※本記事は、レック株式会社 の有価証券報告書(第43期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. レックってどんな会社?
「激落ちくん」等の清掃用品や「バルサン」等の衛生用品を主力とする日用品メーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1983年に駿河工業として設立され、日用雑貨の生産を開始しました。2003年に旧レックを完全子会社化し、2009年に吸収合併して現在の商号に変更しました。2018年には「バルサン」ブランドの殺虫剤事業を譲受し、事業領域を拡大しています。2024年6月には「グロンサン」等のドリンク剤事業も譲り受けました。
2025年3月31日現在、連結従業員数は924名、単体では678名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は株式会社エスエヌ興産、第3位は創業者であり会長兼社長の青木光男氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 11.44% |
| 株式会社エスエヌ興産 | 9.81% |
| 青 木 光 男 | 7.14% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役会長兼社長は青木光男氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青 木 光 男 | 代表取締役会長最高経営責任者(CEO)兼社長最高執行責任者(COO) | 1983年同社設立代表取締役社長。2003年旧レック代表取締役社長。2013年代表取締役会長CEO。2024年6月より現職。 |
| 青 木 勇 | 取締役副社長執行役員営業本部統括 | 1983年同社設立取締役。2006年専務取締役営業本部長。2013年代表取締役専務執行役員。2019年3月より現職。 |
| 貝方士 利 浩 | 取締役専務執行役員兼管理本部長 | 2005年田淵電機代表取締役社長。2019年同社入社。2020年専務取締役専務執行役員兼管理本部長。2021年6月より現職。 |
| 小 澤 一 壽 | 取締役専務執行役員企画開発統括業務監査責任者 | 1991年同社入社。2006年常務取締役企画本部長。2020年常務取締役常務執行役員。2025年6月より現職。 |
| 増 田 英 生 | 取締役常務執行役員最高財務責任者(CFO)兼管理本部副本部長 | 1997年同社入社。2008年取締役最高財務責任者兼経理部長。2013年取締役執行役員CFO。2021年6月より現職。 |
| 北 村 秀 一 | 取締役(常勤監査等委員) | 1976年旧レック入社。2005年同社常勤監査役。2012年同社執行役員製造本部新素材開発室長。2021年6月より現職。 |
社外取締役は、久米裕康(元ライオン取締役)、永野紀吉(元ジャスダック証券取引所社長)、坂口隆夫(公益財団法人市民防災研究所理事)、瀬口宇晴(ユーダッシュ代表取締役社長)、野末寿一(弁護士)、逸見佳代(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日用雑貨衣料品事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 日用雑貨・消耗品事業
「激落ちくん」シリーズなどの清掃用品、フックや収納用品などの家庭用品、ベビー用ウェットティッシュ等の衛生用品など、多岐にわたる日用雑貨を企画・製造しています。主な顧客は100円ショップや量販店、ドラッグストアなどの小売業者であり、一般消費者向けの製品を提供しています。
収益は、これらの製品の販売による対価として小売業者等から得ています。運営は主にレックが行っていますが、海外では上海駿河日用品有限公司などの子会社が製造を担い、国内ではバルサンなどが製造に関与しています。販売先としては大創産業やセリアなどの大手小売業者が大きな割合を占めています。
■(2) その他(食品・医薬品等)
2024年6月に譲り受けた「グロンサン」「グロモント」などのドリンク剤事業や、「バルサン」ブランドの殺虫剤事業、食品玩具(食玩)などを展開しています。これらは従来の日用雑貨とは異なるカテゴリーですが、同社の広範な販売網を活用して提供されています。
収益は製品販売によるもので、運営主体は事業により異なります。「バルサン」やドリンク剤事業はレックおよび子会社のバルサンが担い、食玩などは株式会社エフトイズ・コンフェクトなどが展開しています。多角的な製品展開により、収益基盤の多様化を図っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。特に当期は売上高が663億円に達し、過去最高を更新しました。利益面では、原材料価格高騰などの影響を受けつつも、当期は経常利益30億円、当期純利益17億円と、前期から大幅な増益を達成しており、回復基調にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 497億円 | 514億円 | 555億円 | 608億円 | 663億円 |
| 経常利益 | 54億円 | 33億円 | 11億円 | 17億円 | 30億円 |
| 利益率(%) | 10.9% | 6.4% | 2.0% | 2.8% | 4.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 39億円 | 28億円 | 4億円 | 9億円 | 17億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は26.3%と前期から微減しましたが、売上規模の拡大により営業利益は大きく伸長しました。販売費及び一般管理費は増加していますが、増収効果がそれを上回っています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 608億円 | 663億円 |
| 売上総利益 | 162億円 | 175億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.6% | 26.3% |
| 営業利益 | 16億円 | 27億円 |
| 営業利益率(%) | 2.7% | 4.1% |
販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が37億円(構成比25%)、給与及び手当が35億円(同24%)を占めています。物流コストや人件費が主要なコスト要因となっています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、品目別の販売実績を見ると、全カテゴリーで増収となっています。特に「その他」区分はドリンク剤事業の開始などにより大幅に伸びています。主力である清掃・衛生用消耗品も堅調に推移し、全体の成長を牽引しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 家庭用日用雑貨品 | 262億円 | 262億円 |
| 清掃・衛生用消耗品 | 265億円 | 265億円 |
| その他 | 111億円 | 137億円 |
| 連結(合計) | 608億円 | 663億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)をもとに、借入金の返済や自己株式の取得を行いつつ(財務CFマイナス)、事業譲受や定期預金への預け入れなど積極的な投資活動(投資CFマイナス)を行っている「健全型」の状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 59億円 | 42億円 |
| 投資CF | -23億円 | -108億円 |
| 財務CF | 23億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.9%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も38.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「全世界の消費者から最も賞賛される生活用品メーカーとなり、世界の文化の発展に貢献することである」という社是を掲げています。また、「お客様が感動する製品を一生懸命開発する」を共通の経営理念とし、常にお客様本位の製品を開発・提供することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社グループは、「常に挑戦」を社風としています。挑戦し続けることで顧客の生活を豊かにし、感動する製品を開発し続けることで成長発展を目指す姿勢を重視しています。変化する社会環境や多様化するニーズに対応するため、新たな価値創造に挑む風土が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的な業容の拡大及び企業価値・株主価値の向上を目標としています。具体的な数値目標としては、株主資本コストを上回るROE(自己資本利益率)、WACC(加重平均資本コスト)を上回るROIC(投下資本利益率)水準の確保、および更なる利益率の向上を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は持続的成長のため、新製品開発の強化を最重要課題としています。特にキャラクター製品市場での版権取得や製品化に注力するほか、M&Aによる成長も視野に入れています。また、商品カテゴリーにとらわれない柔軟な営業体制の構築や、生産性向上とコスト削減を両立する生産・物流体制の効率化を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「企業価値の源泉は人材」と認識し、人材育成に注力しています。各年次・職位に応じた研修制度を設け、従業員の自律的なキャリア構築を支援しています。また、多様な人材が能力を発揮できるよう、ワークライフ・バランスの推進や柔軟な働き方の環境整備、公正な評価・処遇制度の充実に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.8歳 | 11.2年 | 5,248,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 17.0% |
| 男性育児休業取得率 | 30.8% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 54.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 68.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 中国における生産体制
同社はコスト削減のため、生産の多くを中国の協力工場および製造子会社で行っています。そのため、中国の政治・経済体制の変化や法規制の変更などが生じた場合、部品・製品の調達に支障をきたし、同社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替変動の影響
同社グループの輸入取引は主として米ドル建てで行われているため、為替相場の変動リスクがあります。為替予約等によりリスクヘッジを行っていますが、予測不能な急激な為替変動が生じた場合には、調達コストの上昇等を通じて財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 災害・疫病の影響
同社グループの事業拠点において、大規模な地震や台風などの自然災害、火災、または疫病の流行などが発生した場合、生産・物流活動の停止や従業員の安全確保の問題等により、事業運営に支障が生じ、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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