マーベラス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マーベラス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するマーベラスは、デジタルコンテンツ、アミューズメント、音楽映像を主たる事業として展開しています。最新の業績では、コンシューマゲーム新作やアミューズメント機器の好調により、売上高は前期比で大きく伸長し、各利益項目も大幅な増益を達成、順調な成長を見せています。


※本記事は、株式会社マーベラスの有価証券報告書(第29期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. マーベラスってどんな会社?


デジタルコンテンツ、アミューズメント、音楽映像の3事業を柱に、新しいエンターテイメントを創造・提供しています。

(1) 会社概要


1997年に設立され、同年ゲーム音楽のCD商品の発売を開始しました。1999年には家庭用ゲームソフト市場に参入し、2002年にジャスダック市場へ上場を果たしています。2011年にAQインタラクティブ等と合併しマーベラスAQLへ社名変更した後、2014年に現在のマーベラスへと社名を変更しました。

現在の従業員数は連結655名、単体589名です。筆頭株主は資本業務提携先であるテンセントグループのImage Frame Investment(HK) Limitedで、第2位は中山隼雄氏、第3位はアミューズキャピタルインベストメントとなっています。

氏名 持株比率
Image Frame Investment(HK) Limited 20.00%
中山隼雄 14.81%
アミューズキャピタルインベストメント 9.38%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長は照井慎一氏が務めており、社外取締役比率は約46%(13名中6名)です。

氏名 役職 主な経歴
照井慎一 代表取締役社長 セガ・エンタープライゼス等を経て、2014年に同社入社。アミューズメント事業部長等を経て、2025年4月より現職。
野口千博 取締役管理部門管掌 新潟中央銀行等を経て、2010年に同社入社。経営企画部長やコーポレート本部長等を経て、2025年4月より現職。
土手真悟 取締役アミューズメント事業管掌 セガ・エンタープライゼス等を経て、2008年に同社入社。アミューズメント事業部長等を経て、2026年6月より現職。


社外取締役は、中村俊一(アミューズキャピタル代表取締役副会長)、有馬誠(MAKコーポレーション代表取締役社長)、Shin Joon Oh(Tencent Japan合同会社支社長)、古西桜子(TMI総合法律事務所カウンセル)、岡村秀樹(セガ顧問)、髙橋竜(ムービック代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタルコンテンツ事業」、「アミューズメント事業」、「音楽映像事業」を展開しています。

デジタルコンテンツ事業

家庭用ゲーム機、スマートフォン、PC、モバイル等に向けたゲームコンテンツの企画・開発・販売・サービス運営を行っています。加えて、蓄積された高度な開発技術を背景に、業界他社がリリースするゲームコンテンツの開発受託も行っています。

コンシューマゲームの製品販売やダウンロード販売、オンラインゲームのゲーム内アイテム課金などから収益を得ています。運営は同社のほか、Marvelous USA, Inc.などの関係会社が行っています。

アミューズメント事業

アミューズメント施設運営会社向けに、業務用機器や商品の企画・開発・販売・運営を行っています。強力なIPとのアライアンスを推進するほか、オリジナルゲーム機の企画・開発にも注力しています。

アミューズメント施設向けのゲーム機器や関連商品を引き渡した時点などで対価を受け取るモデルです。運営は同社およびMarvelous APAC Pte. Ltd.などの関係会社が行っています。

音楽映像事業

アニメーションを中心とした音楽・映像コンテンツの制作・プロデュースを行っています。音楽・映像商品化から、配信やキャラクター商品化といった二次利用への展開、舞台興行作品の制作など多面的に展開しています。

映像パッケージソフトの販売、舞台公演におけるチケット販売会社からの関連収入などから収益を獲得しています。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間において、売上高は一時的な増減を伴いながらも全体として拡大傾向にあります。特に直近の業績では、コンシューマゲーム新作やアミューズメント機器の海外展開などが好調に推移し、売上高と各利益項目がともに大幅な成長を遂げています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 257億円 253億円 295億円 280億円 380億円
経常利益 51億円 29億円 30億円 18億円 29億円
利益率(%) 19.6% 11.6% 10.2% 6.4% 7.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 38億円 19億円 -5億円 8億円 20億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。一方で、売上原価の増加等により利益率はやや低下する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 280億円 380億円
売上総利益 129億円 135億円
売上総利益率(%) 46.2% 35.5%
営業利益 18億円 22億円
営業利益率(%) 6.4% 5.8%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が25億円(構成比22%)、従業員給料及び賞与が20億円(同18%)を占めています。売上原価は245億円で、売上高に対する構成比は64%となっています。

(3) セグメント収益


デジタルコンテンツ事業は新作タイトルの発売により売上が大きく伸長したものの、一部タイトルの不振により損失を計上しました。一方、アミューズメント事業と音楽映像事業は好調に推移し、全体の増益を牽引しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
デジタルコンテンツ事業 129億円 205億円 9億円 -1億円 -0.3%
アミューズメント事業 104億円 127億円 27億円 32億円 24.9%
音楽映像事業 46億円 48億円 -0億円 9億円 19.0%
連結(合計) 280億円 380億円 18億円 22億円 5.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フローの状況となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -1億円 113億円
投資CF -25億円 -16億円
財務CF -20億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は78.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「『驚き』と『感動』を世界に届ける新しいエンターテイメントの創造」を経営理念として掲げています。あらゆる娯楽の要素を融合させた新しいエンターテイメントの創造により、世界の人々に驚きと感動を届ける企業として、誰もが夢見る楽しい未来の創造に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化

同社は、事業活動の基本的概念をまとめた「マーベラスバイブル」に則り、世界中の人々の幸せにつながる新しい価値の創造に挑戦し続けています。従業員一人ひとりが自らの強みを活かして最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、「Enjoy Being Professional(プロフェッショナルであることを楽しむ)」を基本方針として重視しています。

(3) 経営計画・目標

同社グループは、収益性の高い効率経営の観点から、ROE(自己資本利益率)を重点経営指標と位置付けています。また、キャッシュ・フロー経営についても重視しており、月次で損益とともにキャッシュ・フローを確認しながら、当面の運転資金および開発投資資金に加え、戦略的投資機会にも備えられる体制を確保しています。

(4) 成長戦略と重点施策

同社は、多彩なエンターテイメントコンテンツをあらゆる事業領域で様々なデバイス向けに展開する「マルチコンテンツ・マルチユース・マルチデバイス」戦略を基軸としています。
・自社コンテンツ(IP)の新規創出と育成
・ワンソース・マルチプラットフォーム対応などによる技術開発力の向上
・海外子会社等を通じたグローバル展開の推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社グループは、「Enjoy Being Professional(プロフェッショナルであることを楽しむ)」を人材戦略の基本方針に掲げています。性別、年齢、国籍など属性が異なる多様な人材を活用し、企業の強みに変えていくダイバーシティを推進するとともに、新卒からキャリアまで充実した教育・研修体制を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.6歳 9.1年 6,252,418円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 78.7%
男女賃金差異(正規雇用) 81.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 62.6%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育休からの復職率(91.7%)、女性従業員比率(31.5%)、外国人管理職比率(11.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 家庭用ゲームソフト及びオンラインゲームにおけるリスク

プラットフォームごとの審査・承認が得られない場合や、家庭用ゲーム機器の普及・販売動向、機器の不具合などが生じた場合、今後の開発・販売計画や業績に影響を与える可能性があります。

(2) シリーズ作品への依存

同社は多数のゲームコンテンツを投入していますが、一部の人気シリーズに売上が集中する傾向があります。人気タイトルに不具合が生じたり、市場環境の変化によるユーザー離れが起きたりした場合、業績に重要な影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 舞台公演等に関するリスク

舞台やミュージカル等の公演においては、出演者の健康上の理由や不慮の事故、不祥事等により、出演者の変更や公演が中止になるリスクが存在します。また、観客動員が十分に果たせない場合、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 人材・外注業者の確保に関するリスク

ゲームおよび映像コンテンツの企画・開発には専門技術を持つ多数の人材や外注業者を活用しています。これらの優秀な人材が流出した場合や外注業者を確保できなかった場合、計画していた事業活動を遂行できず業績に影響を与えるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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