価値創造のための最も重要な経営資本と位置付け、事業戦略と連動した人材戦略を推進しています。各年次や職位ごとに求められる専門知識の習得を目的とした研修制度を設け、従業員の自律的なキャリア構築を支援しています。また、従業員のエンゲージメントレベルやウェルビーイングの向上を重要課題とし、働きやすい職場環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.6歳 11.1年 5,685,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 17.0%
男性育児休業取得率 25.0%
男女賃金差異(全労働者) 53.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 77.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 50.5%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合の目標(2030年3月までに25.0%)、男性労働者の育児休業取得率の目標(2030年3月までに50.0%)、労働者の男女の賃金の額の差異の目標(2030年3月までに70.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 中国等における生産体制への依存


コスト削減のため生産の多くを中国の協力工場および製造子会社で行っています。日用品業界の価格競争は厳しく、同国での生産を継続する方針ですが、政治や経済体制の変化によって部品や製品調達に支障が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替変動の影響


輸入取引の多くを米ドル建てで行っており、為替相場の変動リスクを軽減するために為替予約などでヘッジを行っています。しかし、予測不能な紛争等により為替相場が急変した場合には、調達コストの上昇を通じて同社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料・外注加工製品等の価格高騰


製品の製造に必要な原材料、部品、外注加工製品などを外部から購入しています。世界経済の動向や原料産出国の環境変化等により、これら原燃料の価格が高騰したり、入手が困難になったりした場合、利益率の悪化につながり業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 消費者の嗜好の変化


多種多様な日用品を取り扱い、企画開発に注力して新製品を市場に投入しています。しかし、消費者の節約志向の継続や嗜好・需要の絶え間ない変化に対し、適切なタイミングで市場動向に対応できなかった場合、売上の減少や在庫ロスの発生により業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。