高島 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高島 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の同社は、建材、産業資材、電子・デバイスの3分野を展開する専門商社です。2025年3月期の連結業績は、M&A効果や電子・デバイス事業の回復等により売上高は増収、営業利益は増益となりました。一方で、前期の不動産売却益の剥落等により当期純利益は減益となっています。


※本記事は、高島株式会社 の有価証券報告書(第137期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 高島ってどんな会社?


同社は、建材、産業資材、電子・デバイスの3事業を柱に、国内外でソリューションを提供する専門商社です。

(1) 会社概要


同社は1915年に繊維製品販売を行う高島屋商店として創業し、1949年に東京証券取引所へ上場しました。2010年には建材事業を譲受して事業を拡大し、2015年に本店を千代田区へ移転しています。近年はM&Aを積極的に進め、2023年に岩水開発を、2025年にはサンワホールディングスを完全子会社化するなど、事業基盤の強化を図っています。

同社グループの従業員数は連結1,216名、単体230名です。筆頭株主は同社の取引先で構成される持株会で、第2位は不動産賃貸業などを営む平和、第3位は損害保険会社の東京海上日動火災保険です。特定のオーナー家に依存せず、取引先や金融機関が主要株主として名を連ねる安定した株主構成となっています。

氏名 持株比率
高島取引先持株会 13.31%
平和 4.45%
東京海上日動火災保険 2.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表取締役社長社長執行役員には高島幸一氏が就任しています。社外取締役比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
高島 幸一 代表取締役社長社長執行役員 1978年プロクター・アンド・ギャンブル日本法人入社。同社ファー・イースト・インクディレクターを経て2002年高島入社。2004年代表取締役社長に就任。2018年より現職。
後藤 俊夫 取締役専務執行役員 1983年高島入社。iTak(International)Limited代表取締役社長、デバイスソリューション事業本部長などを歴任。2024年より電子・デバイス事業本部長兼務にて現職。
山本 明 取締役専務執行役員 1987年大阪東通入社。丸紅合樹製品を経て2010年高島入社。建材事業本部東日本統括部長などを経て、2024年より建材事業本部長として現職。


社外取締役は、宇治田明史(元サカタのタネ取締役)、桃崎有治(公認会計士)、篠連(弁護士)、青木寧(元花王常務執行役員)、坂本修一(元旭化成取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建材」「産業資材」「電子・デバイス」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 建材


壁材、基礎杭、断熱材、太陽光パネル、インテリアなど、建設・建築に関わる多様な商材を扱っています。全国に販売網を持ち、商材の販売だけでなく、企画、設計から施工まで幅広い工程を請け負うソリューション提供を行っています。

収益は、建設会社や住宅メーカーなどの顧客から、資材の販売代金や工事請負代金を受け取るモデルです。運営は主に同社が行っていますが、地盤改良工事を行う岩水開発やナルトエスピー工業、太陽光発電事業を行うサンワホールディングスなどの連結子会社も事業を担っています。

(2) 産業資材


樹脂材料や成形品、鉄道車両用の高機能製品、産業用繊維、LED工事、アパレルOEMなど、多種多様な商材を取り扱っています。商社機能に加え、グループ内にメーカー機能を持つことで、多様な機能を提供できる体制を整えています。

収益は、製造業やアパレル企業などの顧客に対する製品・資材の販売代金や加工賃などです。運営は同社のほか、樹脂成形を行うタクセル、縫製加工を行うハイランド、資材販売を行う高島インダストリーズなどの連結子会社が担っています。

(3) 電子・デバイス


アジア地域を中心に拠点を展開し、国内外で電子デバイスの販売を行っています。また、タイやベトナムの海外自社工場にて、電子デバイスや電子機器の製造・販売も手掛けています。

収益は、電機メーカーなどの顧客に対する電子部品や電子機器の販売代金です。運営は、iTak(International)Limitedを中心とした海外子会社群と、国内のアイタックインターナショナルジャパンが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間の推移を見ると、売上高は増加傾向にあり、特に直近では945億円に達しています。利益面では、2024年3月期に当期純利益が大きく跳ね上がりましたが、これは固定資産売却益などの一時的な要因によるもので、2025年3月期は経常利益ベースで安定した水準を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 806億円 741億円 797億円 901億円 945億円
経常利益 15億円 18億円 19億円 20億円 20億円
利益率(%) 1.9% 2.5% 2.4% 2.2% 2.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 -0.3億円 8億円 47億円 9億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を見ると、売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しています。営業利益率も改善傾向にあります。販管費の増加を売上総利益の増加が上回り、本業の儲けを示す営業利益は増益となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 901億円 945億円
売上総利益 123億円 130億円
売上総利益率(%) 13.6% 13.8%
営業利益 17億円 21億円
営業利益率(%) 1.9% 2.3%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が41億円(構成比37%)、その他経費が21億円(同19%)を占めています。売上原価においては、商品及び製品の仕入高が主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


建材セグメントは増収となったものの、一部物件の収益性低下等により減益となりました。産業資材セグメントは樹脂・繊維両分野での受注拡大と工場稼働率向上により増収増益を達成しました。電子・デバイスセグメントは在庫調整の進展等により増収増益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
建材 580億円 610億円 20億円 17億円 2.7%
産業資材 172億円 180億円 7億円 11億円 5.9%
電子・デバイス 148億円 155億円 4億円 7億円 4.7%
賃貸不動産 1億円 - 1億円 - -
調整額 - - -14億円 -13億円 -
連結(合計) 901億円 945億円 17億円 21億円 2.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却等による資金の増減を表します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等による資金の変動を示しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 61億円 -27億円
投資CF 25億円 -13億円
財務CF -41億円 4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「事業を通じて社会に貢献する」ことを企業使命として掲げています。持続的発展が可能な社会の実現に向け、環境配慮事業を中核とする専門商社として、仕入先や協力会社と連携し、独自のソリューションを提供することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は創業以来、「誠実一筋」を経営姿勢として重視しています。従業員一人ひとりが誠意をもって約束を守り、法令遵守はもとより、規律やマナーを重んじることで、社会からの信用と信頼を蓄積していくことを共通の価値観としています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画「サステナV(バリュー)」を遂行しており、2026年3月期を最終年度としています。カーボンニュートラル社会の実現に向けた市場変化を成長機会と捉え、サステナ社会への適応と持続的成長の同時実現を目指しています。

* 2026年3月期 親会社株主に帰属する当期純利益:19億円
* ROE:8%以上
* ROIC:6%以上
* 総還元性向:100%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、将来的な成長が見込める「省エネ化ニーズ」と「省力化ニーズ」に焦点を当てた戦略領域への経営資源投入を進めています。具体的には、太陽光パネルや蓄電システム等の再生可能エネルギー関連、断熱材等の省エネ関連、そして省力工法等の省力化貢献関連事業の拡大を推進しています。

* 投資枠を150億円へ拡大し、戦略領域に投入
* M&Aによる事業拡大(サンワホールディングスの取得等)
* デジタルグリッド技術の普及に向けた合弁会社設立やスタートアップへの出資

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、「キャリア型人財」への成長を推進し、企業価値向上を目指しています。多様な人材が活躍できるよう、外国人や女性等の採用を積極的に進めるとともに、独自の育成モデルを展開しています。また、従業員が自律的にキャリアを築ける環境整備や、適正な労働時間管理、安全教育等を通じて、働きがいと安心・安全を確保する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.1歳 12.5年 8,554,000円


※平均年間給与は、賞与及び時間外手当等が含まれております。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.7%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 59.2%
男女賃金差異(正規) 58.6%
男女賃金差異(非正規) 55.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職における女性比率(17.7%)、外国人比率(21.7%)、中途採用者比率(75.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況


同社グループの売上高の多くを占める建材セグメントは、民間設備投資や公共事業、住宅着工戸数の動向に強く影響を受けます。また、産業資材や電子・デバイスセグメントも国内外の経済状況悪化による納入先の減産等の影響を受ける可能性があり、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 太陽光発電事業に対する政策変更


電力会社の余剰電力買取価格や固定買取価格の減額、再生エネルギー申請の受理遅延、出力抑制規制などの政策変更が発生した場合、需要が減少し、同社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替レートの変動


海外との輸出入取引や海外拠点での外貨取引を行っているため、為替相場の変動リスクがあります。為替予約等の対策を講じていますが、為替変動の影響を完全に排除することは困難であり、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 取引先の信用リスク


取引先の経営状況が市場変動や業界再編等により悪化し、財務上の問題が発生した場合、同社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。信用状況に応じた保全策を講じて対処しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。