※本記事は、株式会社マーベラス の有価証券報告書(第28期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. マーベラスってどんな会社?
家庭用ゲームやスマホアプリ、アミューズメント機器、アニメ・舞台制作など多角的なエンタメ事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1997年に設立され、音楽・映像・ゲーム事業を開始しました。2011年にAQインタラクティブ、ライブウェアと合併し「マーベラスAQL」となり、2012年に東証一部(現プライム)へ上場しました。2014年に現社名へ変更し、2021年にはイベント制作のグルーブシンクを子会社化するなど体制を強化しています。
連結従業員数は680名、単体では606名です。筆頭株主は中国の大手IT企業テンセントグループの投資会社で、第2位は創業者のご親族、第3位は創業者の資産管理会社です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| Image Frame Investment(HK)Limited | 20.00% |
| 中山 隼雄 | 14.81% |
| アミューズメントキャピタルインベストメント | 9.38% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名、計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は照井 慎一氏で、社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 照井 慎一 | 代表取締役社長 | セガ、アトラス等を経て2014年同社入社。アミューズメント事業部長、執行役員、取締役CBO等を歴任し、2025年4月より現職。 |
| 野口 千博 | 取締役管理部門管掌 | 新潟中央銀行、未来証券を経て2010年同社入社。経営戦略室長、管理統括本部経営企画部長、執行役員コーポレートコミュニケーション本部長等を歴任し、2025年4月より現職。 |
社外取締役は、中村 俊一(アミューズキャピタル代表取締役副会長)、有馬 誠(MAKコーポレーション代表取締役社長)、Shin Joon Oh(Tencent Japan合同会社支社長)、古西 桜子(TMI総合法律事務所カウンセル)、岡村 秀樹(セガ顧問)、髙橋 竜(ムービック代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「デジタルコンテンツ事業」「アミューズメント事業」「音楽映像事業」の3つの報告セグメントを展開しています。
■(1) デジタルコンテンツ事業
家庭用ゲーム機、スマートフォン、PC等に向けたゲームソフトの企画・開発・販売・運営を行っています。また、他社IP等のゲーム開発受託も展開しています。
主な収益は、ユーザーからのゲームソフト購入代金やアプリ内課金収入、他社からの開発受託費です。運営は主に同社が行い、子会社のジー・モードなども担当しています。
■(2) アミューズメント事業
アミューズメント施設向けに、業務用ゲーム機器やプライズ等の企画・開発・販売を行っています。『ポケモン』等の強力なIPを活用したマシンや、オリジナル筐体の開発に注力しています。
主な収益は、アミューズメント施設運営会社への機器販売代金や、インカム(売上)に応じた配分金です。運営は同社および海外子会社のMarvelous APAC Pte. Ltd.などが行っています。
■(3) 音楽映像事業
アニメ等の音楽・映像コンテンツ制作、および人気作品を原作とした「2.5次元ミュージカル」等の舞台公演の制作・興行を行っています。
主な収益は、パッケージ商品の販売代金、興行チケット収入、配信収入、グッズ販売収入などです。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の推移を見ると、売上高は250億円から290億円のレンジで推移していますが、直近は前期比で減少しました。利益面では、2022年3月期をピークに減少傾向にあり、2024年3月期には最終赤字を計上しましたが、当期は黒字回復しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 255億円 | 257億円 | 253億円 | 295億円 | 280億円 |
| 経常利益 | 46億円 | 51億円 | 29億円 | 30億円 | 18億円 |
| 利益率(%) | 17.9% | 19.6% | 11.6% | 10.2% | 6.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 19億円 | 25億円 | 18億円 | 11億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較します。当期は減収となり、原価率は低下して売上総利益率は改善しましたが、販管費の増加により営業利益率は低下しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 295億円 | 280億円 |
| 売上総利益 | 120億円 | 129億円 |
| 売上総利益率(%) | 40.8% | 46.2% |
| 営業利益 | 24億円 | 18億円 |
| 営業利益率(%) | 8.2% | 6.5% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が20億円(構成比18%)、従業員給料及び賞与が20億円(同18%)、広告宣伝費が17億円(同15%)を占めています。
■(3) セグメント収益
当期はアミューズメント事業が海外展開や新機種投入で増収となりましたが、デジタルコンテンツ事業は新作の不振や発売数減少で減収、音楽映像事業も舞台関連収入の減少等で減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| デジタルコンテンツ事業 | 154億円 | 129億円 |
| アミューズメント事業 | 90億円 | 104億円 |
| 音楽映像事業 | 50億円 | 46億円 |
| 連結(合計) | 295億円 | 280億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、運転資金や開発投資、戦略的投資に備えられる現預金水準を確保し、月次で損益とキャッシュ・フローを確認して経営を行っています。
営業活動では、利益はあったものの、棚卸資産や売上債権の増加により、前年と比べて資金の収入が減少しました。投資活動では、有形・無形固定資産の取得による支出が主な要因となり、資金の支出が増加しました。財務活動では、配当金の支払いが主な要因となり、資金の支出がありました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 29億円 | -1億円 |
| 投資CF | -13億円 | -25億円 |
| 財務CF | -22億円 | -20億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「『驚き』と『感動』を世界に届ける新しいエンターテイメントの創造」を経営理念に掲げています。あらゆる娯楽要素を融合させ、世界中の人々に驚きと感動を届ける企業として、誰もが夢見る楽しい未来の創造に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
事業活動の基本的概念をまとめた「マーベラスバイブル」に則り、価値創造に挑戦し続ける文化があります。人材育成方針として「Enjoy Being Professional」を掲げ、自らの成長を楽しみ、「楽しい」を価値に変え、楽しんで仕事ができる人材を求めています。
■(3) 経営計画・目標
収益性の高い効率経営の観点から、ROE(自己資本利益率)を重点経営指標としています。また、キャッシュ・フロー経営についても重視していく方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
「マルチコンテンツ・マルチユース・マルチデバイス」戦略を基軸に、強力なIP確立に向けたブランディング、アライアンス、グローバル戦略を推進しています。特に自社IPの創出・育成、技術開発力の向上、グローバル展開の推進、コーポレートブランドの強化を重要課題としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材を活用し強みに変えるダイバーシティを推進しています。世界中の人々を楽しませるため、自分自身の成長を楽しめる人材を育成する方針です。ワークライフバランス推進やモチベーション向上のための制度を整備し、より良い労働環境の構築に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.3歳 | 8.4年 | 6,218,301円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.1% |
| 男性育児休業取得率 | 112.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 78.3% |
| 男女賃金差異(正規) | 80.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 68.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人管理職比率(12.7%)、中途採用者管理職比率(92.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ヒット作への依存と変動性
ゲーム市場は嗜好の変化が早く、開発したコンテンツがユーザーに受け入れられない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、一部の人気シリーズ作品に売上が集中する傾向があり、それらの不具合や市場環境の変化が業績変動要因となります。
■(2) システムトラブルとセキュリティ
インターネットを介したサービスを提供しているため、システム障害や通信環境の不具合、サイバー攻撃等がリスクとなります。予期せぬトラブルが発生した場合、サービスの安定提供が困難になり、業績や信用に影響を与える可能性があります。
■(3) 舞台公演に関するリスク
舞台・ミュージカル公演において、出演者の健康問題や事故、不祥事等により公演中止やキャスト変更が生じるリスクがあります。また、作品や出演者の人気、観客の嗜好変化により、十分な動員が得られない場合、業績に影響する可能性があります。



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