クラスターテクノロジー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クラスターテクノロジー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所グロース市場に上場し、高精度・高機能な樹脂製品の製造販売を行う企業です。ナノ/マイクロ技術とマクロ技術を核に、精密成形品や樹脂碍子等を展開しています。直近の業績は、売上高10.2億円(前期比11.3%増)、営業利益1.1億円(同57.9%増)と増収増益で推移しています。


#記事タイトル:クラスターテクノロジー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、クラスターテクノロジー株式会社 の有価証券報告書(第34期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. クラスターテクノロジーってどんな会社?


同社は、独自の樹脂複合材料技術を核に、ナノ単位の微細加工からマクロな樹脂碍子まで手掛ける樹脂製品メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1991年に設立され、1997年に複合材料から精密機器デバイス製造の一貫メーカーとして体制を確立しました。2003年にはナノ・テクノロジー事業を開始し、パルスインジェクター装置等の販売に着手しています。2006年に大阪証券取引所ヘラクレス(現グロース)市場へ上場を果たし、2013年には東京証券取引所JASDAQ(グロース)へ上場しました。その後、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東京証券取引所グロース市場に上場しています。

同社(単体)の従業員数は69名です。筆頭株主は個人の大熊崇氏で、第2位は個人の河野信夫氏、第3位は代表取締役社長の安達良紀氏であり、上位株主は主に個人で構成されています。

氏名 持株比率
大熊 崇 4.83%
河野 信夫 4.74%
安達 良紀 4.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名、計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は安達良紀氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
安達 良紀 代表取締役社長開発本部長 1994年4月東神電気入社。1997年4月同社入社。2007年4月開発本部長などを経て、2017年10月より現職。
藤田 雅之 取締役営業・マーケティング本部長 1979年4月日本専売公社入社。1992年1月同社入社。関東工場長、製造本部長などを経て、2018年4月より現職。
駒井 幸三 取締役管理本部長 1981年4月立花証券入社。タカトリ代表取締役社長兼営業本部長などを経て、2017年6月より現職。
後藤 史郎 取締役(監査等委員) 1978年3月安達新産業入社。2000年10月同社入社。管理本部管理部次長、内部監査室室長を経て、2020年6月より現職。


社外取締役は、松本茂(松本茂法律税務事務所代表)、原哲朗(元東京証券代行上席理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業」、「マクロ・テクノロジー関連事業」および「その他」事業を展開しています。

ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業


独自の樹脂複合材料技術をベースに、機能性樹脂複合材料や機能性精密成形品の開発・製造を行っています。製品はデジタルカメラの機構部品、インクジェットプリンター部品、バーコードリーダー部品などに採用されています。また、超微量液体吐出装置「パルスインジェクター」システムの研究開発用および評価・分析用の製品販売も展開しています。

主な収益源は、顧客への機能性精密成形品、樹脂複合材料、パルスインジェクター装置の販売代金です。デジタルカメラや産業機器メーカーなどが主要顧客となります。運営は主にクラスターテクノロジーが行っています。

マクロ・テクノロジー関連事業


エポキシ樹脂をベースとした複合材料を用い、樹脂成形碍子(がいし)や機能性樹脂複合材料を提供しています。樹脂成形碍子は、ビルや工場などの受配電設備の中に設置される屋内用途で使用されており、重電機メーカーにおいて長年の使用実績があります。

収益は、重電機メーカー等への樹脂成形碍子や成形材料の販売から得ています。インフラ整備や設備更新需要に対応する製品です。運営はクラスターテクノロジーが行っています。

その他事業


同社の基幹技術や微細加工技術を応用した事業を展開しています。具体的には、医薬品容器の異物検査や、精密部品の組立などを行っています。

収益は、医薬品容器の検査業務や精密部品組立の対価として受領しています。運営はクラスターテクノロジーが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は9億円から10億円前後で推移しており、当期は10.2億円となりました。経常利益は変動があるものの黒字を維持しており、当期は1.1億円となっています。利益率は当期において10.8%と改善傾向にあります。当期純利益も0.6億円から1.0億円へ増加しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 7.4億円 9.1億円 9.3億円 9.2億円 10.2億円
経常利益 0.4億円 1.0億円 0.7億円 0.7億円 1.1億円
利益率(%) 5.1% 11.3% 8.1% 7.7% 10.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.3億円 1.1億円 0.6億円 0.6億円 1.0億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の9.2億円から当期は10.2億円へ増加しました。これに伴い売上総利益も3.9億円から4.3億円へ増加し、売上総利益率は42.4%と高い水準を維持しています。営業利益も0.7億円から1.1億円へ伸長し、営業利益率は10.6%となりました。増収効果により利益率が改善しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 9.2億円 10.2億円
売上総利益 3.9億円 4.3億円
売上総利益率(%) 42.6% 42.4%
営業利益 0.7億円 1.1億円
営業利益率(%) 7.5% 10.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が0.7億円(構成比21%)、その他が0.6億円(同20%)、研究開発費が0.5億円(同16%)を占めています。売上原価においては、労務費が2.1億円(構成比36%)、材料費が2.1億円(同35%)を占めています。

(3) セグメント収益


ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業は、映像機器分野や産業機器分野が好調で増収増益となりました。一方、マクロ・テクノロジー関連事業は売上高、利益ともに減少しました。その他事業は医薬品容器検査などが寄与し大幅な増収増益となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業 7.2億円 8.2億円 3.3億円 3.8億円 46.3%
マクロ・テクノロジー関連事業 1.9億円 1.8億円 0.6億円 0.5億円 27.3%
その他事業 0.1億円 0.2億円 0.0億円 0.0億円 12.6%
調整額 0.1億円 0.2億円 0.0億円 0.0億円 12.6%
連結(合計) 9.2億円 10.2億円 3.9億円 4.3億円 42.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

クラスターテクノロジーのキャッシュ・フローの状況は、前事業年度末に比べて現金及び現金同等物が大幅に増加しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に利益と棚卸資産の変動により増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の支出により減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金の流出により減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1.2億円 1.5億円
投資CF -1.0億円 -0.5億円
財務CF -0.0億円 -0.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「高精度・高機能に特化した樹脂製品の提供」を事業方針として掲げています。高精度と高機能を軸として樹脂製品に機能を付加することにより、顧客の商品価値の向上に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「チームワークと実行力の強化!」をスローガンに掲げています。また、「樹脂製品の概念を変える」「樹脂製品のコーディネーター」「樹脂製品のカスタマイズ」「樹脂製品の一貫生産」という4つの強みを重視しており、顧客の潜在的課題を顕在化し、解決策を樹脂製品で提案・開発する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は新中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)を策定しています。最終年度である2027年3月期に向けた数値目標として、以下の数値を掲げています。

* 売上高:12.6億円
* 営業利益:1.2億円
* 経常利益:1.2億円
* 当期純利益:0.8億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は新中期経営計画の達成に向け、「営業力の強化と自社商品の強化」「新規設備投資及び生産力の強化」「人材の育成と外部人材採用による競争力の強化」を重点課題としています。特に新規顧客開拓に向けたアプローチ強化や、生産工程の自動化・効率化のための設備投資、待遇改善による人材確保に注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を収益力向上のカギと位置づけ、待遇改善を前提とした経営を進める方針です。具体的には、年功序列からの脱却を図る給与体系・人事制度の見直しを行い、男女間の給与格差を解消しました。また、外部人材の採用や、人材の質的向上を図るための教育にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.5歳 11.8年 4,150,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 製品開発の方向性と技術の商業化


顧客や市場の要求特性は常に変化しており、開発の的を絞れず遅れが生じたり、開発テーマが頓挫するリスクがあります。また、技術が完成しても価格やタイミング等により市場で受け入れられない可能性や、想定以上の受注に対応できず機会損失が生じる可能性があります。

(2) 特定技術への依存と技術的難易度


同社の技術以外の新しい技術の登場により、相対的な優位性が損なわれるリスクがあります。また、現在推進している開発テーマにおいて、時間的制約や他社特許、技術的難易度等により、壁を打ち破れず開発を断念せざるを得ない可能性があります。

(3) ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業の将来性


同社は当該事業を柱としていますが、ターゲット分野の成長予測には限界があり、売上実績の齟齬や課題発生のリスクがあります。また、競合他社の参入により事業へ影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人材の確保


研究開発には多彩な能力を持つ技術者が必要ですが、必要な人材を確保できない場合や、有能な人材が流出した場合、事業に悪影響を及ぼす恐れがあります。また、小規模組織であるため、事業拡大に応じた管理体制の充実が順調に進まない場合、業務に支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。