高島 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高島 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高島はプライム市場に上場する専門商社で、建材、産業資材、電子・デバイスの3事業を展開しています。太陽光発電システムや樹脂関連資材などの販売から企画・施工まで幅広いソリューションを提供しています。直近の業績は、基礎関連工事等の低調や中国企業のシェア拡大の影響により、減収減益となっています。


※本記事は、高島の有価証券報告書(第138期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 高島ってどんな会社?


建材、産業資材、電子・デバイスを中核に、企画から施工まで幅広いソリューションを提供する専門商社です。

(1) 会社概要


1915年に合名会社高島屋商店として創立され、繊維製品の販売を開始しました。1939年に高島屋工業、1949年に高島へと社名を変更し、同年東京証券取引所に上場しました。その後、国内外への拠点拡大や企業買収を進め、近年も岩水開発やサンワシステムなどのM&Aを通じて各事業基盤の強化を図っています。

同社グループの従業員数は連結で1,200名、単体で220名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は高島取引先持株会で、第2位は事業会社の平和、第3位は保険会社の東京海上日動火災保険です。

氏名 持株比率
高島取引先持株会 13.73%
平和 4.46%
東京海上日動火災保険 2.42%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長社長執行役員は高島幸一氏が務めており、社外取締役は6名です。

氏名 役職 主な経歴
高島幸一 代表取締役社長社長執行役員 プロクター・アンド・ギャンブル日本法人等を経て2002年同社入社。取締役副社長等を経て、2004年より代表取締役社長。2018年より現職。
山本明 取締役専務執行役員社長付 丸紅プラックス等を経て2010年同社入社。建材事業本部東日本統括部長等を経て、2024年より取締役兼専務執行役員建材事業本部長。2026年より現職。
後藤俊夫 取締役専務執行役員電子・デバイス事業本部長兼iTak(International)Limited代表取締役社長 1983年同社入社。電子デバイス担当ディレクター等を経て、2012年取締役就任。2024年より現職。


社外取締役は、河合順子(梅ヶ枝中央法律事務所パートナー)、宇治田明史(元サカタのタネ取締役)、桃崎有治(元監査法人トーマツ代表社員)、篠連(光和総合法律事務所パートナー)、青木寧(元花王常務執行役員)、坂本修一(元旭化成取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建材」「産業資材」「電子・デバイス」および「その他」事業を展開しています。

建材


太陽光発電システムや断熱材、壁材などの建築・住宅に関わる様々な資材を扱っています。全国に構築した販売網を通じて、設計・企画から施工、メンテナンスまでを請け負うソリューションを提供しており、住宅から非住宅まで幅広い顧客のニーズに対応しています。

主な収益源は、顧客である建設会社や施工業者からの資材販売代金および工事請負代金です。事業の運営は、同社および岩水開発やサンワシステムなどの連結子会社が担い、各社の専門性を活かして展開しています。

産業資材


樹脂材料や成形品、鉄道車輌用の高機能製品、産業用繊維、アパレルOEMなど、多種多様な資材を取り扱っています。自動車や電子機器、アミューズメント関連など幅広い産業分野の企業に対して、資材供給から加工・製造まで多様な機能を提供しています。

主な収益源は、各産業のメーカー等からの資材販売代金や製品の製造・加工代金です。運営は同社に加え、タクセルやハイランドなどの連結子会社が担い、グループ内のメーカー機能を活用して事業を展開しています。

電子・デバイス


日本国内およびアジア地域において、電子部品や電子機器等の製造・販売を行っています。民生電子機器や白物家電などを製造する日系電機メーカーを中心とした顧客に対し、海外の自社工場でのアセンブリからデバイスの供給までを支援しています。

主な収益源は、メーカー等の顧客からの電子デバイスや電子機器の販売代金です。運営はiTak(International)Limitedを中心に、タイやベトナムなどの海外子会社を含めたグループ拠点を通じて展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は長期的に成長傾向にありましたが、直近では減収に転じています。経常利益率も2%台から1%台へ低下傾向にあり、市場の不透明感や競争環境の変化による影響が伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 741億円 797億円 901億円 945億円 906億円
経常利益 18億円 19億円 20億円 20億円 15億円
利益率(%) 2.5% 2.4% 2.2% 2.1% 1.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.3億円 8億円 47億円 9億円 5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は減少したものの、売上総利益は増加しており、売上総利益率も改善しています。一方、営業利益は横ばいで推移し、営業利益率を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 945億円 906億円
売上総利益 130億円 136億円
売上総利益率(%) 13.8% 15.0%
営業利益 21億円 21億円
営業利益率(%) 2.3% 2.3%

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力の建材や電子・デバイスが前年から減収となっています。一方で、産業資材は樹脂関連資材分野が堅調に推移し、前年並みの売上高を維持しています。全体として市場環境の不透明感が影響しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
建材 610億円 584億円
産業資材 180億円 179億円
電子・デバイス 155億円 143億円
連結(合計) 945億円 906億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動と投資活動で資金を獲得し、借入金の返済などに充てる「改善型」の傾向を示しています。本業で生み出した現金や投資有価証券の売却益を活用して財務体質の改善を進めている局面と言えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -27億円 28億円
投資CF -13億円 7億円
財務CF 4億円 -21億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「事業を通じて社会に貢献する」ことを企業使命として掲げています。持続的発展が可能な社会の実現のために、温暖化などによる地球環境への影響を軽減する環境配慮事業を中核とする専門商社として、オリジナルな発想によるソリューションをお客様に提供することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は創業当時より「誠実一筋」を経営姿勢として掲げています。全ての従業員が誠意をもって約束を守り、明るく素直で、謙虚に感謝の念を忘れずに行動し、法令遵守や正しいマナーを身につけることで、信用と信頼を蓄積していくことを共通認識として事業活動を行っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2026年4月から2029年3月までの3か年計画として中期経営計画2028「サステナ+スパイラル」を遂行しており、以下の経営指標を掲げています。

・売上高:1,100億円
・営業利益:30億円
・親会社株主に帰属する当期純利益:20億円
・ROE:8%以上

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の成長や戦略的取り組みによる利益貢献化を進め、投資によるリターンが次の投資を呼ぶ「持続的好循環の創出」をテーマとしています。社会課題と成長性を捉えた事業ポートフォリオの変革や、グループシナジーの拡大によるリターン向上、多彩なキャリア型人財の輩出などを推進し、企業価値の向上を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社ビジネスの根幹を支える「人」への投資として、従業員一人ひとりが経営力と専門力を掛け合わせる「キャリア型人財」への成長を推進しています。多様な人財が活躍できる環境を整備し、戦略領域への事業展開を促進するため、外国人、女性、理系、中途採用など多様性のある人財を積極的に採用・育成する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.5歳 12.4年 8,404,000円


※平均年間給与は賞与及び時間外手当等を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 65.3%
男女賃金差異(正規雇用) 63.3%
男女賃金差異(パート・有期) 69.4%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用者比率(75.9%)、外国人比率(23.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 取引先の信用リスク


同社グループの取引先において、市場の変動や業界の再編成などにより財務上の問題に直面するなど信用状況が悪化した場合、同社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、取引先の信用状況に応じた保全策を講じて対処しています。

(2) 太陽光発電事業への政策変更


電力会社の余剰電力買取価格や固定買取価格の減額といった政策変更、再生エネルギー申請の受理遅延、出力抑制規制などが需要に影響を与え、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、政策変更に応じた営業施策の構築と展開を図っています。

(3) 為替レートの変動


同社グループの取引には輸出入や海外拠点での外貨建取引が含まれており、為替相場の変動リスクが存在します。為替相場変動の影響を完全に排除することは難しく、業績に影響を及ぼす可能性があります。為替予約等の対策を講じることでリスクの緩和に努めています。

(4) 市場の価格競争激化


同社グループが関わる多くの業界で厳しい価格競争が展開されています。競合他社が低価格で新機能を備えた商品を投入するなど、価格面での圧力による取引減少や利益率低下のリスクがあります。同社ならではのソリューション提供により、付加価値の創出に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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